著者
徳山 龍明 高橋 令二
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1996

化学合成独立栄養性細菌である硝化細菌は、自然界における元素循環と緊密な関わり合いをもち、特に炭素、窒素の循環において重要な役割を担っている。したがって、この細菌の生理・生化学的特性の解明は重要な意義を有している。本研究では、高温環境下に生息する硝化細菌の分離を試み、分離菌株の諸性質を明らかにすることによって、生態学的基礎研究と、その応用化を目的とした。一般に硝化細菌の生育は、30℃以上では顕著な阻害をうけることが明らかにされている。本研究による高温耐性アンモニア酸化菌の取得により、応用的には温暖地域や夏季における生物的廃水処理への利用、養鶏、養豚場における脱臭装置への適用等の可能性が考えられた。その結果、養鶏場の脱臭装置からは、従来得られなかった35℃を至適温度とする高温耐性菌(Kl株)を得ることに成功した。養鶏場脱臭装置から、新規に高濃度硫酸アンモニウム要求性のアンモニア酸化細菌(Kl株)をゲランガム平板培地を用いて単離した。Kl株は桿菌、グラム陰性、菌体内には硝化細菌特有の細胞質内膜組織が認められた。DNAのG+C含量(mol%)は48.5であり、基準株であるN.europaea ATCC 25978Tに対する16SrRNAのsimilarityは93.77%であった。これらの諸性質から、菌株KlをNitrosomonas sp.Klと命名した。亜硝酸生成能(生育)に対する至適温度は35℃であり、40℃まで耐性を有していた。培地中の硫酸アンモニウムの至適濃度は極めて高く、303mMであり、基準株(38mM)とは大きく異なっていた。炭酸固定関連酵素の活性値は、ホスホグリセリン酸キナーゼ(PGK)とトリオースリン酸イソメラ一ゼ(TIM)において、ATCC25978T株と比較して高く、前者は19約倍、後者は28500倍の比活性値が認められた。さらに、硝化細菌由来のホスホグリセリン酸キナーゼの精製を行い、他の硝化細菌由来のPGKと酵素学的諸性質を比較した。また、新規に分離した海洋性アンモニア酸化菌Nitrosomonas sp.TNO632の菌学的、培養的(高温耐性)性質について明らかにした。
著者
津徳 亮成
出版者
日本大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

骨形成促進薬であるPTHを骨粗鬆症モデルラット(OVXラット)に使用し、骨再生、骨増生およびインプラント周囲骨への効果を検証した。卵巣を摘出したOVXラットを用いて、ラット頭頂骨に作成した骨欠損に対する骨再生および骨増生の検証を行った。その結果、OVXラットにおいて,骨再生および骨外側方向への骨増生が健常ラットと比較して抑制されることが示された。また、OVXラットに対してPTHの投与を行うことにより、骨増生が健常ラットと比較し、有意に促進することが実証された。インプラント周囲骨は、PTHの投与によりOVXラットにおいてもオッセオインテグレーションの確立を示唆した。
著者
龍 粛
出版者
日本大学
巻号頁・発行日
1959

博士論文
著者
斎藤 稔
出版者
日本大学
雑誌
産学が連携した研究開発成果の展開 復興促進プログラム A-STEP 探索タイプ
巻号頁・発行日
2012

本研究開発課題では、有機材料フタロシアニンの感応膜を櫛形電極上に成膜し、匂い物質が吸着した際に生じる電気抵抗の変化から匂い物質を検出する匂いセンサを用い、病気の罹患者から発生する匂い物質を高感度に検出することによって病気を早期発見する技術を開発することを目標とした。 その結果、肝機能・腎機能障害罹患者の呼気に含まれるアミン系物質を0.1ppmの濃度から検出することができた。また、このセンサを組み込み、呼気の吸引部を付加した10 cm×10 cm×5 cmの匂いセンサ装置を設計し、(株)テクニシモでこれを試作した。今後は罹患者の呼気に対するこの装置の応答特性を検証する予定である。
著者
榛葉 繁紀
出版者
日本大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2006

近年、生活リズムの乱れが、肥満やメタボリックシンドロームのリスクファクターであることが疫学調査より明らかとなってきた。我々は、サーカディアンリズムのマスターレギュレーターである転写因子Brain and Muscle Arnt like protein1(BMAL1)が脂肪細胞の機能を調節することを報告した(Shimba et al PNAS 2005)。また、メタボリックシンドローム患者の脂肪組織においてBMAL1機能の異常が報告されており、さらにはSNP解析によりBMAL1機能不全と糖尿病ならびに高血圧発症との関係が疑われている。これらの結果は、BMAL1が代謝調節に積極的に関与していること、さらにはその機能異常がメタボリックシンドローム発症へと通ずることを示唆している。そこで本研究ではBMAL1機能の異常とメタボリックシンドローム発症との関係を明らかとすることを目的として、BMAL1ノックアウト(KO)マウスの解析を行った。雄性C57B1/6JマウスならびにBMAL1 KOマウスを通常あるいは高脂肪食下において5週間飼育した。常法に従い、インスリン感受性、耐糖能ならびに血液生化学検査を行った。遺伝子発現の変化はGeneChipを用いて解析した。通常餌飼育下においてBMAL1 KOマウスは野生型マウスに比較して低体重の傾向を示したが、高脂肪食給餌により野生型マウス以上に著しい体重の増加を示した。またそれに伴い脂肪肝、高コレステロール血症ならびに顕著な皮脂の分泌を示した。またBMAL1 KOマウスの耐糖能は、通常ならびに高脂肪食飼育下のいずれにおいても低下を示した。また各組織における遺伝子発現の変化はこれら表現系を支持するものであった。以上の結果よりBMAL1の機能異常が、メタボリックシンドローム発症へのリスクファクターとなることが示唆された。
著者
田部井 賢一
出版者
日本大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

本研究の骨子は、音楽の情動的な意味の処理に関わる脳内メカニズムの解明を目的に、脳機能イメージング研究を実施することであった。採用期間中に、1)基本情動を表現する音楽に関する予備的調査研究、2)音楽の持つ情動表現の認知に関わる脳部位についての研究、3)音楽の持つ情動表現の評定と、音楽によって喚起された聴き手の内的な情動反応の評定にかかわる脳内機構に関する研究を、当初の予定通り実施した。その結果、音楽の持つ情動表現の評定と、音楽によって喚起された聴き手の内的な情動反応の評定では前頭前野、聴覚野、後部頭頂皮質、帯状回、楔前部に共通した活動が見られた。一方、情動表現では下前頭回により強い活動が見られ、情動反応では楔前部により強い活動が見られたことから、それぞれの領域が各課題にとってより重要である可能性を示唆した。また、音楽の持つ情動表現の評定には、音楽の専門的な学習の有無にかかわらず、左下前頭回がより重要な役割を持つと考えられた。
著者
塩川 博義 梅田 英春 皆川 厚一 豊谷 純 イ・マデ・カルタワン 杉山 昌子
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

バリ島で一般的に使われているガムラン・ゴング・クビャールを中心に、日本とバリ島で、約90セットのガムランの測定し音響解析を行ってきた。その結果、それらの音高はバリ島における地域や時代によって異なることがわかってきた。特に、教育機関に関わりのある11セットのガムラン・ゴング・クビャールを測定した結果、それらの音名1(ding)の音高は、C#かDであり、特にASTIより新しいそれらは、いずれもC#であることを明らかにした。また、ガムラン・ゴング・クビャールよりも古いガムラン・プレゴンガン 7セットの音高を分析した結果、音名1における音高は、いずれもC# からD# の間であることを明らかにした。
著者
神尾 宜昌 清水 一史 今井 健一 田村 宗明
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究では、歯周病原菌であるPorphyromonas gingivalisが産生する酵素によりインフルエンザウイルスのヘマグルチニン(HA)を開裂し、ウイルス感染を促進するか検討した。その結果、P. gingivalisによりHAは開裂し、ウイルスが宿主細胞に感染できるようになることが明らかとなった。P. gingivalisは、トリプシン様酵素であるジンジパインを産生することから、ジンジパイン阻害薬ならびにジンジパイン欠損株を用いて検討を加えた。その結果、アルギニンを切断するジンジパイン(Rgp)がHAを開裂し、ウイルスの感染性獲得に関与することが明らかとなった。
著者
高橋 力也
出版者
日本大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究は、国際連盟における国際法の法典化事業に深く関与した米国の国際法学者ハドソン(Manley O. Hudson)の残した個人文書や、米国政府の外交記録等を海外の公文書館・図書館で渉猟し、これらの分析をすることで、連盟を中心に行われた国際法の発展に対する米国の関わりを史的に明らかにするものである。
著者
廣田 照幸 宮寺 晃夫 小玉 重夫 稲葉 振一郎 山口 毅 森 直人 仁平 典宏 佐久間 亜紀 平井 悠介 下司 晶 藤田 武志
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

教育システム設計の理論的基盤を確立するために、現代の教育理論、社会理論や政治哲学がどのように役立つのかを検討した。教育が果たす社会的機能を考えると、社会の多様な領域の制度との関わりを抜きにして教育システムを構想するのは問題をはらむということが明確になった。本研究では、社会のさまざまな領域の制度、特に福祉や労働の制度を支える諸原理と教育システムを構成する諸原理とを一貫した論理、または相補的な論理でつなぐ考察を行った。
著者
内堀 朝子 小林 ゆきの 上田 由紀子 原 大介 今西 祐介
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

平成29年度は本研究プロジェクト3年間のうち1年目として,文末指さしを含む日本手話文のデータ収集に取り掛かった。特に,研究体制として設定した二つの研究グループのうち,「話題要素担当グループ」によるデータ収集に重点を置き,日本手話母語話者の協力のもと調査を行った。調査では,第一に,文頭に話題化非手指標識を伴う要素と,その要素を指示対象とする文末指さしの両方を含む文が,日本手話母語話者にとって自然であると判断される文脈,つまり,その文が文法的かつ談話上適切であるような文脈を設定した。第二に,それと同じ文脈のもとで文頭の話題化要素を省略し,かつ,その要素を指示対象とする文末指さしが許されるかどうか,日本手話母語話者の内省・直観による判断を調べた。なお,第二のデータは,もう一方の研究グループである「非項/陰在的項担当グループ」の収集対象と合致するものが含まれることとなった。調査の結果,日本手話において以下の二つの可能性があることが確認された。すなわち,①話題化要素が省略される可能性(もしくは,空の話題要素が現われる可能性)があること,および②文末指さしが音声化されていない話題要素を指示対象とする可能性である。したがって,この調査は,「研究の目的」で述べた,本研究プロジェクトの課題のひとつである「問題Ⅰ:話題要素を含む文における文末指さしは,何を指示対象とすることができるのか?」に対する肯定的な回答を与えるものと言える。さらに,この調査は,「研究の目的」で述べた,文末指さしを持つ手話言語の類型に関わる問題に対して,日本手話が,文末指さしが主語を指すアメリカ手話と,話題要素を指すオランダ手話の両方の性格を併せ持つことを示唆するものであった。
著者
伊藤 敞敏
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

Lactobacillus acidophilusグループ乳酸菌は、ヒト腸管の中から見出される乳酸桿菌の中の主要なものであり、プロバイオティク系の乳酸菌として、発酵乳の製造に使用されることが多くなってきている。しかしこの菌は一般的に牛乳中での生育が緩慢であるため、発酵に長時間を要する。そこでその原因解明と対策法の構築を目的として研究を行った。ヒト腸管由来のアシドフィルスグループ菌株の中から、L.acidophilus6株およびL.gasseri4株を用いて牛乳中での生育性を比較した。乳中での生育性と菌体外プロテアーゼの発現を追跡したところ、菌体外に作り出すプロテアーゼの活性の高い菌が乳中での生育性の良いことことが認められた。牛乳中では低分子窒素化合物が不足しているため、L.acidophilusは自らのプロテアーゼによって乳タンパク質を分解することが必要であり、このようなプロテアーゼ活性の強い菌株が牛乳中での生育も良好であるものと考えられた。そこで低分子窒素化合物として、カゼインを食品添加物グレードのタンパク分解酵素である、プロテアーゼP,プロテアーゼNおよびデビトラーゼの3種のプロテアーゼで分解し、牛乳に添加した結果、いずれの分解物も有効であったが、特にプロテアーゼPによる分解物を牛乳に添加することによって、アシドフィルス菌の生育を大幅に向上させることが出来た。このことから、牛乳に少量の低分子窒素化合物を追加することによって、プロバイオティクとしてのアシドフィルスを含む発酵乳の製造時間を短縮することができることが示された。一方、ヨーグルト製造の主要菌であるStreptococcus thermophilusとL.acidophilusを混合して培養することによって、菌株によってはL.acidophilusの生育が促進されるもののあることを見出した。そこで山羊乳及び牛乳の両方についてL.acidophillus5菌株とS.thermophilus1菌株について各個に混合培養を行ったところ、特に生育の促進される組み合わせのあることを見出した。この両菌株は相互に補い合って生育を助長し合っていることが考えられ、このような組み合わせによって、発酵乳製造を容易にすることが可能となった。
著者
広沢 文則
出版者
日本大学
雑誌
日本大学芸術学部紀要 (ISSN:03855910)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.5-15, 2003-03-15
著者
小谷 幸
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

1990 年代以降のグローバリゼーションの急速な進展,そして特に2008年のリーマンショック以降,労働法や社会保障制度及び労働組合の保護や規制から排除された「不安定な仕事」(precarious work)が世界的に急増し,格差の拡大,貧困層の増大を招いている。こうした状況に対し,米国では当事者組織であるワーカーセンターや労働組合,労働NGO,大学が連携組織(コアリッション)を構築し,市・州単位での最低賃金引き上げキャンペーンを成功させている。しかしながら,日本ではこうした連携組織は存在していない。そこで本研究の目的を,既存の労使関係システムから排除されたprecarious workに従事する労働者の直接的な処遇改善を目指す連携組織の,日本における構築可能性を検証することとした。調書に記載した研究計画に基づき,初年度である平成29年度は,①米国における連携組織の実態調査,②米国の参加型労働教育手法収集に基づく教育プログラムの整備,③日本における参加型教育プログラムの実践・評価,を実施した。①では,2013年度日本大学海外派遣研究員(長期)制度の支援を受けた研究活動を基盤とし,米国カリフォルニア州サンフランシスコ市,オークランド市における最低賃金引上げ運動に連携組織が果たした役割に関するフィールドリサーチを継続している。また,研究協力者の支援によりロサンゼルス市においてもフィールドリサーチを実施し,成果は研究会で発表した。②③では,米国の女性アクティビスト向けサマースクール(Summer Institute on Union Women)に参加し収集したプログラムに基づき,大阪で参加型労働教育ワークショップを実践した。
著者
横川 眞顕
出版者
日本大学
雑誌
日本大学芸術学部紀要 (ISSN:03855910)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.A31-A36, 2006

1920年代初頭、上海を中心として主要都市に次々と大小の映画会社が設立された。その中には名ばかりの会社もあり、その規模も様々であったことは伺い知ることができる。今回、取りあげるのは中国映画史上燦然と輝き、その名を残すことになった極めて重要な映画会社である明星映画会社を取り上げた。明星映画会社は張石川(監督)、鄭正秋(脚本)、張偉涛の3人を鼎として、それに鄭〓鴣(製作)、周剣雲(配給)の5人が中心になって作品作りに努めた。彼等は各自が映画のもつ力、その重要性、当時の中国社会の状況を捉えつつ、人民に啓蒙する主旨をもつことの大切さ等持論を展開し、製作していく一歩を踏みだした。明星映画会社は製作に力を入れるだけでなく、映画俳優を育成する明星影戯学校や映画雑誌「明星」を発行した。明星映画会社が設立される当時の中国社会を背景に、同社の設立とその過程や体制について次回からの明星映画会社と中国映画界及び中国映画の傾向等を検討していく前程ともいえるものである。
著者
開發 孝次郎
出版者
日本大学
雑誌
日本大学芸術学部紀要 (ISSN:03855910)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.95-109, 2001
著者
高橋 則英 石川 寛夫 白井 靖男
出版者
日本大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2002

本年度は、主研究対象である堆朱カメラについては、レンズの光学測定および湿板写真による撮影実験を中心とした。また本研究が属する特定領域研究「江戸のモノづくり」の合同調査に参加して行った佐賀藩および武雄鍋島家の史料調査、トヨタコレクション写真関連資料調査、三重県松阪の竹川家史料調査・津の萱原コレクション調査、そして信州松代の佐久間象山関係史料調査や上田市での大野木家史料調査などは、同時期の初期写真関連史料として、堆朱カメラの歴史考証を行う上で貴重な情報が収集できたと考えている。さらに関連史料に含まれるカメラのうち、佐賀藩の湿板カメラや島霞谷所用カメラなどについては堆朱カメラと比較するため同様な光学測定を行うこともできた。このような本年度の調査研究の実施内容は以下のとおりである。○平成15年6月2日 日本カメラ博物館 「日本カメラ創製期」展において堆朱カメラ3台および関連カメラ機材の調査。○平成15年6月3日〜4日 佐賀県立図書館・鍋島報效会徴古館 旧鍋島藩資料の湿板カメラ3台についての調査および報道発表。○平成15年7月29日〜31日 佐賀県立博物館・佐賀県立図書館 金武良哲資料、鍋島文庫、武雄鍋島家資料の調査および調査結果の報道発表。○平成15年8月11日〜12日 東京文化財研究所 トヨタコレクションの写真関連資料調査。○平成15年9月8日 東京文化財研究所・日本大学芸術学部 佐賀藩湿板カメラのX線撮影および光学測定。○平成15年9月17日・19日 日本大学芸術学部 堆朱カメラ2台(福井市立郷土歴史博物館蔵・石黒敬章氏蔵)のレンズの光学測定、湿板写真実験。○平成15年10月30日〜11月2日 松阪大学ほか 「江戸のモノづくり」松阪大学シンポジウム「江戸時代伊勢地域における科学技術」および津市・萱原コレクションの写真関連資料調査○平成15年11月25日〜26日 東京文化財研究所 トヨタコレクションの写真関連資料調査。○平成15年11月29日 日本大学芸術学部 島霞谷所用レンズ(松戸市戸定歴史館蔵)の光学性能の測定。○平成16年2月21〜23日 長野市立博物館・長野市真田宝物館・上田市史編纂室 佐久間象山関係史料および上田藩士大野木左門写真関連史料調査。○平成16年3月17日〜18日 日本大学芸術学部 堆主カメラによる湿板写真撮影実験・調査のまとめ。
著者
高野 英晃
出版者
日本大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2001

昨年度までに放線菌S.griseusのストレス応答性σ^Hはanti σ因子RshAを介して培地中のグルコースに応答した形態分化及びストレプトマイシン生産の開始に関与することを報告した。今回は、RshAによって制御されるσ^H以外のσ因子群及びRshAに対するanti-anti σ因子の同定と解析を目的とした。網羅的なTwo-Hybrid-Systemを用いた実験から、RshAはσ^Hと同族のσ^F及びσ^Lと相互作用することが判明した。この結果は、in vitroランオフ転写実験からも支持され、RshAはσ^Hと同族のσ^F及びσ^Lと相互作用し、それらの活性を負に制御することが明らかになった。RshAの過剰発現によってσ^Fとσ^L依存的なプロモーターの転写が阻害されたことは、細胞内においてRshAがσ^Fとσ^Lの活性を抑制していることを示している。遺伝子破壊実験から、これらのσ因子群は共通して菌糸のメラニン生産及び胞子の色素生産に関与することが考えられた。上記と同様なTwo-Hybrid-Systemを用いた解析から、RshAはS.coelicolor A3(2)において同定されているanti-anti σ因子BldGによって制御されることが予想された。このBldGとRshA間の相互作用は、Pull down assayによって得られた結果からも支持された。このBldGの機能は、in vitroランオフ転写アッセイの結果からRshAに対するanti-anti-σ因子であることが判明した。染色体上のbldG遺伝子を欠失させることで作製したbldG遺伝子破壊株は、S.coelicolor A3(2)の場合と同様に分化能を完全に欠損し、この破壊株においては、σ^Hσ^F及びσ^Lに依存的なプロモーターの転写が著しく低下していた。このことから、RshAの制御はBldGを介して行われることが考えられた。