著者
陣内 雄次
出版者
宇都宮大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究では、S応急仮設住宅(福島県いわき市)の集会所にて、月1回交流イベントを開催し参与観察によりデータ収集した。また、中越地震等過去被災地での現地調査を行った。26年度には子ども参画による復興コミュニティづくりのあり方を探求した。その結果、子ども参画のまちづくりには、大人のサポートが重要であることが分かった。加えて、復興まちづくり関係者が参画するシンポジウム等を開催した。今後の復興まちづくりでは被災地の経済的自立、多様な主体の交流の場の必要性が指摘された。平成27年度は、研究報告書を作成、研究成果のエッセンスをまとめたブックレット『私たちが、復興まちづくりで、できること。』も作成・印刷した。
著者
青山 真人 杉田 昭栄
出版者
宇都宮大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究では、ヤギがトラック輸送により乗り物酔い(動揺病)になるか否かを検討した。ヒトに悪心(気分が悪いこと)や嘔吐を誘発する薬剤であるシスプラチンをヤギに投与したところ、顔を下に向け、動きが鈍くなった(これを「悪心様状態」とする)。また、ヤギをトラックで輸送すると、悪心様状態と類似の状態が誘発された。酔い止め薬として市販されている「ジフェンヒドラミン」を輸送前にヤギに投与すると、悪心様状態はかなり軽減された。これらのことより、ヤギは輸送により動揺病になるものと考えられた。
著者
高際 澄雄
出版者
宇都宮大学
雑誌
宇都宮大学国際学部研究論集 (ISSN:13420364)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.105-123, 2003-10-01

In the 1730's George Frideric Handel faced a great number of problems: the gradual loss of the popularity of his operas, the establishment of a rival opera company, the Opera of the Nobility, the change of opera theatres, and the final collapse of his opera company. In an effort to counteract these difficulties, he wrote various types of music: new operas, remakings of his old operas, pasticcios, odes, and a fairly new genre, oratorios. Because of the versatile attempts, it is rather difficult to grasp what was really happening in his music itself. This paper closely analyses the four oratorios composed in this period, Deborah, Athalia, Saul, and Israel in Egypt to claim that all of them are great achievements composed with different ideas, disclaiming the evaluation of Winton Dean, who asserted that only Athalia and Saul were masterpieces that could be compared with Greek tragedies, while he judged Deborah as a failure, neglecting the accomplishment of Israel in Egypt.
著者
高際 澄雄
出版者
宇都宮大学
雑誌
宇都宮大学国際学部研究論集 (ISSN:13420364)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.105-114, 2007-10

Hndel composed an ode for the birthday of Queen Anne in 1713. This ode was one of Handel's earliest compositions based on English texts. By analyzing the music and text, it was found that Handel used Purcell's form of the occasional ode, but he introduced some new elements in ode composition, by applying a more mechanical consideration in forming the whole. Handel also composed the ode seemingly to show his musical techniques. Particularly in the second and final movements, his skills of composing fugues are impressively exhibited. While the meaning of the poem is rather neglected, the outward beauty increased, which served Handel's purpose of the composition of this music, to gain reputation as a great musician. This ode of his is not as great as an artistic work as Purcell's occasional odes, but it was a great success, as it showed Handel's great music skills not only to the Royal family, but also to musicians.
著者
橋本 啓
出版者
宇都宮大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

アリルイソチオシアネート(AITC)には1割程度の弱いポリフェノールオキシダーゼ(PPO)抑制活性しか認められなかったが、AITC溶液を加熱することによりPPO抑制活性が発現した。また、ナスのアントシアニン系紫色素であるナスニンのPPOによる損失を加熱処理AITCは完全に抑制し、ナス皮からのナスニンの抽出量を約2倍にした。食品加工時に生じる規格外ナス中に含まれるアントシアニンの安定的かつ効率的な回収法につながると期待された。
著者
山本 美穂 高橋 俊守 大貫 いさ子
出版者
宇都宮大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

流域圏という範域、およそ150年間という時間タームを対象として、農村の木造古民家という具体的事物を材料に近代農山村遺産の再評価を行った。単なる事例研究の域にとどまらず、具体的な時間軸と空間軸の中に事例を位置づけて評価する歴史地理学的視点を通して、近世を射程に入れた地域研究の課題と重要性がより明確となった。
著者
三瓶 広幸 石栗 太 飯塚 和也 横田 信三 吉澤 伸夫
出版者
宇都宮大学
雑誌
宇都宮大学農学部演習林報告 (ISSN:02868733)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.5-8, 2008-03-31

木材は、高い断熱性と調湿作用があり、夏涼しく、冬暖かく感じられ、紫外線を吸収し目に優しく、抗菌作用、衝撃緩衝作用を持つなど人間生活にとって優しい素材であり、適度に吸音し音響性にも優れている。また、木材は軽くて強く、金属やコンクリートなどと比べ、製造、加工時の消費エネルギーも少なく、環境に負荷の少ない材料でもある。このように木材は優れた特性を有しており、さらに、森林資源の循環利用、二酸化炭素の吸収、貯蔵等、地球温暖化防止の面からも重要であり、今後ますます利用拡大を促進していく必要がある。このような状況の中、木材利用拡大の一環として、学校生活に優れた木材の特性を取り入れ、鉄筋コンクリートRC校舎を木造校舎に建て替える動きがある。栃木県においても鹿沼市立鹿沼西中学校では、木造校舎への建て替えが行われた。そこで、木材の持つ特性の効果を評価し、今後、木造校舎建設の推進など、木質資源の利用拡大を促進していくための資料とすることを目的とするため、鹿沼西中学校において、以前の鉄筋コンクリートRC校舎と現在の木造校舎での生活・教育環境の違いを比較するアンケート調査を実施した。
著者
今井 直
出版者
宇都宮大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

国連人権理事会を創設した2006年3月の国連総会決議60/251は、「理事会が、重大かつ組織的な侵害を含む、人権侵害の事態に対処」すべきことを定める。新設の普遍的定期審査(UPR)については、基本的に人権侵害事態対処機能とは異なる趣旨のメカ二ズムであることが確認される一方、「アラブの春」の文脈では、人権理事会の活動にその発足以来はじめて積極的なアプローチが見られた。しかし、その常態化は困難であり、特別手続や人権高等弁務官などによる注意喚起が、人権理事会の審議や決議の「引き金」となるメカニズムを確立させることが必要である。
著者
古池 弘隆
出版者
宇都宮大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1988

本研究は高所から撮影したビデオ画像とパ-ソナルコンピュ-タを組み合わせて、静止した画面上に表示された対象物の位置を、ディジタイザ-により読みとる装置を開発し、それを実際の交通流現象の調査解析に応用しようとするものである。昨年度のビデオカメラの精度に関する基礎実験、座標変換のソフトウエアの開発、商店街での歩行者や自転車の実測調査・分析に続き、本年度は応用研究に力点を置いた。宇都宮市内には3ヵ所のスクランブル交差点があるが、そのひとつが高校生の通学路にあたっており、スクランブル現示時に多くの学生が自転車に乗ったまま交差点を横断し、スクランブル交差点として機能しているかどうか疑問であった。そこで本研究で開発された調査手法により、ビルの屋上から交差点をビデオカメラで撮影し、その画像を解析した。比較のためにもう一ヵ所の典型的なスクランブル交差点においても同様な調査を行った。解析の結果、高校生通学時の自転車交通が交通量の9割を占め、スクランブル交差点の特徴である斜め横断率が比較交差点では30%台であるのに対して、当該交差点ではわずか数%にすぎず、スクランブル本来の機能を果たしていないこことが明らかになった。この結果に基づき栃木県警では当交差点を一般交差点に改めた。その結果自転車・歩行者の安全な横断が確保され、また自転車に対する青信号時間が増加して交通容量も増大した。本研究では開発された手法は、以上述べたように一応初期の目的を達成したが、ビデオ画像の対象物をディジタイザ-を用いて座標変換する際に判読者の負担が大きく、自転車や歩行者など大量の点を時系列で追跡していくのはかなりの困難さを伴うことが判明した。今後は画像処理技術を用いるなど効率的なデ-タ入力の自動化を図る方法の開発に向けてさらに研究を進めていく必要があろう。
著者
藤崎 源二郎 木村 寛 北川 義久 藤平 秀行 落合 昭二 木村 茂
出版者
宇都宮大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1995

有限次代数体kのガロア拡大K/kのガロア群がp進整数環(p:素数)I_pのカロ法群に同型であるとき,K/kをI_p-拡大という.I_p-拡大K/kに対して中間体の列k=k,⊆k_1⊆…⊆k_n⊆…⊆K,k_n/kはp^u次巡回拡大,が唯一つ定まる.k_nのイデアル類群のp-シロ一群の位数をp^<en>とすれば,十分大きなすべてのnに対してe_n=λ_n+μp^n+vとなる整数の定数λ(≧0),μ(≧0),Vが定まる(岩澤類数公式).λ,μをI_p-拡大K/kの岩澤不変量という.有限次代数体kに1のpべき乗根すべてを添加した体k_∞はkのI_p-拡大体となる.k∞/kをkの円分I_p-拡大とよぶ.岩澤不変量λ,μの研究は代数的整数論における中心的課題の一つであり,とくに円分I_p-拡大のλ,μの研究は重要かつ興味あるものである.本研究ではとくに円分I_p-拡大のλについて考察した。すなわち,研究代表者藤崎はkが有理数体のあるガロア拡大(ガロア群が(2,2)型アーベル群,四元数群,二面体群など1のとき,kの円分I_p-拡大のλについてある結果(kの部分体のλとの関係)を得た.また,特別なpについて計算例を集めた。研究分担者木村茂はネバンリンナ理論の発展についての総合報告を執筆発表した。研究分担者木村寛は授業資料として計算機から電算機に至るまでの発達を文献対比により整理した.また,中学校の課題学習で扱う教材を事例毎に考察した.
著者
戚 傑
出版者
宇都宮大学
雑誌
宇都宮大学国際学部研究論集 (ISSN:13420364)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.153-164, 2003-10-01

本研究では、ミシェル・フーコの権力観、特に「管理論(governmentality)」に照らし合せて、日本における児童像がいかに教師の多様な教授法によって作り上げられたかについて言説的に検討を行った。まずは、教育における自由と抑圧の観点から、日本の学校教育システムについて分析を試みた。その結果、日本の学校教育システムにおいて、「学習指導要領」に象徴されるように、政府または政治による、教育における教師の自由に対する制限、学校・教師による学生の自主性等に対する規制や管理の存在が表層的に見て否定できないものの、学校の秩序を根本から保障している要因として、学校・教師による多様な、ユニークでしかも「ソフト」な管理の「テクノロジ(technology)」を広く取り入れられている実態がより重要であることが明らかになった。次に、ソフトな管理のテクノロジの特徴について考察し、「建設的話法」、「日誌作成」、「集団行動」等に見られるように教師の教授法・学生管理法には誘導的なアプローチが特に多用されていることを指摘した。最後に、教師の多様な教授法による効用について分析し、それが学生を直接管理することにとどまらず、むしろ学生を「自己管理」することに仕向ける一種の「テクノロジ(technology)」としてより効果を発揮されていることが注目すべきであると結論付けた。
著者
高際 澄雄
出版者
宇都宮大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

18世紀前半イギリスの音楽と演劇の関係は、これまで詳しい研究がなされなかったが、17世紀末イギリスに歌劇が成立したのは、文学者と作曲家の緊密な協力の結果であり、その後も常に強い影響関係をもっていた。特にヘンデルのイタリア歌劇の作曲公演に当時の演劇が強い影響を与え、とりわけ1730年代にヘンデルの王立音楽アカデミーに対抗して貴族歌劇団が結成されたのも、演劇界の活性化が作用したことを、本研究は明らかにした。
著者
山根 健治
出版者
宇都宮大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

Modified Atmosphere(MA)包装と1-メチルシクロプロペン(1-MCP)の組合せ処理はカーネーションおよびインパチェンス鉢花の室内での観賞期間を延長させた.カーネーション鉢花への能動的MA包装(10%O_2,2.8%CO_2)と1-MCP処理は鉢花の呼吸とエチレン合成関連遺伝子の発現およびエチレン生成を抑制するとともに炭水化物含量の減少を緩和し,鉢花品質を改善することが示唆された.
著者
安達 久博
出版者
宇都宮大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2001

本年度は、前年度に得られた、共起関係ペアを特徴観点とする特徴ビット・ベクトル間の類似性計算による対象オノマトペの同値類への分割結果を利用し、清音と濁音(半濁音を含む)間との対応関係を分析した。たとえば、「トントン」と「ドンドン」の関係は清音と濁音の違いだけであるが、この二つのオノマトペの基底概念(ものを叩く)は共通と考えることができ、強弱関係の差を提示していることが分かる。一方、同様に「ジロジロ」の基底概念は(ものを見る、観察する)であるが、その清音に対する「シロシロ」はオノマトペとは認定し難いものである。このように、必ずしも清音と濁音相互間で対応するオノマトペが存在するとは限らないといえる。なお、「クンクン」と「グングン」の関係ペアにみられる共通の基底概念は希薄で、別の概念をあらわしている関係ペアがあることが分かった。他にも「フリフリ」が様態を示すのに対して、「ブリブリ」は感情(負の)を示しているように、擬音と擬態の対比があるペアは興味のある結果である。これらの成果は外国人や聴覚に障害を持つ人々が日本語のオノマトペを学習する際に有益な知見を提示することができるデータベースとして機能し、日本語学習支援システムなどに有効利用できると考える。本年度は、この関係を検索・表示するシステムを試作した。検索システムは、オノマトペを含む例文コーパスをデータベースとし、オノマトペを入力すると、対応する例文コーパスを提示する。この例文の提示の特徴はオノマトペの意味を言葉で記述することの難しさを、複数の例文を提示することで、意味(概念)の差を理解させる、単語の見出しに対する、単語の概念見出しと捉えることができる。また、清音(フラフラ)の入力に対して、対応する濁音(ブラブラ)の例文も参照できる構造とすることで、概念の差を明示可能な構造とした。