著者
小川 登紀子
出版者
大阪市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

疲労ストレスを受けたラットの下垂体では、ホルモン分泌細胞の機能に異常を生じることを見いだした。中間葉のメラノトロフには、視床下部からの持続的な刺激により引き起こされたストレスに起因した細胞死が起こることを、前葉のソマトトロフは、増殖刺激に対する反応性が失われることを報告した。また、これらの機能異常の分子メカニズムについて研究を行い、関連する分子を明らかにした。
著者
中生 勝美
出版者
大阪市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

本研究は、GHQの下部組織であるcivil Information and Education section (CIE)に所属していた人類学者の分析から、戦後のアメリカの極東政策と人類学の利用について、公文書と聞き取りから研究を進めた。当時GHQが収集した資料はアメリカの公文書館に所蔵されている。特に、1990年代に日本への戦時賠償請求が時効にかからないという法令が採択された影響で、2000年以降、新たな資料が公開されている。本研究では、CIEの資料を中心に調査をしたが、かつてCIEに勤務していた日系人研究者へのインタビューより、アメリカの人類学が日系人強制キャンプでの調査から始まり、戦時情報局、CIAの前身のOSSと関係を持ち、それがGHQの調査に継承されていくプロセスを明らかにできた。CIEの調査部長であったH. Passinは、1946年8月に目本民族学協会主催の講演会で「現代アメリカ人類学の諸傾向」を講演しており、その後、当該学会はCIEからの依頼で『日本社会民俗辞典』の編纂に着手して、GHQの人類学を利用して日本社会の深い理解を目指したことが判明した。さらに、CIEは、農地改革などの改革政策について、日本各地に調査拠点を選定し、その調査に日本人の人類学者、民俗学者、社会学者を嘱託で採用して実態調査をさせている。この調査方法が起点となって、アメリカにおける日本研究の基礎となり、また日本におけるアメリカの方法論に基づく調査研究が発展している。しかし、アメリカの学界では、GHQ時代の日本研究について、全く知られていない。本研究は、GHQの人類学者たちの活動を、オラル・ヒストリーと公文書により、戦前から戦後にかけてのアメリカの人類学者の活動を明らかにし、戦後の日本の人類学・民族学・民俗学との関係を解き明かすことに一定の成果を挙げた。
著者
中富 康仁
出版者
大阪市立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

CFS患者9名と健常者10名の脳を11C-(R)-PK11195を用いてPET検査で比較した。11C-(R)-PK11195はグリア細胞におけるTSPOと結合し炎症が起きた場所を可視化することができる。患者の脳内では主に、視床、中脳、橋、海馬、扁桃体や帯状回という部位での炎症が増加しており、炎症が強い患者ほど強い疲労感を訴えることが分かった。さらに、炎症が起きた部位とCFS/MEの各症状には相関があり、視床、中脳、扁桃体での炎症が強い場合は認知機能の障害が強く、帯状回や視床の炎症が強いほど痛みの症状が、また海馬での炎症が強いほど抑うつの症状が強いことが明らかとなった。
著者
村上 晴美
出版者
大阪市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

研究の全体構想は「Web上の人物を選択するためのインタフェースの開発」であり、「Web上の人物を要約する手法の開発」を目的とする。具体的には、人物の「要約」手法(キーワード、件名、概要、概要文)とインタフェース(表と概要文)を開発する。また、人物選択のためにどの情報・インタフェースがどのように有用か明らかにする。 本研究における要約とは人物を選択・理解するために有用な情報の抽出、生成、あるいは付与である。平成29(2017)年度の主な成果は(1) Wikipediaの第一文風の概要文の作成と、(2) Wikipediaの導入文の調査と、(3) NDLSHの付与である。(1) Wikipediaの第一文風の概要文の作成では、平成28(2016)年度の成果の中から主要部分を抽出し、国際会議で発表した。(2) Wikipediaの第一文風の概要文の作成手法の妥当性を明らかにするために、Wikipediaの人物ページの導入文の調査を行った。本研究で抽出する属性情報(よみ、生年月日、没年月日、出身地、職業、所属、役職)が概ね妥当であること、職業の出現頻度が高いことを確認した。(3) NDLSHの付与では、Web上の人物検索結果(HTMLファイル群)に国立国会図書館の件名標目表であるNDLSHを自動付与する手法を検討した。検索ランキング、文書内の位置、同義語、文書頻度の4種類を組み合わせた405パターンについて比較実験を行った。上位10件、人名の前後100文字、同義語を利用、文書頻度で重み付けする方法の結果が良かった。成果を国内学会と国際会議で発表した。
著者
原口 強 下田 一太 杉山 洋 登坂 博行 内田 悦生 山本 信夫 中川 武
出版者
大阪市立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究は密林に覆われた古代都市アンコール帝国の実像解明を目的としている.2012年に取得されたLiDAR地形データから作成した高分解能赤色立体図は密林下の地形と遺構を鮮明に描き出し,王都アンコール・トム周辺地域を含む往時の都市構造を解読することが可能となった.LiDAR地形データをベースに王都内の現況水路網の配水・排水検証と降雨に対する挙動を数値計算した結果、自然勾配を生かした水路網と溜池群などの水利都市構造が,雨季と乾季に二分されるこの地域の気象環境条件を克服し,多数の人口を維持するために機能していたことが推定された.
著者
稲井 誠
出版者
大阪市立大学
雑誌
經濟學雜誌 (ISSN:04516281)
巻号頁・発行日
vol.102, no.1, pp.149-166, 2001-06