- 著者
-
玉木 直文
- 出版者
- 岡山大学
- 雑誌
- 若手研究(B)
- 巻号頁・発行日
- 2006
歯周病に対して,機械的刺激を重視した術者ブラッシングと細菌の徹底的な除去を目的とした初診時感染源除去法の2種の処置を行い,歯肉縁下歯垢の細菌叢の経時的な変化を,分子遺伝学手法を用いて解析することを目的とした。岡山大学病院・予防歯科に来院した患者のうち,20本以上の歯があり,プロービング・デプスが5mm以上の歯を4本以上有する者12名を対象とした。治療期間は28日で,7日目までは毎日処置を行い,その後は14,21,28日目に治療を行なった。処置内容は,つまようじ法による術者ブラッシングと初診時盛染源除去法とし,対象者をランダムに分けた。細菌叢の分析のための歯垢は,0,7,14,28日目に歯肉縁下から採取した。細菌叢は分子遺伝学的手法(変性剤濃度勾配ゲル電気泳動法,real-timePCR法)を用いて解析した。牽性剤濃度勾配ゲル電気泳動法の結果,両群とも治療寧過とともにP.gingivaJis等の嫌気性菌の検出頻度が減少し,Neisseria等の好気性菌の割倉が増えた。さらに,rea1-time PCR法の結果,全菌数は両群とも7日目以降に初夢時よりも有意に減少していだ(P<0.01,Wilcoxon test)。さらに,P.gingivalisにおいては初診時と比べて術者みぶき群では14日目,28日目に,初診時感染源除去碧では28日目に有意差に減少していた(P<0.05)。A.actinomycetemcomitanceは両群とも有意差は無かった。P.intermediaは,術者みがき群において7日目,14日目において有意に減少していた。T.dentiCOlaとT.forsythiaは,両群とも7日目以降に有意に減少していた。