著者
西嶋 攝子
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.3, no.6, pp.622-627, 2004 (Released:2011-11-07)
参考文献数
1

薬物療法ではクリンダマイシンの外用剤と合成レチノイド剤であるアダパレンについて解説した。理学療法ではケミカルピーリングについて我々の実験成績を中心にニキビに対する効果を検討した。今回の講演内容の多くはすでに「皮膚の科学」にトピックスとして掲載ずみである。
著者
遠藤 英樹 大磯 直毅 川田 暁 黒田 啓 多島 新吾
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.5, no.5, pp.360-366, 2006 (Released:2011-02-18)
参考文献数
8

後天性掌蹠角化症患者30例を対象として,活性型ビタミンD3外用薬であるマキサカルシトール(オキサロール®)25μg/g軟膏を1日2回8週間外用し,有効性と安全性を検討した。(1)皮膚症状の紅斑,角化・鱗屑,亀裂について4週後と8週後に投与前に比して有意な改善が認められた(p‹0.05)。(2)中等度改善以上の有効率は4週後73.1(19/26)%,8週後74.1(20/27)%であった。(3)局所刺激を含む有害事象は認められなかった。(4)患者印象の好ましい以上は4週後80.8(21/26)%,8週後85.2(23/27)%であった。(5)有用度の有用以上は76.7(23/30)%であった。以上の点より活性型ビタミンD3外用薬であるマキサカルシトール25μg/g軟膏は後天性掌蹠角化症に対して有用性の高い薬剤である事が示唆された。
著者
小澤 麻紀 田上 八朗
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.1, no.6, pp.418-423, 2002 (Released:2010-08-25)
参考文献数
10

アトピー性皮膚炎の患者20例を対象に, 黄色ブドウ球菌属等に対する抗菌作用を有するb-ツヤプリン (ヒノキチオール) 配合保湿クリーム (ヒノキAPクリーム) の有用性と安全性を検討した。ほとんどの症例で乾燥症状の改善を認めた。協力が得られた11症例についてはヒノキAPクリームと基剤のみの塗り分け試験を行い, 使用前後の角層機能と黄色ブドウ球菌数を測定した。角層機能は, どちらの側とも使用後に回復した。黄色ブドウ球菌数はヒノキAPクリーム使用側で減少する傾向がみられた。本試験品に起因する副作用は認められなかった。以上より, ヒノキAPクリームは保湿効果が高く安全性に優れ, 黄色ブドウ球菌が増悪因子のひとつであるとされるアトピー性皮膚炎の治療補助剤として有用であると考える。(皮膚の科学, 1: 418-423, 2002)
著者
立林 めぐ美 川田 暁 松尾 仁子 中野 創
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.13, no.5, pp.382-386, 2014 (Released:2015-02-13)
参考文献数
18

65歳,男性。20歳頃より多量の飲酒歴があった。初診の約6ヶ月前より露光部に水疱形成を繰り返すようになり,当科を紹介され受診した。初診時,顔面に色素沈着,両手背に水疱・びらん・痂皮がみられた。病理組織学的所見は表皮下水疱で,PAS 染色にて真皮上中層の血管壁に PAS 陽性物質の沈着を認めた。臨床検査では,軽度の肝機能障害と尿中ウロポルフィリンの著明な上昇を認めた。HCV 抗体,HBs 抗原,HBs 抗体は陰性であった。患者末梢血を用いて遺伝子検索を行ったが,uroporphyrinogen decarboxylase 遺伝子,hemochromatosis 遺伝子の変異は同定されなかった。後天性の晩発性皮膚ポルフィリン症と診断し,禁酒を指導した。さらにプロトポルフィリンIXの吸収波長の最大のピークが 405~410nm にあることから,405~450nm の波長域の光を吸収するように作製したファンデーション剤を使用させたところ,現在水疱の新生はみられていない。本症においては可視光を防御するファンデーション剤の使用が有用と考えられた。(皮膚の科学,13: 382-386, 2014)
著者
大橋 苑子 荒井 利恵 政次 朝子 太田 深雪 堀口 裕治
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.164-167, 2009 (Released:2010-08-22)
参考文献数
12

62歳,男性。5年来の掌蹠の汗疱状皮膚炎が強いそう痒を伴って全身に拡大した。初診時,躯幹に紅斑と丘疹,掻破によるびらんと小さな潰瘍がみられ,四肢の中枢側には苔癬化した局面と痒疹様の皮疹がみられた。大きな水疱はなかった。掌蹠には汗疱様の小水疱や血疱,および小型の水疱やびらん面が分布していた。組織学的には陳旧性の水疱蓋下面にghost basal cell(核の抜けた好酸性に染色される基底細胞)が配列し,再生表皮には表皮内のように見えるが複雑な経路で真皮に連絡する新しい水疱がみられた。真皮上層には好酸球の強い浸潤がみられた。直接蛍光抗体法により表皮基底膜部にはIgGとC3の線状の沈着がみられた。またELISA法では患者血清中に抗BP180抗体が確認された(インデックス値320)。異汗性類天疱瘡が全身に拡大したものと診断し,プレドニゾロン(初期量30mg/日),ミノサイクリン(150mg/日)およびニコチン酸アミド(900mg/日)の併用療法を開始したところ,皮疹は数日の経過で消退した。本症例は異汗性類天疱瘡が何らかの機序で増悪し,全身に拡大したものと考えた。
著者
宮地 良樹 Mizzi Fabienne 三田 哲也 白 立岩 生駒 晃彦
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.15, no.4, pp.278-293, 2016 (Released:2016-10-06)
参考文献数
12

目的:本治験は,各単剤と比べたアダパレン0.1%/過酸化ベンゾイル2.5%配合ゲルの有効性および安全性・忍容性を,日本人尋常性ざ瘡患者を対象に12週間の治療において検討することを目的として施行された。方法:本治験は,多施設共同,無作為化,二重盲検,実薬対照,並行群間比較の第III相臨床試験で,計417例の被験者が参加し,治験薬は12週間,1日1回,顔面全体に塗布された。総皮疹数の最終来院日の減少率を有効性主要評価項目とした。安全性・忍容性は有害事象や局所刺激性評価などの指標を用いて評価した。結果:本配合ゲルの総皮疹数に対する有効性は高かった(減少率の中央値:82.7%)。単剤に対する優越性は,アダパレン0.1%ゲル(68.6%)に対しては統計学的に有意(p<0.001)であった一方,過酸化ベンゾイル2.5%ゲル(81.6%)に対しては有意でなかった。重症や重篤な有害事象は報告されなかった。局所刺激症状を経験した被験者の割合は,配合ゲルがアダパレン0.1%ゲルや過酸化ベンゾイル2.5%ゲルよりも多かったが,いずれの群でもその症状はほとんどが軽症か中等症であった。結論:本治験により,本配合ゲルの日本人尋常性ざ瘡患者における高い有効性と安全性・忍容性が明らかになった。この結果はこれまでの海外データに矛盾せず,本配合ゲルの尋常性ざ瘡治療における良好なリスク・ベネフィット比を支持するものである。(皮膚の科学,15: 278-293, 2016)
著者
山口 明彦 藤本 徳毅 寺村 和也 加藤 威 古田 未征 田中 俊宏
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.57-62, 2016 (Released:2016-06-02)
参考文献数
15

30歳代,男性。2009年3月上旬より特に誘因なく両下腿に紅斑が出現し,徐々に上肢にも拡大し発熱を伴うようになったため前医を受診した。セファゾリンの投与を受けたが軽快せず,D-dimmer 上昇,血小板低下を認め,原因不明の播種性血管内凝固と診断された。メシル酸ナファモスタットを投与され凝固異常は改善したが,発熱が持続しイミペネムの投与を開始されたが無効であった。このためステロイド内服やステロイドパルス療法も行われたが,発熱が持続するため当院転院となった。受診時,患者は Yamaguchi らの基準のリンパ節腫大以外のすべての項目を満たし,検査結果と合わせて感染症,悪性腫瘍,膠原病を除外し,成人発症 Still 病と診断した。ステロイドの単独治療,ステロイドパルス療法,メトトレキサート,シクロスポリンの併用,二重濾過血漿交換,コルヒチン内服のいずれにも著明な反応を示さず,軽快と増悪を繰り返した。治療抵抗性の成人発症 Still 病であり,IL-6 の高値を認めたため Tocilizumab の適応と判断し,Tocilizumab とステロイド内服の併用療法を開始したが病勢は完全には治まらず,最終的に Tocilizumab とメトトレキサート,ステロイド内服の併用により長期の寛解を得ることができた。Tocilizumab の難治性成人発症 Still 病に対する有効性については,今後も本例のような症例の積み重ねが必要と思われる。(皮膚の科学,15: 57-62, 2016)
著者
石田 勝英 塩入 有子 石坂 泰三 岩崎 博道 藤田 博己 高田 伸弘
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.55-61, 2004 (Released:2011-07-13)
参考文献数
12

症例は88歳,女性。約2日前に自宅近くの草むらに入り,全身を多数のマダニに咬着され,平成15年5月19日に当科を受診した。当科で229匹の虫体を摘除したが,すでに脱落した虫体も含めるとさらに多くの寄生を受けていたものと思われた。虫体はタカサゴキララマダニ幼虫と同定された。塩酸ミノサイクリンを予防投与したが虫体摘除2日後に発熱・全身関節痛・両腋窩リンパ節腫脹などの全身症状が出現した。塩酸ミノサイクリンは効果がなく中止し,多種の抗生剤を用いてようやく症状は軽快した。日本系および欧州系紅斑熱やライム病など,およそマダニが媒介し得るだけの各種感染症の血清抗体検査では陰性だった。全身症状の明らかな原因は特定できなかった。
著者
神保 晴紀 古松 茜 福永 淳 清水 秀樹 錦織 千佳子 山下 純史 皿山 泰子 原田 晋
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.13, no.4, pp.278-284, 2014 (Released:2014-11-08)
参考文献数
14

ニューキノロン系抗菌剤による即時型アレルギーの3例を経験した。ニューキノロン系抗菌剤は構造式上,本環の母核が2環もしくは3環から成るものに大別される。症例1では2環系キノロンのシプロフロキサシンとモキシフロキサシンが,症例2では3環系キノロンのレボフロキサシンとパズフロキサシンが,症例3ではレボフロキサシンとその光学異性体を含むオフロキサシンが,それぞれ感作薬剤と交差反応を示した薬剤であった。抗原決定基は2環系キノロンでは1位側鎖のシクロプロピル基,3環系キノロンではピリドベンゾオキサジン環にあると考えた。同系のキノロン同士では交差反応が生じやすく,他系統間では起こりにくいと考えた。(皮膚の科学,13: 278-284, 2014)
著者
河平 一宏 木原 綾子 蔭山 充 谷口 彰治
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.14, no.4, pp.175-178, 2015 (Released:2015-11-13)
参考文献数
13

症例は70歳代,女性。以前より他院呼吸器内科で咳と慢性副鼻腔炎のため増悪時のみ治療をされていた。2012年6月頃より全指趾爪の肥厚,成長遅延,一部の黄色変化をきたし,上記病院皮膚科で黄色爪症候群と診断されたが治療されなかったため同月当院を受診した。当科でも黄色爪症候群と診断し,クラリスロマイシン内服,ステロイド外用による治療を行ったが効果なかった。しかし,副鼻腔炎に対して処方された辛夷清肺湯内服を開始したところ,副鼻腔炎とともに爪症状も改善した。過去の症例においても呼吸器疾患の改善に伴い黄色爪の改善が報告されており,呼吸器疾患と黄色爪との関連が示唆された。(皮膚の科学,14: 175-178, 2015)
著者
片山 一朗
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.6, no.Suppl.9, pp.B1-B5, 2007 (Released:2012-04-18)
参考文献数
21

紫外線療法は難治性のアトピー性皮膚炎の治療法としてヨーロッパを中心に臨床応用されている。本邦ではPUVA療法が,欧米ではUVA-1療法のなどの有効性が報告されており,最近はナローバンドUVBの試みが開始されている。本講演ではアトピー性皮膚炎の病因論から考える光線療法の作用機序として以下のキーワードに関して最近の知見を概説し,紫外線療法の位置付けと今後の展望を考察した。
著者
牧之段 恵里 佐々木 祥人 倉田 晴子 田中 将貴 堀 啓一郎
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.3, no.6, pp.567-571, 2004 (Released:2011-11-07)
参考文献数
22

81歳,女性。1947年から1年間美白のために,砒素(詳細不明)を1年間内服していた。1990年頃より鱗屑を伴う紅褐色皮疹の増加を認めていた。2001年8月1日,当科紹介受診となった。計30ヵ所切除行い、組織学的に,右手掌の砒素性角化症以外は,すべてBowen病と診断した。また,過去10年間の砒素が誘因と考えられる多発性Bowen病の13症例の発病までの期間は,平均39年であった。
著者
加藤 典子 河本 慶子 橋本 洋子 為政 大幾 岡本 祐之 堀尾 武
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.244-248, 2005 (Released:2011-05-17)
参考文献数
41

64歳,女性。合併症として橋本病があり,平成14年3月より両手掌に鱗屑を伴う紅斑が出現した。尋常性乾癬と診断されエトレトナート内服,マキサカシトール軟膏の外用を開始したが,皮疹は拡大し、5月末には頭部に脱毛斑が出現した為,当科を受診した。入院の上,PUVA療法を開始し,内服PUVA療法を計28回,計130.5J/cm2照射し,終了時には乾癬,円形脱毛症ともに略治状態となった。尋常性乾癬の病態形成にT細胞性自己免疫が関与することが注目されており,他の自己免疫疾患との合併例が報告されている。本症例は橋本病と円形脱毛症を合併しており,異なる自己抗原に対する細胞性免疫が惹起された結果,3疾患を発症した可能性が考えられた。
著者
前田 七瀬 猿丸 朋久 木嶋 晶子 吉田 直美 西野 洋 片岡 葉子
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.8, no.Suppl.12, pp.B707-B712, 2009 (Released:2012-04-18)
参考文献数
3
被引用文献数
1

13歳,男児。幼少時より重症アトピー性皮膚炎(AD)にて加療していたが,9才時,アスペルガー障害,発達障害と診断された。その後も両親の離婚や母親が精神状態不安定であり,スキンケアが十分に行えず,入退院を繰り返していた。経過中にパニックを発症し,自己欲求が満たされない際・他人と衝突した際などに,周囲への暴力行為・自傷行為に至り,精神的に非常に不安定となった。児童精神科医からパニック時の対処法の指導を受け,併診しながら加療を続けた。我々の本人への対応として,(1)パニック時は周囲に害が及ばないように配慮した。(2)話を傾聴し,支持した。(3)努力を誉めることを重視した。(4)不適切な行動は明瞭に指摘し,指導を行った。(5)理解しやすいように,あいまいな表現にならないように努めた。ADの治療に関しては,ステロイド外用指導には,図を用いてわかりやすく説明した。頻回に通院し,治療へのモチベーションをあげるようにした。この対応により,徐々に精神的に安定したことで,パニックを起こさないようになり,皮膚症状も軽快した。精神的な状態によって,ストレスによる掻破やセルフコントロールの不備が生じ,皮膚症状が大きく左右されるため,精神面の安定および適切な適応のサポートは,本児の日常生活のみでなく,皮膚炎を改善させる上でも非常に重要な因子であった。成長と共に生じた問題とその対応について報告する。
著者
羽田 孝司 夏秋 優 山西 清文
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.10, no.3, pp.199-202, 2011 (Released:2012-10-23)
参考文献数
14

29歳,女性。右腎血管筋脂肪腫摘出術の術前処置として,経口腸管洗浄剤ニフレック®を内服した。内服30分後から全身に熱感と紅斑が生じ,その後,顔面の腫脹,呼吸困難が出現した。輸液とステロイド投与を行い,症状は改善した。原因検索のため行ったプリックテストで,ニフレック®およびニフレック®に含まれるマクロゴール4000で陽性反応を示した。またマクロゴール400,1500,6000でもプリックテストを行い,陽性反応を示した。以上より自験例をニフレック®に含まれるマクロゴール4000によるアナフィラキシーと診断した。(皮膚の科学,10: 199-202, 2011)
著者
山藤 千草 杉山 美紀子 三浦 健太郎 北見 由季 末木 博彦 飯島 正文 山本 雄一 上里 博
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.5, no.5, pp.355-359, 2006 (Released:2011-02-18)
参考文献数
18

71歳,男性。40年来熱帯魚屋を経営している。約4ヵ月前より右手背の紅斑に気づき,ステロイド外用剤で加療するも軽快せず当科を受診した。初診時,右手背に24×20mmの暗紅色の扁平に隆起した浸潤性紅斑を認めた。病理組織所見では非乾酪壊死性類上皮細胞性肉芽腫像を示した。組織のZiehl Neelsen染色では抗酸菌は陰性だったが,組織片の塗抹標本では全視野で1~4個の抗酸菌を認めた。組織片の培養(小川培地)では表面が淡いクリーム状のコロニーを認め,生化学的性状より本菌をMycobacterium(以下M.)marinumと同定した。さらに分離培養株を対象にPCRおよびダイレクトシークエンス解析を行いM. marinumと確定した。塩酸ミノサイクリン 200mg/日の内服で8週間後に瘢痕治癒した。