著者
平岩 進 田中 幸彦 田中 幸彦
出版者
日本育種学会
雑誌
育種學雜誌 (ISSN:05363683)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.225-230, 1980-09-01

放射線感受性の指標として一般に照射後の幼苗長の減少率が用いられている。アズキは双子葉植物であるため,型態的な理由から正確な幼苗長の測定が単子葉植物のそれにくらべて困難である。したがって,苗長にかわる簡易で有効な感受性指標を見出すため,アズキ品種アカネタイナゴン,ハヤテショウズおよび宝小豆にそれぞれ0,15,30,45,60kRの5段階種子照射を行ない,初生葉葉面積の減少,初生葉に生ずる葉緑体欠失斑点数の増加および苗長減少などの線量依存性と,それぞれの変動の相関について検定した結果,いずれも線量依存性が高かった。とくに斑点数は測定が容易であり低線量域でも線量との関係が明らかで,アズキを含む双子葉植物の照射線量を決定する上で有効な検定法であった。またアズキの感受性には品種間差が認められた。
著者
安室 喜正 中田 昇 川人 誠治 佐々木 睦男
出版者
日本育種学会
雑誌
育種學雜誌 (ISSN:05363683)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.397-404, 1987-12-01
被引用文献数
2 3

置換型ライコムギ(2n=42,AABBR'R')の特徴は,(1)A,Bゲノムのほか,コムギDゲノムの染色体とライムギRゲノムの染色体から構成された新しいR'ゲノムからなり,(2)そのR'ゲノムはほとんど例外なく2Rを欠き,2Dを含むことである.この特異的な2D-2R染色体置換は,メキシコのCIMMYTの育成系統群では,地理的条件から2D上の日長不感応性遺伝子によるものとされている.しかし,我々の研究室で育成した置換系統群は,育成過程でそのようた地理的制約はたいので,当該遺伝子の影響は考えられず,2D-2R置換の原因は種子稔性に関与する遺伝子が2Dに存在するためであろうと推測した(YASUMURO et al. 1983)、本研究は,2D,2R染色体とコムギおよびライムギ細胞質を因子として組合せた4種類の核・細胞質型の個体を作成し,それらと種子稔性との関係を調査し,ライコムギの2D-2R置換の原因を明らかにしようとした. 3系統の交配親,(1)aestivum細胞質(aes)をもつ2D-2R置換型ライコムギ系統S78,(ゲノム構成AABBR'R',ただしこのR'ゲノムの染色体構成は1R,2D,3R,4R,5R,6R,7Rである),(2)複倍数体型系統Beagle(AABBRR),(3)cereale細胞質(cer)をもつ複倍数体型系統(cer)-JM_135を用いて,S78x Beagleと(cer)-JM_135 x S78の交配を行い,F_2,F_3を育成した、(aes)および(cer)の2細胞質とAABBR'R'とAABBRRの2ゲノム構成を組合わせた4種類の核・細胞質型の個体,(aes)-AABBR'R',(aes)一AABBRR,(cer)一AABBR'R',(cer)-AABBRRを,F_2,F_3から同定して選び出し,それらの個体の種子稔性を調べた.その結果,2D,2R染色体とコムギ,ライムギ細胞質との問には,種子稔性に関して次のような顕著な相互作用が認められた.(1)2D染色体の存在は(aes)細胞質のもとでは高種子稔性をもたらすが,(cer)細胞質のもとでは植物体が貧弱となり低種子稔性をもたらす。(2)2R染色体の存在は(aes)細胞質のもとでは高低いずれの種子稔性をももたらすが,(cer)細胞質のもとで高種子稔性を得るためには不可欠である(Fig.2).これらの結果はコムギ細胞質における2Dの2Rに対する選択的有利性を表わしており,ライコムギにおける2D-2R染色体置換の原因となることを示している.また,このような主要形質における核・細胞質相互作用の存在は,ライコムギ育種において,コムギあるいはコムギ近縁種の細胞質に対する最適核遺伝子型の選抜,即ち核・細胞質相互作用の選抜が有効であることを示している.
著者
アルマンド ガルシア 市川 定夫
出版者
日本育種学会
雑誌
育種學雜誌 (ISSN:05363683)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.66-76, 1979-03-01

アボカドは,メキシコをはじめ,北米南部から中南米にかけて広く栽培される重要な果樹であるが,その遺伝学的,系統分類学的研究は,あまり進んでいない。最も普遍的な栽培型のアボカドは,分類学上,かつて2種または3種に分けられていたが,現在では,1種(Persea americana)として扱われ,3変種(var.americana, var.drymifolia,var.nubigena)を含むものとされている。一方,園芸学上は,グァテマラ系,西インド諸島3系,メキシコ系の3系に分けられ,前2系はvaramerivana.メキシコ系はvar.drymifoliaに属するとされている。ただし,異系間の雑種形成が起こるため,3系への分類は必ずしも容易ではない。この研究では.著者らがメキシコ各地から集めた52系統と,ハワイのハミルトン教授から提供を受けた9系統のアボカド(Table1)について,発芽後4か月間空調温室で育てた芽生の30形質(Table2)を調査し,統計学的分析によって変異の程度とそれによる類縁度の解析を行なったものである。分散分析の結果,調査した30形質中,15形質については系統問差異が有意であった(Table3)。また,このうち14形質は,園芸学上の3系間でも有意差が見られた(Table4).これら形質間には,高い相関関係が見られる場合が多く(Table5),そのうち6組の2形質について相関図を画くと(Fig.1),一般にメキシコ系がグァテマラ系および西インド諸島系から区別でき,後2系間には明白な区分がつけられないことが判明した。それゆえ,グァテマラ系と西インド諸島系はより近い類縁関係にあり,メキシコ系はかなり離れていると考えられる。異系間の雑種起原と考えられるもののうちにば,形質相関図上でも中間型を示すものがいくつか見られた。
著者
小川 紹文 山元 剛 KHUSH Gurdev S. 苗 東花
出版者
日本育種学会
雑誌
育種学雑誌 (ISSN:05363683)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.523-529, 1991-09-01
被引用文献数
5

イネ白葉枯病抵抗性に関する研究は主に日本と国際稲研究所(IRRI),フィリピンで行われてきたが,植物防疫上病菌の相互交換が行えなかったため,両国のみならず各国のイネ白菜枯病抵抗性に関する研究結果は相互に比較検討出来なかった.このため,日本農林水産省とIRRIはイネ白菜枯病抵抗性に関する研究の相互比較を行うと共にその共通基盤を作成するため,1982年に共同研究を開始した.すなわち,日本とIRRIの判別品種をフィリピン産及び日本産白菜枯病菌レースを用いて分析し,抵抗性遺伝子を一つずつもつ準同質遺伝子系統の育成をして,イネ白菜枯病菌レースの国際判別品種を確立することとした.その結果,1987年に準同質遺伝子系統の一組が育成され(OGAWA et al.1988),最近その準同質遺伝子系統を供試した研究結果も公表され始めた.このため,その準同質遺伝子系統の育成経過とその育成主体を明らかにするため本報告を行った.
著者
菊池 彰 河岡 明義 島崎 孝嘉 于 翔 海老沼 宏安 渡邉 和男
出版者
日本育種学会
雑誌
育種学研究 (ISSN:13447629)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.17-26, 2006-03-01
被引用文献数
9

地球規模での環境悪化や食糧問題を改善するための手段として,遺伝子組換え植物を効率的に利用する研究が進められている.本研究では,閉鎖系温室,特定網室,隔離ほ場と段階を追って有用遺伝子組換え植物を実際に育成し,さまざまな科学的知見に基づいて環境安全性評価を確立することを目的の1つとしている.適合溶質の産生に関わる土壌細菌Arthrobactor globformisのcodA遺伝子を導入した耐塩性ユーカリ(Eucalyptus camaldulensis Dehnh. codA 12-5B, codA 12-5C, codA 20-C)が塩ストレス培養条件下で選抜され,その導入形質の安定性と環境影響評価を閉鎖系温室・開放形温室にて実施した.各遺伝子組換え体の遺伝子発現は非耐塩ストレス環境下で18ヶ月間安定していることが明らかとなり,耐塩性も維持されていることが明らかとなった.一方,環境影響評価については,有害物質の生産を発芽アレロパシー試験・土壌微生物相の調査・液体クロマトグラフィー・ガスクロマトグラフィーのいずれの試験においても組換え体と非組換え体との間に有意な差が認められなかった.また,生長性・形態についても顕著な差異が認められず,組換え体と非組換え体との間の違いは耐塩・耐乾燥性以外には認められなかった.一方,非組換えユーカリの野外栽培の結果から,競合における優位性,食害等も認められなかった.また,本邦に交配可能な近縁野生種の自然分布はなく,近隣の栽培ユーカリに対する交雑も,既知の交雑性から極めて低いことが考えられた.以上の点から,本遺伝子組換えユーカリは耐塩性を除き,非組換えユーカリと相違点は認められず,隔離ほ場における栽培に際して,生物多様性影響が生じるおそれは無いと判断された.
著者
長戸 かおる
出版者
日本育種学会
雑誌
育種學雜誌 (ISSN:05363683)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.79-85, 1982-03-01

ワヒスケ類は通常,ノハキ(Camellia japonica)の1園芸品種群として扱われているか,雄蕊の発育か悪く稔性か全くないか低いものか多く,また子房に様々の程度に毛かある点て大部分のノハキ園芸品種と区別される。その為,ワヒスケ類は時として独立種として扱われてきた。またその起原についても,ノハキとチャの雑種説やウイリアムノー(ノハキとサルウイノハキの雑種)に近いとする報告もあって,不明な点か多い。そこで本研究では,ワヒスケ頬の起原と分類上の位置を明らかにする為に,ワヒスケ類及ひノハキ属近縁種,特にノハキのアイソサイム変異を詳細に比較検討した。 エステラーゼに関しては,"太郎冠者"を除くワヒスケ類のサイモグラムは,ノハキて高頻度に見られるタイプであった。これに対し"大郎冠者"のザイモグラムは,ノハキては極めて稀であるか,トウノハキ・サルウインノハギ・ウイリアムノーて普通に見られるタイプであった。 アノトホスファターゼては,ワヒスケ頬て検出された6本のハノトは全てノハキにおいても見られた。またそのうちの3本はワヒスケ類とノハキたけて検出された。サイモクラムに関しては,7品種中4品種かノハキとの間にのみ共通なタイプを示した。また"大郎冠者"と"数寄屋"は他種に見られたいタイプであった。 以上の結果は,多くのワヒスケ類のサイモクラム変異かノハキのそれに最も近く,またノハキの変異内に含まれていることを示している。従って,多くのワヒスケ類はノハキの園芸品種中に起原したものと考えられる。しかし,多くのワヒスケ類のアノトホスファターセサイモクラムはノハキて比較的低頻度に出現するタイプであったことや,形態的にも他のノハキ園芸品種と区別されることは,ワヒスケ類かノハキの中でも特殊な一群を形成していることを示すものであろう。 "太郎冠者"については,2酵素のサイモクラムかノハキては非常に稀かあるいは全く見られないタイフてあり,ノハキと他種との雑種起原である可能性か考えられる。
著者
加藤 鎌司 山下 俊二
出版者
日本育種学会
雑誌
育種学雑誌 (ISSN:05363683)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.475-484, 1991-09-01
被引用文献数
6

コムギの出穂期は日長反応性,低温要求性及び純粋早晩性の3要因によって決定される複合形質であるから,その育種に際してはこれら3要因が出穂期にどのように関与しているかを明らかにする必要がある.またこのためには各要因を他の要因と切っ離して評価する必要がある.そこで研究では,日長反応性の評価法について検討するとともに,秋播き栽培したコムギ品種の圃場出穂期と上記3要因との関係を検討した.在来コムギ158品種(Tab1e1)を供試し,高知大学附属農場に1983年11月15日に播種し,出穂期を調査した.また全日長条件下での催芽後止葉展開迄日数(Dof)を一定値にする最短の低温処理期間によって低温要求性を評価した.純粋早晩性及び日長反応性の調査に際しては,低温処理により完全に春化した後12時間及び24時間の両日長条件で栽培し,24時間日長条件下でのDofにより純粋早晩性を,また日長の違いによるDofの変化により日長反応性を評価した.なお,後者のための指標として長・短日条件下でのDofの差及び比の2種類を用いた.出穂期には4月13日〜5月18日の,低温要求性にはO日〜80日の,そして純粋早晩性には27.6日〜49.8日の品種問変異が,それぞれ存在することが明らかになった(Fig.3).また日長反応性については,10.3日〜103.1日(差),もしくは!.30〜3.51(比)の品種間変異が認められた(Fig.3).
著者
神代 隆 生沼 忠夫
出版者
日本育種学会
雑誌
育種學雜誌 (ISSN:05363683)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.355-362, 1986-12-01

葯培養によって得られたタバコの半数体倍加系統に見られる高頻度の遺伝的変異の成因の一つとして,コルヒチン処理による染色体数倍加過程の影響を検討した. 黄色種タバコ品種 Bright Yellow 103(BY 103)の1個体から葯培養によって約2,500個体の植物体を誘導した.この中から,自然に染色体を倍加したと思われる38個体の稔性個体を得,これらを自殖して自然倍加系統とした.残りの半数性植物体約200個体について,花序浸漬法によるコルヒチン処理(0.2%,48時間)を行ない,65個体で倍加種子を得た.一方,1個体の葯培養母木を2回自殖して,100系統の自殖系統を作成した.これら3種類の系統群,すなわち,自然倍加,コルヒチン倍加および自殖系統からそれぞれ30系統を任意に選抜して,圃場試験の供試材料とした.合計90系統を3回反復,乱塊法により配置し,開花期に全個体について,開花日数,草丈,全葉数,葉長および葉幅,全系統について収量およびアルカロイドタイプに関する調査を実施した.
著者
綱井 徳夫
出版者
日本育種学会
雑誌
育種學雜誌 (ISSN:05363683)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.239-250, 1981-09-01
被引用文献数
12

日本稲の主要70品種の感温性,感光性,基本栄養生長性の近似値を人工光環境調節装置を用いて調査し,各地域品種の特徴を検討した。供試品種を早生・中生・晩生品種群に.3分し,5月1日から15日間隔で3回播種日を変えて栽培し,品種の出穂日数を求めた。これらの品種群の出穂性を制御する要因について重回帰分析から以下の結果を得た。北海道地方に分布する品種及び東北と北陸地方の早生種は,感温陛と感光性が弱く,基本栄養生長性は短い。これらは日本稲の早生品種群を構成した。早生品種群の普通栽培下の出穂性の制御に最も強く関与するのは感光性であるが,栽培期問の日長が短い晩期栽培では基本栄養生長性の作用比率は感光性にまさる。しかし感温性は出穂性に関与しなかった。東北地方に分布する品種及び北陸と関東・東山地方の一部の品種は,基本栄養生長性が長く,感温性はやや強く,感光性は中位であり,日本稲の中生品種群を構成した。中生品種群の出穂性に及ぼす感光性の作用比率は,早生品種群より著しく増加し,晩期栽培下においても基本栄養生長性より大きかった。この品種群の感温性もその出穂性に関与しない。西南暖地に分布する帰種及び関東・東山と北陸地方の晩生種は感温性と感光性が強く,基本栄養生長性は短い。これらは晩生品種群を構成した。晩生品種群の出穂性の主要な制御要因は感光性であり,感温性と基本栄養生長性の関与は認められなかった。これより日本稲の出穂性の制御要因は感光性と基本栄養生長性であり,出穂性に及ぼす感光性の作用比率はきわめて大きい。基本栄養生長性の出穂性に及ぼす作用比率は感光性の弱い早生品種群(高緯度品種)ほど大きくかつ栽培期問の日長が短い条件(晩期栽培,低緯度地への移動)ではさらに増加した。また感光性の弱い品種ほど感光性と基本栄養生長性の出穂性に及ぼす作用比率の栽培期の日長変化に伴なう変動は著しい。
著者
中村 和弘 服部 一三
出版者
日本育種学会
雑誌
Breeding science (ISSN:13447610)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.101-105, 1997-06-01

遺伝変異の拡大と固定を目的に,イネの葯培養系への放射線照射を試みた.しかし,単に培養系への照射といっても,培養細胞は脱分化から再分化へと様々な段階を経ており,その各段階で放射線照射効果が異なることが予想された.そこで,イネ品種日本晴の葯培養(二段階法)の培養直前期,脱分化期,および再分化期に^<60>Coガンマー線照射を行い,そのカルス形成および再分化に与える影響の比較を行った。その結果,カルス形成に関して,脱分化期照射により培養直前期照射でその阻害効果が大きく,脱分化期照射においてもその初期(葯置床2日目)と後期(葯置床7日目)で比較すると,初期照射でより大きな阻害効果が認められた(Table 1).このようなカルス形成阻害効果の差は,照射された時期に小胞子がもつ細胞数によっているものと思われた。照射された小胞子内の細胞のうち,それほど障害を受けなかった細胞が分裂を続けカルス化するため,小胞子が照射時に帯つ細胞が多ければ多いほど,その補償効果によりカルス形成率が高くなるものと思われた。カルス誘導過程の組織学的観察(Fig.1)により,培養直前期,葯置床2日目および7日目の小胞子は,それぞれ1個,2個および多数の細胞を含んでいた。また再分化に関しても同様な補償効果が認められ(Table 2),培養直前期照射および再分化期照射で再分化阻害効果が認められた。脱分化期照射は,再分化に関してはほとんど影響を与えないようであった。本実験において,カルス形成率及び緑色植物体再分化率に加えて,置床葯数あたりの緑色再分化体が誘導された葯の数を,置床葯効率(Plating anther efficiency(PAE))とし,放射線感受性の比較のための指標とした。置床葯効率を指標とした場合,培養直前期で放射線感受性がいちばん高く,次いで再分化期であり,脱分化期では感受性がいちばん低かった。それぞれの置床葯効率に関する放射線半減線量は,約6Gy,20〜25Gyおよび50Gy以上であった。
著者
百足 幸一郎
出版者
日本育種学会
雑誌
育種學雜誌 (ISSN:05363683)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.40-42, 1951-08-15

1.Observations on artificial 4x-Bellis perennis L. and 4x-Centaurea cyanus L. obtaind through colchicine treatment were described in view of breeding. 2.The chromosome numbers of B.perennis and C.cyanus were confirmed by the auther to be 2n=18 and n=9 for the former and n=12 for the latter, whichi did not accord with the results of Saito(1950) who had reported n=10 for both of them.
著者
大塚 薙雄
出版者
日本育種学会
雑誌
Breeding science (ISSN:13447610)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.135-138, 1995-03-01
参考文献数
14

作物品種の諸特性のなかで,温度や日長などの環境要因に対する反応特性,すなわち生態的特性を明かにすることは,例えば栽培環境に適合した品種を選択するなどの場合に極めて重要である.そのために,しばしば環境条件の水準を何段階かに設定して栽培試験を行い,品種の環境要因に対する反応特性を把握しようとする.このような試験は,一般に試験規模が大きくなりしかも長期間を費やすことになるので,試験結果から目的とする情報を適切に抽出できる統計的手法が望まれている. このような問題に対処するため,筆者らは独立変数が!つの場合の回帰モデルとして「折れ線モデル」をその適用手法とともに提案した(大塚・吉原 1975).今回,この折れ線回帰モデルを適用するためのパーソナルコンピュータ用プログラムを作成したのでその概要を報告するとともに,品種の生態的特性の把握とそれに基づく品種の分類など,育種分野で折れ線回帰モデルを有効に適用した研究事例をまとめて紹介する.
著者
笹原 健夫 五十嵐 弘
出版者
日本育種学会
雑誌
育種学雑誌 (ISSN:05363683)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.495-498, 1989-12-01
被引用文献数
2

澱粉無添加区および澱粉を10,20,30,83,167gを加えた6区の還元状態の異なる土壌におけるイネの3生態種の平均出芽率および初期生長の差異を検討した.3生態種の平均出芽率および初期生長とも土壌がある程度還元状態になった状態(20g澱粉添加区)で最大値を示し,還元がさらに進行するように澱粉を加えた区で減少した.20g澱粉添加区で,どの生態種の平均出芽率および初期生長も高い値を示したのは,2-5%の酸素分圧でイネの出芽率が高まること(野口,1937;VLAMIS and DAVIS,1943)と関係していると推察される.どの澱粉添加区でも,日本型品種はインド型およびジャワ型品種よりも高い平均出芽率を示した.なお,ジャワ型品種は日本型品種およびインド型品種の中間の平均出芽率を示した.ジャワ型船種およびインド型品種より日本型品種の還元抵抗性が高いのは,日本型品種が長期にわたって水苗代の還元土壌へ播種されてきたことに対する適応によると推察した.異なる還元土壌での草丈の変動は,生態種間で差異がみられなかった.
著者
佐藤 茂俊 坂本 一朗 白川 浩二 仲宗 根智
出版者
日本育種学会
雑誌
育種學雜誌 (ISSN:05363683)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.385-396, 1988-12-01
被引用文献数
4

イネ第7染色体に座乗する早生遺伝子がこれまでに見出されている(佐藤・新城1983)。この早生遺伝子と蔡岡(1968)が報告した早生遺伝子Ef_1^bとの関係を調べるとともに,この早生遺伝子の染色体上の位置を決めることを目的として,相互転座系統T3-7とRT7-11ならびに標識遺伝子系統HO775を早生遺伝子の供与親とし,台中65号を反復親とする9ないし10回の連続戻し交雑により,早生の同質遺伝子系統T65・ER-1,T65・ER-5およびT65・ER-6を育成した。T3-7は北海道の在来イネ品種である黒色稲-2をガンマー線処理して作出された系統であり(佐藤ら1975),RT7-11は長崎の原爆被曝イネから見い出された系統である(岩田1970).また,H0775は第7染色体に座乗する淡緑色葉遺伝子pglを持つ標識遺伝子系統である.なお,B_5F_1までの初期世代では出穂期と転座点あるいはpglとの連鎖を利用することにより,第7染色体の早生還缶子を確実に選抜した. 出穂期の遺伝分析の結果,上記の3早生系統はいずれも第7染色体に属する1対の完全優性の早生遺伝子をもつことを明らかにした.これら3系統ならびにTSAI(1976)の育成した北海道在来のイネ品種である坊主5号に由来する早生遺伝子Ef_1^bを持つ同質遺伝子系統の間で早生遺伝子に関する対立性検定を行なった結果,いずれの早生遺伝子も第7染色体のEf_1座に存在し,また類似した作用力を持つ遺伝子であることを明らかにした.
著者
門馬 栄秀 角田 重三郎
出版者
日本育種学会
雑誌
育種學雜誌 (ISSN:05363683)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.159-165, 1979-06-01
被引用文献数
9

長野県農業試験場桔梗ケ原分場(理長野県総合於業試.験場中信地方試験場)より種子を分譲されたトウモロコシの自殖系統.および単交配雑種,自然交配品種,品種問交配雑種,(第1表)を,1970年仙台にて温室で育て,第8〜9葉のC0_2取込み速度を,温室25℃,照度8万ルックス(白熱燈,25cm水フィルター)下で比較した。ヘテロ接合型(単交配,品種間交配,自然交配品種)は,ホモ接合型である自殖系統に比し,単位葉面積当たりの光合成速度(P_A)が顕著に高かったので光利用効率が高いと言える。ヘテロ接合型のP_Aが高いことには,ヘテロ接合型の単位葉面秩当たりの窒素,クロロフィル,乾物含量が比較的高いことが,ある程度は関係していると見られる(第1図)。次に,単位葉窒素当たりの光合成速度(窒素効率),単位クロロフィル当たりの速度(クロロフィル効率),単位葉乾物当たりの速度(乾物効率)は,自殖系統内,ヘテロ接合型内でみると単位葉面積当たりの窒素,クロロフィル,乾物含量が増した場合,それぞれ減少する傾向を示した(第2〜4図)。この傾向を考慮に入れて,自殖系統とヘテロ接合型とを比較すると,ヘテロ接合型の窒素,クロロフィル,乾物効率は自殖系統べ顕著に高いと言える(第2〜4図)。ヘテロ接合型の高P_Aは,ヘテロ接合型の高い窒素,クロロフィル,乾物効率によるところが大きいようである。
著者
崔 寛三 高橋 成人
出版者
日本育種学会
雑誌
育種學雜誌 (ISSN:05363683)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.197-204, 1979-09-01
被引用文献数
1

発芽時の光に対して遺伝的に異たる反応性をもつレタス品種MSU15(暗発芽性)とMSU16(光発芽性)とを用い,両品種の種子形成条件と発芽特性との関係を検討した。その結果,MSU15の暗発芽性は種子形成過程が短目条件であるとき,その特性が明瞭に認められた。一方,MSU16の光発芽性は種子形成期の低温条件によって誘起され,高温条件によって抑制される傾向を示した。また,種子の貯蔵日数に伴なって両品種の光反応性は大きく変動し,以下に述べる3つの特徴のある生理相が認められた。変動第1期(収穫直後から貯蔵3ケ月まで)両品種とも比較的に高い暗発芽率を示すが遠赤色光の照射によって,その暗発芽は抑制される。変動第2期(貯蔵後4ケ月から8ケ月まで)両品種とも暗発芽率が急激に低下するが赤色光の照射によって,その暗発芽は著しく促進される。変動第3期(貯蔵9ヶ月から15ヶ月まで)品種MSU15の種子発芽は光によって影響されないがMSU16の種子は赤色光による発芽促進と青色光および遠赤色光による発芽抑制が認められる
著者
乾 秀之 塩田 憲明 石毛 光雄 大川 安信 大川 秀郎
出版者
日本育種学会
雑誌
Breeding science (ISSN:13447610)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.135-143, 1998-06-01
参考文献数
31

ラットP4501A1とラットP4501A1及び酵母還元酵素との融合酵素を発現したトランスジェニックバレイショをアグロバクテリウム感染法により作出することを試みた。ラットP4501A1cDNAとラットP4501A1及び酵母還元酵素との融合酵素cDNAをカリフラワーモザイクウイルス35Sプロモーターとノバリン合成酵素ターミネーターとの間にそれぞれ挿入した発現プラスミドpGC12とpGFC2を用いた。これらをバレイショマイクロチューバーに感染し,P4501A1を導入した2系統(GC系統)と融合酵素を導入した11系統(GFC系統)をカナマイシン耐性などにより選抜した。サザンプロット分析により,1個体のGC系統と10個体のGFC系統において,そのゲノムDNAに1から5個のP450cDNAもしくは,融合酵素cDNAに対応するバンドの存在を確認した。ノザンプロット分析において,GC系統のNo.1160個体において1.6kbの長さに相当するP450mRNAの存在を確認したが,GFC系統のNo.1167個体では融合酵素mRNA量はわずかであることが判明し,その他では検出できなかった。ウエスタンプロット分析の結果,No.1160個体においてP450に相当する59kDaのタンパクの存在が確認されたが融合酵素発現系統では確認されなかった。7-エトキシクマリンO-脱エチル化活性とチトクロームC還元活性を測定した結果,形質転換体ではコントロールに比べ1.4から3.5,1.3から3.5倍それぞれ高い活性を示した。^14Cラベルした除草剤クロロトルロンを用いた代謝実験では,形質転換体はクロロトルロンをN-脱メチル化とp-メチル水酸化を通して除草活性の低い化合物に代謝していることが明かとなった。除草剤クロロトルロンとDCMUを散布したところ,形質転換体はコントロールに比べ強い耐性を示した。このように,ラットP4501A1cDNAの発現により,バレイショにフェニルウレア系除草剤の代謝能と,それらに対する耐性を与えることができた。