著者
堤 敦子 田中 宏樹 小野 雄治 梅田(戸上) 久美 梅田 幸嗣 磯田 憲一 波部 幸司 西川 政勝 水谷 仁
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.15, no.6, pp.486-492, 2016

乾燥肌成人女性ボランティアを対象に,新規低刺激性全身洗浄料(nachu 高保湿ボディソープ:ダスキン)と従来品(うるおいボディソープ:ダスキン)を用い,各群15名の二重盲検による4週間の二群並行試験を行った。前腕皮膚の角層水分量,経表皮水分蒸散量に加え,使用感のアンケートと皮膚科専門医による問診・視診で評価した。結果:角層水分量にて両手共に改善傾向が認められ,統計学的には全被験者では左前腕,支給タオル使用者のみでは右前腕で有意な改善が確認され,角層水分量変化量の群間比較も改善をみた。なお,試験期間中に両洗浄剤に起因する有害事象は確認されなかった。以上より,新規洗浄剤が従来品に比し高い保湿性を持つことが考えられた。(皮膚の科学,15: 486-492, 2016)
著者
杉浦 啓二 杉浦 真理子
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.120-125, 2008

17歳,高校生。アトピー性皮膚炎で通院加療中,皮疹の悪化を繰り返していた。昼食に唐揚げを摂取した後の体育授業中に蕁麻疹を生じ,痒みのため掻破し,アトピー性皮膚炎が悪化していた。血液検査,経過,誘発試験より,唐揚げ粉による食物依存性運動誘発アナフイラキシー(FDEIA)と診断した。唐揚げ摂取後2時間は運動しないよう指導したところ,蕁麻疹は消失し皮疹は軽快した。その後,調理実習の際,両手の皮疹とアトピー性皮膚炎の悪化を生じていた。パッチテスト結果より遅延型ラテックスアレルギーと診断した。調理の際,ゴム手袋の使用を中止するよう指導し,両手の皮疹及びアトピー性皮膚炎は軽快した。
著者
岩月 啓氏 大野 貴司 山崎 修
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.5, no.Suppl.7, pp.B29-B32, 2006 (Released:2011-03-11)
参考文献数
16

アトピー性皮膚炎の増悪因子の一つとして黄色ブドウ球菌は重要である。黄色ブドウ球菌表面のタイコ酸はTh2型免疫応答へシフトさせ,protein Aは表皮角化細胞からIL-18を持続的に産生させる。Enterotoxin A(SEA)とB(SEB)は,正常表皮角化細胞にICAM-1 やHLA-DRを発現させる。また,アトピー性皮膚炎患者の半数以上はSEAまたはSEBの両方あるいはいずれか一方に対するIgE型抗体を有する。SEBの経表皮的感作によって真皮に好酸球や単核球細胞浸潤を誘導でき,Th2型サイトカインであるIL-4 mRNA発現を起こすが,Th1型サイトカインのIFN-γは発現しない。最近,スーパー抗原によって制御T細胞(Treg)の機能である抑制効果が失われることが示された。黄色ブドウ球菌はその菌体成分や外毒素によってアトピー性皮膚炎を増悪させる。しかし,皮膚に定着している黄色ブドウ球菌を完全に除菌し,無菌状態に保つことはできない。角層内でバイオフィルムに包まれて静止期にあるような定着(colonization)した黄色ブドウ球菌に対しては,抗菌療法も消毒も十分な効果発現は期待できない。皮膚を清潔に保ち,適切なアトピー性皮膚炎治療を実施することにより,黄色ブドウ球菌を増えすぎないようにコントロールして,正常細菌叢と仲良くするストラテジーが理想的と思われる。
著者
髙山 恵律子 上村 義季 近藤 淳 吉川 大和 瀬戸 英伸
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.16, no.6, pp.422-426, 2017

8歳,男児。マイコプラズマ感染によると考えられた Stevens-Johnson 症候群を発症した。高熱と咳嗽を伴い,皮膚の紅斑と水疱はごく少数であったが,眼,口唇・口腔,陰部の粘膜症状が重症で2度のステロイドパルス療法および免疫グロブリン投与を要した。翌年,マイコプラズマに再び感染した。その際は咳嗽に続き高熱と,全身に猩紅熱様の紅斑を生じたが,粘膜症状はごくわずかで,ステロイド外用のみで速やかに軽快した。マイコプラズマの再感染時,Stevens-Johnson 症候群や多形紅斑を再発した報告は少数あるが,本例のように表現型が異なる皮膚粘膜症状を呈した報告は過去に見出せなかった。ただしマイコプラズマ感染による皮膚粘膜症状は多彩であり,マイコプラズマ感染と因果関係が広く知られた症状と異なる場合や,皮膚粘膜症状が複数回生じた場合,上気道症状を伴わない場合等は,マイコプラズマ感染の検索が見落とされやすく注意が必要である。マイコプラズマ感染に伴う皮膚粘膜症状はおもに宿主免疫応答により生じるといわれるが,加えて遺伝的要因,菌株要因など多要因の関与が推察された。(皮膚の科学,16: 422-426, 2017)
著者
横関 博雄
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.14, no.23, pp.S25-28, 2015

近年、スギ花粉症患者に呼吸器症状、消化器症状、咽頭症状、発熱なども見られることが良く知られスギ花粉症は全身性疾患の一つと考えられている。また、スギ花粉症の患者に合併してスギ花粉が皮膚に接触することが原因と思われるスギ花粉皮膚炎と呼ばれている皮膚症状が見られることがある。このスギ花粉皮膚炎は飛散するスギ花粉抗原の皮膚への接触による空気伝搬性接触皮膚炎(airborne contact dermatitis)の一つと考えられてきている。花粉皮膚炎はスギの飛散する2月から4月までだけではなく10月から12月までの秋にも発症する。秋に発症する花粉皮膚炎はスギ花粉による皮膚炎とブタクサ、ヨモギ花粉による秋花粉皮膚炎である。今回、スギ花粉皮膚炎の臨床的特徴、発症機序、治療法、予防法、他のアレルギー性接触皮膚炎などとの鑑別方法に関して述べたい。治療はマスク、眼鏡、マフラーなどでスギ花粉が皮膚に接触することを予防するとともに、スギ花粉症に準じて非鎮静性の第2世代の抗ヒスタミン薬の内服が必要である。また、スギ抗原が皮膚内に入るのを予防するために、角層のバリア機能を保つスキンケアも必要不可欠である。春先に生じる顔が赤くなる皮膚炎には化粧、洗剤、毛染めなどによるアレルギー性接触皮膚炎以外にスギ花粉皮膚炎があることを念頭に置いて診療する必要がある。(皮膚の科学,増23: 25-28, 2015)
著者
谷岡 未樹 松永 佳世子 秋田 浩孝 片山 一朗 乾 重樹 石井 正光 小林 裕美 相場 節也 菊地 克子 石川 治 永井 弥生 照井 正 高柳 たかね 古江 増隆 吹譯 紀子 加藤 敦子 山﨑 貞男 宮地 良樹
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.170-182, 2011 (Released:2012-10-23)
参考文献数
8
被引用文献数
2

顔面に尋常性ざ瘡のある女性患者を対象に,低刺激性・低アレルギー性メーキャップ化粧品dプログラム®スムースアップファンデーション(パウダリー),スムースアップファンデーション(リキッド),スムースアップフェースパウダー(おしろい)の安全性を評価することを目的とする4週間の使用試験を実施した。解析対象例(85例)における副作用発現率はパウダリー2.1%,リキッド0%,おしろい0%で,副作用の症状は軽微であった。試験開始時と比較した終了時におけるざ瘡の炎症性皮疹(紅色丘疹,膿疱)および非炎症性皮疹(面皰)数は有意に減少した。Dermatology Life Quality Index を用いた生活の質の評価は「総合」「症状・感情」「レジャー」のスコアが有意に改善された。Visual Analogue Scal (VAS) による顔面の皮膚状態に関する満足度も有意に上昇した。以上の結果より,本試験試料の低刺激性・低アレルギー性メーキャップ化粧品は女性の尋常性ざ瘡患者が安全にかつざ瘡を悪化させることなく使用することができるだけでなく,生活の質を改善すると結論した。(皮膚の科学,10: 170-182, 2011)
著者
高田 香織 飯塚 香織 澤本 学 熊本 貴之 磯貝 理恵子 山田 秀和
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.9, no.6, pp.541-544, 2010 (Released:2011-12-26)
参考文献数
18

29歳,男性。初診の2ヶ月前から上肢に痒みを伴う皮疹が出現し,徐々に拡大してきたため当院を受診した。6ヶ月前からチンチラを飼い始め,同じ頃にチンチラに脱毛斑が出現した。左前腕に母指頭大の鱗屑を伴った紅斑および丘疹が見られ,KOH 直接鏡検にて真菌陽性,体部白癬と診断した。スライド培養では円形の小分生子があり,ぶどう状を呈していた。また,らせん器官も認めたため分離菌を Trichophyton mentagrophytes と同定した。PCR 法では Arthroderma vanbreuseghemii と同定された。チンチラも動物病院を受診し,鏡検にて白癬と診断された。治療はテルビナフィン外用にて皮疹の軽快を認めた。今後チンチラを含めたげっ歯類の飼育の増加に伴ない真菌感染が増加することが考えられる。(皮膚の科学,9: 541-544, 2010)
著者
柴田 史子 杉浦 久嗣 上原 正巳
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.150-155, 2004 (Released:2011-07-13)
参考文献数
10
被引用文献数
1

アトピー性皮膚炎患者でしばしばみられる冬季の皮膚の乾燥が洗濯洗剤の使用を避けることで改善されるかを検討した。対象:冬季に肩周囲の皮膚の乾燥状態が増強するアトピー性皮膚炎軽症例26名。方法:電解水洗浄型洗濯機(SANYO ASW-HB700)の洗剤ゼロコースで洗濯した衣類を2週間着用し,その前後で皮膚症状の変化を調べた。結果:洗濯洗剤の使用中止により皮膚の乾燥は26名中24名(約90%),乾燥性湿疹は26例中16例(約60%)で改善した。衣類に残留する洗濯洗剤が冬季に被服部にみられるアトピー性皮膚炎の乾燥皮膚の一因であることが示唆された。
著者
船坂 陽子 田村 真吾 薄木 晶子 荒木 敬司 大橋 明子 市橋 正光
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.138-143, 2002

2000年10月1日から2000年11月30日までの2ヵ月間に神戸大学医学部附属病院皮膚科外来を受診した女性の尋常性痙瘡患者22例に対し, 「ノブ (R) ACスキンケアシリーズ」の使用試験を実施した。<BR>本製品は, Propionibacterium acnesに対して抗菌作用を有する感光素201号, 抗炎症効果が知られるグリチルリチン酸ジカリウムを配合するなどしたスキンケアシリーズで, 化粧落とし, 洗顔料, 化粧水および保湿ジェルの4品からなる化粧品である。2週間の使用試験において副作用例はなく, 全症例22例中21例に安全性を認めた。1例において, 洗顔料の使用部位に本試験品とは因果関係不明の紅色丘疹を認めたが, 使用中止により症状は軽快した。<BR>これらの結果から, 本試験に供した「ノブ<SUP> &reg; </SUP>ACスキンケアシリーズ」は痙瘡患者に対しても安全に使用できるスキンケア製品と考えられる。
著者
片桐 一元 倉橋 理絵子 波多野 豊
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.8, no.Suppl.12, pp.B690-B694, 2009 (Released:2012-04-18)
参考文献数
9

慢性ストレスにより皮膚バリア機能回復障害が誘導され,glucocorticoidsがそのメディエーターとされている。今回,我々は,急性ストレスによる皮膚バリア機能障害について解析を行った。12時間の過密環境での飼育ストレス負荷により,皮膚バリア機能の回復障害が生じた。あらかじめ機能的除神経を施したマウスでは,ストレスによる影響が消失した。さらに,サブスタンスPの皮内投与により皮膚バリア機能回復障害が生じた。以上の結果より,急性ストレスでは末梢神経機能を通じて皮膚バリア機能回復障害が誘導されることが明らかとなり,サブスタンスPが有力なそのメディエーターであると予想される。
著者
下江 文子 野口 雅久 中南 秀将 笹津 備規 黒川 晃夫 森脇 真一
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.11, no.6, pp.520-527, 2012 (Released:2013-05-10)
参考文献数
22

伝染性膿痂疹は,乳幼児に好発し,主として黄色ブドウ球菌,時にレンサ球菌に起因する皮膚細菌感染症である。今回我々は,1%ナジフロキサシン軟膏の伝染性膿痂疹に対する効果および臨床材料より分離された細菌株に対する各種抗菌薬の薬剤感受性を調査した。同疾患に罹患した解析対象42例に対して,1日2回7日間1%ナジフロキサシン軟膏の外用および抗菌薬1剤の内服で加療し,治癒率および改善率を検討したところ,それぞれ57.1%,97.6%であった。全例から黄色ブドウ球菌が検出され,そのうち,MSSA は37例(80.4%),MRSA は9例(19.6%)から分離された。ナジフロキサシンは MSSA にも MRSA にもともに高い感受性を示した。以上より,伝染性膿痂疹の治療において,1%ナジフロキサシン軟膏はその起因菌が黄色ブドウ球菌の場合は MRSA であっても効果が期待できる有用な抗菌外用剤であると考えられた。(皮膚の科学,11: 520-527, 2012)
著者
松本 均 伊藤 恭子 米倉 久美子 市橋 正光
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.4, no.5, pp.492-497, 2005 (Released:2011-05-17)
参考文献数
8
被引用文献数
1

健常人女性33名に末梢の血流改善効果を有するカシスポリフェノールを単回経口摂取させ,その後の頬部の血流に対する効果と下眼瞼中央部のくまに対する改善効果をポリフェノールを除いたプラセボとクロスオーバー二重盲検法による群間比較で評価した。プラセボ群では変化が認められないのに対し,カシス群では摂取15分後から血流量の有意な増加が見られた。同時にカシス群はプラセボ群と比較してL∗値の有意な上昇,エリスマインデックスの有意な上昇とメラニンインデックスの有意な減少が確認された。また,血流量変化とメラニンインデックス変化との間に逆相関関係が見られたことにより,くま発生の主要因は血流の停滞であると考えられ,カシス摂取による即効的な血流改善効果を介してくま改善効果を有する可能性が示唆された。
著者
上田 英一郎
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.11, no.Suppl.18, pp.36-38, 2012 (Released:2013-11-28)
参考文献数
4

アトピー性皮膚炎がストレスにより増悪する事はよく知られている。また,ストレスマネジメントの重要性も一般的に認識されるようになり,「癒し」などと呼ばれ取り入れられるようになってきた。しかし,ストレスの原因がトラウマ記憶と関係している場合,通常のストレス対処法では効果が出にくいことや,確立されたトラウマケアの技法があることはあまり知られていない。そこで,トラウマとトラウマによって引き起こされる心や体の反応について解説し,アトピー性皮膚炎治療への応用について述べる。(皮膚の科学,増18: 36-38, 2012)
著者
東 禹彦
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.7, no.3, pp.347-353, 2008 (Released:2010-12-06)
参考文献数
4

2004年4月からの3年間に東皮フ科医院を受診した爪甲鈎彎症患者は女性82名,男性6名であった。30歳代の女性が26名であった。爪甲を削って平坦化したのは6名で,QOLは改善した。4例の軽症例では絆創膏による牽引のみで治療したが,全例軽快あるいは治癒した。根治術としては抜爪数ヵ月後に末節骨を削って爪床を平坦化する手術を行い,爪床形成術後は絆創膏による牽引を行った。術後1年以上経過した症例は27例,35趾で,25趾では治癒あるいは略治となった。他の10趾では不成功となった。不成功の原因は,適応外の症例に行ったもの,途中で受診しなかったもの,絆創膏による牽引が不十分だったものなどである。爪甲鈎彎症は治療により正常化し得る疾患であることを強調したい。
著者
立林 めぐ美 大磯 直毅 川田 暁
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.14, no.6, pp.403-410, 2015 (Released:2016-04-05)
参考文献数
9

非ステロイド性抗炎症薬含有テープ剤などの貼付剤は皮膚と密着し,主剤の皮膚への浸透性を高めて効果を発揮するが,各種成分へのアレルギー感作が成立し,アレルギー性接触皮膚炎や光アレルギー性接触皮膚炎が生じうる。貼付により皮膚バリア機能が低下すると,アレルゲンの皮膚内への浸透性が高まり,感作がより生じやすくなる。しかしながら,貼付剤による皮膚バリア機能におよぼす影響はほとんど評価されていない。20歳以上の本研究に同意が得られた健常人ボランティア20例を対象にロキソプロフェンナトリウム水和物貼付剤とケトプロフェン2%貼付剤を7日間連続貼付し,貼付終了直後および貼付終了7日後における皮膚バリア機能に及ぼす影響を検討した。評価項目として経皮水分蒸散量(TEWL: transepidermal water loss)と角質水分量(capacitance)を測定した。角質水分量に貼付剤間の差は認められなかった。ケトプロフェン2%貼付剤群では,貼付終了直後と貼付終了7日後の経皮水分蒸散量が優位に高値を示した。テープ剤の各種成分の選択と構成比の最適化を図り,皮膚バリア機能が低下しない,もしくは低下しにくい貼付剤の開発と普及が望まれる。(皮膚の科学,14: 403-410, 2015)
著者
松下 記代美 山田 秀和 荒金 兆典 川田 暁 手塚 正 今野 元博
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.2, no.5, pp.462-465, 2003 (Released:2012-01-06)
参考文献数
10

48歳,女性。45歳時に子宮筋腫のため当院婦人科にて腹腔鏡下膣式子宮全摘出術を受けた。約3年後の平成10年5月頃より臍部の腫瘤に気付いた。臨床的に臍部に1.6 cm大のやや硬い境界明瞭な桃紅色の結節を認め,皮下に連続性の硬結を触れた。腹部エコーと腹部CTの画像診断によって,腫瘤が腹膜と連続していることが確認された。当院第2外科の協力のもと全身麻酔下に開腹,腫瘤摘出をおこなった。組織学的には表皮直下から腹膜まで連続性に膠原線維の不規則な増生と線維芽細胞の増殖が認められた。臨床経過,臨床症状および組織学的所見より腹腔鏡下手術後に生じた臍部のケロイドと診断した。今後,内視鏡子宮全摘術の増加するにつれて,臍部のケロイドの発生も増加することが予想される。
著者
横井 彩 眞鍋 求 能登 舞 蓮沼 直子 野澤 一美 川口 尚子 情野 治良 奥田 誠 吉田 康弘
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.17, no.6, pp.347-353, 2018 (Released:2019-08-13)
参考文献数
7

乾皮症に対して,保湿剤によるスキンケアが有用であることは広く周知されている。そこで今回,我々は同一分子内に両荷電を有する両親媒性キトサン誘導体である部分ミリストイル化カルボシキシメチルキトサン(以下 PMCMC)を配合した O/W 型乳液を開発し,乾皮症を有する被験者19名に対する保湿効果を検討した。 4 週間の使用試験の結果,皮膚所見(乾燥・落屑)・角層水分量・経皮水分蒸散量・痒みのいずれの項目も,試験開始時に比べ有意な改善が認められ,対照として用いたW/O 型乳化製剤のヘパリン類似物質製剤(医薬品)と同等であった。また,興味深いことに,被験者による使用感評価は対照よりも高く評価された。これらの所見は,PMCMC 配合乳液が医薬品と同等の保湿効果と高い使用感特性を有することを示唆するものである。よって,本製品はアドヒアランスやスキンケアの継続性を高め,また QOL の向上に寄与することが期待される。 (皮膚の科学,17 : 347-353, 2018)
著者
米田 耕造 竹尾 仁良 山下 伸也
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.202-209, 2005 (Released:2011-05-17)
参考文献数
19
被引用文献数
1

エイコサペンタエン酸(以下EPAと略す)およびドコサヘキサエン酸(以下DHAと略す)を含む精製魚油含有飲料を用いて,アトピー性皮膚炎に対する効果について検討した。アトピー性皮膚炎患者21例に試験飲料(EPA 1,260mg,DHA 540mg含有)を1日1回,12週間連続投与した。その結果,脱落3例を除いた18例に対して皮膚症状の改善傾向が認められ,全般改善度については,著明改善5.6%(1例),中等度改善38.9%(7例),軽度改善27.8%(5例),不変16.6%(3例),悪化11.1%(2例)となった。以上より,EPA/DHA含有飲料がアトピー性皮膚炎の症状改善に対して有効である可能性が示唆された。
著者
小澤 麻紀 田上 八朗
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.1, no.6, pp.418-423, 2002

アトピー性皮膚炎の患者20例を対象に, 黄色ブドウ球菌属等に対する抗菌作用を有するb-ツヤプリン (ヒノキチオール) 配合保湿クリーム (ヒノキAPクリーム) の有用性と安全性を検討した。ほとんどの症例で乾燥症状の改善を認めた。協力が得られた11症例についてはヒノキAPクリームと基剤のみの塗り分け試験を行い, 使用前後の角層機能と黄色ブドウ球菌数を測定した。角層機能は, どちらの側とも使用後に回復した。黄色ブドウ球菌数はヒノキAPクリーム使用側で減少する傾向がみられた。本試験品に起因する副作用は認められなかった。以上より, ヒノキAPクリームは保湿効果が高く安全性に優れ, 黄色ブドウ球菌が増悪因子のひとつであるとされるアトピー性皮膚炎の治療補助剤として有用であると考える。(皮膚の科学, 1: 418-423, 2002)
著者
上原 正巳
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.65-75, 2014 (Released:2014-08-01)
参考文献数
56

アトピー性皮膚炎患者に主要アレルギー性食物(卵,牛乳など)の経口投与試験をおこなうと,湿疹の悪化が起こる患者は少数(10%以下)であることから,食物は本症の重要な悪化因子ではないと考えられてきた。最近筆者らは従来の研究を補完するつもりで,患者が摂取するすべての食物を研究対象に含めて投与試験をおこなった。その結果,不定期的湿疹悪化を示す成人患者の44%と小児患者の75%,および母乳栄養の乳児患者の73%において,主要アレルギー性食物以外の食物(とくに木の実食品と発酵食品)が湿疹を悪化させていることが判明した。以上から,食物(とくに木の実食品と発酵食品)は本症の重要な悪化因子であると考えられる。(皮膚の科学,13: 65-75, 2014)