著者
吉尾 清
出版者
岡山大学
雑誌
岡山大学経済学会雑誌 (ISSN:03863069)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.1015-1052, 1999-03

The purpose of this paper is to consider the problem of mendicity in London during 1800-1824. This paper shows that Matthew Martin's reports and the activities of the Society for the Suppression of Mendicity had a great influence on public policies toward the vagrants. First, I took up Martin's enquiry into the state of mendicity from 1800 to 1803. He endeavoured to discover the nature and extent of mendicity and to offer some suggestions for the general suppression of this evil. His report, in the form of a Letter to Lord Pelham on the State of Mendicity in the Metropolis, was published in 1803, and reissued in 1811. The members of Parliament acknowledged the problem of mendicity because of his reports. Secondly, I examined the reports ofthe Society for the Suppression ofMendicity founded in 1818. The managers of the Mendicity Society had already prepared the draft of this bill, when the subject of vagrancy wasbrought before the House of Commons. The views taken by the Mendicity Society were adopted in the vagrancy act of 1824.
著者
柴田 凡夫
出版者
岡山大学
巻号頁・発行日
1963

博士論文
著者
外園 正純
出版者
岡山大学
巻号頁・発行日
1953

博士論文
著者
稲田 利徳
出版者
岡山大学
雑誌
研究集録 (ISSN:04714008)
巻号頁・発行日
vol.99, pp.1-13, 1995

日本の文学史に甚大な影響を及ぼした優れた作品を残した作者の追究が盛行しているのは、しごく当然の営為であり、それ相当の意義がある。それとは逆に、ささやかな作品しか現存させ得ず、文学史のなかに埋没して希薄な存在になっている作者に、スポットを当てる試みも、マイナーな作家発掘という好事家的趣味とは別次元の意味においてなされてしかるべきである。ここに宗久という歌僧がいる。「都のつと」という紀行文学作品を残すとともに、三つの勅撰集に四首の和歌が入集する歌人でもある。彼は南北朝という疾風怒濤の時代に出家を遂げ、九州から東北地方まで仏道修行を目的とした漂泊の旅を遂行した後、京洛の歌壇にも登場する一方、今川了俊の九州鎮定の際、その使僧としても活動している。そこに南北朝の時代を生き抜いた、文人的な僧侶の生きざまが、複雑な陰翳を伴って彷彿としてくる。この論考では希少な作品や記録類によって、わずかに辿ることのできる足跡を綴り合わせながら、宗久の生の有様と作品の一端に触れてみたい。
著者
金谷 健一 菅谷 保之
出版者
岡山大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012

画像データからの高精度な幾何学的な推定(直線や楕円の当てはめ,複数画像間の対応の関係式の計算)には従来から最尤推定が用いられていたが,それより精度が高い「超精度くりこみ法」を導出し,さまざまな実際的な問題に応用した.同時に最尤推定解を補正する「超精度補正」の精密化を行い,同程度の精度が達成できることを実証した.また未知数間に拘束条件がある場合にも最適な推定ができる「拡張 FNS 法」の新しい定式化を示し,東日本大地震の GPS による地盤変形データの解析に適用した
著者
三浦 孝仁 中塚 茂巳 山田 眞佐喜 片山 敬子 株丹 恵子
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

この研究は、障害者のための潜水指導方法を確立することである。その為に、(1)障害者ダイビング指導団体の現状と課題の調査、(2)潜水活動中の神経活動の推定、(3)障害者ダイバーの障害の種類、(4)障害者ダイバーの血圧及び肺機能測定、(5)障害者ダイバーの水中移動・停止のための泳法を水中ビデオにより撮影・画像分析、(6)障害者ダイバーの水面における回転技術、(7)水中におけるバランス確保のためのウエイト取り付け方法について調査・分析を行った。
著者
鳴坂 真理
出版者
岡山大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

作物の病気の発生を防ぐことは農業にとって最も重要な課題である。しかし、植物の病気には病原体認識、その後のシグナル伝達、抗菌性物質の産生など多くの遺伝子が関与するため、少数の遺伝子を用いた遺伝子発現解析では病害応答を精緻に理解することは困難である。そこで、一度に千から数万の遺伝子の動きを解析できるマイクロアレイを用いて、「カスタムアレイ設計の方法論の確立」および「遺伝子診断法の確立」を試みた。
著者
小田川 大典 太田 義器 安武 真隆 犬塚 元 石川 敬史 遠藤 泰弘
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

研究成果の概要(和文):オットー・フォン・ギールケ、ジョン・スチュアート・ミル、ジョン・アダムズ、デイヴィッド・ヒューム、フーゴー・グロティウスの著作の解読を中心に、近代政治思想史における制度論の諸相について思想史的、理論的な研究を行い、社会思想史学会(2012、2013、2014)、日本政治学会(2013、2014)で関連するセッションを開催した。また関連する研究報告を政治思想学会(2013)で行った。
著者
洲崎 雄
出版者
岡山大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2012

多くの生物の繁殖行動は、時計遺伝子によって生じた概日リズムによる時間制御を受けている。交尾を行うタイミングが慨日リズムに支配されていることが、いくつかの研究で示されているが、交尾に付随して起こるその他の繁殖行動と概日リズムの関係を調べた研究例はない。そこで、本研究では、繁殖行動の慨日変化が報告されているホソヘリカメムシRiptortus pedestrisを用いて、慨日リズムがオス間闘争に与える影響を調査する。24年度では、概日リズムの周期が短い個体と長い個体を選抜した系統を作出し、概日リズムに対する選抜が繁殖行動にどのような影響を与えるかを調べる予定であったが、選抜を行う際に、幼虫の死亡率が高かったため、系統の確立および実験を行うことができなかった。そこで、24年度から25年度にかけて、概日リズム選抜をかけていない個体を用いて、闘争行動の日周変化を調べた。その結果、本種のオス間闘争は明期後半に最もよく観察された。したがって、本種のオスの攻撃行動は、概日リズムの影響を受けていることが示唆された。本研究の結果は、国際誌『Entomological Science』に受理された。また、本種の性選択について、闘争行動以外にほとんど知見がないため、本種の配偶者選択についても実験を実施した。メスの配偶者選択で支持される形質と、配偶者選択によってメスがどのような利益やコストを受けているかを調査した。半きょうだい解析の結果、オスの魅力度は求愛率、武器形質サイズと正の遺伝相関を持っていた。また、オスの魅力度と求愛率、武器形質サイズは有意な遺伝分散を持っていた。したがって、魅力度の高いオスとの交尾は、メスにとって、繁殖成功度の高い息子を得るという間接的利益があることが判明した。本研究の結果は、国際誌『PLo SONE』に掲載された。さらに、本種の求愛率と体サイズ、武器サイズの関係を調べたところ、求愛率は体サイズ、武器サイズと負の相関を示していた。これは、闘争能力の低いオスはより求愛行動に投資するという代替繁殖性術を採っている可能性を示唆している。この結果は、国際誌『Entomological Science』に投稿され、改訂後受理という回答を得ている。
著者
錦織 淳美
出版者
岡山大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

○研究目的 :病院-薬局薬剤師の真の連携を実現するために、病院薬剤師による入院患者の服薬アドヒアランス評価および患者指導データを薬局薬剤師と共有し、患者の外来診療での服薬アドヒアランス総合評価を各種病態・検査値の変化と共に経時的に観察する。さらに、如何なる患者の特性が服薬アドヒアランスの維持に影響を与えるかを薬局薬剤師からの情報をもとに明らかにする。○研究方法 :対象は岡山大学病院循環器内科病棟に入院歴のある冠動脈疾患、心不全の慢性疾患患者とし、以下の調査を行った。1, 入院患者のこれまでの服薬(服薬アドヒアランスを含む)に関する自己評価、2, 病院薬剤師による服薬評価、3, 薬局薬剤師による服薬評価、4, 外来での病識・薬識の経時的変化調査、である。薬剤師は、患者の入院・外来通院中における病識・薬識・内服コンプライアンスを各5段階で評価を行った。また薬局薬剤師は、処方薬の残数チェックにより、服薬アドヒアランスの厳守度を経時的に評価した。また、心血管リスク因子として脂質検査値(LDL、HDL、TG)、血糖検査値(HbA1C(NSGP)、IRI)や腎機能検査値(Cr、UA、K)を経時的に調査した。さらに、患者の疾病再発率と患者の特性との相関を検討した。○研究成果 :計10例の患者情報を収集・解析した。病院および薬局薬剤師間で病識・薬識・内服コンプライアンス評価が一致する場合がほとんどであったが、一部、評価が異なる場合もみられた。アドヒアランスに問題のある患者が抽出され、より効果的な指導や処方提案につなげていくことが可能であることが明らかとなった。また病院との患者情報共有により、適切に患者服薬指導を実施することができたと薬局薬剤師からの高い評価を受けた。今後、研究を継続し、外来患者の薬物治療管理・検査値変化・予後改善について調査を重ねていく。
著者
上神 貴佳 堤 英敬
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究の目標は、事実上、日本の首相を決める、自民党総裁選のメカニズムを解明することにある。とりわけ2000年代に入ってから、毎回、党員投票が実施されるようになるなど、同党の総裁選には大きな変化が生じている。一方、国会議員の投票行動には変化が生じているのか否か、(生じているとすると)どのような変化なのか、地道なデータの収集を通じて、その解明を試みた。現在、詳細な分析を続行中であるが、投票行動における派閥要因の低下が予想される。無派閥議員の増加など、派閥の拘束力低下をうかがわせる傾向と軌を一にする結果が得られるはずである。
著者
薛 献宇 神崎 正美 伊藤 英司
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

本研究では水を含む重要なマントル鉱物並びに関連化合物の構造(水の含有量・存在状態、カチオン(Si,Al,Mg等)配置の秩序性、欠陥構造など)を高度な多核種・多次元固体NMR分光法により解明した。また複数の新しい高圧相を発見し、その結晶構造を決定した。これらの情報は地球内部鉱物の物性並びに地球のダイナミックス・進化をモデリングするために必要不可欠な基礎データとなる。
著者
小野 清美 飴野 清 原 量宏 奥田 博之 秋山 正史 柳原 敏広
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

成育医療は妊娠中から出産後まで、母親から胎児、新生児、小児、キャリーオーバー、思春期、成人に至る一連のサイクルに係わる疾患に関する医療であり、これらを一括し連続で診ていく医療である。この成育医療の中では専門家の壁はなく対象者のニーズに応じた医療となってきている。しかし、周産期医療のレベルではわが国でも極めて高くなっているが、母親と子どもをとりまく環境はこの20年の月日の中で、技術の革新、情報化に伴い大きく変わってきた。女性の高学歴化、自立、家事労働の合理化、ライフスタイルの変化、相対的な労働人口の減少などにより、働く女性の増加に伴って、多様性のある女性の健康と人権(リプロダクティブ・ヘルス/ライツ)やりプロダクションサイクルの問題にも対応する必要性が生じ、総合的な施策が言われるようになってきた。こうした成育医療の観点から妊娠と車の問題は、乳幼児の事故防止や救急医療体制などからチャイルドシート(以下CRS : child restraint system)は大きな社会問題となり、ついに2000年(平成12)4月1日から着用の義務化となった。そこで、本研究は法制化の前年の状況・法制化された年・その後の状況(平成11年から13年まで)までのCRSを取り巻く状況を考察し、緊急時および母子保健の視点で"母子保健システムの支援体制"の私案を発表し助産婦の取るべきマネージメントの重要性を導いた。具体的な展開の一例として母親学級にアプローチし、「命」と「心」に向けた模擬授業の実践を本学助産婦コースの学生に実施し、バーチャルリアリティの授業の開発をした。
著者
宮崎 和人
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

1)語法研究的・要素主義的アプローチから文論・機能主義的なアプローチへ. 2)命題とモダリティを切り離す分析から両者の有機的相関性の解明へ. 3)主観性モダリティ論から現実性モダリティ論へ. 国内外の研究動向の検討および実行系のモダリティの分析を通じて、日本語モダリティ論の再構築は、こうした基本理念に基づいて進められていくべきであるということを確認した.
著者
山本 結花
出版者
岡山大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2012

真社会性ハチ目やシロアリ目に見られる不妊カーストがどのように進化したのか。これは、ダーウィンの自然選択理論における最大の難点であった。ハチ目は半倍数性であり、血縁度に雌雄非対称性が生じるため、血縁選択説によって社会性の進化を説明することが出来る。一方、シロアリ目は倍数性である故に血縁選択説による社会性の進化を説明できず、真社会性シロアリ目の存在は、血縁選択だけでは説明しきれない部分を浮き彫りにしている。シロアリの真社会性はハチ目の真社会性とは全く独立に進化したものであり、シロアリの研究が進むことによって、昆虫における社会性の進化を総合的に理解することが可能になる。候補者は真社会性昆虫の最大の特徴である繁殖分業に着目し、以下の研究を行った。これまでに、二次女王の分化を抑制する女王フェロモンの成分がヤマトシロアリにおいて特定されていた。本研究では、シロアリの女王フェロモンにおける種間交差活性試験を同属7種のシロアリ(R. speratus, R. amaminanus, R. miyatakei, R. yaeyamanus, R. okinawanus, R. flavipes and R. virginicus)を用いて行った。その結果、ヤマトシロアリR. speratusの女王フェロモン成分は近縁の2種(R. amamianusと、R. miyatakei)においても女王分化を抑制する効果を持ち、これら2種ではヤマトシロアリと同じ成分が女王フェロモンとして利用されていることが示唆された。さらに、他の同属他種に対する抑制効果の有無と種間の系統関係から、フェロモンの分化は単に系統学的な要因だけではなく、生態学的な要因の両者から影響を受けていることが示唆された。本研究は、女王フェロモンの種間交差活性に対する初めての報告であり、女王フェロモンの進化過程を理解する上で重要な知見となる。
著者
津田 敏秀 頼藤 貴志 土居 弘幸 鹿嶋 小緒里
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

国内では大気汚染の健康影響を評価した疫学研究は依然として少ない為、下記目的を達成するために研究を行った。①短期曝露と疾病罹患の関連評価、②短期曝露と疾病別死亡の関連評価、③大気汚染曝露と周産期指標の関連評価、④大気汚染曝露と児の疾病罹患との関連評価。結果として、①では短期曝露により、循環器疾患、呼吸器疾患、心停止による救急搬送のリスクが上昇していた。②においては、日々の二酸化硫黄の濃度と疾病別死亡との関連を認めた。③に関しては、曝露モデルの検討を行っており、更なるデータ蓄積と解析を行う予定である。④に関しては、妊娠中の曝露は満期低出生体重児を増加させ、発達にも影響を及ぼしていた。