著者
岸田 久吉
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本應用昆蟲學會・應用動物學會合同大會講演要旨 : 日本農學大會分科會
巻号頁・発行日
no.1952, 1952-04-01

VI交友 : 野化地では,初冬・早春の2囘,又は稀に晩夏を加え3囘。VII姙孕期間:5〜6週間,姙♀の性門は完全に連合閉鎖している。VIII分娩:2〜3月,8〜9月,稀に9〜10月にも起る。1産4仔以下,多くは2仔。XI生糸:主とてし,林間又は林緑の耕作地とにいる。X活動:まず晝行性で,夜は大體巣で過ごし,地上で夜ふかしは認めがたい。XI巣性:喬木上に造巣,夏と冬との別がある。XII食性:主として食植性で食物は時と所とでかわる。XIII天敵:野化地ではノネコ・ノイヌ・イタチ・ミミズク・タカ・ヘビ類である。XIV對人生:愛玩家養,造林上の被害,防除法-毒劑-わな-獵銃-加工巣箱-テンの移入…など。利用法,愛養上の注意-毛皮-革-生肉-加工肉など。
著者
秋野 順治 望月 理絵 森本 雅之 山岡 亮平
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.39-46, 1996-02-25
参考文献数
6
被引用文献数
2 34

アリ類25種との共生が知られているアリヅカコオロギ<i>Myrmecophilus</i> sp.は,敏捷性によって働きアリからの攻撃を免れている。さらに加えて,アリ類の同巣認識フェロモンである体表炭化水素組成比を化学的に擬態することによって,働きアリを欺いていることが明らかになった。コオロギが擬態によって獲得したアリ体表炭化水素成分量は,コオロギをアリから隔離して単独飼育すると減少した。このことは,アリ体表炭化水素成分をコオロギが奪取することによって,アリヅカコオロギのアリに対する化学擬態が成立する可能性を示唆する。また,アリ体表炭化水素を触角で認識する,あるいは舐め取るだけでは,アリヅカコオロギはアリ体表炭化水素組成を化学擬態することができなかった。これらの結果から,直接的な体の接触が化学擬態を成立させるための主要因として作用しているものと考えられる。
著者
Yisiaki ITO Seigo HIGASHI
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
Applied Entomology and Zoology (ISSN:00036862)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.519-527, 1987-11-25 (Released:2008-02-07)
参考文献数
17
被引用文献数
10

Spring behaviour of Rapalidia plebeiana females within a huge nest aggregation was observed under a bridge in Cabbage Tree Creek, New South Wales, Australia. Although a great many combs existed in a dense aggregation, each comb was defended by a group of particular females, and intercomb drift of females was not frequent, suggesting that the social systme of R. plebeiana in huge nest aggregation was not a 'supercolony' reported in some ants, but a permanent aggregation of independent nests. Females oviposited in old cells; viz. combs were used more than one year. More than ninety percent of females were inseminated and seventy percent had developed eggs in ovaries.
著者
村田 未果 今村 太郎 宮ノ下 明大
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.131-136, 2006-05-25
被引用文献数
4 3

カップ麺製品に対するノシメマダラメイガ幼虫の侵入法と食害を把握することを目的とし,流通しているシュリンク包装が施されたカップ麺製品への終齢幼虫の侵入方法を調べた.また,即席麺を餌とした場合の幼虫発育を調べた.幼虫は,シュリンクフィルムと容器の間の空間の大きな箇所を好んで侵入する傾向が観察された.フィルム上の空気抜き穴および側面および底面にある背貼り(フィルムのつなぎ目)上に開けられている穴において,幼虫によるかじり跡が確認された.また,フランジ(ふたの縁)ではフィルム上から発泡ポリスチレンシート容器を穿孔し,容器内部へ侵入し,即席麺を摂食している個体が認められた.孵化時より即席麺を餌とした場合,室温30℃,湿度70%で成虫まで平均33.1日(♂),34.4日(♀)で発育し,米糠に比べて有意に長く,羽化率は30.0%と低かった.以上より,カップ麺製品へのノシメマダラメイガの侵入方法と加害を再現し,本種の混入防止という観点から製品容器および包装方法に関する改良の必要性を指摘した.
著者
竹内 将俊 田村 正人
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.79-84, 1994-05-25
被引用文献数
5 4

1) 東京都世田谷区の東京農業大学キャンパスと神奈川県秦野市のミカン畑跡地でトホシテントウの餌植物および各発育ステージの発生消長を調査するとともに,寄主植物ごとの室内飼育より幼虫期の発育期間を求めた。<br>2) 寄主植物として世田谷ではキカラスウリなどが,秦野ではアマチャヅル,カラスウリなどが確認され,加害植物としてカボチャ,キュウリが確認された。また世田谷個体群では,羽化時期の餌不足から一部の新成虫がエノキワタアブラムシの分泌蜜およびエノキの葉を摂食した。<br>3) 各発育段階の発生消長を調査地間で比較したところ,産卵ピークから4齢幼虫ピークまでの期間が異なり,産卵時期に対する4齢幼虫の出現は世田谷で早く,秦野で遅れる傾向にあった。また世田谷の幼虫の一部は年内に羽化し,成虫で越冬した。<br>4) 室内飼育では,キカラスウリを与えた幼虫はカラスウリやアマチャヅルを与えた場合より速く成長する。このことから個体群の依存する寄主植物による発育速度の違いが両個体群の生活史の相違をもたらす主な要因と考えられる。
著者
岩崎 拓 青柳 正人 百々 康行 石井 実
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.147-151, 1994-08-25
被引用文献数
3 3

オオカマキリとチョウセンカマキリの卵嚢からのカマキリタマゴカツオブシムシ越冬世代成虫の脱出パターンおよび成虫の寿命と産卵数を準自然条件下において調べた。越冬世代成虫の脱出は,5月と6月に見られたが,両種の卵嚢において,雌より雄の方が早く脱出し,雌雄とも,脱出はオオカマキリ卵嚢からの方が早かった。脱出後,雌雄のカツオブシムシとも約2か月間生存し,産卵は,5月下旬から8月中旬まで見られ,1雌当りの産卵数は約10個であった。しかし,両種のカマキリが産卵を始める9月まで生存する個体はなかった。7月下旬と9月中旬に採集したハラビロカマキリおよびチョウセンカマキリのふ化後の卵嚢から,それぞれ,このカツオブシムシの幼虫と脱皮殻を付着した羽化直後の成虫が得られた。越冬世代成虫の脱出は6月中に終了するので,これらの個体はいずれも第1世代のものであると考えられた。
著者
伊澤 宏毅 刑部 正博 守屋 成一 土田 聡
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.205-208, 1996-08-25
被引用文献数
5 16

交配実験で得られたチュウゴクオナガコバチ(Ts)とクリマモリオナガコバチ(早期羽化型(TbE)および晩期羽化型(TbL))の種間雑種におけるマリックエンザイム(<i>ME</i>)の分離パターンを明らかにするとともに,この遺伝的指標をもとに野外での種間雑種出現の可能性について検討した。<br>1) TbL×TsのF<sub>1</sub>はすべて<i>SS</i>であったが,TbE×TsのF<sub>1</sub>の<i>ME</i>はすべて<i>FS</i>であった。これらのことから,TbEとTsの交配雑種については<i>ME</i>により判定できると考えられた.しかし,TbLとTsとの交配雑種は<i>ME</i>では判定できなかった。<br>2) 安芸津および大栄個体群のO/T値はすべて1.3以下で,<i>ME</i>もすべて<i>FF</i>であった。一方,つくば個体群では種々のO/T値を示す個体が混在しており,<i>ME</i>は<i>SS</i>, <i>FS</i>および<i>FF</i>の3タイプに分かれ,TbEとTsの交配雑種の存在が確認された。