著者
山浦 克典 諏訪 映里子
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

アトピー性皮膚炎をはじめとする、痒み症状を伴う慢性皮膚疾患では、長期間にわたる外用ステロイド療法は必要不可欠となる。一方、申請者は、ステロイド外用剤を反復塗布すること自体が、痒みの原因となり得ることを報告してきた。ヒスタミンの4番目の受容体を阻害するH4受容体拮抗薬は、ステロイド外用薬の抗炎症作用を高め、且つ、ステロイドが引き起す痒みを改善することを本研究により明らかにした。H4受容体拮抗薬は、長期ステロイド外用療法をより安全に実施する上で有効な治療薬となり得ると考えられた。
著者
堀内 隆彦 田中 緑
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究では,将来の豊かな社会発展に寄与するために,産業応用を目指した独創的・先駆的な研究に取り組む.具体的には,これまで管理された実験室環境において実施されてきた視知覚実験を実生活空間へと展開し,一般の照明環境下に設置された種々のディスプレイを用いた視覚実験を丁寧に実施する.これらの実験結果を解析することによって,新しい視物質であるipRGCの影響を考慮した色再現モデルを構築する.さらに,標準化されているデバイス間のカラーマネージメントシステムとの互換目指したプロトタイプシステムの構築を通じて,カラー画像再現における産業界の次世代デファクトスタンダードとなる基盤を確立する.
著者
小澤 直子
出版者
千葉大学
巻号頁・発行日
2015

学位:千大院園博甲第農72号
著者
佐藤 健太郎
出版者
千葉大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2020-04-01

本研究は、教科書の編纂や検定とそれを規定した政治状況に注目し、1930年代から1950年代における学校教育での政治教育の展開を、日本政治外交史的手法により実証的に解明することを目的とする。主として、①この間の政治教育をめぐる過程を、政治教育の発展・変質・再興の過程として長期的視野から分析すること ② 検定教科書を、知識人の言論と、国家の規制との対立が集約されるものと位置づけ、教科書の内容や検定の状況を分析すること、等を通して、55年体制下における「教育と政治」の淵源を明らかにし、戦後民主主義の基盤を問いたい。
著者
木村 恵介
出版者
千葉大学
巻号頁・発行日
2007

学位:文学
著者
松本 一記 濱谷 沙世 浦尾 悠子 平野 好幸 吉永 尚紀
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

在宅での自助での認知行動療法の実用可能性については、パニック症、社交不安症、強迫症の当事者9名に開発したE-learningシステムを利用してもらうことで、安全に実施可能で、介入後には主要症状に改善が見られたことから、これらの疾患に対するE-learningシステムの実用可能性が実証された。その他にも、社交不安症の認知行動療法スマートフォン版アプリケーションの開発に成功し、強迫症のE-learningシステムの有効性を評価するための臨床試験を2020年1月から2021年6月末まで実施している。試験結果の結果については、2021年秋頃にまとめて学術誌に投稿する予定です。
著者
石嶌 純男
出版者
千葉大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1993

マウスSwiss 3T3線維芽細胞を増殖刺激すると、早期に細胞内遊離Mg^<2+>濃度が上昇する。このMg^<2+>の増加は10秒以内に起こる一過性の初期相と、大部分は細胞の外からのMg^<2+>流入による30-60分後の第2相との二相性を示す。ここでは刺激直後に起こる一過性のMg^<2+>濃度上昇に焦点を絞り、細胞内でのMg^<2+>の遊離機構を解析した。遊離Mg^<2+>濃度の測定は、蛍光色素mag-fura-2と蛍光顕微画像解析装置Argus-100を用いて単一細胞レベルで行った。刺激は主として、ボンベシン-Swiss 3T3細胞系を用いた。1.細胞内Mg^<2+>遊離機構。細胞質内Mgの90%以上は各種のリガンド、特に40%はATPと可逆的に結合して存在する。しかし刺激後2分以内にATP濃度変化はみられず、Mg^<2+>上昇はATPよるものではない。さらにボンベシンにより細胞内はアルカリ化するが、弱塩基添加により細胞内をアルカリ化してもMg^<2+>濃度はほとんど変化せず、ボンベシンによるMg^<2+>上昇にも影響を与えなかった。一方、イオノフォアの一種であるイオノマイシンを加えるとMg^<2+>上昇がみられたが、ボンベシンあるいはイオノマイシンを加え2分後に他方を加えても二度目のMg^<2+>上昇はみられなかった。これは両者が同じMgプール、おそらくは膜系よりMg^<2+>を遊離させたことをしめしている。3.細胞外Ca^<2+>の役割。外液のCa^<2+>を除くとボンベシンによるMg^<2+>上昇の程度は六十%低下し、Caチャンネルブロッカーであるニカルジピンを加えるとMg^<2+>上昇は90%阻害された。このニカルジピンによるMg^<2+>上昇の低下は、外液のCa^<2+>濃度を上げることにより部分的に回復した。以上の結果は、ボンベシンが、細胞外Ca^<2+>に依存して早期に細胞内プールからMg^<2+>を動員することを示している。
著者
沼田 法子
出版者
千葉大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2017

【背景と目的】神経性やせ症(以下AN)は、体重や体型に対する強いこだわりを持ち、進行する低体重の重大な危険性の認識が十分でないことや、体型に人としての価値が直接影響されると感じ、他の価値観を認識したり変換したりすることができないこと等の認知的特性がしばしば観察される。一方で、これらの認知的特性は、自閉症スペクトラム障害(以下ASD)における対人関係、社会性の障害、パターン化した行動や興味といった特徴と類似しており(Zucker etal., 2007)、ANの18%がASDを併存していることが報告されている(Billstedt et al., 2000)。摂食障害(ED)は、神経性やせ症(AN)、神経性過食症(BN)、過食性障害(BED)のサブタイプに大別されているが、各々の症状は多様で重複したり、長期化により同一個体でサブタイプが相互に移行したりする(Fairburn and Harrison., 2003)。従って、上記のような認知的特性の強さが病態理解の上で重要となる。これらを踏まえ、ANにおけるASD傾向の有無およびANの重症度とASD傾向との関連を調査し、重症化に関連する要因としてANにおけるASD傾向を評価・検討することを目的とした。【方法】摂食障害と診断された15-45歳の女性43名における①自己記入式質問紙「自閉症スペクトラム指標(AQ)」と「Eating Disorder Examination Questionnaire(EDE-Q)」における相関関係を数量的に判定した。さらに、②自己誘発嘔吐の有り(n=31)と無しの2群(n=12)に分け、AQスコアの差を検定した。最後に、③それぞれの群におけるAQとEDE-Qの相関関係を判定した。【結果】①全患者におけるAQとEDE-Qスコアに相関関係は認められなかった(r=-.057 ; p=0.716)。②自己誘発嘔吐なし群は、あり群に比べて、AQスコアが有位に高かった(p=0.007)。③自己誘発嘔吐あり群となし群のEDE-Qとの相関はそれぞれ(r=-.051 ; p=0.786)と(r=.58 ; p=0.05)であった。結論として、AN制限型やBEDなどの非排出型の摂食障害は、AQスコアが高い傾向があり、重症度との正の相関があった。BEDの80%が過去AN制限型からの移行型であり、AN制限型は、時間的経過を経ても排出型に移行しづらく、ASD傾向が高いことが示唆された。
著者
入江 俊夫
出版者
千葉大学
巻号頁・発行日
2014

学位:千大院社博甲第文70号
著者
小澤 弘明
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究は、1920年代から1940年代のオーストリア亡命者たちの戦後構想と、新自由主義の主唱者と目されるハイエク、ミーゼス、ポパーらの思想の形成過程を、両者の共通項であるオーストリア・マルクス主義との対抗関係の下に把握する。それによって、社会民主主義と新自由主義の継承関係を明らかにし、新自由主義の起源についての議論に貢献することを目的とする。研究方法は主として文書館史料の並行分析という手法を利用し、社会国家の形成に関する社会的自由主義の思想・運動が、国家を通じた市場化を志向する新自由主義の思想・運動の両者が相補的であることを解明する。
著者
岩崎 弥生
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学看護学部紀要 (ISSN:03877272)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.29-40, 1998-03
被引用文献数
10

精神病患者の家族の情動的負担と対処方法を明らかにすることを目的に,書面による調査同意の得られた分裂病患者を在宅でケアする5家族6名に対して,McCrackenの質的研究方法である"長時間インタビュー"に基づき半構成的対面式インタビューを行い,その内容を分析した.その結果,家族は情動的負担として自責態と無力感,孤立無援態,荷重態を持ち,それぞれ知識の欠如,精神病に対する偏見,および患者の依存や症状が影響していた.ケア知識を欠いた家族は,患者の苦痛に何の手だてを講じることもできないことから自責感を持つと同時に無力感を持っていた.また,精神病への偏見から患者を守るため広く援助を求めることをためらい,ほぼ孤立無援の状態でケアをしていた.そして,時には患者の依存や症状が重荷に感じられケアから逃げ出したい気持ちを抱くこともあった.対処方法は適切なケア提供に関する行動と,自分自身のケアに関する行動から成り立っていた.ケア提供に関しては,家族は試行錯誤しながらケア技術を習得し,患者の話を受け止め,気分転換を促し,社会との接点を見出すなどをとおして適切な心理社会的的環境を提供しようとしていた.ケア提供者自身のケアはケア提供者の健康を保ち患者へのケアを継続するうえで重要で,精神的支援の獲得,自分自身の時間の確保,およびものごとの肯定的解釈を含んでいた.
著者
國吉 一樹 大鳥 精司
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

ラット腕神経叢損傷の節前モデル(BPA)において,疼痛行動および脊髄におけるグリア活性を比較・検討すると同時に神経栄養因子低親和性受容体であるp75NRTの抗体の局所または全身投与による疼痛抑制効果を検討した. 結果, BPA群では損傷側において有意な疼痛過敏を認めると同時に反対側においても有意な疼痛過敏を認め, 脊髄の非損傷側レベルにおいてmicrogliaおよびastrocyteの活性化が有意に認められた.またp75NRT抗体の局所投与または腹腔内投与によりどちらにおいても有意に疼痛過敏が減少した. 脊髄microgliaおよびastrocyteの活性化は非投与群に比べ有意に抑制された.
著者
水内 宏 李 潤華
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要 (ISSN:13482084)
巻号頁・発行日
vol.54, pp.55-62, 2006-02-28

中国の大学における日本語教育の発展を促進するためには,今後,明らかにせねばならぬ課題は多大にあると思われる。その課題の一つとして,本研究では,日本語教育のなかの「日本事情」教育に焦点をあて,日中の共同研究として大学での「日本事情」教育の抜本的改革のための新しい内容的・方法的視点を提起することを意図した。空論に陥らぬためにも,大学での実験的授業の実施など,研究手法上の工夫にもそれなりに腐心したつもりである。
著者
山岡 捷利
出版者
千葉大学
雑誌
言語文化論叢
巻号頁・発行日
vol.12, 2003-12-31
著者
千葉 文子
出版者
千葉大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

死体の個人識別のために、年齢推定は重要であり、骨の観察は古くから年齢推定の手段として用いられてきた。しかし、骨の観察による年齢推定の確実な手段は、特に成人死体においては現在も確立されていない。法医学領域でCTの導入が進んでいるが、CT画像を用いた人類学的な骨の評価は現在研究が進められている分野である。本研究では、恥骨結合をCTで観察し、恥骨結合面の中央で、左右恥骨が平行になる部分が加齢に伴い増加する傾向にあることを示した。直線回帰分析による年齢推定式を求めたが、従来法より優れたものではなかった。また、通常の法医解剖では観察が困難である口蓋縫合の観察も試みた。
著者
岩佐 亮二 本間 忠 高野 史郎
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学園芸学部学術報告 (ISSN:00693227)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.103-113, 1962-12-31

1 従来から栽培されているマツバボタンPortulaca grandifloraは1年草であり,8月中下旬以降草勢が衰え,10月に枯死する.この種の花弁では,数や色彩に巾広い変異が見られる.2 近年導入されたジュエル種P. parana (?)は単弁バラ色であり,11月迄咲きつづけ,東京附近では冬期の簡単な保護によって越冬し,永年生となる.3 著者等は,ジュエルにつき,秋口の花壇用としての価値を高く評価しているが,この評価を延長して,品種的な分化の穫得を企図し,数年来,種間交雑・コルヒチン処理・レントゲン線照射・栄養接近等を行って来た.4 圃場における種間交雑では,正逆何れの場合も,柱頭並びに花柱内で,異種花粉に対する抑制作用が強く発現し,ためにF_1種子を得ていない.5 この阻害作用をうけて,花粉の多くは異種柱頭上で不発芽に終り,一部発芽したものも,その花粉管は柱頭内に侵入出来ずにトグロ状に彎曲し,極くわずかの花粉が正常に近い花粉管を出すものの,その伸長も遅々として進まない,ことを観察した。6 花粉の人工発芽試験では,培地の組成に若干の工夫を加えたにも拘らず,満足出来る状態に達していない.但し,庶糖20%,寒天1.5%の区が多少優っていた.7 上記培地の表面下1mmの深さに自種雌蕋を埋没すると,その直上で,花粉の発芽状態は可成りの改善を示した.8 雌蕋に含まれる或る種の化学物質を想定すれば,このものは,他種花粉に対しては阻害的に,自種花粉に就ては促進的に働くものと推測される.また,それは寒天中で拡散する.9 栄養雑種・栄養接近については,台と穂の組合せを代えても,プラスの結果が現われなかった.
著者
劉 東啓 油井 正昭
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学園芸学部学術報告 (ISSN:00693227)
巻号頁・発行日
vol.53, pp.75-84, 1999-03-31

The goal of this study is to engage in analysis concerning the park plans of Taipei City under the Japanese reign and how the plans influence the present park plans. The analysis result shows: (1) The process of park plans of Taipei City before the Second World War can be divided to 4 stages. (2) The park plans of Taipei City under the Japan reign is almost continued after the Second World War. (3) The construct of parks of Taipei City is influence by the park plans of Japanese reign in the park plan, the plan idea and the system.
著者
澁谷 和幹
出版者
千葉大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

筋萎縮性側索硬化症(ALS)の運動神経細胞死の原因の一つとして、運動神経の過剰興奮性が考えられている。ALS運動神経細胞死と過剰興奮性の関係を支持する所見として、以下の報告を行った。運動神経興奮性増大を示唆する筋痙攣とALS進行速度の関係を報告した。脱力の発症前から筋痙攣のある患者の方が、ALS進行速度が速かった。また、ALS皮質運動野の興奮性増大は、病期の進行と共に顕著となることを報告した。更に神経興奮性制御と細胞死の関連を検討するため、Naチャネル阻害薬であるラコサミドを用いてALS患者を対象とした臨床試験を実施した。