著者
西澤 弘毅 木下 佳樹
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
日本ソフトウェア科学会大会講演論文集 日本ソフトウェア科学会第20回記念大会 (ISSN:13493515)
巻号頁・発行日
pp.51, 2003 (Released:2003-12-17)

Cousot らによる抽象解釈の理論において暗黙的に用いられている圏論的な構成をいくつか明示し,より広い応用のための基礎を与えることを試みる.
著者
浅井 大史 江崎 浩
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.2_95-2_108, 2012-04-25 (Released:2012-05-20)

インターネットにおける自律システム(AS: Autonomous System)間の接続関係は,相互接続における経済関係および経路交換ポリシーから大きくトランジットおよびピアリングの2つに分類される.本論文ではASの全域部分グラフ(一部のAS間リンクを含まない部分グラフ)からAS規模を定量化し,このAS規模に基づいたAS間接続関係の推定手法を提案する.本論文の貢献は次の2点である.1) 従来の推定手法と比較して,少数のトポロジー計測点でのAS間接続関係,特にピアリングの推定精度を向上した.2) 本手法ではASの全域部分グラフから定量化したAS規模を用いることで,従来の経路解析に基づく手法では推定できなかった推定に用いた経路情報に含まれないAS間リンクに対してもAS間接続関係を推定可能にした.
著者
伊達 浩典 石尾 隆 松下 誠 井上 克郎
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.1_220-1_226, 2015-01-26 (Released:2015-02-11)

A coding pattern is a sequence of method calls and control structures, which appears repeatedly in source code. In this paper, we have extracted coding patterns of each version of ten Java programs, and then explored the number of versions in which the coding patterns appear. This paper reports the characteristics of coding patterns over versions. While learning from coding patterns is expected to help developers to perform appropriate modifications and enhancements for the software, many coding patterns are unstable as similar to the result of clone genealogy research.
著者
大森 隆行 桑原 寛明 丸山 勝久
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.1_120-1_135, 2015-01-26 (Released:2015-02-11)

Although code completion is inevitable for effective code editing on integrated development environments, existing code completion tools can be improved. A previous study noted that developers sometimes perform ineffective repetitions of the same code completion operations. Hence, this paper introduces a statement, “A more recently inserted code completion candidate should be given a higher rank among previously inserted items in the candidate list.” To confirm this statement, this paper examines the following three points. First, an experiment using operation histories is presented to reconfirm that developers more frequently repeat recent code completion operations. Second, a tool called RCC Candidate Sorter is presented. It alters the sorting algorithm of the default Eclipse code completion tool to prioritize candidates inserted by recent code completion. Finally, an experiment is conducted to evaluate the performance of the tool. The experimental result shows that it outperforms an existing method.
著者
山下 泰央 高橋 大志 寺野 隆雄
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.4_33-4_40, 2008-10-28 (Released:2008-12-31)

近年,金融技術の高度化,金融市場の重要性の高まりなどを背景とし,金融教育の重要性が認識されつつある.本研究では,ビジネスゲーム手法により,金融資産への投資の学習に焦点をあてた分析を実施した.分析の結果,(1)実験を通じ参加者は過剰なリスクを取らなくなること,(2)当手法がリスク管理の重要性の理解を促進させることなど,興味深い現象を見出すことができた.これらの結果は,当手法の金融教育への応用の有効性を示すものである.
著者
小形 真平 早川 弘基 海谷 治彦 海尻 賢二
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.1_147-1_160, 2015-01-26 (Released:2015-02-11)

e-commerceサイト等のWebシステムにおいて,ユーザは一般にミスや心変わりから値を頻繁に再入力するため,目的を達成するまで入力値を一時保存する入力保存機能は役立つ.しかし,本機能は上流工程で決定される入力値の作成/更新タイミング等に依存するが,本機能の分析・設計を支援する方法はない.本論文は,入力保存機能を含めた画面遷移モデルを表せるようにUML記法を拡張し,画面遷移とシナリオを表す方法とユーザの入力する値の量を見積るユーザビリティ評価方法を提案する.そして,提案方法の有効性を示すため,手動ではユーザの入力負担を定量的に算出し,どの程度改善できそうかを示すことが困難であることと,提案方法で見積った値の高さとユーザが感じる負担の大きさは順序的に関係があることを実験にて実証し,提案方法による開発者の負担が従来方法(手動プロトタイピング)と比べて低いことを実験結果に基づいた考察により示した.
著者
立沢 秀晃
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
日本ソフトウェア科学会大会講演論文集 日本ソフトウェア科学会第21回大会 (ISSN:13493515)
巻号頁・発行日
pp.23, 2004 (Released:2005-02-01)

本研究では型付き関数型言語を基にしたアスペクト指向言語を提案する。アスペクト指向機構部分はJavaを基にしたアスペクト指向言語AspectJにならい、ポイントカット・アドバイス機構と型拡張機構を持つ。本稿ではそれらの機構の設計と、その際に見られた関数型言語特有の問題点および解決策について述べる。
著者
中嶋 辰成 青戸 等人 外山 芳人
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.3_294-3_306, 2014-07-25 (Released:2014-09-10)

等式論理において,自然数やリストなどのデータ構造上で成立する等式を帰納的定理とよぶ.与えられた等式が等式論理の帰納的定理であるか否かは一般に決定不能であるが,いくつかの部分クラスに対する決定手続きが知られている.FalkeとKapur (2006)が与えた決定手続きは書き換え帰納法に基づく.一方,外山(2002)は,帰納的定理判定問題を2つの抽象リダクションシステムの等価性判定問題としてとらえることで,書き換え帰納法が帰納的定理の決定手続きとなるための十分条件を示した.しかし,この両者が保証している決定可能な帰納的定理のクラス間には包含関係がない.そこで,本論文ではこれら2つのアプローチを組み合わせることにより,従来保証されていた決定可能な帰納的定理のクラスを拡張する.
著者
角田 雅照 戸田 航史 伏田 享平 亀井 靖高 ナガッパン メイヤッパン 鵜林 尚靖
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.2_129-2_143, 2014-04-24 (Released:2014-05-22)

本研究では,上流工程の活動実績に基づく工数見積もりに着目し,その見積もり精度を定量的に評価する.具体的には,上流工程での実績工数を説明変数とする開発総工数見積もりモデルを作成し,ソフトウェア規模に基づく工数見積もりモデルと精度を比較する.さらに,実績工数とソフトウェア規模の両方を説明変数とした場合のモデルとも比較する.実験ではISBSGデータセットを用い,計画工程と要求分析工程を上流工程とみなしてモデルを構築した.実験の結果,計画・要求分析の合計工数とソフトウェア規模の両方を説明変数として用いることにより,見積もり精度が最も改善する(BRE(Balanced Relative Error)平均値が148.4%から75.4%に改善する)ことがわかった.
著者
鄭 顕志 清水 遼 高橋 竜一 石川 冬樹
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.1_49-1_59, 2014-01-27 (Released:2014-03-27)

実行時に起こる変化を検知し,要求を満たし続けるようソフトウェアの構造・振る舞いを自身で変更するソフトウェアは,自己適応ソフトウェアとして,その有用性が認知されている.自己適応ソフトウェア開発では,従来のアプリケーションロジックに加え,自己適応性のためのロジックを設計する必要がある.本論文では,近年特にソフトウェア工学の分野で議論されている,自己適応ソフトウェアのための自己適応性設計に関する研究動向を調査する.本論文では,自己適応性のロジックをモデル化する手法として広く用いられている,Monitor-Analyze-Plan-Execute-Knowledgeループの観点から,各要素の概要,研究課題,既存研究のアプローチを紹介し,今後の研究課題について議論する.
著者
新屋 良磨
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.3_163-3_179, 2013-07-25 (Released:2013-08-31)

Abstract Numeration System (ANS)は自然数と言語を一対一に対応づける記数法(Numeration System)である.本論文では,正規言語Lについて,Lに属する文字列wのL上のANSでの数 – wのL内での順番の計算によって圧縮を定義する.さらに,ANSによる圧縮では: (1) (無限集合である)正規言語Lから平均圧縮率を計算可能.(2) 圧縮対象の文字列長に対し準線形時間で圧縮可能.(3) 圧縮対象文字列wを分割して並列に圧縮可能等の良い性質を持つことを示す.本論文において,特に断らない限り任意長整数の乗算が定数時間で計算可能な一様コストモデルを仮定するが,乗算にコストがかかる場合での議論や解決策の提案も行う.
著者
竹内 広宜 中村 大賀 荻野 紫穂 水野 謙 岩間 太 鎌田 真由美
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.1_53-1_64, 2013-01-25 (Released:2013-03-25)

ソフトウェア開発プロジェクトにおいて文書成果物は重要な役割を担っている.一方,大規模なシステム構築プロジェクトでは様々な文書成果物が大量に作られ,人手による品質分析には限界がある.近年,開発プロジェクトで作成される文書成果物に対して,文書構造分析,文字列解析,自然言語処理といった技術を適用する研究が行われている.本論文では,これらの技術によって実現される文書成果物の分析と活用方法について概観する.
著者
前岡 淳 田辺 良則 石川 冬樹
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.3_109-3_122, 2013-07-25 (Released:2013-08-31)

Java PathFinder (JPF)に代表されるソフトウェアモデル検査技術は,テスト工程における不具合検出に有効であるが,状態爆発への対応が課題となる.この課題を解決する手法として優先度に基づくヒューリスティック探索手法が提案されている.プログラムによって適する探索手法や優先度の付け方が異なるため,有効なヒューリスティック探索手法が多数存在することがのぞましい.本論文では,「範囲限定探索」に基づくヒューリスティック探索手法を提案する.従来手法は,ヒューリスティック関数によって各状態から不具合に早く到達できるかを見積もり,これに基づいて探索順序を決定する.これに対して提案手法では,「探索打ち切りポリシー関数」によって各状態から不具合に早く到達できるかを判断し,見込みが低い場合にはその状態からの探索を打ち切る.提案手法の有効性を検証するためにJPFに実装し,検証ツール評価用に作成されたテストプログラムを用いて既存手法との比較実験を行った.Javaによるテストプログラムを用いた実験の結果,提案手法が状態数比で2倍以上優位となるケースを確認し,ヒューリスティック探索の適用の幅が広がることを示した.
著者
倉橋 節也
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.4_252-4_260, 2008-10-28 (Released:2008-11-30)
被引用文献数
1

本研究では,中国の家系記録「族譜」をもとに,科挙合格者を多く輩出したひとつの家系を約500年に渡ってエージェント技術を用いて分析を行った.家系ネットワークと個人のプロファイルデータをそれぞれ隣接行列と属性行列として表現し,実プロファイルデータを目的関数とする,マルチエージェントモデルによる逆シミュレーションを実施した.その結果,家庭内において子供への文化資本の伝達には,祖父と母が大きな影響を持つことがわかり,家族が維持する規範システムの一部を発見できた.本モデルによって,逆シミュレーション手法を用いたエージェントベースモデルが歴史学や人類学の分野において,新たな知識の発見に貢献できることを示した.
著者
鄭 顕志 中川 博之 川俣 洋次郎 吉岡 信和 深澤 良彰 本位田 真一
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.4_121-4_132, 2008-10-28 (Released:2008-11-30)
被引用文献数
1

ユビキタスコンピューティングにおけるアプリケーションは,実世界の状態を把握し,ユーザに対してより積極的なサポートを行わなければならない.このようなアプリケーションを効率良く開発するためには,従来とは異なる新たなアプリケーション開発手法が必要となり,数多くの研究が行われている.本論文では,ユビキタスコンピューティングにおける,アプリケーション開発手法に関する研究動向を調査し,傾向と問題点を整理する.
著者
村山 敬 工藤 晋太郎 櫻井 健 水野 謙 加藤 紀夫 上田 和紀
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.2_47-2_77, 2008 (Released:2008-06-30)

LMNtalは階層グラフ書換えに基づく言語モデルであり,リンク構造による接続構造と膜による階層構造の表現・操作機能によって,動的データ構造や多重集合書換えを扱うプログラムを簡潔に記述することができる.LMNtalは書換え規則の適用を単位とする細粒度の並行性をもっており,正しく効率的な実装方式は自明でない.そこで言語処理系をJavaを用いて開発し,効率をできるだけ犠牲にせずに正しく動作する実装方式を確立した.処理系は中間命令列へのコンパイラ,その解釈実行系及びJavaソースへのトランスレータからなり,他言語インタフェースをはじめとするさまざまな有用な機能を備えている.複数の膜を貫くリンク構造を正しくつなぎかえるための処理や,複数の膜にある書換え規則を正しく非同期実行させるための工夫も行っている.本論文では,処理系開発において主要な技術的課題となった階層グラフ構造の保持方法,中間命令体系,安全な非同期実行方式等を中心として,公開中のLMNtal処理系の設計と実装について論じる.
著者
中村 美惠子 宮下 芳明
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.1_118-1_129, 2012-01-26 (Released:2012-02-26)

人間の知的創造活動を支援することは,情報科学の分野でも大きなテーマの一つである.本論文では知的創造活動を支援する認知ツールの設計に欠かせない,認知科学,社会心理学,行動経済学など様々な分野での新しい知見を紹介する.また,人間の知覚や認知に基づいた認知ツールの試みも紹介しながら,認知ツールひいては人間と計算機のインタラクションの展開について予測する.
著者
阿萬 裕久
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.3_115-3_120, 2012-07-25 (Released:2012-08-20)

コードレビューは重要な品質保証活動であるが,現実には予算や納期の都合により網羅的な実施が難しい場合も多い.そこで本論文では,限られた予算内で“どのモジュールを重点的にレビューすれば最も高い費用対効果を期待できるか”という問題に着目し,各モジュールでのフォールト潜在の可能性,レビューコスト及び他のモジュールとの結合関係を総合的に考慮した0-1計画問題として定式化する手法を提案している.そして,六種類のオープンソースソフトウェアに対するシミュレーション実験を行い,提案法の有効性について論じている.