著者
奥田 誠一 前田 忠信 松澤 康男 稲泉 三丸 福井 糧 菅原 邦生
出版者
宇都宮大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999

1.環境保全型農業に関する研究:病害虫防除のための新技術開発のため,有用土壌微生物を利用した土壌病害の防除法を検討するとともに,害虫の生息種及び生態について比較研究した.在来家畜の飼養管理技術に関して,卵用の在来種である紹興鴨種畜場を調査した.飼料は専用の配合飼料と川に生えているホテイアオイなどを用い,排泄物は川に流すという粗放的であるが,立地条件を生かした飼養管理を行い,3人で8000羽を管理していた.現状では環境保全型農業に近い方式であるが,多数羽飼育が求められたときの対応は今後の課題である.2.遺伝資源の開発と利用に関する研究:イネの多収技術,高品質化に関わるハイブリツドライスについて,中国では既に作付の約50%がハイブリッド品種で占められており,籾収量で1t/10a以上のかなりの多収が予想される.採種のために,細胞質雄性不稔維持系統を4列,回復系統を1列の5列-1m幅で繰返し栽植され,種子収量は150〜300kg/10a程度であるので1/100〜1/200の採種圃場が必要と推定される.浙江省から安徽省にかけての河川沿いの中山間地〜山間地では,河川敷から緩やかな斜面における水田と山の裾野部の畑にトウモロコシ,大豆,サツマイモが栽培され,トウモロコシの後に麦を入れ3年4作の輸作体系が取られ,農家の自給食糧を持続的に確保し得る生産方式が認められた.その他,ゴマ,ヘチマ,小菊(薬用茶)などの作付もあり,茶は近年の輸出用茶の需要拡大に伴い新植園が多く,きつい斜面でも開墾されていた.
著者
南 伸昌 伊東 明彦 堀田 直巳
出版者
宇都宮大学
雑誌
宇都宮大学教育学部教育実践総合センター紀要 (ISSN:13452495)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.153-160, 2006-07-01

理科離れの象徴ともいえる物理の力学分野の理解を助けるために,運動方程式の導出までを指導する教室レベルの実験プログラムを検討した。方法としては,力学台車をバネばかりで一定のカが加わるように押すもの,軽量台車を扇風機の風力で自走させるもの,の二つを用い,それぞれサイエンス・パートナーシップ・プログラムの高校生講座において実施した。
著者
長谷川 まどか 加藤 茂夫 田中 雄一
出版者
宇都宮大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究は,携帯デバイスを対象としたマルチセンソリー認証方式の開発を目的としている.現在,携帯デバイスでの認証には暗証番号やパスワードが多用されているが,覗き見への耐性の面で問題がある.本研究では,画像などの視覚情報,音声などの音響情報,振動などの触覚情報といった複数の知覚要素を組み合わせて認証に利用することで,覗き見への耐性が高く,かつ,ユーザが使いやすい認証方式の検討を行った.さらに,携帯端末を振る動作や空中描画動作などの行動的特徴を認証に利用する方式についても検討を行った.
著者
大森 玲子
出版者
宇都宮大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2007

成育環境および発達段階を踏まえた食育プログラムを開発するために、食育プログラム実施対象であるモデル施設の子どもの特性を的確に把握する調査研究を実施した。地域特性として、おやつに摂取されるスナック菓子やジュース類の摂取過多が懸念されたため、特に、おやつへの情報を提供できるよう配慮した活動を取り入れた。開発した食育プログラムを通じて、子どものみならず、子どもに関わる大人への波及効果も期待された。
著者
宇佐美 繁
出版者
宇都宮大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1995

農家世帯員である女性達の就業形態が、明確に分化してきた。a農作業に全く関与しない純粋勤労者(または専業主婦)型、b農業以外の勤務先を持ちながら、農繁期だけ手伝う兼業型、c経営主等の下で無償の従業員として農作業に関わる従属的農業専従型、d配偶者等と対等なパートナーとして経営に関わっている自立的農業専従型、e経営の一部門を責任をもって担当する独立的農業専従型の五類型である。cは伝統的タイプで、戦後自作農経営を代表し、三ちゃん農業時代の担い手でもあった。今日最も一般的な類型はbであり、二十代から五十代に及んでいる。二十代から三十代にかけては、a類型が急速に広まっている。d,eは90年代にはいってから注目されるようになった類型であり、家族経営協定、女性による起業は、この類型を中心に進展した。近年農村を活気あるものにしている直売所等のグループ活動も、リーダーはこうした類型の女性達である。若い時から家族に気兼ねすることなく、地域の様々な活動に参加してきた女性農業者に多い。後継者を確保している農家は、絶対数ではc類型におおく、家産価値の大きい農家ほど定着している。d,e類型の農家では大半の農家で農業跡継ぎを確保している。女性が誇りと喜びをもって農業経営に参加している農家は、農業経営自体が魅力的であるだけでなく、家族関係も風通しがよく、若者にとっても就業しやすいためである。しかし職業選択についても寛容であり、長男を含めて他産業を選択する場合も少なくない。そこでの後継ぎ問題は、家族関係の領域を越える。
著者
志賀 徹 斉藤 高弘 芋生 憲司 中島 教博
出版者
宇都宮大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1992

本研究は環境ガス組成を変化させるCA貯蔵条件下での各種生鮮農産物の呼吸特性及び品質判定因子の変化を測定し、農産物の生理的特性及び品質変化を明らかにするとともに、最適CA貯蔵条件を検討したものである。1.生シイタケは酸素濃度を減少させるか、二酸化炭素濃度を増加させることにより著しく呼吸速度が減少した。環境ガス制御が生シイタケ生体中のpHの減少を抑制することが測定され、低い(酸性が高い)領域で活性を増すPPO活性の抑制効果が確認された。加えて酸素濃度を下げることによりL-アスコルビン酸含量が高く維持された。これらを総合的に評価して、20%の二酸化炭素濃度における10%または5%の酸素濃度のCA貯蔵条件が他の処理条件より生シイタケの品質保持に効果があると判断された。2.イチゴは高い二酸化炭素濃度に対して比較的大きな許容性を持ち、二酸化炭素濃度が高いほど呼吸速度が低下した。二酸化炭素を増加させることは、イチゴ果実の果肉部の硬度の減少を抑制し、果皮色の退化を防止する効果となって現れ、かつL-アスコルビン酸含量の貯蔵中における減少を抑制した。カビの発生に対する防止からも20%の二酸化炭素濃度は効果的であった。アスパラガスは、酸素濃度の減少が二酸化濃度の増加より以上に呼吸速度の減少に与える効果が顕著であった。10%の酸素濃度下では二酸化炭素が高くなるほどアスパラガスの貯蔵中の伸長量が低く抑えられら。また低酸素濃度では硬さの保持効果が見られた。CA貯蔵条件下では空気中におけるよりクロロフィル濃度の減少が抑制され、果皮色が良好に保持された。糖含量はCA貯蔵条件下で20日後まで低下が抑制された。各種農産物の呼吸の温度に対する依存性はアレニスの式及びゴアの式によく適合し、温度により呼吸速度は指数関数的に増加した。また農産物のQ_<10>(温度10°C上昇時の呼吸速度の増加割合)は低温域で高い値を示し、温度が高くなるにつれ小さくなった。アスパラガス、ブドウ及びイチゴの呼吸速度は他の品目に比べ酸素濃度変化への依存性が高く、特徴ある挙動を示した。
著者
黒田 英一
出版者
宇都宮大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2003

本研究では、集団就職世代の工場経営者・商店主を対象に聞き取り調査を行った。聞き取り調査結果をまとめると、次のようになる。1 集団就職により大都会に出てきた中卒者のうちわずかしか工場経営者・商店主になることができなかった。それ以外の者は、大都会で転職を重ねて雇われ職人や単純労働者になり、あるいは帰郷卸した者、消息不明などである。2 努力してそれなりに工場経営者・商店主になれたのは、勤務した先の経営者に恵まれたことである。良き「社長」「おやじ」に恵まれて、そこで技能を徹底的に修得させられただけでなく、仕事以外の面でも厳しく躾けられた。3 集団就職世代が厳しい就業環境のなかで習得した技能は、職種や産業によって違いがみられた。小売業のように2,3年で習得できる接客・サービスの技能もあれば、10年近くたってようやく身につく大工や旋盤の技能もあった。4 就職先は住み込みであり、経営者と同じ屋根の下で暮らしたことから、集団就職世代にとって、就職先はもうひとつの家庭となった。生まれ故郷に次ぐ「第2の家庭」であった。5 「一国一城の主」になることができなかったものの、集団就職は中学卒業者にとっては大都会に入ることができる最初の一歩であり、その後の人生の入り口ともなった。こうした研究成果をふまえると、集団就職はよきにつけ悪しきにつけその後の人生のひとつの契機となっており、たまたま艮き経営者に恵まれた者だけが、工場経営者・商店主となって「サクセス・ストーリー」を演じることができたといえる。厳しい競争であっても、大都会は技能を磨けば社会階層を移動できる機会を若年労働者に与えていた公正な社会であった。
著者
井ノ口 順一
出版者
宇都宮大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2004

1)2003年に発表した論文Minimal surfaces in 3-dimensional solvable Lie groups, Chinise Annals of Mathematics B24(2003),73-84において3次元ユークリッド空間・3次元双曲空間・双曲平面と直線の直積,これらをすべて含む3次元等質空間の2径数族を構成した。族内の空間はすべて可解リー群である。この2経数族に属する各空間内の極小曲面に対するガウス写像の満たす積分可能条件を求めた.この積分可能条件を用いて,ガウス写像とある複素数値函数の組が極小曲面を定めるための必要十分条件である偏微分方程式系を導出した.その偏微分方程式の解から極小曲面を与える積分表示公式を与えた。この公式はユークリッド空間内の極小曲面に対するWeierstrass-Enneper公式を一般化したものである。論文:Minimal surfaces in 3-dimensional solvable Lie groups IIとしてBullentin of the Australian Mathematical society誌に掲載が決定した。2)極小はめこみ・調和写像の拡張概念である重調和写像・重調和はめ込みの具体例の構成を研究した。3次元双曲空間・3次元ユークリッド空間には極小でない重調和曲面が存在せず,3次元球面には極小でない重調和曲面は特定の半径をもつ小球のみであることが知られている。これらの事実に立脚し,極小でない重調和曲線・重調和曲面を許容する3次元等質空間を考察した。とくに3次元既約標準簡約等質空間内の重調和曲線を分類した。この成果はJong Taek Cho氏,Jin-Eum Lee氏との共著論文Biharmonic curves in 3-dimensional Sasakain space formsとしてAnnali di Matematica et pura Applicata誌に掲載が決定した。
著者
湯上 登 東口 武史 伊藤 弘昭
出版者
宇都宮大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

超高強度超短パルスレーザー(ITW,100fs)を窒素ガス(50Pa)に集光し、そこから発生する電磁波の観測を行った.観測された電磁波のパルス幅は、実験条件には依存せず、200ps程度であった.電磁波の周波数は、周波数によって異なる感度を有する4種類のディテクターを用いて行った.電磁波は、レーザー進行方向に対して、30度程度の方向に強く放射され、コーン状の分布を有していることが確認された.また、電磁波の偏向方向は半径方向を向いていることが、すべての周波数領域において確認された.周波数の上昇とともに、放射角度が浅くなる傾向にあった.周波数は最大300GHzが観測されている.この実験結果を説明するために、プラズマ導波路を考えた.つまり、高強度レーザーが集光するとそのポンデラモーティブカによって、電子は排除されイオンだけが残った円筒状のプラズマ柱が形成される.イオンの電場を感じて電子は振動運動をすることになり、それが電磁波の放射を生み出す結果となる.電子の振動は径方向であるので、電磁波のモードはTMO1モードとなり、これは電磁波の偏向が半径方向である事実に適合する.また、数値計算を行ったところ、電磁波の周波数広がりが実験結果とよく一致した.また,高周波数の成分が浅い角度で放射される実験結果と一致する結果を得ている.以上より、レーザープラズマからの電磁波放射に関しての知見が得られ、今後高周波化、テラヘルツ化の実験の指針を得ることができた.
著者
岡澤 慎一
出版者
宇都宮大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

重度・重複障害児3事例を対象として,彼らが表出した行動を確定し,その意味を見出すとともにその際のやりとりにおける関係性のあり方について検討した.その結果,(1)対象児から表出された微弱微細な状態変化を糸口として係わりを展開することが妥当であること,(2)視覚的に確認できないほど微弱な身体の動きが係わり手との共同的活動のなかで拡大すること,(3)重度肢体不自由事例との話題の共有化過程の様相,等が明らかになった.
著者
丁 貴連
出版者
宇都宮大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究では、夏目漱石や島崎藤村、国木田独歩、有島武郎など韓国近代文学の成立に深く関わった日本近代文学者の中でも、とりわけ有島武郎と国木田独歩に注目し、廉想渉や金東仁、田榮澤といった韓国の近代文学者が有島武郎と国木田独歩の何を、そしてそれをどのように受容したのかを解明することによって、韓国近代文学に及ぼした日本近代文学の影響が国木田独歩から有島武郎へ受けつがれていった事実を明らかにした。
著者
柿井 一男 ANUSHREE Malik
出版者
宇都宮大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2002

通気撹拌混合下で自然発生的に生ずる微生物凝集体(フロック)を有機性排水処理に積極的に利用する手法が活性汚泥法である。この水処理法の運転においては、混合培養系である微生物群が相互に沈降性・圧密性に優れたフロックを形成することが必要最低条件である。そこで、この凝集機構を明らかにする目的で、下水活性汚泥から無作為に分離した細菌株を用い、主に二者混合系におけるヘテロ凝集挙動を前年度に引き続いて調査した。これにより、以下のような結果を得た。分離した52株について、二者混合系におけるヘテロ凝集を調査したところ、16S rRNA遺伝子のホモロジー解析からAcinetobacter johnsoniiと同定されたS35株が、その他の複数の分離菌株と良好なヘテロ凝集体を形成することを明らかとした。このAcinetobacter johnsonii S35株の凝集のパートナーは、16S rRNAの遺伝子解析から、Microbacterium、Oligotropha、Xanthomonasの3種類の細菌種に分類されることを示した。また、凝集のメカニズムについて、タンパク質分解酵素、キレート試薬であるエチレンジアミン四酢酸ナトリウム、過ヨウ素酸などを用い、菌体処理を行って調べたところ、凝集メカニズムはいずれも同様ではなく、菌種の組み合わせによって異なることが明らかとなった。その詳細は継続して実験中である。これらの実験で明らかとした結果は次頁の4つの国際的な学術論文誌に受理され、すでに公開している。さらに最後に、Acinetobacter属細菌の16S rRNAに相補的な約20塩基からなるオリゴヌクレオチドを合成し、これを赤色の蛍光試薬であるCy3で標識し、蛍光in situハイブリダイゼーション法を用いて、下水処理場の流入水や汚泥フロック中におけるAcinetobacter属細菌の存在を調査した。用いた2箇所の下水処環場のサンプルにおいて、いずれの場合もAcinetobacter属細菌の存在が確認された。現在は、現場のサンプルにおける凝集のパートナーを同法を用いて調査中である。
著者
酒井 一博
出版者
宇都宮大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

Anosov-Bowen以来,擬軌道尾行性(shadowing property)の概念は力学系理論の研究において様々な場面で現れ,力学系の研究において常に重要な役割を担ってきた。近年,SP理論の発展には特に目覚しいものがあり,力学系の数値計算的研究の基盤を固めるだけでなく,多くの興味深い定性論的研究結果も生み出されている。本研究の目的は,SPをもつ力学系あるいは部分力学系を微分幾何学的力学系理論の立場から特徴付けることである。
著者
東海林 健二 森 博志
出版者
宇都宮大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究は、対象物体や人物を手持ちのカメラで同時に撮影したスナップ写真群から少ない手間で対象物体形状を得ることを目指し、視体積交差と投影を繰り返すことにより、カメラ撮影画像から物体のシルエットを矛盾の少ない形で取り出す方法と、視体積交差のためのカメラ姿勢を最適化する方法を提案した。また、視体積交差のためのよいカメラ配置とは、各カメラから得たシルエット形状が相互に異なり、なるべく複雑であるようなカメラ配置であることを実験的に示した。
著者
原田 淳 宇佐美 繁 野見山 敏雄 谷口 吉光 久野 秀二 中島 紀一 大木 茂 細川 允史 原田 淳
出版者
宇都宮大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

本研究では対象とした事例はいずれもWTO体制下にあっても確実な成長を実現してきた産直産地組織と総称される農家グループである。その特徴は、新政策がサブ戦略として打ち出した環境保全型農業を早い時期から経営の基本戦略に位置づけ、主として生協との産直という形で、卸売市場への無条件委託販売ではなく、産地組織自身の手で消費をつかみ、継続的な事業システムを構築してきたという点にあった。産直産地組織は環境と安全性重視の農業生産体制の確立と戦略的マーケティングによる農産物販売を機軸とした農家の連合組織であり、法人形態としては農事組合法人、有限会社、株式会社、系統農協、法人格のない任意組織などさまざまである。既存の農業組織のなかでは組織形態や活動内容は農協に類似している。本来ならば系統農協が果たすことを期待された諸機能を、現実には多くの農協が果たし得ていないなかで、意志のある生産者たちが自ら農協類似の組織を作り上げ、時代を生き抜く道を拓いてきたと理解できる。マーケティングを軸とした戦略的経営についてのこれまでの議論は個別経営に視点をあてたものが多かったが、本報告の事例は意志のある農家によるグループとしての組織的な経営展開である。環境・安全など新時代農業のポリシーが確立されているという点、先端的マーケティングを展開する活力ある集団的経営構造が構築されているという点、地域における幅広い農家の結集などの諸点に際だった特色があり、個別経営主義に傾斜しがちだった戦略的経営論と農業を面として集団として捉えようとする地域農業論・産地形成論との断絶を埋める方向としても注目すべき取り組みである。
著者
菅野 長右エ門 元島 英雅 飴谷 美智子 東 徳洋 栗城 均
出版者
宇都宮大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1998

ラクトフォリン(LP)は、牛乳のホエータンパク質の約10%を占め、主に27kDaと17kDaの糖ペプチドの分子間結合による糖タンパク質複合体(約150kDa)で、その一次構造における疎水性アミノ酸残基の含量と局在性から高い乳化機能をもつことが期待される機能性糖タンパク質である。本研究では、1)LPをチーズ製造における副産物であるホエーから分離するための簡易な方法をまず研究室レベルで試験し、これをパイロットプラントスケールで追試し、簡易に分離できる方法を開発すること、2)得られた分離品の乳化機能及びリポプロテインリパーゼに対する抑制効果の試験を行ってその機能を評価することを目的とし、次の結果が得られた。1.チーズ酸ホエーからLPに富む画分を分離精製する方法を研究室スケールでの研究成果を基盤にパイロットプラントスケールにおいて確立した。すなわち、363kgのチーズ製造で生じた酸性ホエーを限外濾過装置(分画分子量50万)で濃縮し、加水による膜透析、逆浸透膜装置での濃縮後、pHを4.0に調整し、95〜100℃で30分間加熱処理し、上清を凍結乾燥してLPに富む画分を54g得ることができた。本研究によって、ホエー中のLPを主要成分とする画分をpH調整用試薬等を用いただけで、物理的な方法のみで高度に精製できる実用的な方法を初めて開発した。2.より高い純度のLPは、分離したLPに富む濃縮画分をゲルろ過クロマトグラフィーによって分離精製することができた。3.LPに富む画分と乳脂肪からなるエマルションを、タンパク質濃度、乳脂肪濃度及びpHを変えて調製し、その乳化活性、粘度、粒子のメジアン径、比表面積、乳化安定性等の乳化特性を測定し、LPに富む画分の乳化能が高いことを確認した。4.LPに富む画分は、リポプロテインリパーゼによるリポリシスの52%の阻害効果を示したのに対して、高純度に精製したLPは約70%の阻害を示し、LP量を増大すと90%阻害した。
著者
高際 澄雄
出版者
宇都宮大学
雑誌
宇都宮大学国際学部研究論集 (ISSN:13420364)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.123-140, 2003-03-01

Milton's poems, L'Allegro and Ill Penseroso, and Dryden's A Song for St Cecilia's Day and Alexander's Feast were essentially important for Handel's career in that they showed him how rich the English literary tradition was so that he completely abandoned writing Italian opera for the composition of oratorio in English after the setting of music to these poems. Not only the English literary tradition, but also the musical one was important for him, though the precise influence of the late seventeeth-century English music on Handel's career has never been fully described. This paper analyses the six predecessors of Handel's Odes for St Cecilia's Day, i.e. the odes by Henry Purcell, Giovanni Baptista Draghi and John Blow, showing how quickly English music developed after the restoration of monarchy in 1660. It also tries to prove how rich the English musical activities had already been before Handel's arrival in London in 1710.
著者
酒井 保藏 石川 進 荷方 稔之 加藤 紀弘
出版者
宇都宮大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

1日30m^3の水処理可能な大型の実験プラントを用いて、パイロットスケールでの磁化活性汚泥の実証実験をおこなった。最初沈殿池(約1m^3)、曝気槽(7.6m^3)、最終沈殿池(約1.5m^3)からなる活性汚泥プラントにおいて、曝気槽上部に小型の回転磁石ドラム(長さ80cm×直径30cm)を備えた磁気分離装置を1基設置し、大部分の高濃度の磁化活性汚泥を磁気分離により分離に、最終沈殿池でさらに残りのSS分を分離する磁気分離・沈降分離ハイブリッド方式を適用した磁化活性汚泥法について検討した。約5000〜10000mg/Lの高濃度汚泥を曝気槽に保持することで、自己消化による汚泥の減量を実現し、余剰汚泥を引き抜くことなく、半年間の実証試験に成功した。沈降分離槽から流出する最終的な処理水はCODCr=20〜30mg/L、SS=10〜20mg/Lと良好な処理水が得られた。また、汚泥滞留時間が長いことから、硝化が良好に行なわれることも確認された。7月に行なわれた下水道研究発表会ではポスター発表において最優秀賞を得た。また、10月に行なわれた磁気分離開発研究に関するワークショップでは、応用部門の優秀ポスター賞を得た。3月には、問い合わせのあった、イギリス・水処理企業まで出向き、国際的な共同研究・共同開発に関する打ち合わせを行なうことができた。パイロットプラントは世界初の実証規模での磁化活性汚泥法として、イギリスの磁気分離の著名研究者、荏原製作所、栗田工業などの多くの企業の見学を受けた。これらの結果は昨年3月28日にNature Science Update他に記事が掲載されたのをはじめ、6月にはアメリカ化学会のオンラインニュース誌、さらに7月にはアメリカ化学会のオンラインマガジン誌に繰り返し取り上げられるなど大きなインパクトを世界に与えたといえる。世界中の水環境関連のWebニュース、30誌以上で活性汚泥法の新しい技術として報道されている。
著者
横山 幸満 石井 紘 鈴木 将之 上野 勝利
出版者
宇都宮大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1992

1.大谷石の間隙は全体の40%で、間隙中の水と気体の挙動が強度に影響を及ぼす。岩というより超過圧密土としての性質が卓越する。2.地下水面下にある大谷石を地上で自然状態に放置すると、急速に脱水が進行する。これを吸収させても飽和度は80%にしか戻らない。3.完全飽和及び完全乾燥状態の大谷石の一軸圧縮強度は共に100kgf/cm^2程度で大きいが、上記の乾燥履歴を受けたものは強度が50%以下になる。4.大谷石は多孔質材料であるコンクリートと同様にクリープ挙動をする。50年以上安定している残柱の応力状態を考えると、応力比70%がクリープ破壊のめやすとなる。5.深い陥没は、残柱の逐次クリープ破壊に起因するもので、広い範囲の支持体を失った天盤が曲げ破壊することによって生じるものである。6.浅い陥没は、残柱破壊を必ずしも伴わず、地下水位上で風化を受け易い天盤の曲げ破壊によるものである。7.天盤のドーム状崩落やせん断破壊は曲げ破壊より起こりにくい。8.陥没・落盤等の事故の時系列解析の結果、これらのイベントは地球潮汐応力の球テンソル成分が圧縮の時に起こり易いことが分かった。限界状態にある天盤に対して、地球潮汐応力がトリガー効果を与えたものと考えられる。9.陥没前の地盤振動を解析した結果、約15日の卓越周期を得た。これも地球潮汐応力の影響を示している。10.実際の空洞直上のボーリング孔に高感度ひずみ計を埋設して計測を続けているが、地球潮汐力によるひずみを明確に捉えている。付近の地震計の動きとの相関を追っている状況である。
著者
早崎 芳夫 田北 啓洋
出版者
宇都宮大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究では, ホログラムを用いたガラスのフェムト秒レーザー加工において, レーザー照射において起こる高速な現象の動的な変化をポンプ・プローブ干渉顕微鏡により観測した. 特に, レーザーパルスを同時並列に照射した時に起こる特有な現象として, マイクロプラズマの衝突や衝撃波の合波・反射を発見できた. さらに, ライン状に成形したパルスによる回折格子の作製や計算機ホログラムの2光子吸収最適化法の開発に成功した.