著者
内ヶ崎 西作
出版者
日本大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1997

【実験方法】昨年度のウサギを用いた動物実験でサンプリングしておいた脳を含む諸臓器について病理組織標本を作成し、法医病理学的に検討を加えた。更に、「逆さ吊り」という体位が死を引き起こすメカニズムについて、昨年度のデータ・考察と共に総合的に検討した。【結果】諸臓器には特に致死的変化は認められず、また脳に関しても著明な脳浮腫や脳充血などの所見はみられなかった。【考察】昨年度の病態生理学及び肉眼解剖学を主体とした研究によって、「逆さ吊り」の体位は腹腔内臓器が横隔膜を通して胸腔を圧迫し、呼吸運動特に胸郭を広げる吸気運動が阻害されて、次第に呼吸筋が疲労して呼吸が浅くなり、最終的には窒息を起して死をきたすとの考察が得られた。本年度の研究はそこに法医病理学な調査を加えたものであるが、特に致死的な所見、及び、著明な脳浮腫や脳充血などはみられなかった。以上のことから、今回の「逆さ吊り」の実験系により死亡したウサギの死因としては、他の内因的な死因や脳充血などは否定され、やはり窒息であることが解明された。つまり、日本国内をはじめ世界の法医学者の間でもあまり認識されていなかった体位関連性窒息(postural asphyxia)が「逆さ吊り」でも実際に起りうるということがこの研究により証明されたのである。実際の法医実務上で「逆さ吊り」を経験することは希であるが、現に裁判などで問題となっている事例もみられる。この研究は、今後このような事例を経験した場合に有用な資料となるであろう。今後は他の体位と体位関連性窒息、或いは、乳幼児突然死症候群と体位関連性窒息などについての解明が待たれるところである。
著者
武井 浩樹 藤田 智史 山本 清文 中谷 有香
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

小児期では味蕾は成熟しているが,味覚情報を脳内に伝える脳神経線維や中継核はまだ発達途上である。したがって味覚を生み出す大脳皮質味覚野においても同様に発達が完了していないと考えられる。神経回路の発達が完了する「臨界期」の存在が大脳皮質視覚野で報告されているが,味覚野では未解明のまままである。そこで,脳内のニューロン活動を経過観察できるレンズをマウスに埋入し,種々の味覚物質を摂取させた際のニューロン群の発達に伴う発動パターンを数週間にわたり覚醒下にて計測する。また、視覚野の「臨界期」に重要な役割を果たすとされるBDNFの拮抗薬を投与するなどして,味覚野の「臨界期」を推定する。
著者
上原 清
出版者
日本大学
雑誌
日本大学芸術学部紀要 (ISSN:03855910)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.29-47, 2005

「NHKスペシャル」<以下"Nスペ"と略す>は、1976年4月にはじまった「NHK特集」<以下"N特"と略す>の後を受け、1989年4月にスタートした。「N特」は当初、週1回でスタートしたが、週2本でも出来ると判断し、78年4月(月・金曜)の週2本となった。84年4月から(日・月・金曜)の週3本となる。「N特」の企画はNHKの中ならば誰れでも参加でき、番組制作スタッフはテーマに即したピックアップ方式で参画できた。80年代後半になって"花鳥風月"ばかりが眼につくようになるとの批判が目立ちはじめてくる。NHKとはいえ、週3本も"スペシャル"番組を作ることはむずかしかったといえる。「N特」は13年間で1,378本放送された。「Nスペ」は「N特」放送年数を越え今年2005年で17年目を迎える。04年3月までに1,643本を数える放送を行なってきた。ここでは過去2000年〜03年度の「Nスペ」がいかなる制作母体で作られてきたかをさぐってみたい。
著者
牛島 廣治 沖津 祥子 高梨 さやか 町田 早苗 カムリン パターラ トンプラチュム アクサラ 野村 明子 早川 智
出版者
日本大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

ウイルス性胃腸炎で重要なロタウイルスとノロウイルスの混合ワクチンをめざして、基礎実験を行った。ロタウイルスはワクチン株(Rotarix)と人工的に作製したウイルス蛋白(VP6)を用いた。ノロウイルスはウイルス様粒子を用いた。マウスへの経口接種で相乗効果はなく、それぞれのウイルスとして抗体の上昇を認めた。子マウスにロタウイルスの感染実験(下痢)はできたが、ノロウイルスでは下痢が生じなかったので、ワクチンの予防効果の実験はできなかった。ヒトでのロタウイルスワクチンの使用例と繰り返すノロウイルス胃腸炎の例を参考にし、混合ワクチンの開発を進めることが期待された。
著者
松村 悦博
出版者
日本大学
雑誌
日本大学芸術学部紀要 (ISSN:03855910)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.71-77, 2005

これまでの分析結果から,技術水準が高い選手達は,素振り練習時や掛かり稽古時において,ある一定レベルの心拍数値を保って練習したり,対戦したりしていた。これらのことを踏まえ,更に研究を進めるために,教士(7段)・6段・5段・初段の選手達に素振り練習や掛かり稽古,そして,紅白試合をしてもらいその時の心拍数を測定した。その結果,前回報告した時とほぼ同様に,素振り練習時に競技水準が高い選手は,ある一定レベルの数値を保って流れるような推移を示していた。そして,掛かり稽古時においても教士や5段の選手達は,常にある一定レベルの数値を保って対戦していることが確認できた。
著者
浦部 知義
出版者
日本大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

国内の劇場・ホールを持つ公立文化施設の内、公演時外にホワイエをオープンスペースとして開放している施設を、一般開放性を重視した劇場・ホール施設と定義した上で、典型的な5施設の利用者を対象として公演時外及び公演時のホワイエを含む施設内オープンスペースの利用実態と空間評価を行った。その結果、劇場・ホールを持つ公立文化施設のホワイエを含む施設内オープンスペースの今後の計画に有効な基礎的資料を得た。
著者
阪本 久美子
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

舞台上の役者が登場人物を具現化する際、役者の性が登場人物の性と異なると、観客は性別の「ずれ」を認識することになる。これが、異性配役という趣向により生じる独特の効果として現れる。本研究では、シェイクスピア作品上演における観客側、つまり受容側を研究対象とし、受容における異性配役の効果を検証した。特に、異性配役が誘発する観客の「笑い」、異性配役が醸し出す「魅力」に着目し、基盤となる文献調査から始まり、ファンクラブへの調査、観客インタビューを含めた実地調査を実施した。その結果、異性配役に関する観客論を実証的な方向で発展させ、本来捉えどころがない観客の実態を把握する上での有意義な考察が行われた。
著者
荒島 康友 加藤 公敏 熊坂 一成 河野 均也 古屋 由美子 池田 忠生
出版者
日本大学
雑誌
萌芽的研究
巻号頁・発行日
2000

1.東京地区の大学病院におけるCoxiella bumetti(Cb)感染の状況の把握について:慢性疲労症候群(CFS)の患者138名について、Coxiella burnetti(Cb)DNAの検出をnested PCR法により行った。その結果、30例(21.7%)が陽性となった。健康人対照52例では5例(9.6%)が陽性となり、CFSで陽性率が有意に高かった(P=0.027)。また、CFSの基準に満たない、発熱、倦怠感等の不定愁訴を示した患者48名中20例(41.7%)がCb抗体価陽性となった。2.Q熱患者における抗生剤の投与方法や投与期間など治療法の検討:この20例に対し、MINOを中心とした抗生物質で治療を行ったところ効果の発現まで1〜3ヶ月と、個人差は有ったものの、20例の全ての患者に解熱、倦怠感の改善が認められた。3.登校拒否児についての検討:登校拒否児の症例は、研究協力者が転勤となったために、積極的な協力が得られず、4症例ではあった。しかし、1例が抗体価が陽性となりMINOの投与により症状が改善した。4.患者飼育ペットの検討:3症例の患者のペット(イヌ3頭)の検査を行ったところ、2頭がPCR陽性となった。また、1頭はMINOによりPCR陰性となった。5.学会発表:以上のCFSについては、第7回慢性疲労症候群研究会において発表を行った。また、3月の日本内科学会で発表予定である。さらに、招請講演において、今回のQ熱に付いて広く理解を得るべく説明を行っている。6.論文発表:現在、今回の内容でCIDに投稿中である。7.マスコミ報道:NHK2002年3月4日クローズアップ現代、8chアンビリーバボー以上、現在までの研究の概略を述べたが、予定の約80%には達していると考えている。
著者
秦 郁彦
出版者
日本大学
雑誌
政経研究 (ISSN:02874903)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.395-435, 2013-03-05
著者
上倉 泉
出版者
日本大学
雑誌
日本大学芸術学部紀要 (ISSN:03855910)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.23-29, 2003-03-15
著者
開發 孝次郎
出版者
日本大学
雑誌
日本大学芸術学部紀要 (ISSN:03855910)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.53-68, 2003-07-30
著者
須江 國雄
出版者
日本大学
雑誌
紀要 (ISSN:03859983)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.289-308, 2000-03-31

Many of the studies on Japan's heavy and chemical industries in the 1920s have cast these industries in a negative light and underestimated them. But while examination of empirical data indicates their regression and stagnation in the first half of the 1920s, the latter half of the decade was different. Though some variation exists between industries, steady development was visible in the second half of the 1920s, with the exception of 1928. These years were a period of renewed progress for the full spectrum of the heavy and chemical industries, although growth was primarily in the chemical and electric power businesses and rail service extending from city centers into outlying neighborhoods. As of 1929, 35.8% of Japan's manufacturing industries (metals, machinery, and chemicals) had become heavy and chemical industries. Supporting this evolution was the move among zaibatsu entities into heavy and chemical industry activities during the First World War. Much of this growth stemmed particularly from pathbreaking inroads into newly emerging heavy and chemical industries in the 1920s by four large zaibatsu that had grown larger because of a reshuffling in their ranks and by a new wave of business combines. By 1920 the four zaibatsu had adopted combine-like structures and reconfigured their operations to adapt to an expansion of scale. By making subsidiaries into joint-stock corporations, these zaibatsu also structured themselves to have assets for developing heavy and chemical industry operations. On top of this, as was illustrated by the liquidation of the business conglomerate Suzuki Shoten, zaibatsu pursued two routes to expansion: increasing the scale of their operations and making a full-fledged move into heavy and chemical industries. Enlargement of their operations involved the concentration of capital and the development of clusters through absorbing and blending the business resources-people, things, and money-of bankrupt zaibatsu from the Taisho period (1912-26) and mid-scale zaibatsu. The other route, entry into heavy and chemical industries, entailed forging alliances with foreign corporations and redirecting operations away from a traditional focus on light-industrial sectors.
著者
有賀 豊彦 石井 謙二 桜井 英敏 熊谷 日登美 関 泰一郎
出版者
日本大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1991

ニンニクを摂取すると,血液凝固系および線溶系には変動はみられないが,血小板機能が特異的に抑制される。私どもは,このような作用をもたらすニンニク成分をその精油中より分離同定し,メチルアリルトリスルフィド(MATS)であることを確認した。MATSは,in vitroおよびin vivoにおいて抗血小板作用を示すが,その作用機構については不明であった。このたびの科研費補助金による3年間の研究プロジェクトは,主としてMATSの血小板内作用点を特定することを目的に計画され,以下のような成績を得ることができた。1.MATSは消化管より吸収され,血中に出現し,尿中に排泄される。血中出現時間は90〜180分で,その後の臓器分布は,肝と腎に多く認められた。血中では,血球成分に移行し,血小板内の存在も確認された。2.血小板に対するMATSの作用は,アラキドン酸代謝系について確認したところ,専らアラキドン酸からプロスタグランジンが生成されるところが阻害されることが確認された。この代謝系に関る諸酵素について,それぞれ活性測定系を確立して検討したところ,cyclooxygenaseとlipoxygenaseの両酵素活性が阻害されることが明かとなった。MATSがこれらの酵素分子とどのようにinteractするかは不明であるが,恐らく酸化反応にMATSの硫黄原子が何らかの影響を及ぼし反応を阻害する結果になっているものと推察している。3.以上の成績に加えて,無臭ニンニクと呼称されている数種のネギ属植物の分類を,それらの成分分析を行うことで試行した。興味ある結果が得られているので,今後その成績をまとめ報告したい。