著者
入野 俊夫 河原 英紀 西村 竜一 高橋 徹 津崎 実 津崎 実 高橋 徹 ロイD. パターソン
出版者
和歌山大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

初期聴覚系における「寸法・形状知覚理論」の検証とその応用を行った。そのための心理実験を実施し、理論を支持する実験結果を数多く得た。fMRI実験によって、音節情報処理の脳内部位を推定し、寸法・形状情報処理の部位特定のための制約条件を与えた。「ガンマチャープ聴覚フィルタ」等のモデルをさらに洗練化した。 高品質音声分析合成法STRAIGHTの性能改善や、劣化音声の知覚実験と自動音声認識実験の対比も行い、音声知覚の計算理論構築の足がかりを得た。
著者
大泉 英次 大井 達雄 豊福 裕二
出版者
和歌山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

今日の先進諸国の住宅市場は、持家市場と住宅ストック流通の高度な発達によって特徴づけられる。この成熟した住宅市場は、他方で不安定ならびに格差という性格が顕著である。本研究は、その理由を説明する住宅市場不安定仮説を提起し、これにもとづきイギリス、アメリカ、ドイツ、日本の住宅市場のパフォーマンスを比較した。住宅政策は不安定な住宅市場の管理という困難な課題に直面している。この認識に立って、本研究は日本の住宅市場ガバナンスに求められる政策課題を検討した。
著者
今村 律子 矢野 勝 綿貫 茂喜
出版者
和歌山大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

健康な男子学生28名に研究協力を依頼し、10月〜11月にかけての4週間の間、夜間睡眠時に同一素材の肌着をパジャマとして毎晩着用してもらい、その間の皮脂成分の変化を測定した。皮脂の採取法は、有機溶媒を用いたカップによる抽出法とし、背部肩甲骨上部から皮膚表面皮脂を実験前、実験開始1,2,3,4週間後に採取した。供試肌着は、綿100%(吸湿率7.75%)、ポリエステル100%(同0.63%)および綿・ポリエステル・キュプラ混(同6.46%)のそれぞれ水分率の異なる3種類のものとした。肌着の洗濯は験者が条件を統一しておこなった。皮脂分析は、薄層クロマトグラフ法を用いた。皮脂は、スクワレン(SQ)、トリグリセリド(TG)、ワックスエステル(WE)、遊離脂肪酸、コレステロールエステル、コレステロールおよびセラミドの7種類に展開分離させた。展開後の薄層プレートは、デンシトメータ(島津、CS-9300PC)で読み取り、定量化した。皮脂は、皮脂腺由来成分と表皮由来成分に分けることが出来る。本研究では、皮脂の約9割を占める皮脂腺由来成分であるSQ、TG、WEに注目して解析をおこなった。グループ間のWE、TG、SQを平均値で、また着用前の値からの変化量で分析したところ、WEは、綿肌着着用群において、着用3週間目まで上昇し続け、平均162%となった。TGは、綿着用群は、1週間着用後132%まで上昇し実験終了時まで130%の値を維持した。ポリエステル着用群では、WEは、着用2週目まで一旦上昇したがその後低下し、実験終了時には78%であった。TGは、1週目にピーク値を取り、その後低下して最終的には80%であった。混紡肌着は、両者の中間になった。SQは、3種類の肌着間に一定の変化は認められなかった。
著者
三上 隆三
出版者
和歌山大学
雑誌
経済理論 (ISSN:04516222)
巻号頁・発行日
vol.331, pp.37-58, 2006-05
著者
島津 俊之
出版者
和歌山大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2010

19世紀後半のベルギー王国では,以前のハプスブルク家領南部ネーデルラントに散在していた重要な文化的諸事象を「国家化」し,国民国家統合のシンボルとして祭り上げてゆく動きが生じた。地理学と芸術は,さまざまな関係性を取り結びつつ,この動きに巻き込まれていった。南部ネーデルラントの歴史的建築物や美しい景観,そしてメルカトルやオルテリウスといった16世紀の地理学者は,いずれも美術というメディアに媒介されつつ,ある種の「国家的遺産」として表象され,消費されていった。
著者
長廣 利崇
出版者
和歌山大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究では、日中戦争期の高等商業学校と社会移動の関係について、1922年に設立された和歌山高等商業学校の事例に基づき考察した。具体的には、1932年に設立された就職相談部が生徒の社会移動にどのような効果を与えたのかを検討した。
著者
河原 英紀
出版者
和歌山大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2010

我国の伝統的芸術である能の謡の表現に含まれる音声の分析合成技術の開発を通じて、これまでの分析合成技術では不可能であった情報の抽出と可視化ならびに制御と再合成を可能にする技術を開発した。特に、これまで不可能であった高い時間分解能での基本周波数およびスペクトルの分析を可能にした。これらに基づくモーフィングは、意識化が困難な脳における潜在的処理の計測の手段を提供することで、新しい研究の可能性を拓いた。
著者
和田 俊和 中村 恭之 加藤 丈和
出版者
和歌山大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2006

本研究では,単一静止画像からの高解像度画像生成法Hallucinationを高精度化する方法について検討を行なった.昨年度はHallucinationによって生じるブロックノイズの除去方式および最近傍探索アルゴリズムの高速化について検討したが,今年度は最近傍探索アルゴリズムの高速化と全く別方式のHallucinationアルゴリズムの開発を行った.前者に関しては,昨年度提案したPrincipal Component Hashing(PCH)を改良し,Adaptive PCH(APCH)を提案した.これは,PCHでは画像データの分布が正規分布に従うものと仮定していたが,一般の分布では,必ずしも効率の良い探索が行えなかった.これを一般分布に対しても効率が良くなるように,累積ヒストグラムとそれを参照した2分探索木を用いたHash関数を導入した.これにより,任意のデータ分布に対してLSHや従来のPCHよりも効率の良い最近傍探索が行えることを示した.後者については,大量の画像集合から構成した部分空聞を利用して,入力画像の一部から残りの部分を推定する写像計算法について検討を行い,通常の部分空間を用いた写像では入力画像の面積が小さくなると多重共線形性の問題が発生することを明らかにした.さらに,その問題を回避するためにマハラノビス距離を最小化する出力を推定するMaximum Mahalanobis-distance Mapping(M3)を提案し,多重共線形性の問題を回避することができることを示した.さらに,これを画素間引きした画像に適用し,低解像度顔画像から高解像度顔画像が生成できることを示した.
著者
中 俊博 小西 光子
出版者
和歌山大学
雑誌
和歌山大学教育学部教育実践研究指導センター紀要 (ISSN:09182683)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.75-84, 1994-03-31

この論文は幼児期と学童期とのスポーツ指導の接点を考える上での基本的な問題について検討すべく,4歳児,5歳児にゲーム遊びを(じゃんけん,鬼ごっこなど)1ヶ年間援助し,この援助過程での幼児の活動を観察・考察した事例的研究である。その主な結果は,1),4歳児はゲームのルールを理解して遊ぶことよりも,走る,跳ぶ,よじ登るといった基本的な運動遊びに興味がつよい。2),5歳児は個人差があるものの仲間との教え合いでゲームを理解している。3),5歳児はルールを工夫してゲーム遊びを発展させて楽しめる。このことから,基本的には4歳児はゲーム遊びへの準備期と捉え,基本的な動作学習と仲間の存在を知って遊ぶ時期であり,5歳児は仲間と一緒にゲーム遊びの体験を豊富にする時期であるといえよう。
著者
楠山 芳章 山川 佳孝
出版者
和歌山大学
雑誌
和歌山大学教育学部教育実践研究指導センター紀要 (ISSN:09182683)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.139-145, 1995-08-20

この報告は大学に進学しなかった者が高校において学んだ化学及び化学実験についてどのように受け止めているかについて調査した結果を記述したものである。調査対象は高等看護学院学生で,非理科系学生と答えた者が93.1%で実質的に非理科系の学生の意識調査とみなされる。調査対象者43名全員が化学に関連した実験について嫌悪感情を抱いておらず,14人が楽しかったと答えている。化学実験は化学を勉学する具体的な作業であり,授業にこれを多く取り入れることが理科及び化学離れを防ぐ有効な教育手段であることが理解できる。

1 0 0 0 OA せせらぎの書

著者
天野 雅郎
出版者
和歌山大学
雑誌
和歌山大学教育学部教育実践研究指導センター紀要 (ISSN:09182683)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.1-11, 1993-03-31

どだい,このような前口上など不均合いにして不似合いな,この「せせらぎの書」の一席が読者の皆様に,その名のとおりシェイクスピアの『お気に召すまま』の一節を借りうけて,お届けいたそうと願うのは古代日本人の呪術的宇宙である。それを『古事記』や『万葉集』等に物語られた,いわゆる神と魔,あるいはカミとモノとの一体となった世界,すなわちタマ(霊・魂)の世界の神話的伝承群と言い換えてもよい。ここでは類似のものは類似のものを産み出す(Similia Similibus)という黄金律につらぬかれ,すべてのものが一から他へと,その無限の相互反射をくりかえしている。さながら眼前の細流(せせらぎ)が時により,ある時は植物へと,ある時は動物へと,そしてある時は人や神すらへと,その姿を変幻自在にすりかえていくかのように。とどまるところをしらない融即と変身のスペクタクルの一端を,ご笑覧いただければ幸いである。