著者
工藤 値英子
出版者
岡山大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011

一般市中病院に肺炎のため入院した患者を対象として,肺炎と歯周病との関連性について統計学的に検討した。歯周病が重度であるほど肺炎に罹患しやすく,特に,誤嚥性肺炎になりやすい可能性があることが示唆された。これまでに私が参加した研究から,歯周病細菌感染度検査である病歯周病細菌に対する血中IgG抗体価が,歯周病重症度と有意に正の相関があることが分かっている。従って,この歯周病細菌に対する血中IgG抗体価による細菌学的評価が肺炎患者の早期スクリーニング検査に有効かもしれない。
著者
山内 峰行
出版者
岡山大学
雑誌
研究集録 (ISSN:04714008)
巻号頁・発行日
vol.97, pp.121-131, 1994
著者
舩曵 信生 岡山 聖彦 中西 透 東野 輝夫 尾崎 亮
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

今年度の研究では,まず,本研究で採用しているピアツーピア通信専用のミドルウェアソフトであるPeerCastでの通信経路の問題点として,経路木が通常は最適なものとならないのに対して,それを動的に改善する機能がないことが知られている.今回,この問題に対し,通信中に経路木の一部を動的に変更するために,データロスなく,コネクションを繋ぎ替える機能の実装とその評価を行った.次に,専用のピアツーピア通信ソフトを用いた動画配信システムにおけるセキュリティホール,高通信負荷,リアルタイム制約,専用ソフトのインストールに伴うユーザ利便性の低下などの問題を解決するために,遠隔講義・テレビ会議などでの各シーンを,静止画と音声の組合せで再構成するデジタル紙芝居に着目し,そのWEB技術を用いた配信システムの研究を進めた.今回,本補助金の最終年に当たり,本システムのためのデータ入力・編集・配信の各プログラムを実装し,本学における実際の講義を用いて,評価を行った.その結果,デジタル紙芝居による講義シーンの再構成は実用的であり,学習への利用に有効であることが明らかとなった.更に,ピアツーピア技術の応用として,WEBキャッシュを信頼の置ける中継ホスト上や無線ルータ上に設けることで,無線メッシュネットワーク環境でもレスポンス性に優れた配信システムを実現した.この無線メッシュネットワークでは,デジタル紙芝居などのユビキタス環境での配信を目指して,高価な高性能ルータと安価な市販ルータで構成される二階層構造を提案した.前者には,信頼できるホストが随時その役割を担うこと,マルチホーム環境対応とすることで,柔軟性,拡張性,アクセス性を実現する.今回,そのためのホスト認証機能,複数チャネル機能,アドレス付与機能などを実現した.
著者
千田 益生 則次 俊郎 堅山 佳美 堅山 佳美
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

麻痺した手・指に対する支援システムでは、手関節を固定し、3本の指(母指、示指、中指)で開き、把持するシステムを作成した。ある程度のピンチ力を導出することができた。指機能が失われた脳腫瘍患者に装着してもらい、音声スイッチによる把持動作を練習している。また、脳卒中など痙性麻痺の手に対する研究として、可動域改善目的のシステムも考案した。音声または手動で、患者自身が行う他動的可動域訓練システムである。痙性麻痺に対するボツリヌス毒素を用いた治療法の後療法として、可動域改善エクササイズが必須である。自宅で毎日エクササイズが可能なシステムを構築した。
著者
山井 成良 岡山 聖彦 河野 圭太 中村 素典 民田 雅人
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

よく用いられている迷惑メール対策手法として,宣伝や詐欺のためのURL(誘導先URL)に着目したフィルタリング技術がある.ところが,最近では誘導先URLの頻繁な変更など,同技術を回避する手法が横行し,その対処が急務となっている.本研究では誘導先URLに含まれるドメインの登録日やそのドメインを管理するDNS(ドメイン名システム)サーバの挙動など,迷惑メール送信者が本質的に回避しにくい特徴に基づく迷惑メール対策手法を確立した.
著者
山本 秀樹
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

町触として出される江戸幕府の出版法は、その上位規定として高札の「いかがわしい書物を取り扱ってはならない」との書物取扱法を持ち、写本にも準用されるものであることを明らかにした。また、豊富な現存史料の公刊がなされているにもかかわらず、それにもとづく史的記述がなされていなかった大阪本屋仲間の歴史記述を開始した。
著者
長岡 紀幸 鈴木 鈴木
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

歯の治療で詰め物やかぶせ物をするとき,これらを歯に接着する前に,予定通りに接合できるかチェックする.この際,これらはだ液や血液で汚染される.一端,汚染されると洗浄しても,ミクロのレベルではきれいにならない,きれいな歯の治療ができるジルコニアと歯を接着するには,接着剤を化学的に反応させることが重要である.しかし,汚染されたジルコニア表面は,接着剤が化学反応し難い.これを解決できる,新しい接着方法を開発した.
著者
草地 省蔵 三好 亨 廣畑 聡 小川 弘子
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

心筋梗塞におけるADAMTS4の発現を検討した。梗塞心の梗塞辺縁領域に強いADAMTS4の発現誘導を認めた。次にADAMTS4ノックアウトマウスを用いて解析を行った。まず、ADAMTS4ノックアウトマウスの心臓形成には明らかな異常は認めなかった。次にADAMTS4ノックアウトマウスを用いて心筋梗塞を作成し、野生型と比較した。梗塞後の生存率には有意な差はなく、炎症細胞の浸潤度および梗塞後の心機能にも有意な差は見られなかった。以上より、19ある他のADAMTSメンバーがADAMTS4ノックアウト心筋梗塞マウスにおいて代償的に働いている可能性が示唆された。
著者
岡崎 正和
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究は,算数と数学の接続を図る授業とカリキュラムを,小中学校の授業に関するデザイン実験を通して開発することを目的とした。理論的には,授業構成を支える認識論,数学教育学における理論形成,記号論的視点の検討を行った。実践的には,主として図形の包含関係,図形の定義,中学1年での比例に関して実験授業を行い,その質的分析を通して,算数と数学の接続に関する理論的・実践的な知見を抽出し,概念化を図っていった。
著者
呉 景龍 峠 哲男 高橋 智 楊 家家 福山 秀直 福山 秀直 高橋 智 楊 家家
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

認知症の早期診断を実現するために(1)海外での認知症調査研究(2)認知症診断技術の国際基準の提案,および(3)認知症社会対策の提言を目指して調査研究を実施した共同研究者,海外の認知症関連研究者と連絡を取って,認知症に関する認知実験などの実験結果の収集,検討を行い,特に健康高齢者と認知症患者の間の触覚の認知機能の差が,認知症の早期診断に有効であるという結果を得た.この結果と本研究で構築したネットワークを元に,国際的な大規模実験に向けての準備をすすめることができた.
著者
内貴 章世
出版者
岡山大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

アカネ科のアリドオシ属においては、二型花柱性(短雄しべ・長雌しべをもつ花と長雄しべ・短雌しべをもつ花がみられる現象)は倍数性と相関し、4数体では二型花柱性が崩壊している。本研究では二型花柱性をもつ2倍体では自家・同型不和合性を示し、二型花柱性を持たない4倍体では自家受精による結実が可能であることが明らかになった。また分子系統学的解析により、4倍体の出現はアリドオシ属内で複数回起こっていることが示唆された。
著者
四方 賢一
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

我々は過去の一連の研究によって、糖尿病性腎症の成因に炎症(microinflammation)が関与していることを明らかにした。本研究の目的は、糖尿病性腎症の成因に関与する炎症関連分子を探索するとともに、microinflammationをターゲットとした腎症の新しい治療薬を開発することである。Oeteopontinノックアウトマウスに糖尿病を惹起して、腎障害の進展を野生型マウスと比較解析することにより、osteopontinが腎症の進展に深く関与しており、腎症の治療標的となる可能性が示された。また、GLP-1受容体が糸球体内皮細胞や単球/マクロファージに発現しており、糖尿病ラットにGLP-1受容体作動薬を投与することによって抗炎症作用を介して腎障害が抑制されたことから、GLP-1受容体作動薬が腎症の治療薬として有望であることが確認された。
著者
前島 洋平 佐藤 靖史
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

慢性腎臓病(CKD)は末期腎不全・心血管疾患の危険因子である。本研究では、内在性血管新生制御因子Vasohibin-1のCKDの病態における機能的解析を行った。Vasohibin-1欠損マウスにおいて野生型マウスに比して、糖尿病性腎症、尿細管間質病変、急性腎障害が増悪した。CKD患者にて、腎組織でのVasohibin-1発現は半月体形成、間質炎症細胞浸潤と相関し、血・尿中Vasohibin-1濃度高値群では、将来的な腎機能低下進展のリスクが増加した。内因性Vasohibin-1のCKD病態における腎保護的効果並びに新規バイオマーカーとしての可能性が示唆された。
著者
長塚 仁 LEFEUVRE M.B.
出版者
岡山大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2010

我々の研究グループは、頭頸部扁平上皮癌における新規癌抑制遺伝子候補の同定のために、ヘテロ接合性消失解析(LOH解析)を行ってきた。これまでの研究成果では、染色体1p36において高頻度にLOHが生じている3つの領域を新たに同定し、新規癌抑制遺伝子候補としてp73、DFFB、UBE4B、RIZ、Rap1GAP、EphB2、RUNX3を同定した。本研究ではこれらの新規癌抑制遺伝子候補について機能解析を行う。平成23年度はRIZ遺伝子について継続して研究を行うとともに、LOH解析で11p15.2領域に新たに同定したDkk-3遺伝子の機能解析を行った。RIZ遺伝子についての研究では、頭頸部扁平上皮癌組織を用いて、これまで他臓器で報告されていたP704 polym OrphismとAsp283Glu polymorphismの二種類の遺伝子多形が頭頸部扁平上皮癌でも生じていることが明らかとなった。polymorphismの有無と臨床データとの相関を検討したところ、P704polymorphismを有する群は、wild type群よりも無疾患生存率、期間生存率ともに長い傾向を示した。また、Asp283Glu polymporphism群は、wild type群に比較して、無疾患生存率、期間生存率ともに短い傾向を示した。RIZの頭頸部扁平上皮癌における詳細な機能については今後さらなる研究が必要であるが、癌抑制遺伝子以外の機能を有する可能性が考えられた。本研究結果は国際英文誌に投稿中である。Dkk-3遺伝子についての研究では、頭頸部扁平上皮癌90症例を用いて。Dkk-3タンパク発現と生存解析を行った。その結果、Dkk-3はLOHで高頻度に欠失している遺伝子であるにも関わらず、腫瘍細胞で84.4%(76/90例)と非常に高頻度に発現していた。さらに興味深いことに、Dkk-3を発現する患者は有意に無疾患生存率が短く(p=0.038)、特に遠隔転移を生じるまでの期間(metastasis free survival)が有意に低い(p=0.013)ことが示された。この結果からは、Dkk-3遺伝子は頭頸部扁平上皮癌では癌抑制遺伝子として機能するのではなく、むしろ転移を促進しているかのような結果であった。この現象については考察を加え、国際英文雑誌Oncology Lettersに掲載された。本研究で得られた成果は、頭頸部扁平上皮癌における抑制遺伝子の理解を深めるものである。
著者
竹内 孔一
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

動詞の語義の曖昧性を解消するために必要な事例と語義の曖昧性を記述するための動詞と名詞の定義集合を構築した.さらに事例をもとに動詞の語義を判別する自動付与システムの構築を行った.事例は新聞記事約1500文に対して約120語の動詞について動詞の語義, 名詞の語義(日本語語彙大系), 名詞の意味役割の付与を行った(整理後公開予定).さらに, 事例を元に統計的学習モデルを利用して動詞の語義と名詞の意味役割を自動付与するシステムを構築した.
著者
田中 智之
出版者
岡山大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

マスト細胞は全身に分布する免疫細胞の一種であり、その性質は分布する組織によって異なることが知られている。本研究では従来検証が困難であった成熟マスト細胞の機能を、新たな培養系を構築することにより検討した。成熟マスト細胞モデルではIgE非依存性の刺激に対する応答性が亢進する一方で、IgE依存性の抗原抗体反応の応答は低下していた。この成果は、組織におけるマスト細胞による免疫応答の調節機構を解明する上で、適切な組織マスト細胞モデルを構築することの重要性を示している。
著者
合田 典子 片岡 則之 奥田 博之 梶谷 文彦 山本 尚武 清水 壽一郎
出版者
岡山大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2002

研究目的:本研究では、エストロゲンの血管内皮細胞に対する作用を実時間で解析するため、ECIS(Electrical Cell -substrate Impedance Sensing)法を用い、細胞-細胞間隙と細胞-細胞下基質間隙および細胞自体の挙動をナノオーダーで定量的に計測した。さらに、これらナノ細胞挙動を引き起こす基礎となる細胞骨格や接着因子のダイナミックな変化を共焦点レーザー顕微鏡と原子間力顕微鏡を併用して観察し、エストロゲンの血管内皮細胞に対する作用を総合的に解析した。研究の成果:種々の濃度の17β-Estradiol(E_2)付加後の内皮細胞の微細動態(細胞-細胞間隙,細胞-細胞下基質間隙,細胞自体の挙動)をECIS法にて経時的に計測したところ、高濃度のE_2の負荷によりインピーダンスは減少し、細胞-細胞間隙が拡がったことが示唆された。原子間力顕微鏡(AFM)を用いて機械的な弾性特性を測定した結果、高濃度のE_2による内皮細胞辺縁部の弾性は変化せず、成熟女性の生体内濃度(E_210^<-10>及びE_210^<-11>mol)では同部の弾性率を各々61%,56%低下させ、生理的濃度のE_2が内皮細胞の細胞ミクロメカニクスを有意に変化させた。また、動脈硬化症の危険因子として注目されている酸化LDLを培養内皮細胞に作用させた実験を併せて行った。健常者の酸化LDLはヒト血漿LDL画分中の0.01%程度とされるが、その影響を強調するため50μg/ml,100μg/ml及び200μg/mlの高用量を20時間作用させた。インピーダンスは全体として11%増大し、細胞-細胞間隙、細胞-細胞下基質間隙共に増大することが示唆された。また内皮細胞辺縁部弾性率はコントロール群に比べ、70〜80%の低下を示し、酸化LDLは細胞内皮の透過性の上昇及びバリア機能の低下を引き起こすことが示唆された。今後、酸化LDLが内皮細胞に及ぼすこれらの作用に対するエストロゲンの効果を検討する予定である。
著者
沢山 美果子
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究では、東北日本の一関藩をフィールドに、一関藩の「育子仕法」のなかで作成された史料群をおもな手がかりに、武士、農民家族の性と生殖について、妊娠、出産という具体的な局面に即して追究した。その結果、「家」の維持・存続と子どもの養育との矛盾のなかにあった農民と下級武士は、堕胎・間引きなどによって出生をコントロールしようとし、そのことが、死胎披露書に記された高い死産率の原因と考えられることなどが明らかとなった。
著者
西村 英紀 高柴 正悟 苔口 進 江草 正彦 高橋 慶壮
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

(1)ダウン症患者の末梢血好中球機能:ダウン症患者の好中球走化能を走化因子としてFMLP,IL-8,C5aを用い評価した。その結果,ダウン症患者由来好中球は用いたいずれの走化因子に対しても濃度依存性に走化性を示した。また至適走化因子濃度における遊走細胞数は同年代の健常対照と同程度であり,機能低下はなかった。すなわち従来報告されているような好中球の走化能に機能低下はなかった。(2)in vitroにおける組織修復機能:ダウン症患者の体細胞は,健常者に比べ,より急激な速度で老化(replicative senescence)することが知られている。これは,細胞の老化マーカーであるテロメアの短縮速度が正常細胞に比べ速いことに起因する。また,静止期に達した細胞では増殖因子による刺激に対して細胞増殖に必須の転写因子であるc-fosの発現が低下することが知られている.そこで,ダウン症患者の体細胞モデルとして老年者由来細胞を用い,塩基性線維芽細胞増殖因子に対する走化能を若年者由来細胞と比較した。細胞には歯周組織の再構築に最も重要であるとされる歯根膜線維芽細胞を用いた。生体の老化に伴って,歯根膜線維芽細胞の遊走能が低下した。また,走化したすべての細包がc-fosを発現しているのに対し,遊走しない細胞では。c-fosを発現した細胞とそうでない細胞が混在していたことから,c-fosが細胞の遊走に関与すること,また老化細胞における走化活性の低下にc-fosの発現低下が深く関与することが示唆された。以上の結果から,ダウン症患者に見られる重度歯周炎の成因には,従来報告のある好中球の機能低下よりも,生体の急激な老化現象がもたらす歯根膜組織の修復能力の低下が関与する可能件が示された。