著者
小暮 修三
出版者
東京海洋大学
雑誌
東京海洋大学研究報告 = Journal of the Tokyo University of Marine Science and Technology (ISSN:21890951)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.23-37, 2018-02-28

本稿は、昭和 30 年代前後を中心とした戦後昭和期の銀幕に映る〈海女〉の姿、並びに、その置かれた社会状況の分析を通して、戦前期の「文化映画」から昭和50 年代の「日活ロマンポルノ」に至る過程で創造/想像された海女とポルノグラフィという恣意的な結びつきを追ってゆく。先ずは、昭和20 年代の浪漫主義的あるいは古典主義的な〈海女〉の表象の分析を通して、戦前期からの継続性、並びに、そこから階級性の取り除かれた民族/俗学的な健康美・野生美の前景化について、特に、映画『潮騒』及びその原作を巡る言説を中心に考察してゆく。続いて、〈海女〉が最も銀幕に現れた昭和30 年代、その健康美・野生美からエロティシズムと暴力性が恣意的に抽出され、殊更に強調されてゆく過程について、松竹「禁男の砂」シリーズ及び新東宝「海女」シリーズという一連の〈海女映画〉を中心に見てゆく。そして最後に、昭和40 年代、その後の「日活ロマンポルノ」につながるピンク映画の更なるエロティシズムの前景化、並びに、創られた懐古趣味的な〈海女〉の姿を見ることで、本稿を締めることとする。This article examines the social and cultural transition of “gaze” to Japanese woman divers, or Ama, on the screen in the post-WWII Period, especially from 1945 to 1974, by analyzing their representations in the “Ama Films,” on which they were described as main characters. At first, focusing on their healthy beauty and wildness, I would like to show how Ama were represented through the ideas of romanticism or classicism in the films from 1945 to 1954, especially in the discourses around The Sound of Waves (Shio-sai). Then, I would like to trace the processes that their erotic and violent figures were arbitrarily extracted from their healthy beauty and wildness and were emphasized on the films from 1955 to 1964, especially on the Kindan-no Suna series by Shochiku Co., Ltd. and “Ama” series by Shin-Toho Co., Ltd. Finally, through analyzing the films from 1965 to 1974, I would like to indicate the invention of the images of “Ama” as nostalgia and as pornography in “Pink films”, which eventually leaded the Ama series of Nikkatsu Roman Porno in the next decade.
著者
佐藤 克哉
出版者
東京海洋大学
巻号頁・発行日
2010

東京海洋大学修士学位論文 平成22年度(2010) 海洋生命科学 第1095号
著者
小山 尚之 Naoyuki Koyama
出版者
東京海洋大学
雑誌
東京海洋大学研究報告 = Journal of the Tokyo University of Marine Science and Technology (ISSN:21890951)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.75-92, 2020-02-28

本稿は二〇一九年春号の『ランフィニ』誌第一四四号に掲載された「前衛の死:メディ・ベラージ・カセムとフィリップ・ソレルスとの対談」を翻訳しそれにコメントを付したものである。この対談でソレルスは『テル・ケル』の前衛性、他の前衛との違い、ギー・ドゥボールと『アンテルナショナル・シチュアシオニスト』との関係、『テル・ケル』から『ランフィニ』への移行などについて証言している。
著者
鈴木 明希子
出版者
東京海洋大学
巻号頁・発行日
2012

東京海洋大学修士学位論文 平成24年度(2012) 食機能保全科学 第1611号
著者
木村 学 金川 久一 木下 正高 山田 泰広 荒木 英一郎 山口 飛鳥
出版者
東京海洋大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2015-05-29

本研究では、これまで紀伊半島沖熊野灘において実施されてきた南海トラフ地震発生帯掘削研究(超深度掘削は海底下約3,000mまで掘削済みでプレート境界断層まで残り約2,200m)の総仕上げとして、プレート境界断層貫通掘削までの掘削時孔内検層、孔内設置受振器による3次元鉛直地震探査、断層試料の摩擦実験、近傍からの繰り返し周回地震探査を実施する。もって断層上盤の応力場・主応力と間隙水圧、プレート境界断層の摩擦強度を解明し、それらを総合して地震・津波発生切迫度を定量的に評価することを目的とする。第2年度は、これまでの掘削によって得られたデータをまとめ上げ、モデル化し、上盤プレート上部の応力場、間隙水圧を解明した。概要は以下の通りである。1)3次元反射法データの最新技術による再解析。特に地震発生プレート境界断層から分岐断層にかけて実施。詳細な構造の実態解明、速度構造の変化が予測された。2)既存データの解析、実験的分析の蓄積、完了。海底下3,000m下までの摩擦特性計測実験を完了し、深度方向の変化が予察的に得られた。3)掘削孔内に設置してあった圧力計などの回収を実施した。10年間の記録の回収に成功した。2016年4月1日には70年ぶりに起こった南海プレート境界地震の世界初の孔内観測に成功、結果の迅速な公開を実施した。4)最終的な科学掘削目標達成のための慎重な技術的検討を掘削実施主体である海洋研究開発機構と適宜進めた。
著者
稲本 守 Mamoru Inamoto
出版者
東京海洋大学
雑誌
東京海洋大学研究報告 = Journal of the Tokyo University of Marine Science and Technology (ISSN:21890951)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.65-75, 2017-02-28

On July 12, 2016, the Arbitral Tribunal issued an arbitration award on the South China Sea Dispute between China and the Philippines. It concluded that China’s historic rights to resources in the maritime areas within the so-called “Nine-dash Line” are incompatible with the International Convention of the Law of the Sea (UNCLOS) and have no legal effect. At the same time, the Tribunal acknowledged that all high-tide features in the Spratly Islands are not entitled to an exclusive economic zone and continental shelf and that no overlapping entitlements exist in the maritime zones claimed by the Philippines. After giving the background and general outline of the Award, this paper examines the reasoning of the judgment, in particular the strict standards set by the Court when applying the article 121( 3) of UNCLOS about the status of maritime features. 2016年7月12日に、仲裁裁判所は中国とフィリピンとの間における南シナ海紛争についての仲裁裁定を下した。その中で法廷は、中国のいわゆる九断線内の海域における資源に対する歴史的権利が国連海洋法条約とは両立せず、中国が主張する権利には法的根拠がないと結論付けた。更に法廷は、スプラトリー諸島における高潮線上の島嶼のすべてが排他的経済水域及び大陸棚に対する権限を有せず、フィリピンが主張する海域には権原の重複が存在しないことを認めた。 本稿は本裁定の背景と概要について紹介すると共に、今回の裁定における論拠、とりわけ島嶼の地位に関する国連海洋法条約121条3項を適用する際に設定された厳格な基準について考察した。
著者
Caner Acar
出版者
東京海洋大学
巻号頁・発行日
2016

東京海洋大学博士学位論文 平成28年度(2016) 食品機能利用学 課程博士 甲第420号
著者
遠藤 伸明
出版者
東京海洋大学
雑誌
東京海洋大学研究報告 (ISSN:18800912)
巻号頁・発行日
no.9, pp.79-87, 2013-02

航空会社における事業構造の現状と変化について概観した。航空輸送事業においては、ローコストキャリア(LCCs:Low-cost carriers)が提供する低運賃サービスが増加している。また、航空輸送サービスを分解し、それぞれのオプショナルサービスに料金を設定するアラカルト化が、米国航空会社の国内線やLCC において進展している。非航空輸送事業では、ホテル事業などが大幅に縮小される一方、アラカルト化の下での新たな付帯サービスの導入、フリークエントフライヤープログラム(Frequent Flyers Program、略してFFP)ポイントの販売、インターネット上での小売・販売など、いくつかの新たな事業・サービスが拡大している。This study describes the current situation and the change in business structure of airlines. First, in passenger services, low-fare services which low-cost carriers (LCCs) offer have been increasing dramatically.Second, airlines fragment passenger services and impose fees on each optional service, which is the so-called a la carte strategy. U.S. airlines in domestic services and most of LCCs actively pursue such strategy. Third, airlines have recently expanded new businesses and services, such as sales of Frequent Flyers Program (FFP) points, web site retails, new frilled optional services, while they divested their non-core businesses including hotel business and travel-related services in the 1980's and 1990's.東京海洋大学大学院海洋工学系流通情報工学部門
著者
酒井 洋一 茂木 正人 河野 博 サカイ ヨウイチ モテキ マサト コウノ ヒロシ
出版者
東京海洋大学
雑誌
東京海洋大学研究報告 (ISSN:18800912)
巻号頁・発行日
no.3, pp.45-50, 2007-03

東京湾の湾奥部(東京湾に面している城南島と運河内の係船場、ともに垂直護岸)で、1993年5月~1994年9月に灯下に蝟集する魚類の採集を行った。城南島と係船場では、それぞれ32種2,048個体および17種2,392個体が採集された。城南島ではハゼ科魚類が12種出現し、個体数で86%を占めた。係船場では、マハゼ(全個体数の78%)、カタクチイワシ(12%)およびドロメ(3%)が優先した。両地点において、個体数、種数ともに3月から6月にかけて多かったが、8月から12月まで(城南島では1月まで)魚類はほとんど採集されなかった。城南島では多くの種(23種、77%)が短期間(1年間のうち2か月以内)のみ出現し、係船場では短期間出現した種は7種(50%)であった。垂直護岸や運河周辺では、特に8~10月頃には、貧酸素により魚類の生息は困難と考えられるが、ハゼ科魚類を始めとする底生性魚類にとって、城南島と係船場はそれぞれ短期および長期的な生育場となっている。
著者
東海 正 塩出 大輔 内田 圭一
出版者
東京海洋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

この研究ではヌタウナギ類が乱獲に陥るメカニズムを明らかにした。東京湾や相模湾で採集査したヌタウナギ標本について生殖腺を調べることで,雌雄ともに成熟全長を35cm以上と,産卵期は9月頃と推定した。体長組成の年齢群を判別して求めた全長35cmまでの成長曲線より,成熟全長35cmまでに4年以上要し,これに卵の発達に必要な1年を加えて初産年齢を5歳と推定した。さらに,一回産卵数20~50個と隔年産卵も含めて,こうした低い増殖能力が漁業による乱獲に陥りやすい理由である。
著者
柿原 泰 藤岡 毅 山内 知也 濱岡 豊 高橋 博子 中原 聖乃 林 衛 徳永 恵美香
出版者
東京海洋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2021-04-01

本研究は、放射線影響をめぐる科学的な調査研究をもとにした放射線防護の体系(その理論、基本原則の考え方、諸概念等)がいかに形成されたのか、そして実際に社会的な場面で放射線防護の実践がいかになされたのか、その実態と問題点について、科学史・科学論的研究を基に明らかにしつつ、とくにこれまでの放射線防護に欠けていると考えられる市民的観点からの再検討を加え、あるべき姿を提示すべく調査研究を進める。
著者
村瀬 陽平
出版者
東京海洋大学
巻号頁・発行日
2021

東京海洋大学博士学位論文 2021年度(2021年9月) 応用環境システム学 課程博士 甲第604号
著者
中村 武史
出版者
東京海洋大学
巻号頁・発行日
2021

東京海洋大学修士学位論文 2021年度(2022年3月) 海運ロジスティクス 修士 第3855号
著者
川上 春菜
出版者
東京海洋大学
巻号頁・発行日
2009

東京海洋大学修士学位論文 平成21年度(2009) 食機能保全科学 第928号
著者
石渡 奈緒美
出版者
東京海洋大学
巻号頁・発行日
2013

東京海洋大学博士学位論文 平成25年度(2013) 応用生命科学 課程博士 甲第325号
著者
榎 牧子
出版者
東京海洋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

海藻凝集剤と植物凝集剤は助剤を必要とする二液型の凝集剤であり、その性能は合成系高分子凝集剤に比べて劣るものである。本研究では、酵素によるタンニンの複合化反応、または金属塩を用いて、海藻凝集剤および植物凝集剤を一液型とすること、および、タンパク質吸着能の付与などの高性能化を目指した。金属塩の試験ではマグネシウム塩とカルシウム塩について検討し、いずれの場合も一液型化が可能であったが、比較的低濃度のカルシウム塩を所定の方法で加えることで、海藻の凝集作用成分であるアルギン酸を効果的に一液型とすることができた。また、得られる一液型凝集剤は高い凝集性能を示すことがわかった。