著者
木越 俊介
出版者
山口県立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本替については、調査の過程で状況証拠となるものしか提示できないことが判明したので、上方読本と江戸読本との内容的な差異や類板の問題について考究した。その中で、従来、文政年間に刊行されたとされてきた武内確斎作『絵本室之八島』について注目し、研究史上初めて「文化五年」の刊記を有する早印本を発見し、作品研究を行った。その結果、上方読本の中でも極めて江戸読本の作法に近い作風であることが分かった。
著者
神田 知子 高正 晴子
出版者
山口県立大学
雑誌
山口県立大学学術情報 (ISSN:18826393)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.50-55, 2008-03-31

朝鮮通信使とは,江戸時代に1607年から1811年まで,約200年間計12回にわたり,朝鮮国王から幕府に派遣された総勢300~500人もの平和外交使節団である.2007年は第1回から400年目の年にあたるため,「朝鮮通信使400周年記念,しものせき馬関まつり参加事業」の一環として朝鮮通信使おもてなし (饗応)料理の再現が行われた.再現した料理は1711年8月29日に,長州藩主毛利吉元が自ら接待にあたり,「長門下之関御馳走一番(長州藩の御馳走が一番)」と評された時の饗応料理の中で,三使(正使,副使,従事官)に提供された五五三膳と引替三汁十五菜の一部である.再現料理に要した食材料の種類から,動物性たんぱく質源である魚介類が多いことがわかった.また,保存効果や抗菌効果をもつ山椒やからし,わさびなどの香辛料が多用されていることがわかった。
著者
堤 雅恵 佐藤 広美 水田 久美子 山口 健二 好村 朋子 広瀬 春次
出版者
山口県立大学
雑誌
山口県立大学看護学部紀要 (ISSN:13430904)
巻号頁・発行日
no.11, pp.23-27, 2007

近年、認知機能を維持したり、不安やストレスを解消したりする方法の一つとして、日記を書く習慣をもつことが推奨されている。しかしながら、仮に日記が高齢者にとって受け入れ難いものとして認識されているならば, 認知機能の維持やストレス解消のための方法とすることは困難であると考えられる。我々が検索した範囲では、高齢者の保健・看護の分野において日記に関する調査は見あたらず、高齢者における日記を書く習慣の実態は把握されていない。そこで今回、高齢者における日記を書く習慣の実態を把握するとともに、日記を書いている人と書いていない人との生活状況を比較した。その結果、多くの高齢者が日記を書く習慣を有しているという実態が明らかとなり、また、日記を書くことが外出や会話の頻度と関連している可能性が示唆された。
著者
田中 耕太郎
出版者
山口県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

育児の領域では、児童手当が政党間の理念の対立と制度変更を経て税の体系に一元化され、育児期間の年金算入と年金分与も女性の老後保障をめぐる立場の違いを超えて社会に定着してきたが、そこでは連邦憲法裁判所判決が決定的な影響を与えた。これに対して、若い親世代に対する育児手当と育児休業、保育所等の整備については、大きな流れはできつつあるものの、なおそのあり方をめぐって意見の対立と政策の模索が続いている。
著者
松本 耕二 北村 尚浩 國本 明徳
出版者
山口県立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2002

本研究は、体育・スポーツ領域におけるボランティアの多様性に着目し、これまで日常的な活動に携わる「コミュニティ・ボランティア」と、一時的に単発的にかかわる「イベントボランティア」の活動意識における類似点および相違点を明らかにすることを目的としている。平成14年度は、主に青少年スポーツ(健常・体育スポーツ領域)と障害者スポーツ(障害・福祉領域)の活動参加者を対象とした団体(NPO法人スペシャルオリンピックス日本)やイベント(第10回全国中学校駅伝大会、第3回山口県障害者スポーツ大会、2002スペシャルオリンピックス日本夏季ナショナルゲーム・東京大会)への質問紙調査を実施しデータ収集を実施した。平成15年度は、研究成果の公表(日本体育学会、山口県体育学会)と活動継続性に着目した調査(2004スペシャルオリンピックス日本冬季ナショナルゲーム・長野大会)を中心に実施した。これらの調査等で収集したデータは、逐次、集計・分析し、研究成果を下記の通り発表・公表している。(1)障害者スポーツ・ボランティアの活動継続に関する一考察-バーンアウト尺度の適用-(2)障害者スポーツイベントにおけるボランティアの参加動機-性別、年代別、活動経験別による比較-(3)動員型イベントボランティアの活動満足と継続性に関する考察(4)障害者スポーツイベントにおけるボランティアコーチの参加動機(5)スポーツ・ボランティアの参加動機と組織コミットメントと継続意欲-地域の障害者スポーツを支えるボランティア-本研究の目的とするボランティア参加者の没我度と活動継続性については組織コミットメントを中心に分析・公表したが、活動領域(活動内容レベル)、活動対象・内容別の比較検討が課題となっており未だ明らかになっていない。早急に進めたい。以後、実際に活動するボランティアの活動継続性への影響、所属団体の持つ活動の指向性(競技指向や社会的活動指向など)との類似・相違点さぐり、課題や問題点を明らかにすることとしたい。
著者
吉本 秀子 三宅 義子 藤目 ゆき 纐纈 厚 吉本 秀子 三宅 義子
出版者
山口県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

これまで在日米軍基地問題は、主として政治領域の問題として扱われてきたが、本研究は、これにジェンダーの視点を持ち込み、女性を中心とした岩国市民のオーラル・ヒストリーを記録することで、基地問題を公的領域としてだけでなく、公的領域と私的領域を橋渡しする問題として捉え直している。三宅は、岩国市民のキーパーソンに聞き取り調査を実施、オーラル・ヒストリーを記録した。藤目は、占領期における基地被害を女性史の視点から描き出し、著書『女性史からみた岩国米軍基地』を出版した。纐纈は、日米安保条約の枠組みから見た岩国基地の位置を考察した。吉本は、在日米軍基地が米国でどう報道されてきたかについて、ニューヨークタイムズ紙を例に分析した。基地問題で私的領域は顕在化しにくい。本研究は、顕在化しにくい部分を聞き取り調査と一次史料調査で顕在化させることを試みた。また、メディア分析で私的領域が公的領域として顕在化する事例を探った。
著者
李 修京
出版者
山口県立大学
雑誌
山口県立大学大学院論集
巻号頁・発行日
vol.6, pp.21-31, 2005-03-31

This research mentions abouto a relation with the United States in South Korea. How does South Korea receive its policy tugged by U.S sure enough? Moreover, whot has happened to the situation of South Korea which has a U.S. Base like Japan? In this paper, the focus was put on the viewpoint "the side which received support since it was stable, social order and", it summarized about the United States which supported with South Korea which received support after the war, and the through discussion is tried about the relation betwee South Korea and the United States, the problem of a background, etc. Moreover, with regards to how future international society and the peace building of northeast Asia which especially includes South Korea, it is also considered as what kind of role it should exist.
著者
林 ひょん情
出版者
山口県立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

日本語と韓国語の呼称表現がそれぞれの場面、相手、発話内容などに応じて、発話の中で戦略的意図を持って使用されていることに着眼し、ポライトネス・ストラテジーの観点から両言語の呼称の使い分けを対照・分析した研究である.その結果、「社会距離」と「力関係」の要因が発話場面の負担の度合いに関係なく、両言語の呼称選択の丁寧度に強く影響していることが分かった.また、両言語の呼称語によっては、述語表現の選択にかなり柔軟性を持っ表現があることが明らかになった.性差にっいては、とりわけ聞き手が話し手より同等か目下の関係において影響が強いことが分かった.
著者
川口 喜治
出版者
山口県立大学
雑誌
山口県立大学國際文化學部紀要 (ISSN:13427148)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.75-89, 95_a, 94_a, 1998-03-25

孟浩然是著名的盛唐自然詩人・田園詩人。因篇幅関係本論分為上篇和下篇。上篇整理了関于孟浩然詩的自然風景描写的歴代主要研究。本稿(下篇)継承上篇而着重考察孟浩然作品中的自然風景描写的特点。孟浩然詩的自然描写特徴, 一箇是詩人対于自然参与的態度具有積極性, 還有一箇特徴是歴代評論和現代研究家所論之「清」的用字・詩風。本稿将把這両箇特徴之間的関係作為中心来考察孟浩然詩的自然風景描写。孟浩然詩中有両種最顕著的自然描写。一箇是対于具有透明性(形容詞是「清」)的河・湖的描写。并且引人注目的是詩人不僅描写河水・湖水的透明性(本稿称作「視覚的透明性」), 而且屡次描絵水中活動的生物(魚類等)。孟浩然玩賞的対象不但是清〓的河水・湖水, 而且還有水中生物, 這足以表現出詩人対于自然的参与態度的積極性。従別的観点来看, 水的視覚的透明性(即「清」)将詩人対于自然的積極参与成為可能。与透明的河水・湖水一起, 孟浩然有時還描写垂釣。孟浩然似乎愛好垂釣, 詩中垂釣的描写比較多。論者分析垂釣是「人」対于「自然(魚)」的積極参与的一箇典型行為。因此論者認為孟浩然愛好垂釣, 自然也就表現出詩人対于自然参与的態度的積極性。其他的最顕著的自然描写是清晰(形容詞是「清」)的声音描写。本稿所列挙之声音都是比較細微的。如説露珠自竹葉上滴下之声,幽清的松風声・泉水声等。詩人是主動傾聴這細微的声音。這種主動傾聴微細声音的態度就足以表現出詩人対于自然的参与態度的積極性。并且値得注意的是描写的時間大都是夜間。這時四辺寂静無声。因此細微之声也易為詩人所聴到。即夜間寂静的環境(本稿叫做「聴覚的透明性」)将詩人対于自然的積極参与変為可能。論者進一歩認為孟浩然詩中這種声音描写的形容詞「清」除具有本来意義的「清晰」之外, 同時也意味着寂静無声而細微之声也能聴到的聴覚的透明性環境。
著者
中谷 信江 張替 直美 宮腰 由紀子
出版者
山口県立大学
雑誌
山口県立大学看護学部紀要 (ISSN:13430904)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.49-57, 2003-03

本研究は、看護基礎教育における看護技術習得に向けた効果的で効率的な学習支援策検討の基礎資料を得る目的で、気管内吸引技術を取り上げ調査した。A大学の卒業生2学年(1期目入学生 : 以下、1期生と記載、及び、2期目入学生 : 2期生)を対象としたアンケート調査にて、気管内吸引技術の教育が、卒業後の教育対象者の記憶と同技術への自己評価にどのように影響するかを明らかにした。その結果、「就職後の技術に対する自己評価」に関連する要因として、「就職後の技術実施経験の有無」・「期生(経験年数)」及び「学内授業終了時の技術に必要な知識の獲得意識の記憶」の3項目が認められた。また、2期生は、1期生よりも「学内授業終了時の技術に必要な知識の獲得意識の記憶」が高率で、「学生自身がモデル人形に実施した記憶」、「授業が楽しかった記憶」、「手技の原理を学んだ記憶」も高率であり、「複数の教員のデモンストレーション」「"小集団"及び"実施手順を用いた"学生自身のモデル人形に対する実技体験」を受けていた。
著者
安渓 遊地
出版者
山口県立大学
雑誌
山口県立大学國際文化學部紀要 (ISSN:13427148)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.A1-A9, 2006-03-07

ある日本の島で出会った女性は,「もし人が救われるなら,学問で救われる。人が滅びるならば,学問で滅びる」という知恵の言葉を,島の高齢者から教わって育った。そして,民俗や植物についての知識に興味をもつ少女となったあと,島を訪れるさまざまな研究者と接することになるが,その中で,お手本とすべき人はごく少数であった。彼女の記憶に残るのは,資料を借りて返さぬ人,島びとの研究の成果を自分のもののように発表する教授など,島びとを人間としてあつかわないおごりに満ちた姿だった。こうした悲しみの語りを教材として,いかにしてフィールドワークにおける研究という営みをめぐる問題点を乗り越えることができるのか,それを学生たちとともに考えてみたい。
著者
志村 哲郎
出版者
山口県立大学
雑誌
山口県立大学社会福祉学部紀要 (ISSN:1341044X)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.1-9, 2007-03-20

In this paper we treat on the notion of the disability and the disabled people or people with disability. Making a comparative study of the international classification of disability, health of 1980 with the new model of 2001's of WHO, we reconsider the definition and the meaning about the category of "impairment", "disability".