著者
清水 幸雄 柚原 亜美 矢野 勝子 北川 佳奈子 飯田 純一 五十嵐 信智 伊藤 清美 落合 和 折井 孝男 杉山 清
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.31-36, 2010 (Released:2011-12-24)
参考文献数
17
被引用文献数
6 4

There is concern about the possibility of degradation of the active substance as a result of pH changes when making suspensions of several drugs together by the simple suspension method.However,this has been investigated by few researchers.In the present study,we focused our attention on aspirin since it is known to be hydrolyzed at high temperatures or with elevation in pH.In this study,a Bufferin® 81 mg Tablet was suspended alone or together with alkaline drugs by the simple suspension method,and its stability evaluated.When in the suspension alone,the Bufferin® 81 mg Tablet was stable for 5 hours and the amount of salicylic acid (hydrolyte of aspirin) produced was negligible.On the other hand,when it was suspended together with alkaline agents (magnesium oxide tablet/powder,or lithium carbonate tablet),the residual content of aspirin decreased to 77-84% in ten minutes.The pH of the suspensions containing both the Bufferin® 81 mg Tablet and alkaline agents ranged from about 9 to 10 showing that alkalinity had been enhanced as compared with the suspension of Bufferin alone whose pH was 4.It has been reported that in low-dose aspirin therapy,platelet aggregation inhibition is unstable if the daily aspirin dosage is reduced to less than 75 mg.However for Bufferin® 81 mg Tablet,the results of the present study suggested that the beneficial effect of low-dose aspirin therapy might not be fully achieved it were suspended together with alkaline agents by the simple suspension method.
著者
柳沢 文孝 中川 望 安部 博之 矢野 勝俊
出版者
The Japanese Society of Snow and Ice
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.58, no.5, pp.393-403, 1996-09-05
被引用文献数
12 1

山形県の蔵王には着氷と積雪が繰り返し集積することによって生じた樹氷が存在している.着氷はシベリアからの北西の季節風によって生成するものであり,降雪は高さ数千メートルに達する雪雲によりもたらされたものである.蔵王周辺地域の大気の化学的環境を明らかにするため,蔵王山頂付近(標高1680 m)で積雪と着氷を採取して溶存成分の分析を行った.積雪の溶存成分濃度は北西季節風が強まるにつれて増大するが,着氷の濃度より低い値である.また,着氷と電気伝導度が15 μS/cmを越える積雪試料から黒色の油脂成分が観察された.積雪の塩化物イオン濃縮係数は1.3であるのに対して着氷は0.7であった.これは,着氷の起源となる過冷却水滴が朝日連峰を越峰する際にクローリンロスを起こし,この際に飛散した塩化水素ガスが降雪の起源となる氷晶核に取り込まれたためと考えられる.積雪と着氷のnss-SO<SUB>4</SUB><SUP>2-</SUP>/NO<SUB>3</SUB><SUP>-</SUP>比は等しかった.このことは,両イオンの起源が冬期を通じて同じであり,大陸の大気汚染物質起源であることを示すものである.アンモニウムイオンも大陸からもたらされていると推定される.一方,カルシウムイオンも北西の季節風に乗って飛来していると考えられるが,着氷と積雪では起源が異なると推定される.
著者
矢野 勝也
出版者
名古屋大学
雑誌
若手研究(A)
巻号頁・発行日
2005

植物が野外で遭遇する環境は、実験室レベルの研究で採用されるような均一な環境条件とはほど遠く、むしろ不均一性を特徴としている。このような不均一な環境条件下における植物は、均一な環境条件では想像もできないような振る舞いを示すことがある。その一例が、乾燥地で植物が深い根を発達させて地下水を吸収する一方で、表層の乾いた土壌に根から水を放出する現象(hydraulic lift)である。本研究は、hydraulic lift現象における水の放出経路を解明し、放出能の種間差を評価することを目的とした。まず、植物根からの水放出経路を追跡するための方法論に取り組んだ。すなわち、植物根の導管にあらかじめ取り込ませたトレーサーから、水移動を把握することを試みた。一部の根からトレーサーとしてセシウムやルビジウムを取り込ませた根系を、高浸透圧条件のゲル上に展開することでhydraulic liftを引き起こさせた。蛍光X線解析装置を用いて、ゲルを含めた根系全体の2次元元素マッピング画像を得ることで、非破壊的にトレーサーの動きを捉えることができた。同様に、導管から色素を取り込ませることによっても、導管内の水移動を追跡できた。これらの結果から、根の形態によって水放出能に違いのあることが示唆された。上層・下層に分かれた栽培容器を用いて、深根性植物6種のhydraulic lift能を比較した。供試したいずれの植物種もhydraulic liftによって下層部から上層部へと水を供給したが、その供給能は種間差が大きかった。根量当たりの水放出能を調べると、供試した5種の植物間では有意差が認められず、主に根量の違いが水放出量を規定していたと考えられた。その一方で、供試した植物種の1つは根量当たりの水放出能が著しく高いことが明らかとなった。
著者
矢野 勝也
出版者
Japanese Society for Root Research
雑誌
根の研究 (ISSN:09192182)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.11-17, 2006-03-24 (Released:2009-12-18)
参考文献数
20
被引用文献数
4 4

陸上植物の根は, むき出しの「根」で存在するよりも, 共生微生物の菌根菌が共生した状態の「菌根」で存在しているのが普通である. 最も普遍的にみられるのがVA菌根であり, この菌根が形成されると宿主植物のリン獲得能が向上することはよく知られている. しかし, 多くの生態系で植物の成長を律速しているのはリンよりもむしろ窒素であるが, VA菌根菌が宿主植物の窒素栄養に関与しているかどうかは議論が続いてきた. 私たちは最近, アンモニアを吸収したVA菌根菌は速やかに宿主にその窒素を提供するのに, 硝酸を吸収した場合には自らが利用するだけで宿主に受け渡さない, という選択的な窒素供給現象を見いだした. 本稿では, VA菌根菌が宿主植物の窒素栄養にどのように関与するのかについて, 私たちの研究を紹介しつつ, 過去の研究の問題点について議論する.
著者
矢野 勝正
出版者
京都大学防災研究所
雑誌
京都大学防災研究所年報 = Disaster Prevention Research Institute Annuals (ISSN:0386412X)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.3-9, 1965-03-01

本年は6月に新潟地震, 7月に北陸山陰水害, 9月に台風20号災害などが発生した。北陸山陰水害は7月7, 8日に北陸4県(新潟・富山・石川・福井県)に発生し, 公共土木施設のみの被害額として, 新潟県60.0億円, 富山県10・0億円・石川県14・0億円・福井県20。0億円合計104.0億円にのぼっている。また7月18, 19日にかけて島根県に集中豪雨が来襲して公共土木施設の被害額は60.0億円におよんだ。いずれも連続雨量にして200~300mm程度のもので, 特に激甚災害という程のものではなかったが, 改修工事のおくれている中小河川にかなりの被害がおきていることが注目すべき大きな特徴であった。すなわち新潟県の信濃川水系の刈谷田川, 五十嵐川・破間川, 石川県の津幡川, 島根県の斐伊川水系の赤川などの中小河川が被災している。島根県では松江市の西部地区(赤川水系)に各所に山崩れを発生し100人におよぶ人命を一瞬にしてうしなっているのもこの災害についての注目すべき問題の一つである。以下今次水害の気象概況, 出水ならびに被害状況などについての概略を説明し, ついで学術上の興味ある研究課題を考察し, 今後の防災対策上の研究資料を提供しようとするものである。著者は石川, 福井, 島根の3県の被災河川現場を視察する機会をえたが, 再三にわたって出水破堤した新潟県の刈谷田川は見ていないが全般的に共通して問題となることは, 先にも述べたように, 中小河川が被災してしかもいずれもが水系全体としての治水計画との関連において今後の処置について十分検討する必要があることを痛感した。このことについては後に個々の問題について, 斐伊川の改修計画, 河北潟の干拓計画, 九頭竜川の治水計画などと関連して説明していきたいと思うThe concentrated heavy rain fall attacked to San-in district on 7-8 th, July, 1964 andalso to Hokuriku district on 18-19 th, July, 1964 succesively. As the banks of many riverswere destroyed and inundated to the farms and towns, so the transportat on and communicationplants were stopped in these districts. Especially in Shimane prefecture, one hundred humanlives were unexpectedly lost. The total amount of rain fall were recorded to 20O~~300 mmand the total damages of the public work structures were counted about 20.0 billion yen.In this paper, the author discussed mainly about the necessity of the comprehensiveprogram of the river planning and management, taking the examples as the case of R. Hii, R. Kuzuryii and Kahoku-Gata.
著者
土石流研究グループ 奥西 一夫 横山 康二 諏訪 浩 矢野 勝正 大同 淳之 奥村 武信 中島 暢太郎 枝川 尚資
出版者
京都大学防災研究所
雑誌
京都大学防災研究所年報 (ISSN:0386412X)
巻号頁・発行日
no.14, pp.691-705, 1971-09
被引用文献数
1

A new observation system for rocky mudflow was designed by the Mudflow Research Group.The system consists of a detector on mudliow arrival and automatic switch circuit for VTR, 35mmcamera and firing of flare tube in order to record the state of moving mudflow. In addition to thissystem, rain gauges and water level recorder are necessary for the survey of hydrological characterin a small mountaineous basin. During last summer in 1970, the observation system and hydrolo-gical survey instruments had been set along Kamikamihori valley at eastern slope of Mt. Yake andtested in regard to the practical effectiveness. The front velocity (1-5 m/see) of mudflow wasmeasured correctly from the record obtained by the new system.
著者
今村 律子 矢野 勝 綿貫 茂喜
出版者
和歌山大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

健康な男子学生28名に研究協力を依頼し、10月〜11月にかけての4週間の間、夜間睡眠時に同一素材の肌着をパジャマとして毎晩着用してもらい、その間の皮脂成分の変化を測定した。皮脂の採取法は、有機溶媒を用いたカップによる抽出法とし、背部肩甲骨上部から皮膚表面皮脂を実験前、実験開始1,2,3,4週間後に採取した。供試肌着は、綿100%(吸湿率7.75%)、ポリエステル100%(同0.63%)および綿・ポリエステル・キュプラ混(同6.46%)のそれぞれ水分率の異なる3種類のものとした。肌着の洗濯は験者が条件を統一しておこなった。皮脂分析は、薄層クロマトグラフ法を用いた。皮脂は、スクワレン(SQ)、トリグリセリド(TG)、ワックスエステル(WE)、遊離脂肪酸、コレステロールエステル、コレステロールおよびセラミドの7種類に展開分離させた。展開後の薄層プレートは、デンシトメータ(島津、CS-9300PC)で読み取り、定量化した。皮脂は、皮脂腺由来成分と表皮由来成分に分けることが出来る。本研究では、皮脂の約9割を占める皮脂腺由来成分であるSQ、TG、WEに注目して解析をおこなった。グループ間のWE、TG、SQを平均値で、また着用前の値からの変化量で分析したところ、WEは、綿肌着着用群において、着用3週間目まで上昇し続け、平均162%となった。TGは、綿着用群は、1週間着用後132%まで上昇し実験終了時まで130%の値を維持した。ポリエステル着用群では、WEは、着用2週目まで一旦上昇したがその後低下し、実験終了時には78%であった。TGは、1週目にピーク値を取り、その後低下して最終的には80%であった。混紡肌着は、両者の中間になった。SQは、3種類の肌着間に一定の変化は認められなかった。
著者
伊藤 驍 山崎 宣悦 矢野 勝俊 佐藤 幸三郎 長谷川 武司
出版者
秋田工業高等専門学校
雑誌
試験研究
巻号頁・発行日
1987

本研は雪害防災対策上、不可欠な降雪・積雪の性状情報を安価で即時的に入手できる高性能な機器を開発し、雪害防除の指針を得るために行われたものである。本研究で行われた主な項目を挙げると1)既存の降雪検知器で沿岸および豪雪山間部で降雪現象の比較観測を行いその性能を調べ、併せて積雪の物理試験を行って地域特性を整理した。2)既存の観測装置はまず高価で精度に問題点がある。本研究ではこの点を検討し、低廉で測定簡易なセンサ赤外線発光ダイオ-ドを素材とする次の4つの方式による装置を作製した。(1)スリット方式(2)複数スリット方式(3)シルエット方式(4)受雪板反射方式これらはそれぞれで特徴をもつがそれを総括すると、従来式の降雪有無の確認に留まらず粒度分布や形状も認識し吹雪の降雪片も捕捉できるように開発した。その性能は従来の機器より優れ安く作製できる見通しを得た。3)上とは別に、情報工学的方法としてビデオカメラ、イメ-ジプロセッサ及び演算処理高速コンピュ-タ-を使って降雪片の性状を分析できるシステムを確立した。4)降積雪の観測から雪害発生の予測に関する指標を提案した。以上の詳細は研究成果報告書して一冊にまとめ印刷製本し、関連研究機関に郵送配布した。