著者
石橋 勇人 松浦 敏雄 安倍 広多 郭 仕祥
出版者
大阪市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究は,3G/LTE/WiMAXのような遠距離向けの通信方式と,Wi-FiやBluetoothのような近距離向けの通信方式の両方が使用可能な携帯端末(スマートフォンなど)を対象とし,近隣に存在する携帯端末間で自律的に協調動作を行うことによって,通信回線やバッテリなどの携帯端末のリソースを全体として効率的に利用可能とする方式を提案している.
著者
小嵜 正敏
出版者
大阪市立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2002

単一分子を用いた機能性材料作成を目標として、円錐型分子を効果的に合成する新しいConvergent法の開発を行った。その結果、非常に効率的かつ広範な分子の合成に応用可能なConvergent法を新しく完成した。開発した合成方法はFrechetらによって開発されたConvergent法と鈴木カップリング反応、ヨウ素化反応、薗頭カップリング反応を繰り返し用いる新規のConvergent法により構成されている。この方法では最初にFrechetらのConvergent法により種々の世代のポリベンジルエーテル型デンドロンを側鎖として合成する。次に側鎖の末端にホウ酸基を導入する。このポリベンジルエーテル型側鎖を鈴木カップリング反応により、共役鎖に導入する。さらに、ヨウ素化、薗頭カップリング反応を行うことにより共役鎖を延長する。この3つの反応を繰り返し用いることで円錐型分子を高収率で合成することに成功した。このとき導入する側鎖の世代は順次大きなものを使用した。合成したデンドロンの精製には、当初の予想どおりGPCが非常に有効であることがわかった。特に、サイズの大きなデゾドリマーの分離に有効であった。さらに円錐型分子末端へのチオール基導入に関しても検討を行った。その中で共役系末端アセチレンをTBDMS (tert-butyldimethylsilyl)基でポリベンジルエーテル型デンドロン末端をTBDPS (tert-butyldiphenylsilyl)基で保護することによりチオールの導入が可能であることを明らかにした。
著者
村田 惠三 吉野 治一
出版者
大阪市立大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2003

本研究では数GPa-10 GPa級の圧力域に重点を置き、磁場と組み合わせて有機物における物性開拓と統一理解を研究目標とした。紙面の都合で4つの成果に限る。1)κ-(Me-DH-TTP)_2AsF_6縮小□電子系で電子相関を増大させ金属-絶縁体転移における量子臨界点の議論を行った。κ型は結晶構造から2量体化していると思われるが、2量体エネルギーが他のκ型に比べて1/10で電荷移動も3/4充填の系と思われることから、絶縁相は電荷秩序と思われ、現在(2009年)でも未解決の興味深い問題点を残した。2)(TTM-TTP)I_3は1次元1/2充填Mott-Hubbard系であり、圧力による金属化を試みた。Mott絶縁体における鎖間相互作用の重要さの問題として、理論家の興味を引いた。3)杉本塩、pi-d相互作用に基づく新物性が期待できる擬二次元伝導体beta″-(EDO-TTFVO)_2 FeCl_4において、T<3K, H>8Tで磁場誘起相転移を発見し、H>17Tではシュブニコフ-ドハース振動の観測に成功した。□-d系有機伝導体(EDT-DSDTFVSDS)_2FeBr_4のスピンフロップに伴う磁気抵抗の巨大異常とGaBr_4塩の物性との比較による□-d相互作用を詳細に調べることができた。4)TTF-TCNQとTSeF-TCNQの温度圧力相図の作成と物性測定を行った。TTF-TCNQの電荷密度波の研究では30年前の3GPaまでの測定を再現した。今回、8GPaまでの研究をすすめ、電荷移動に伴うCDWが圧力とともに不整合=>整合=>不整合と変遷して低温までの金属化していく様子が明瞭に示された。さらに、類型のTSeF-TCNQについての研究を進め、TTF-TCNQより低い圧力で、金属化に成功した。電気抵抗の温度の冪の圧力変化から揺らぎ伝導の特異な性質が明らかになった。
著者
枡田 幹也 CHOI Suyoung
出版者
大阪市立大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

トーリック多様体の微分同相による分類問題,特に,2つのトーリック多様体が同型なコホモロジー環をもてば微分同相かと問う問題(コホモロジー剛性問題)に取り組んだ.トーリック多様体の代数多様体(または複素多様体)としての分類は対応する扇の分類に帰着されるが,微分同相類または単に同相類における分類の研究は進んでいない.これまでコホモロジー剛性問題の反例は見つかっておらず,部分的な肯定的結果が得られているが,受け入れ研究者の枡田と,ある種の条件をみたすボット多様体に対しては,コホモロジー剛性問題が肯定的であることを示した.また,剛性問題が肯定的だとすると,コホモロジー環が同型であるトーリック多様体の特性類はコホモロジー同型写像で移りあう.ボット多様体に対してコホモロジー剛性は未解決であるが,この特性類の不変性は示すことができたのは大きな成果であった.トーリック多様体は複素代数多様体であるが,その実数版と言えるものとして実トーリック多様体がある.トーリック多様体は単連結であるが,実トーリック多様体は非単連結で,aspherical多様体である場合が多い.本研究では,実ボット多様体の分類を行った.この研究は受け入れ研究者の枡田が行っていたものだが,その研究がacyclic digraphという有向グラフと関係があることを見出し,幾何とグラフ理論の新たな関係を発見した.特に,実ポット多様体の微分同相による分類が,acyclic digraphの集合を3つの操作で移りあうものの同値類であることを示した.この3つの操作の内,一つはlocal complementationと呼ばれて既にグラフ理論で研究されていたものと一致したのは,驚きであった.
著者
前島 渉
出版者
大阪市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

本研究で対象とした地層はインド、オリッサ州およびジャールカンド州の石炭-ペルム系タルチール累層、オリッサ州の白亜系アトガー累層、西南日本の新第三紀山陰-北陸区に属する糸生累層および国見累層である。このうちオリッサ州のタルチール累層、アトガー累層および国見累層で重要な成果を得た。タルチール累層の研究では、石炭紀末からペルム紀にかけてのゴンドワナ氷床の衰退と消滅の初期段階において急斜面性ファンデルタが形成され、その過程で氷河の崩壊や山間の氷河湖の決壊が頻繁におこり、高流速かつ浅水深の大規模なシート洪水流が頻発して、射流領域での堆積作用がおこったことが明らかとなった。このようなシート洪水流堆積物には反砂堆起源の中〜大規模な斜交層理がよく保存されている。アトガー累層については、上部扇状地堆積物中に認められる側方への連続性のよい塊状砂岩や弱く成層した礫まじり砂岩がシート洪水流堆積物であると考えられ、礫まじり砂岩の成層構造がシート洪水流内で常流と射流の両領域が繰り返すことによって形成されていったことを明らかにした。国見累層では、扇状地堆積物中の特に下部扇状地起源と考えられる地層に、反砂堆起源の斜交層理をともなう射流領域のシート洪水流堆積物がよく発達しており、河川流の作用よりはむしろシート洪水の作用の方が卓越したため射流領域の堆積物の地層への保存ポテンチャルが高くなったと考えられる。これは扇状地面の傾斜が交差点近傍で急変し、傾斜が一気に低下することによって河川流の運搬能が急速に衰えて粗粒砕屑物の堆積が一気に起こり、そのため河川チャネルが激しく分岐して浅化してついにはチャネルの形態をも失ってしまったためとみなされる。そのため洪水時には下部扇状地を広くおおうような高流速・浅水深の射流領域のシート洪水がひんぱんに発生したと考えられる。
著者
早瀬 晋三 加藤 剛 吉川 利治 桃木 至朗 弘末 雅士 深見 純生 渡辺 佳成
出版者
大阪市立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999

本研究では、つぎの3つの柱を中心に活動を進めた:1.日本における東南アジア史教育の現状と課題の把握、2.他分野・他地域との関連、3.外国史と自国史。それぞれ1年間の活動を目処におこない、3年目は平行して研究成果のとりまとめをおこなった。第1年度の「日本における東南アジア史教育の現状と課題の把握」では、長年東南アジア史研究・教育に従事してきた先達に、その経験から現状と課題を指摘してもらうと同時に、学生時代に戻って卒論・修論を書くなら、どのようなテーマを選び、どのような準備をするかなど、現在の学生の身になった具体的な論文構想を語ってもらった。また、近年各大学で取り上げられた東南アジア関係の卒論・修論のテーマを収集し、その傾向と問題点を探った。第2年度は、周辺領域分野・地域との関連で東南アジア史研究を考えた。東南アジア史研究に有効な関連分野の理論・手法を学ぶとともに、関連分野に東南アジア史研究で培った理論・手法がどのように活かせるかを考察した。関連分野の研究者との意見交換により、東南アジア史研究の幅を広げ、奥行きを深めることを目標とした。第3年度は、「自国史」と「外国史」の問題を考察した。具体的には、東南アジア各国の高校・大学で「自国史」として使用されている教科書やカリキュラムを検討した。また、各国を代表する歴史学研究者と意見交換した。以上、3年間の成果をふまえて、テキストづくりの作業が進んでいる。すでに、叩き台となるべき「フィリピン」の草稿ができている。また、この研究活動を通じて、テキストのほか、史料の目録・索引、史料の復刻、翻訳、モノグラフの刊行も必要であると感じた。その準備も着々と進められている。まずは、この研究の原成果ともいうべき、報告・報告要旨28篇をまとめて発行する。
著者
大隈 智尚 濱本 晋一 影山 健 山本 晃 松岡 利幸
出版者
大阪市立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

家兎VX2肺腫瘍に対し経皮的ラジオ波凝固と免疫賦活因子のGM-CSF(granulocyte-macrophage colony-stimulating factor)の局所注入併用による生存と遠隔転移耳腫瘍モデルへの効果を検討した。
著者
濱 裕光 鳥生 隆
出版者
大阪市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究では、夜間における歩行者を巻き込んだ重大事故の防止と運転支援を最終目的として、可視光を用いたナイトビジョンの実用化に向けて必要な要素技術の開発を目指す。主な課題はロバストな歩行者検知であり、そのためには消失線の利用が非常に効果的なことが分かっている。従来は、消失線は画像処理により求めていたが、ここでは傾斜計から得られる傾斜角を用いて高速・高精度に求め、マルチスリット法により歩行者検知を行う手法を開発する。
著者
森本 善樹 土江 松美
出版者
大阪市立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

生物の二次代謝産物である生物活性天然有機化合物トリテルペンポリエーテルとアルカロイドの分子科学的研究を進展させるために、それらの化学合成研究を行った。その結果、オマエザキアノールの不斉全合成による全立体構造の決定、イソデヒドロチルシフェロールの化学合成法の開発、テウリレンとエケベリンD4の仮想生合成様オキサ環化反応の化学的再現に成功した。またハウアミンBのインデノテトラヒドロピリジン骨格の効率的合成を達成した。
著者
永井 史男 秋月 謙吾 持田 信樹 岡本 正明 西村 謙一 籠谷 和弘 小林 盾 菊地 端夫 砂原 庸介 安部 鶴代(船津鶴代)
出版者
大阪市立大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009

タイ、フィリピン、インドネシアの 3 カ国で、地方自治体の政策の優先順位、予算配分等がどのように決まるのか、質問票を使って社会調査を実施した。抽出した基礎自治体数は、フィリピン 300 カ所、インドネシア 112 か所、タイ 1500 カ所で、回収率はそれぞれ 100%、93%、25%であった。平成 25 年 1 月初めにはこれらの調査結果をもとに、明治大学駿河台キャンパスで国際シンポジウムを開催し、英文報告集を取りまとめた
著者
宮田 真人
出版者
大阪市立大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009

ヒト肺炎の原因菌などとして知られるマイコプラズマは菌体の片側に"滑走装置"を形成し、固形物表面を滑るように動く、 "滑走運動"を行う。これまでの研究代表者らの研究によりこの運動のメカニズムのアウトラインが最速種、Mycoplasma mobile(マイコプラズマ・モービレ、以下モービレと略)について明らかになっていた。本研究では、これまでよりさらに踏み込んだ実験を行い、メカニズムの本質に迫った。また、最速種で得られた知識や技術をヒト肺炎病原菌である、Mycoplasmapneumoniae(マイコプラズマ・ニューモニエ、以下ニューモニエと略)に応用した。
著者
田中 克明
出版者
大阪市立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

全身麻酔下にラットの側坐核にマイクロダイアライシス用ガイドカニューレを留置し、反対側の側坐核に貼り合わせ脳波電極を留置して覚醒させた。意識下動物において経時的に同部位の脳内局所麻酔薬濃度を定量し、なおかつ局在的な脳波を記録するモデルを確立した。ヒトにおいては、局所麻酔薬を硬膜外カテーテルより持続投与し、静脈内投与された麻薬性鎮痛薬が脳波(Bispectral Index : BIS)に与える影響を検討した。局所麻酔薬投与1時間後には安定した脳波が得られ、局所麻酔薬と麻薬の効果部位濃度が定常状態に達したことを反映する知見が得られた。
著者
酒井 英樹
出版者
大阪市立大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2010

照明光源に含まれるわずかな紫外線で励起され,停電後にりん光を発する蓄光材を使った蓄光式誘導標識の発光輝度を向上させる方法を検討した。その結果,視認性確保のために設置されている夜間照明からの漏れ光などによって,弱いながらも常に(停電直前まで)励起状態を保つことが,夜間停電時の発光輝度を高める方法として有効であり,また,照明に用いる光源としては,色温度の高い蛍光灯が適していることを明らかにした。
著者
広常 真治
出版者
大阪市立大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2010

我々は細胞質ダイニンの制御機構の解明に取り組んできた。細胞質ダイニンは微小管上を双方向に走るがプラス端に向って走るメカニズムは不明であった。我々は滑脳症の原因遺伝子・LIS1が細胞質ダイニンを微小管上に固定し、微小管-LIS-細胞質ダイニンの複合体を形成し、キネシン依存的に運搬することを明らかにした。さらにアスペルギルスにおけるNud遺伝子群のNudCがキネシンのアダプタータンパク質として機能していることを明らかにした。このことからLIS1が変異を起こすと細胞質ダイニンの順行性の運搬が障害され、細胞内における細胞質ダイニンの局在が中心体に偏った分布を示し、細胞の末梢部分で枯渇することが分かった。このことがLIS1の変異に伴う神経細胞の遊走異常、また細胞分裂における紡錘体形成や染色体分配の異常につながることが分かってきた。また、NudCの変異は細胞質ダイニンの順行性の運搬のみならず、他のオルガネラの運搬も障害されることから、NudCはキネシンの一般的なアダプタータンパク質として機能していることが示唆された。さらに、細胞質ダイニンはLIS1により微小管上にアイドリング状態になるが、低分子量G蛋白質のRabファミリーのタンパク質によって活性化されることが示唆された。さらに電子顕微鏡を用いた構造解析から、LIS1は細胞質ダイニンの頭部に結合し、ダイニン分子のスライドを制限することで細胞質ダイニンの微小管上の移動を制限することを証明した。
著者
臼井 キミカ 上西 洋子 辻下 守弘 佐瀬 美恵子 白井 みどり 佐々木 八千代 兼田 美代 津村 智恵子 後藤 由美子 山本 美輪 山本 裕子 川井 太加子 鷹居 樹八子 柴田 幸子 杉山 百代 中村 里江 北沢 啓子 南部 純子 浅田 さゆり 才木 千恵 正田 美紀
出版者
大阪市立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

研究目的は、重度認知症高齢者の基本的な生活支援技術を明らかにして、その研修プログラムを開発し、重度認知症高齢者のQOLの向上を図ることであり、目的達成のために重度認知症高齢者を対象とした2カ月間の小集団回想法、6カ月間の手織りプログラム、5週間の生活支援技術に関する介入、及び国内外の看護職等への面接調査を通じて重度認知症高齢者への日常生活支援技術研修プログラムを作成し、複数回の研修を実施しそのプログラムが有効であることを評価した。
著者
渡邉 俊雄 藤原 靖弘 富永 和作 谷川 徹也 樋口 和秀
出版者
大阪市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

Prostaglandin(PG)の代謝酵素である15-hydroxyprostaglandin dehydrogenase(15-PGDH)の胃癌の病態生理における役割について検討した。進行胃癌71例中35例において15-PGDH蛋白の発現は低下しており、多変量解析では15-PGDHの発現低下は生命予後の不良と関連していた。15-PGDH陰性群では15-PGDH陽性群に比較してKi67陽性率は有意に高値であった。15-PGDH発現をsiRNA法でノックダウンすると胃癌細胞株であるAGS細胞の増殖能は亢進した。以上の結果から15-PGDHは胃癌における独立した予後規定因子であることが判明した。