著者
高橋 努 野木 靖之 浅井 朋彦 高橋 俊樹 松澤 芳樹
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

磁場反転配位(FRC)プラズマを閉じ込め磁場に沿って移動する(移送)際,その経路内に存在する中性粒子や弱電離プラズマの効果を実験的に明らかにした.背景にある粒子は,移送速度に相当する速度で入射する一種のビーム入射の効果(FRCへの粒子やエネルギーの補給の効果)を持つと考えられる.背景粒子種や移送速度の制御により粒子閉じ込め時間,磁束減衰時間の伸長や回転不安定性の発生時間の遅延などFRCプラズマの閉じ込め特性の改善が可能になる.
著者
田中 ゆかり
出版者
日本大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
2000

今年度は、これまで首都圏方言域を中心に実施してきたアクセント・イントネーション関連の「意識形」「実現形」に関するデータの整理・デジタル化を中心に行った。あわせ、多変量データの分析方法について、過去の言語を対象とした多変量データを分析/解釈した研究を対象としたメタ研究を行った。とくに、言語を対象とした多変量データに関する成果として、『日本語科学』9(国立国語研究所)に「調査者属性による偏りのない項目-『国語に関する世論調査』(H7年度調査〜H10年度調査)から-」・『日本語学』20-5「観察法・実験法と日本語研究」を公開できた。「意識形」「実現形」という考え方をデータに導入すると、従来の被調査者と被調査者の反応という2次元のデータではなく、少なくとも3次元のデータとなってしまう。言語事象を対象としたデータ分析としては、ほとんど例のない3次元(以上の)データの分析方法について。考えを深めることができた。また、刊行が遅れているが、「意識形」「実現形」にに関しては、コラムの形式ではあるが、「気づかないが、変わりやすい方言」として提案を行った(2001年12月刊行予定であった『21世紀の方言学』(国書刊行会))。この提案については、具体的なデータの収集・分析には及ばなかったが、今後の課題としたい。
著者
西田 司
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

1.コミュニケーション行動の予測に関する異文化間コミュニケーションの分析フレームワークを作成した。その分析フレームワークには第2章で詳述したように、四次元で構成した。(1)相手への態度や出会いの場の不安と不確実感の制御といったことがコミュニケーションが効果的になるかどうかに大きな影響を与える。(2)コミュニケーションの目的によっては、コミュニケーションをしようとする動機が強く影響する。(3)意思の表出能力と相互作用の能力はコミュニケーション行動が効果的であるか、ひいては、(4)コミュニケーション行動の結果、つまり、評価と満足に影響する。2.アジア人にはアメリカ人とは異なるコミュニケーションのルールがあることを知っていても、これまでの研究においてはアメリカで用いられている調査方法で研究がなされてきた。個人情報の開示に関する研究とコミュニケーション行動と内集団の研究を検証し、調査に取り入れるべき観点や方法を第3章で提案した。それは人の交流を複数の観点から捉えるもので、調査も集団の観点から行うことを意味する。3.調査法の転換に関する議論をもとに、二つの調査を行った。一つは、中国と日本において仕事や授業の終わった後の、内集団と交流活動の実態について学生を中心に調査票による調査を実施した。たとえば時間的コミットメントの実態、中国と日本の共通する面が確認された。また、交流時間は少ないが交流の重要性は高いという点が中国サンプルに明らかになった。もう一つは、アメリカ、中国、日本における人間関係のルールについて調査した。関係のみを明示しルールを集めた。この目的は、三つの文化における実際的な状況に関する情報を得るためであった。
著者
太田 尚子
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究では、乳タンパク質のβ-カゼインとβ-ラクトグロブリンの脂肪酸塩存在下及び非存在下における相互作用について、超音波分光分析並びに動的粘弾性測定により調べた。β-カゼイン単独またはβ-カゼインとβ-ラクトグロブリン混合系は脂肪酸塩非存在下では一過的な超音波減衰の増加が観察されたものの、動的弾性率の増加は認められず、三次元的ネットワークの構築は起こっていないことが判った。一方、この混合タンパク質系に脂肪酸塩の一種であるカプリン酸ナトリウムを添加した際には、β-ラクトグロブリン単独タンパク質に比べ超音波減衰の増加や弾性率の増加は少ないもののゲル化現象が認められた。この事からβ-カゼインが脂肪酸塩存在下でテクスチャーモディファイヤーとして役立つことを示唆した。
著者
窪田 悠一 原田 勝孝 伊藤 岳
出版者
日本大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2019-06-28

本研究は、歴史事象の現代社会における影響を考察の対象とし、超長期的因果関係の分析 に基づく新たな実証的社会科学研究を提唱することを目的とする。特にここでは、戊辰戦 争における戦闘や暴力の遺産が現代日本政治経済に与える影響について実証データを収集 しながら考察する。この目的のために本研究では、a) 戊辰戦争における戦闘・暴力の発生 メカニズムの解明、b) そうした政治暴力と現代市民の政治意識・行動、また経済活動の関 係性の分析を行う。
著者
長岡 泰司
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2022-04-01

網膜微小循環障害を治療標的として新しい糖尿病網膜症(DR)治療法の開発を目指す。網膜循環改善効果を確認しているフィブラート製剤を、全身への影響を最小限にした新しい網膜へのドラッグデリバリーシステムであるナノ粒子点眼として眼局所に投与し、2型糖尿病モデルマウスにおける低侵襲眼局所治療のDR予防の有効性を検証したい。さらに前臨床試験として、よりヒトに近い大型動物であり網膜症様血管病変を呈する糖尿病ブタを用いて、ナノ粒子点眼の有用性を網膜血流および血管構築に着目して評価し、臨床試験に繋げたいと考えている。
著者
内山 武人 宮本 葵 青山 隆彦
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2021-04-01

アスリートが禁止薬を「故意」に摂取したのか、あるいは「うっかり」して摂取したのかを正しく判断する際に、代謝物に関する情報を分析することは大きな意味を持つ。本研究では、気管支拡張薬として用いられる一方で、筋肉増強薬としてドーピング禁止薬に指定されているクレンブテロールとその代謝物に着目する。複数の想定代謝物を化学的に合成し代謝物の同時定量法を確立するとともに、確度の高い薬物動態モデルを構築し、ドーピングの適正な判断に資することが本研究の目的である。本研究により得られた知見は、ドーピング検査においてより正確な判定を可能とし、公正なスポーツを行うための活動に寄与できるものと考える。
著者
秋濱 一弘 岩田 和也
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

火花点火ガソリンエンジンの希薄燃焼限界を向上させる新しい広域点火法を提案した。レーザーブレイクダウンと高電圧印加を組み合わせた長距離放電点火LBALDI (Laser Breakdown Assisted Long-distance Discharge Ignition) の基礎特性明確化と有効性実証を目的としている。レーザーと高電圧印加の角度は90°付近が最も放電距離が長くなる。定容容器を用いて燃料依存性を調査しルイス数1以上の条件にて有効な点火法であることが分かった。急速圧縮装置を用いてエンジンに近い条件の高圧場においても長距離放電可能なLBALDIの有効性を実証し、目標を達成した。
著者
松宮 政弘
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

カニ・エビなどの甲羅を構成するキチン質は地球上に豊富に存在するが、その多くが利用されずに廃棄されている。一方、このキチン質をキチン分解酵素(キチナーゼ)で分解すると、機能性食品素材として有効活用できることがわかりだした。本研究ではカニ・エビのキチンの分解に適したキチナーゼを海洋生物から探し出す基礎研究、それを活用するための応用技術開発を実施した。2魚種の胃より各2種、2種のタコより各1種、計6種のキチナーゼを分離し、機能を解析した。さらに魚類、軟体動物、カニより計11種のキチナーゼ全長遺伝子を取得した。機能解析から活用できるキチナーゼの遺伝子を選び、微生物によるキチナーゼ生産を実施した。
著者
伊東 孝 大沢 昌玄 山浦 直人 伊東 孝祐
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

全国の災害復興の実施実態を網羅的に把握した上で、特に関東大震災、飯田大火、静岡大火、山中大火、鳥取大火、室戸台風など災害復興実施都市の復興プロセスの時系列変容過程の把握を行った。また、罹災状況と復興事業の関係(区画整理実施有無)についても把握した。併せて、災害復興を支える組織と技術者について、関東大震災、戦災、旧都市計画法期の災害復興の実態から解明した。当初、民的性格と呼ばれる組合施行で災害復興が行われていたが、事業費や技術者など公共団体からの手厚い支援の下で事業が進められていた。また、関東大震災復興に従事した技術者が、その後発生した災害復興に携わり事業を推進したことが判明した。
著者
陳 怡禎
出版者
日本大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2020-04-01

本研究は、ファン研究と社会運動研究の両面から東アジアの現代社会の若者、とりわけ女性は、いかに「趣味」を用いて社会空間を構築しているか、さらに社会的関係性を再編成していくかについて考察する。手かがりとして、2014年3月に台湾で起きた「ひまわり運動」、9月に香港で起きた「雨傘運動」といった二つの運動空間に注目し、その空間において女性参加者によって行われる「私的趣味」の実践について検討する。それらの社会運動に参加する女性たちが、戦略的に「私的趣味」を公的領域で実践することによって、趣味縁を中心に結成された女性による「趣味共同体」の可視化をいかに可能にしているのかを分析する。
著者
高久 暁
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

ドイツの音楽家・音楽学者エタ・ハーリヒ=シュナイダー(1894~1986)は、日本における職業的で本格的なチェンバロ演奏の祖となった古楽演奏のパイオニア、外国人による日本伝統音楽研究の先駆者、シェイクスピアの全ソネットや日本の昔話を翻訳した翻訳家、著名なスパイ、リヒャルト・ゾルゲと親密に交際し、東京裁判の傍聴記録を残した「時代の証言者」など、音楽家や音楽研究者の枠を超えたさまざまな側面を持った人物であるが、その業績の全体像はいまだに明らかになっていない。当研究は彼女の再評価を目的として、彼女の業績と経験の総体を書誌を作成してまとめ、現代における彼女の存在の重要性を社会に問うものである。
著者
安元 隆子
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2022-04-01

明治時代に日本の同化政策により民族存亡の危機に瀕したアイヌ民族を取り上げ、これまで文学の中にどのようにアイヌが描かれてきたのかを検証する。その際、アイヌ人の文学だけでなく、日本人が描いたアイヌの文学を含め、近・現代を通して文学におけるアイヌ像の変容を追い、「滅亡の民」から最近の「生のエネルギーに満ち自然と共に生きるたくましい民族」へのイメージ転換の契機と理由を、漫画、映像作品も含めて考察する。また、日本に隣接するロシアの文学の中のアイヌ表象や、米・豪の文学に著された先住民族との対立、反省、和解、共生への道程と日本の場合とを比較し、文学の立場から真の多民族共生への道を模索する。
著者
成澤 直規 竹永 章生 鳥居 恭好 阿部 申 中村 知世 岩本 理 川崎 幸正
出版者
日本大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

これまでに市販納豆の可溶性抽出液にう蝕原性Streptococcus mutansのバイオフィルム形成抑制効果を明らかにしている。36種市販納豆を対象として評価した結果、バイオフィルム抑制効果はプロテアーゼ活性と相関性が認められた。抑制因子を精製した結果、セリン型プロテアーゼであるナットウキナーゼの特徴と良く類似した。これはS. mutansのバイオフィルム形成に必須である非水溶性グルカン合成阻害が原因であることが明らかとなった。ナットウキナーゼは歯の脱灰の臨界pHである5.0付近においても比較的活性を維持しており、応用的にも利用可能であるものと期待された。
著者
是枝 雄二
出版者
日本大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1993

1)GTase-Sは透析BHI培地培養上清を硫安塩析,DEAE-SephaphacelおよびCM-celluloseのイオン交換クロマトグラフィーに供して,また,GTase-Iは1%硫安添加M4培地培養上清を硫安塩析、CM-celluloseイオン交換クロマトグラフィーおよびToyopearl HW-55ゲルクロマトグラフィに供して分離精製した.最終標品はいずれもSDS-PAGE的に均一であり,推定分子量はそれぞれ145kDa,160kDaであった.2)唾液被覆HAデイスクに対するS.sanguis菌体の吸着は,粗酵素標品の唾液への添加により顕著に促進され,吸着率は添加酵素量の増加とともに増大した.なおこのような吸着促進はショ糖存在下で菌体を長時間(10時間以上)インキュベーションすることが必要であった.3)GTase-Iの純化標品の添加によっても粗酵素と同様のS.sanguis菌体の著明な吸着促進が認められた.これに対し,GTase-S純化標品にはそのような吸着促進は認められなかった.4)S.milleri菌体に関しては,粗酵素標品,GTase-IおよびGTase-Sの純化標品のいずれにも菌体吸着を促進する作用は認められなかった.しかし本菌は,GTase-Sを含む酵素標品で前処理することにより,GTase-I添加唾液で被覆処理したHAデイスクに対する吸着性を獲得した.以上の結果,歯垢の主要構成菌であるS.sanguisは,S.mutans由来のGTase-Iの酵素作用で人工ペリクルに強く吸着すること,その吸着は,菌体結合性GTaseとペリクル中のGTase-Iとの協同作用によるde novoグルカン合成を介してなされること,外来性GTase-Sを表層に結合したS.milleriは同様の機序でペリクルに吸着することが明かになった.これらの結果より,血清型c S.mutansのGTase作用による歯面獲得ペリクルへの菌体吸着系が,歯垢形成の初期過程に機能していることが示唆された.
著者
鈴木 俊夫
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

原子核のスピン応答を正確に記述し、崩壊線近傍までの殻進化を再現できる殻模型ハミルトニアンを用いて、高温、高圧の天体環境条件下での電子捕獲率、β崩壊率の精密な評価を、sd殻核、pf殻核から二主殻が関係するsd-pf殻、pf-gds殻の核領域に研究対象を拡張して行う。 また、19Fの合成に重要なニュートリノ-20Ne 核反応の再評価を行う。元素合成および核Urca過程による星の冷却の計算に必要な精密な核データの蓄積を系統的に範囲を拡げて提供することによって、原子核分野での不安定核の研究、核構造研究の精密化の成果を、天体での元素合成、星の進化の分野の研究に有効に反映させる。