著者
糸山 浩 大田 武志 吉岡 礼治
出版者
大阪市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

2010年度の本課題研究者達の独創的研究を継続し、2d-4d connection(AGT対応)関係でさらに成果をあげた。特にq冪根の場合のparafermion blockの出現に関する考察は著しい。丸と協力して、D termによる超対称性の力学的破れのメカニズムをHartree-Fock近似に基づき確立した。その他に、弦理論における超対称性の破れ、Colored HOMFLY polynomialで成果を挙げた。
著者
清水 理佳
出版者
大阪市立大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2010

研究の主題であるひずみ度を用いて,新しい多項式ひずみ多項式を定義しその性質を調べる等,独創的な研究を進めた.また受入研究者である河内明夫教授との共同研究によりひずみ交差多項式を定義して,結び目射影図の研究にもつなげることができ,大変有意義な結果を得ることができた.今年度は当初の計画通り,結び目の射影図についても深く考察し,結び目射影図における局所変形に関する結果も発表した.さらに,結び目図式の領域交差交換に関する研究代表者の結果を応用して,河内明夫教授,岸本健吾氏と研究代表者の共同発明でゲームを発明し特許出願した.研究代表者はアルゴリズム作成,およびコンピュータを用いた実際のゲーム作成等の役割を務めた.平成23年12月にはこのゲームがAndroidスマートフォン用のアプリとなり,世界同時公開され国内外から注目を集めた.日本数学会およびアメリカ数学会の学会を初め,国内外の研究集会や学会での発表も精力的に行った.平成23年度の講演回数は19回(内2回はポスター発表)であり,本予算を出張旅費に多く費やしたがどれも大変有意義な出張であった.出張先での議論や研究打ち合わせにより新しい研究テーマおよび新しい結果を得ることができた.
著者
金田 直子 春木 敏 子安 愛 大畑 千弦 鍛冶 晃子 太田 愛美 髙塚 安紀穂 西岡 愛梨 永樂 芳 平田 庸子
出版者
大阪市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

早期食健康教育に向け,4・5歳児と保護者を対象とする食育プログラムを幼稚園教諭らと協同開発し,2度のプログラム実践を踏まえ有用性・汎用性を確認し,食育支援キット(食育案・教材・参考資料)を作成した.食育支援キット普及に向け,幼稚園教諭・保育士らを対象に食育研修を実施しO市内幼稚園・保育所園420施設(70%)に配布した.園・家庭・地域を結ぶ幼児食育に向け,養育者を対象とするメタボリックシンドローム予防を視野に入れた家族ぐるみの食育講座を併せて実施・評価をしたところ,日々の食生活改善につながることが確認された.家族ぐるみの幼児食育推進は,少子高齢化の進むわが国における食・健康づくりの一法となる.
著者
石川 隆紀 前田 均 道上 知美 富田 正文
出版者
大阪市立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究では,覚醒剤・向精神薬乱用者の中枢神経系および内分泌系組織について,アルツハイマー病やクロイツフェルトヤコブ病などの神経変性疾患で増加することが知られているアポリポプロテインE4,アポリポプロテインBおよびアポリポプロテインJの発現動態を免疫組織化学的手法および分子生物学的手法(mRNA発現)を用いて解析した.その結果,部位による発現の相違はあるものの,火災,熱中症および凍死などの異常温度環境下においてアポリポプロテインの発現に加え,薬物乱用者におけるアポリポプロテインの発現が明らかとなった.
著者
中屋 晴恵(益田晴恵) 三田村 宗樹 奥平 敬元 篠田 圭司 西川 禎一 隅田 祥光
出版者
大阪市立大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009

アジア諸国で拡大しつつあるヒ素汚染地下水の形成機構を研究した。バングラデシュの調査では,ヒ素を含む緑泥石が完新世の帯水層上部で化学的風化作用により溶解してヒ素を地下水中に溶出させていることを明らかにした。パキスタンやベトナムの調査でも整合的な結果が得られた。ヒ素を含む酸水酸化鉄が還元により分解されるとした定説を翻し,この観察事実はヒ素汚染地下水形成の最初期の過程として一般化できる。
著者
飯吉 弘子 渡邊 席子 西垣 順子
出版者
大阪市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010-04-01

学生の「思考力(自分で考える力)」とその育成に焦点を当て、(A)「育成対象(思考力自体と学生の発達意識)」と(B)「育成主体(大学教員とその教育実践)」両面の文献調査・言説分析・質問紙調査の量的質的分析・ナラティヴ調査・実践事例研究等の各種調査分析を通して、「大学教育が担うべき思考力育成とその教育実践と教育の評価のあり方」の総合的研究を行い、批判的に思考する「態度」育成の重要性やその教育実践事例分類、学生の発達意識や教員の意識における思考力育成の可能性や重要性の認識分析、カリキュラムと教育の評価のあり方分析等を行い、批判的に思考する能力や態度の育成のあり方の方向性と可能性を考察した。
著者
木山 博資 小西 博之 中込 咲綾
出版者
大阪市立大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

神経再生を促進する分子群の発現を統合的に制御している中核的転写機構が存在すると予想されていた。今までの成果から、転写因子のATF3,cJun,STAT3の関与がとりわけ重要であることが分かっていた。本研究では、神経損傷特異的に発現する遺伝子DINEのプロモーターを用いて、これらの転写因子が別の転写因子であるSp1に結合し、Sp1を介してDNAに結合していることを明らかにした。この新たな転写因子複合体は、一部の他の神経再関連分子の転写も同様に制御することから、神経再生を起動する新たな再生コア因子複合体であることが明らかになった。
著者
田中 幹大
出版者
大阪市立大学
雑誌
經營研究 (ISSN:04515986)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.43-78, 2009-02

This paper examines the production network of the small- and medium-sized enterprises (SMEs) and the relationship between wholesalers and SMEs with respect of Osaka's bicycle industry during the postwar reconstruction period. The production of bicycles increased rapidly against the background of enormous demand for consumer goods in the postwar period. The bicycle industry in Japan was characterized by a production system called the "assembly system," and many SMEs from the machine metal industry were engaged in bicycle production. Thus, the production network of SMEs and wholesalers played an important role in the revival of SMEs in Japan.
著者
奥野 久美子
出版者
大阪市立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

菊池寛の作品「岩見重太郎」および「入れ札」を中心に、大正期文学と博文館長篇講談とのかかわりを明らかにした。「岩見重太郎」においては博文館長篇講談が典拠であることを明らかにした。また「入れ札」でも同叢書が利用されていた可能性、および同叢書が川村花菱など大正期の他作家にも利用されていたことを証した。具体的成果は学会での口頭発表 2 件、論文 2 本である。
著者
仁木 宏 玉城 玲子 原 秀樹 長宗 繁一 福島 克彦
出版者
大阪市立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

大藪村にかかわる中世史料、近世史料の収集、目録化、分析をおこなった。地形図、絵図、地籍図、航空写真等の資料を収集し、トレース、デジタル化し、また分析を加えた。大藪村のみならず、広く乙訓地区の発掘調査の成果をまとめ、遺物・遺跡について整理するとともに、目録化した。現地踏査においては、水利・民俗慣行などについて、聞き取りを実施し、また墓塔などの石造物調査も進めた。その結果、自然地理的環境条件、中世集落遺跡の立地、近世の水争いや桂川渡船の実態などについて明らかにすることができた。さらに、山城国以外の諸地域について、古文書調査や踏査を通じて、中世集落・地域社会の実態を解明し、比較検討する方法を編み出した。これらの情報を研究代表者・研究分担者間で共有するため、月1〜2回のペースで会合を開いた。平成14年5月19日、第13回平安京・京都研究集会「京郊中世村落の歴史的環境-西岡大藪村を中心に-」(日本史研究会と共催)を開催し、40名程度の研究者に対して、調査研究の中間報告をおこなった。また同10月27日、現地講座「大藪のあゆみ」を現地で開催し、地元の方々45名に対して調査成果の還元をはかった。
著者
藤本 繁夫 吉川 貴仁
出版者
大阪市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

肥満者における最終糖化産物(AGEs)の血液中での形成・集積状態と種々の運動・食事介入を行ったさいの同成分の変化を若年から中高年の幅広い年代で観察した。主として血清CML濃度は一日歩数の増加や体脂肪量の減量に伴い減少した。肥満者における生活指導は生体内AGE成分を減少させ、動脈硬化性疾患を予防できる有効なプログラムとなり得る可能性を示唆した。
著者
塩野 清治 升本 眞二 八尾 昭
出版者
大阪市立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1996

本研究の目的は,地下構造を探求する地質学的原理の定式化を通じて,地質調査データにもとづいて3次元地質構造を推定する計算機処理システムを具体化することである。地質学の原理に関する理論面での研究では,地層の分布域,地層・化石・地質年代の関係,地層の対比・区分など地質学の基礎概念が集合,関数,関係,同値関係,順序関係,ブール代数など離散数学の初歩的概念で表現できることを示した。また,地質学の基本原理である「地層累重の法則」に対して数学表現を与え,この法則が地層の形成順序や層序区分の基礎であることの理論的根拠を明らかにした。これは地層学的対象の計算機処理の原理を提示するとともに,「地質学の数学的基礎」という従来にない新しい研究分野への展望を与える重要な成果である。また,堆積作用と侵食作用で形成される地質構造に対する数学モデルにもとづいて,地層の分布域と体積面や侵食面に相当する曲面との間に成り立つ論理的関係(論理モデル)を一般表現する方法を導いた。論理モデルとの曲面の具体的形状が与えて地層の分布域が確定するという立場から,地質調査データから地質図を作成する過程を一連の数学的手続きとして形式表現した。これは地質図の計算機処理に対する理論的基礎を与えるものである。計算機処理の面では、露頭での観察データを入力して3次元地質構造を出力するアルゴリズムを研究した。処理システムは空間情報の入力・管理・解析・モデリングの標準基盤として多くの分野で実用されているGIS上で開発した。処理システムの有効性は既存の平面地質図を入力データとして、3次元地質構造を推定することによって検証した。2次元の空間情報を対象としたGIS上で3次元の地質構造を処理できる道を開いたことは3次元GISの発展や地質情報の活用を促進する上で重要な意義を持つ。