著者
掛屋 弘 宮崎 義継 渋谷 和俊 河野 茂
出版者
大阪市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

主に血液疾患に発症するムーコル症の早期診断法開発を目的に原因真菌(Rhizopus oryzae)からシグナルシークエンストラップ法にて得られた未知の候補抗原A(23kDa)を検出するELISAキットの測定条件の最適化後、動物実験モデル感染血清中の抗原Aを測定した。その結果、非感染マウスに比較して感染マウス血清中には抗原Aの抗原価が高い傾向が認められた。
著者
小林 標
出版者
大阪市立大学
雑誌
人文研究 (ISSN:04913329)
巻号頁・発行日
vol.54, no.7, pp.1-30, 2002-03
著者
幸田 正典
出版者
大阪市立大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2017-06-30

共同繁殖魚プルチャーは、個体変異のある顔の模様でお互いに個体識別をしている。本課題研究では本種を対象に顔認識について、さらにいくつかの研究を進めることができた。まず、本種が複数の個体を個別に識別することができるのかどうかを検証し、「True Individual Recognition (TIR)」ができることが実証できた。TIRはヒトの他多くの霊長類や社会性ほ乳類で確認されている能力で、複雑な社会関係を維持して行く上で不可欠な能力といえる。しかしこれまで魚類での報告はなかった。我々は縄張りの「紳士協定」と呼ばれる現象を利用し、これを解明した。紳士協定はほとんどの動物で知られており、本成果はほとんどの動物でもTIRができることを示唆しているし、実際にそうだと我々は考えている。また、プルチャーの顔認知で「顔の倒立効果」が起こることがほぼ検証できた。顔の倒立効果はヒトで最初に発見され、その後霊長類現在では多くの社会性ほ乳類でも確認されている。これは、顔の認知に特化した顔神経の存在を意味しており、今回の発見は、魚類でも顔神経が存在することが示唆された。ほ乳類では顔認神経の存在が確認されており、今回の発見は魚類での顔神経の研究を促すものと言える。また同時に、顔の個体特異的な模様でTIRをしているなら、まず相手個体の顔を見るだろうとの仮説を考えそれを検証した。相手個体の顔や特に目を見ることは、ヒトや霊長類で確認されている。我々は独自に計測装置を考案し、それを用いて実験を行った。その結果、本種もまず同種他種個体の顔を見ることが検証できた。このような魚類の顔認知が一般的かどうかも検討課題である。これまでスズキ目魚類を対象に顔認識を検証してきたが、今回は、コイ目のゼブラフィッシュ、ダツ目のメダカ、カラシン目のグッピーを対象に顔認識に基づく個体認識が、ほぼ明らかにすることができた。
著者
山口 久和
出版者
大阪市立大学
雑誌
人文研究 (ISSN:04913329)
巻号頁・発行日
vol.46, no.9, pp.511-535, 1994
著者
除本 理史 関 耕平 窪田 亜矢
出版者
大阪市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

申請時の計画に従って、①東日本大震災以外の災害での復興基金制度の柔軟な活用事例、制度設計の研究、②福島原発被災地での現行の復興基金の運用実態の解明、③現行の復興政策ではこぼれ落ちる住民のニーズに関するきめ細かな把握、について、それぞれ担当の責任者を中心に研究を進めてきた。①については、研究代表者が客員研究員を務める関西学院大学災害復興制度研究所と連携して研究を進めた。2017年12月には阪神淡路大震災の際に実務経験をもつ研究者などを招き、合同研究会を開催した。②については、日本環境会議(JEC)震災検討委員会行財政部会と連携して研究を進めた。2017年8月には、被災3県の現地調査、また同年11月にも福島調査を実施した(自治体の財政部局ヒアリング、現地視察など)。また、行財政資料の収集・分析を進めつつ、継続的に研究会を開催している。③については、南相馬市小高区を中心として、帰還住民の実情の把握を継続している。研究代表者を中心となり、対面での研究会だけでなく、インターネット会議システムなども用いて、適宜研究組織内の情報共有とディスカッションを進めるよう、努めてきた。以上を通じて、ハード事業中心の復興行財政の実態がより具体的に把握できるようになりつつある。また復興基金も含め、復興財政の柔軟な運用がやはり重要な課題であることもあらためて確認された。さらに、2017年度には帰還困難区域において、将来的に避難指示を解除し、居住を可能とする「特定復興再生拠点区域」の設定が進んだ。こうした区域を含め、今後の研究において目配りしていくことが重要であると認識している。
著者
水内 俊雄 吉原 直樹 高木 彰彦 山野 正彦 野澤 秀樹 竹内 啓一 久武 哲也 水岡 不二雄
出版者
大阪市立大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1995

本研究グループのテーマは次の3つに設定されていた。(1)地理思想、(2)地政学、(3)最近の地理学の理論的動向のキャッチアップであり、こうした成果を直ちに公刊するという課題を掲げていた。この、成果の公刊という点では、3年間の研究助成を通じ、『空間・社会・地理思想』を1号から3号まで刊行し、論説3本、フォーラム5本、翻訳22本を掲載したことを指摘しておきたい。本雑誌が人文地理学会に与えた影響は大きく、良書、良論文の翻訳が根づかないといわれた中で、欧米の地理学会を代表するハ-ヴェイ、ソジャ、グレゴリーを始め、多くの地理学者の近年の成果を翻訳し、他の諸学問において空間論へのまなざしが強くなっている中、地理学での理論的議論を深める基礎を提供したと考えている。特に、2号ではハ-ヴェイ特集、3号ではジェンダー地理学特集を組んだ。こうした翻訳のみならず、政治地理学と唯物論の関係、批判的地理学とは、社会問題に対する地理学の貢献、フ-コ-の空間論の地理学への影響、地政学研究の課題といった理論的研究動向が整理された。日本の地理思想での貢献として、福沢諭吉の地理的研究の書誌学的系譜が明らかにされ、日本の経済地理学の思想的動向と批判的地理学との関係も学史的に明らかにされた。海外に関してもIGUの地理思想史研究委員会の活動も学史的に明らかにされた。こうした本研究グループの活動を通じて、研究分担者によって『ドイツ景観論の生成』、『空間から場所へ』という2つの著書が公刊されたことも、その貢献として強調しておきたい。