著者
重松 敬一 日野 圭子
出版者
奈良教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

本年度の計画とそれに対する研究実績は以下の通りである。1.前年度の研究から得られた結果に基づいて,「学習ユニット」の構成と評価の視点を明確にする。=> 学習ユニットの構成では,Plan-Do-SeeのサイクルのPlanの段階において,数学的道具をどう組み込むか,それをどう評価するかを考える。更に,(1)数学的道具の異なる側面(「基礎技能」「表現」「処理」「解釈」「問題解決」「道具づくり」),(2)道具使用の場面(「道具を選んでの計算」「数学的探究や説明の中での道具使用」「日常生活の問題解決における道具使用」「総合的な作業における道具使用」)の2つの軸の中での位置付けを考える。尚,電卓・グラフ電卓の使用を組み込んだ学習ユニットの一部として,「ちらしを使って考えよう」「電卓で遊ぼう」(小学校高学年),「バスケットボールのシュートの正確さを予測しよう」(高校)の授業を考え,実践した。2.視点に基づいて,算数・数学科カリキュラム・指導・評価をつなぐシステムを考案する。=> 学習ユニットの構成と評価の視点を織り込んだ具体事例を幾つか考案するところまでを行った。今後の課題が残された。(1)数学的道具を今回は狭い意味で用いたが,数学的活動との関わりなどから,より広く規定していくことが必要である。(2)数学的道具の取り入れを意識するために,指導案を作る上でのガイドラインを更に検討する必要がある。(3)道具の使用を認めるような評価方法についても,更なる検討が必要である。(4)より広く,「道具を使った数学的探究」という総合的な柱についての検討が必要である。
著者
人見 功
出版者
奈良教育大学
雑誌
奈良教育大学附属自然環境教育センター紀要 (ISSN:1347362X)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.39-54, 2004-03-31

本報では、これまで十年以上調査してきた筆者の通勤路における野生動物の交通事故遺体の出現状況についての結果を示した。そして、ロードキル問題を本校入学試験問題に取り込み、その解答事例を通して、野生動物に対する子どもの関心・態度について、受験生と中学1年生を比較考察した。
著者
高橋 豪仁
出版者
奈良教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

プロ野球のスタジアムの空間が、如何にして統制・管理されているのかを検討した。1980年代に一般化した集合的応援行動は、自発的結社である私設応援団が一般の観客を統制する形で行われ、一般客の逸脱行為を防ぐという側面があった。日本野球機構は警察庁と連携して、2003年に「プロ野球暴力団等排除対策協議会」を立ち上げ、2006年からは私設応援団を許可制とした。球団や球場が黙認していた私設応援団に対して日本野球機構が正式に市民権を与えたというこの一連の動きは、私設応援団が囲い込まれる過程として捉えることができる。2008年にある私設応援団が起こした訴訟「応援妨害予防等請求事件」は、スポーツの市場メカニズムへの抵抗が、スポーツ観戦に基づく人々のネットワークによって形成されたことを示している。
著者
川崎 謙一郎 衛藤 和文 河上 哲
出版者
奈良教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本科学研究費助成により,ネーター局所環AのイデアルIが1次元のイデアルであるならば,余有限加群からなる圏M (A, I) cofはアーベル圏であることを証明することができた.
著者
神保 敏弥 浅井 照明 菊池 徹平 河上 哲 南 春男
出版者
奈良教育大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1995

C^nのコンパクト部分集合KからC^nへの写像f=(f_1,・・・,f_m)によるグラフG={(z,f(z)):z∈K}の多項式凸性については、n=m=1のときの結果が多く見られるので、これらの拡張として、主にn=m>1のときにKを超球や多重円板の場合に取り、研究計画に従い、いくつかの例を構成することができた。これらを総合し、本質的な部分が解明されつつあるので、定理の形としまとめられるよう、現在鋭意検討中である。また、m=1,n>1,Ref,1mfが多重調和の時は、グラフGが多項式凸集合であるとのAlexanderの結果の関数環的な別証明を得たので、さらにこの拡張も考慮中である。超球Bで正則、Bで連続な関数族A(B)の2つの関数f,gによる零集合がBの境界に含まれるならば、A(B)の峯集合であるとの、Stoutの予想は、fに少し条件を付ければ、正しいことを示せた。以上の経過については、関数環研究集会で話した。得られた結果は次のとおりである。作用素環分野では、単純C^*-環の最小指数の乗法性の簡易な証明を与えた。これは、フォンノイマン因子環の最小指数の乗法性の証明としても有効である。後者の乗法性は、煩雑な手続きのもとで、その成立は確認されていたが、C^*-環の指数理論を適用することで、それが初等的に証明できることを示した。K-理論分野では、フレイムド多様体としての射影シムプレクティック群のコボルディズム類の非自明性を調べるため、そのフレイミングを考察する観点からその位相的実K群の環構造を決定した。
著者
松村 佳子 松村 竹子 森本 弘一 岡村 泰斗 岩本 廣美 小柳 和喜雄 鈴木 洋子 松村 佳子 淡野 明彦
出版者
奈良教育大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

本年度は、まとめに当たって不足するデータをとりつつ、成果報告書の作成に取り組んだ。以下に報告書の構成とテーマを示す。第1章 フィールドワークプログラムの開発.1.河川を活かしたフィールドワークプログラムの開発2.フィールドワークプログラムの効果3.海外のフィールドワークプログラムの調査第2章 教員養成カリキュラムの作成1.フィールドワークを導入した教員養成カリキュラムの評価2.国内の高等教育機関における指導者養成カリキュラム3.海外の高等教育機関における指導者養成カリキュラム4.海外の民間団体における指導者養成カリキュラム5.河川をフィールドとする環境科学教育の展開-化学を中心とする環境教育の展開-第3章 河川からの情報を読む1.河川水の水質分析と生活パターンとの関連2.河川の水質とそこにみられる微生物の関係3.境教育教材第4章 河川をフィールドとする活動実践1.小学校における大和川を活用した環境教育の展開状況-奈良県・大阪府の教員対象アンケート調査の結果を通して-2.布留川をテーマとした活動を通して3.社会人研修会への学生の参加第5章 基礎となる研究1.e-Learningを活用した環境教育支援プログラム運営のための予備的調査-e-Learningのための教育モデルの開発-
著者
湯川 聰子 湯川 夏子
出版者
奈良教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

この研究の最終目標は小学校の低・中学年の生活科と総合学習カリキュラムにおいて実施可能な,家庭科的視点からの教育内容を提案することと設定していた.新学習指導要領の実施に向けて,過重な負担感に悩む小学校教員を支援する意味をこめて,この研究は出発したのである.すなわち,低・中学年で無理なくできる調理活動を提示し,教員の指導可能性の予測が立てられるような資料を提供することである.この研究で明らかになったことは次の3項目に要約される.i 小学校教員自身の関心・経験と提案に対する反応の調査.ii 低・中学年児童の食生活に関する関心と,調理技能の現状把握 iii 実施可能な低・中学年向けレシピを提案し,授業化する試み.iは第2章の小学校教員対象の調査によって,現状を明らかにし,意見を知ることができた.iiは第1章の小学生対象の調査によって明快な回答が出たといえる.iiiは第3章,第4章に述べる実践研究によって,部分的にではあるが低学年向けの「お菓子つくり」メニューの提案,「国際理解」のためのレシピ提案という結果を,実験授業の協力を得て答えを,提案としてまとめることができた.ホームページでの公開を考えていたが,年度内にこの計画を実行することはできなかった.継続的な研究展開の中で教育現場との相互の情報交換を行い,実践支援の方向を展開していくことを考えている.
著者
横山 真貴子
出版者
奈良教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

幼児の「ことばの力」と絵本とのかかわりの関連を検討した結果、家庭での絵本体験が豊かな幼児は、保育の場での絵本とのかかわりも多く、発揮される「ことばの力」も概して高かった。一方、家庭での絵本体験があまり豊かでない幼児の場合、両者との関連は見られなかった。また園での絵本体験は、家庭での絵本体験量を増やし、多様に変化させており、家庭の経験を補い、幼児と絵本との出会いを創り出す保育者の役割の大きさが指摘された。
著者
片岡 佐知子
出版者
奈良教育大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

高エネルギー加速器研究機構(茨城県つくば市)のBelle実験グループは、社会に向けた情報発信活動の一環として、高校生を対象としたサイエンスキャンプに取り組んでいる。キャンプではBelleの資源を公開・活用して、「研究者と同一の環境」を主軸とした体験型学習プログラムを実施している。本研究では、ネットワークを通じて教育現場や科学館などっくば市遠方の地域において、これらの学習プログラムを実施し、より多くの中学生・高校生が科学コミュニケーションに参加できる基盤を築き上げることを目的としている。学習者にとって興味の持てる研究環境を具体的に把握する基礎研究として、高エネルギー加速器研究機構において平成21年9月20日~23日の日程でサイエンスキャンプを開催し、参加高校生23名に対してアンケート調査を実施した。さらに、これまでに得られた成果を基に、中学生を対象とした学習プログラムを開発し、高エネルギー加速器研究機構(KEK)、奈良女子大学附属中等教育学校、熊本県南小国町立南小国中学校の3地点をインターネット回線で結んだ遠隔授業、及び実習授業を平成22年1月~2月にかけて全3回にわたり実施した。遠隔授業は大阪大学と共同で遂行し、大阪大学が開発した「超鏡(ハイパーミラー)」システムを利用した。また、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の協力を得て、超高速インターネット衛星「きずな」の衛星回線を利用した。
著者
梅村 佳代
出版者
奈良教育大学
雑誌
奈良教育大学紀要. 人文・社会科学 (ISSN:05472393)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.157-169, 2003-10-31

In the early Edo period, Nara had 6,000 families, a population of 35,000 and 3,000 houses. Minami Handa Nishi area in Nara was a small town, and it's population decreased from 130 to 70 in the Edo period. It's time of grand prosperity was in Genroku ages, and it gradually decreased in the number of houses and families. Minami Handa Nishi area had many religious sects, the most common religious sect was the Jhodo Sect. The second most common religious sect was the Jhodo-Shinsyu Sect. The third most common sect was the Yuuzuunenbutsu Sect. Other sects included the Shingon Sect, the Hokke Sect and the Tendai Sect. The Jhodo Sect had about 70 percent of the believers in this area, and the Jhodo-Shinsyu Sect had about 20 percent of the believers. In Nara, the number of families in each household increased. This happend because the Edo nation increased the amount of tax that each household was responsible for. Some people in the Minami Handa Nishi area were rich and controlled all other people. The names of their businesses were "Yoshinoya" and "Yamatoya " etc. In Edo period, Nara had many small familial organizations, and many nuclear families. The majority style of families was parents and one or two children. It had many families with no children. For example, the name of "Yoshinoya" had 15~20 family menbers and kept 4~5 employees about the middle Edo period, but each family of the "Yoshinoya" household had from 4~5 members.