著者
斎藤 美麿
出版者
山口県立大学
雑誌
山口県立大学社会福祉学部紀要 (ISSN:1341044X)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.85-91, 2003-03-20

平成13年11月から3月まで,山口県立大学より曲阜師範大学の交換教員として派遣され,中国の各地を回り,障害児の教育の実態を見てきました。中国の庶民の生活を実感するために,春節の10日間ほどホームスティで棗庄市の民家で過ごさせてもらいました。中国の人の日本への関心は強いのですが,間違った情報も多く,確かな情報を伝えることの必要性を感じました。曲阜においては曲阜師範大学外国語学部日本語学科の学生を相手に日本語で,「日本の戦後」という主題で15回の講義を行い,中国人学生との交流を行いました。また,日本人留学生,日本人教員と協力して日本語学科の学生100人を相手として,カレー,煮込み,おにぎりを主体としたパーティを催し,クリスマスパーティ,餃子パーティに招待されました。日本の文化を伝えるという交換教員としての役割を果たすのに不足をしているものをあげますと,日本のテレビ番組,ラジオ番組,情報機器,食料,衣服等々ありますが,もっともほしいものは日本の書籍でした。日本の本が少なく,文学害の不足を強く感じました。教室で使われている教科書の日本の会話も,設定状態のありえない場面の会話で日本語の理解を助けるようなものではありませんでした。旅の途中で,日本語のガイドを頼んでおりましたが,古い日本語,もう使っていないことばでの会話にもなりました。そんなところから,雑誌であれ,新聞であれ, 文学書であれ,どんな本でもほしいというのが,筆者の感じ,曲阜師範大学外国語学部日本語学科で,ぜひとも日本語学科であらゆる日本語の本がほしい,日本語の図書室を作りたいということが伝えられ,それでは実際に日本から本は集められるのか,送れるのかということとなり,日本から曲阜師範大学日本語学科(現在は曲阜師範大学外国語学院日本語学部)に送る方向で検討を開始し,実行しました。
著者
野口 義廣
出版者
山口県立大学
雑誌
山口県立大学國際文化學部紀要 (ISSN:13427148)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.23-33, 99_a, 2002-03-25

The writer published a paper titled 'A New Approach to Bocho-ology or Comprehensive Study of Yamaguchi … a consideration of Ouchi's ancient folk story seen through Ouchi's Rise and Fall … (1997). This paper treats with the presentation of problems followed thereafter and their answers, and furthermore, the retrospect and prospect of the studies so far.
著者
井竿 富雄
出版者
山口県立大学
雑誌
山口県立大学学術情報 (ISSN:18826393)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.1-11, 2014-03-31

The purpose of this article is to explain about the solatium for the victims of the Manchurian Incident and Shanghai 1932 Incident.There were a lot of victims of the Manchurian Incident and Shanghai 1932 Incident.While the Imperial Japanese government denied compensation to the victims of these incidents, the Japanese government did offer "solatium" to the victims. Especially notable is that the Japanese government gave solatium to foreign victims for the first time because Shanghai was an international city and there were many foreign inhabitants.The author also explains about the process of allowing solatium.
著者
井上 真奈美 田中 愛子 川嶋 麻子 丹 佳子 野口 多恵子
出版者
山口県立大学
雑誌
山口県立大学看護学部紀要 (ISSN:13430904)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.7-15, 2005-03
被引用文献数
1

本研究は、学生の看護基本技術経験に関して臨床の看護師がどのように認識しているかを明らかにし、今後の技術教育を検討する際の一助とする目的で行った。調査は、山口市周辺にある300床以上の医療機関3施設に所属する看護職760名を対象に、看護基本技術103項目毎に、「学内演習での経験」「臨地実習での経験」の必要性の有無、さらに「臨地実習で経験する際の実施条件(水準)」の認識について選択方式で回答を求めた。結果として、669(88%)の有効回答を得た。看護基本技術103項目すべてに対して50%以上の看護職が、学生時に「学内演習」および「実習場」での経験が必要であると考えているこが明らかになった。一方で、学生が看護基本技術を実習の場で展開する際の実施条件(水準)においては、教員や指導者から指導を受け「学生が単独で行ってよい」とする看護基本技術項目は限られており、臨地実習場での指導監督が必要な項目や、見学としての実習参加を求める項目が多くあることがわかった。これらの結果から、今後の学生の看護技術修得に向けて検討すべき課題や臨地における学生指導のあり方について考察した。
著者
安渓 遊地 安渓 貴子 安渓 貴子
出版者
山口県立大学
雑誌
山口県立大学國際文化學部紀要 (ISSN:13427148)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.57-73, 2007-03-31

Mr. AKAGI Hayashi, an eminent storyteller of Tokuji, passed away on the 30^<th> of November 2005. This article introduces his narratives recorded in 2004 about the local history and folkloric traditions in Tokuji District, northern Yamaguchi City. Part 1 is a record of our visit to locations of historical interests, guided by Mr. Akagi. He showed us the places where Saint Chogen (1121-1206) performed his Herculean work to collect timber to reconstruct Todaiji Temple in Nara. Part 2 deals with the folklore of Tokuji : festivals, daily food, and encounters with mythical or extinct creatures, a golden kite, a white pheasant, serpents, and wolves. Part 3 is an extract of Mr. Akagi's manuscripts. We have chosen his biographical writings. He was raised in a family of soma or professional forest workers, who felled trees, sawed wood, and made rafts to flow down the Saba River. His house is located on the riverbank, and his family members have voluntarily undertaken the task of looking after passengers, who crossed the big river on a narrow wooden bridge. They are proud of the result that they have saved dozens of human lives from drowning.
著者
井竿 富雄
出版者
山口県立大学
雑誌
山口県立大学学術情報 (ISSN:18826393)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.1-12, 2010-03-31

The Purpose of this article is to explain the Special Law passed in 1926 for secondary relief for the Victims of the Nikholaevsk Massacre and Okhotsk incident. Victims of two incidents received relief under a Special Law passed in 1922, but they wanted secondary relief because the amount of money given to them in the initial relief program was very small. However, the Japanese Government had already established diplomatic relations with the Soviet Union, and thus had surrendered the right to claim compensation. Hence, the Japanese Government agreed to provide a second relief fund for the victims of these incidents. This secondary relief was a very political decision from the viewpoint of Background and Distribution.
著者
伊原 靖二
出版者
山口県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

竹炭を活用した生活排水の浄化と再利用を目的として、竹炭による環境阻害物質等の吸着作用を実験的理論的に検討した結果、以下の知見が得られた。(1)竹炭よる界面潜性剤含有排水の吸着処理に関する研究…煙道温度が異なる7種類の竹炭と活性炭を吸着剤に,界面活性剤の平衡吸着実験を行ったところ、竹炭は活性炭ほどの吸着作用は見られなかったが,界面活性剤に対して選択的な吸着作用が見られた。(2)環境阻害物質含有排水の吸着処理に及ぼす各種吸着剤の効果…フェノールおよびビスフェノールAの竹炭を含む各種吸着剤への吸着実験を試み、その性能を比較検討した。竹炭及び3種のポリシクロデキストリンビーズCDPB(α、β、γ-CDPB)による吸着実験から、CDPBへのビスフェノールAの吸着では、最大吸着量はγ-CDPB、吸着平衡定数ではβ-で最も高い値を示した。また熱力学パラメーターの結果から、3種の吸着はすべて発熱反応であり、PCDB自由エネルギー値より、R-CDPBの吸着が最も強いことが示唆された。(3)竹炭及び各種木質炭の物性と吸着能…竹炭及びかぼちゃや松ぼっくり等の天然の木質炭を用いて環境阻害物質の除去率を測定した。竹炭のように、比表面積も大きかった松ぼっくりは比較的どの吸着質も吸着していた。細孔の大きさと分子の大きさが吸着に影響を与えており、細孔が溶けていたり、潰れてしまっている、てっか梨やなすび、もともと細孔の数が少ない柿やまめには、分子が吸着しにくく、除去率が低くなったと考えられる。(4)竹炭及び改質竹炭による環境汚染物質の吸着処理…真竹及び備長竹炭にシクロデキストリンをコーティングした複合体を用いて、吸着能を比較検討した。その結果、真竹ではシクロデキストリンをコーティングすることで、一部を除いて除去率が高くなる傾向が得られ、備長竹炭では減少、またはほぼ変わらないという結果が得られた。この結果から、改質竹炭の吸着性能には分子サイズが影響していることが示唆された。
著者
田中 周平
出版者
山口県立大学
雑誌
山口県立大学看護学部紀要 (ISSN:13430904)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.91-99, 2005-03

本論は、救急看護におけるフィンクの危機モデルの活用実態を分析することで、その特徴から臨床応用への留意点を導き出し、危機的な状況にある対象への個別的な看護ケアの在り方の手がかりを得ることを目的とした。フィンクの危機モデルは、中途障害者の危機への適応の過程をモデル化し、治療的介入とマズローの動機づけ理論との関係性を示したものである。このモデルの活用における特徴を明らかにするため、モデルの概要を踏まえ、1994年以降の医学中央雑誌Webのデータベースから抽出した先行研究10件のレビュー分析を行い、検討した。結果としては、このモデルを概念モデルとして活用した事例研究がほとんどであり、研究対象や危機状況・場面などにおいて、本来のモデル通りの活用だけではなく、異なる対象、状況・場面への活用もされている現状であった。さらに、分析過程においても、多くの先行研究でモデル構築の土台となった理論や視点を踏まえていなかった。以上のことから、救急看護におけるフィンクの危機モデルの活用には、対象、状況・場面などに関する構築背景への理解が必要である。これらが軽視されると、臨床現場での活用は機械的なものとなり、その結果、危機状況を十分に考慮した個別的な看護ケア実践が障害される可能性がある。
著者
内田 充範
出版者
山口県立大学
雑誌
山口県立大学学術情報 (ISSN:18826393)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.17-26, 2013-03-31

In this paper, a comparative analysis of trainees descriptions and training instructors comments from dailyrecords of the training with 21 supervision elements will be performed in order to make clear the way the social workers, who are the training instructors of the social worker education curriculum, are developing training supervision.As a result, the training instructors begin by building the first half of the training on supportive function. Then, from the middle stage, they develop training supervision by displaying the educative function through implementation of training assignment. Moreover, as far as managerial function is concerned, it is carried outmainly through verification of requirement during pre-assessment visit, verification of the daily program during the training and through a progress control of the training by assessing it afterwards. The link with the evaluation at the end of the training was obvious.As a future challenge, we think that it is necessary to teach concretely to the trainees how to take daily notes about supervision and to require training instructors to take into account supervision in their comments.
著者
水谷 由美子
出版者
山口県立大学
雑誌
山口県立大学生活科学部研究報告 (ISSN:13444999)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.43-51, 2000-03-25

パンプローナ市で毎年7月6日から7月14日まで実施されるサン・フェルミン祭は,守護聖人を敬う地域的な祝祭儀礼である。現代では世界的に有名になり,伝統的なものばかりでなく,現代的なプログラムも増えている。こうした中で祭りの本質と言えるものが,エンシエロ(牛追い),祝日の行列そしてヒガンテスとその仲間のパフォーマンスであり,そこにはこの都市固有の伝統的な文化が表されている。特に,サン・フェルミン祭では老若男女が皆,全身白い服装をして首に赤いスカーフを巻くという戦後から定着してきた仮装に特徴がある。本論は1999年に筆者がフィールドワークした成果を報告する中で,この固有の仮装と伝統的な祝祭儀礼という文化的なパフォーマンスについて記述し,そこで生成されるパフォーマンス空間の意味と機能について検討したもの。
著者
木戸 久美子 林 隆 藤田 久美
出版者
山口県立大学
雑誌
山口県立大学社会福祉学部紀要 (ISSN:1341044X)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.123-130, 2007-03-20

There are many evidences supporting the lack of skills for living in the background of increasing artificial abortion and sex transmitted infection (STI) in adolescents of Japan. World health organization (WHO) has been proposed that educational programs about skill for living are effect for preventing AIDS in teenagers. Especially peer education is strongly recommended foe useful and good for youths. However, there is no report about the effectiveness of peer education in acquiring skills for living.The purpose of this study is to clarify the effectiveness of peer education about HIV/AIDS for acquiring the skill of living in high school students (i.e. : decision making, skill of communication, self esteem). Participants consisted of 12 female and 15 male high school students aged from 16 to 17 years. Also, the peer educators were university students. The results showed that 93.6% were positive answer for peer education technique. There was no statistically significant difference between pre and post peer education in the aspects of decision making, skill of communication, self esteem. There was significance in change of awareness about reproductive health rights (p=0.007). We conclude that only one trial of peer education may be hard to get the skill for living.
著者
三原 博光
出版者
山口県立大学
雑誌
山口県立大学看護学部紀要 (ISSN:13430904)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.39-44, 1999-03

本研究の目的は, 行動変容アプローチによる老人の言語訓練を実施し, その介入効果を検討することである。具体的にいえば, 特別養護老人ホームで生活する87歳の女性の老人の言語的表現の増加を目標に行動変容アプローチによる介入を行なった。この老人は, 過去, 8年間, その施設に入所していた。施設で生活を始めた頃は, 他の入所者や施設スタッフと日常的会話もみられたが, 最近, この老人には, 言語的表現がほとんどみられなかった。原因として, 老化に加えて施設の限られた生活環境, 例えば, 入所者の重度化や施設スタッフの多忙さなどによって, 他の人々と話をする機会が減少したことが考えられる。そこで, 介入の目標行動として, この老人の言語的表現の増加が目標とされた。もしも彼女に言語的表現がみられたとき, 介入者は言語的賞賛と身体的接触を行った。その結果, 6か月の介入後, 以前よりも, 彼女の言語的表現数が増加した。
著者
鈴木 隆泰
出版者
山口県立大学
雑誌
山口県立大学大学院論集
巻号頁・発行日
vol.8, pp.a1-a15, 2007-03-22

It has been generally accepted that Buddhism is the teachings of Buddha by which all sentient beings can become buddhas. This general understanding among the Buddhists led to the continual compilation of the Buddhist scriptures called sutras even after the Buddha Sakyamuni had entered into his perfect peacefulness (parinirvrta), and at length gave rise to Mahayana Buddhism, great teaching of Buddha that can convey all sentient beings from the world of suffering to the sphere of supreme enlightenment. This paper takes up several typical and famous examples from among Mahayana Sutra Literature and attempts to elucidate how the followers of Buddha have interpreted "the Buddha's real intention" in relation to the difference of time, place, and the people concerned.
著者
大石 由起子 木戸 久美子 林 典子 稲永 努
出版者
山口県立大学
雑誌
山口県立大学社会福祉学部紀要 (ISSN:1341044X)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.107-121, 2007-03-20
被引用文献数
8

Peer Support is a support system that utilizes the peer relationship. Usually counseling is done by a professional counselor who is educated in psycho therapy. However, in Peer Counseling the counselor is a peer of the person receiving counseling, one who stands in the same position or has the same disorder or the same experience as the person being counseled. There are two merits to using peer counseling at universities and colleges. First, it can help students who are having some problems in their campus life. Second, the peer counselors who volunteer to participate can experience some growth in themselves as well. In this paper we reviewed selected recent articles on peer support or peer counseling in Japan in the fields of welfare, health and student counseling. These articles are reviewed from the following four points : 1) start and structure of peer counseling (peer support); 2) programs of peer counselor education; 3) reports of peer counseling practice; 4) maturing or changing of students in peer counselor training.