著者
山田 祐彰 瀧谷 イザベルクリスチーナ 堤 剛太
出版者
東京農工大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

ブラジル北部で一世紀にわたり開拓に従事する日本人移民とその子孫は、ジュートとコショウの導入でアマゾンに初めて農業を確立した後、経営多角化を目指して1970年代から遷移型アグロフォレストリーを発展させた。周囲のブラジル人小農に模倣され普及していったが、熱帯雨林地域の環境に適合した持続的農法として国際的な評価を得ている。アマゾンの日系農場と、日系アグロフォレストリーを受け入れたブラジル人小農集落を調査し、この持続型農業体系の普及プロセスを明らかにした。
著者
西舘 泉
出版者
東京農工大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究課題では、ディジタルカラーCCDカメラにより取得したヒト皮膚のRGB画像から皮膚表在毛細血管の酸素化・脱酸素化血液量を求め、動脈血酸素飽和度のイメージングと脈拍数の計測を行なう新しい方式を開発した。吸入酸素濃度が異なる条件下のラットを用いた動物実験およびヒト皮膚に対する実験により脈波伝搬の時空間計測と動脈血酸素飽和度のイメージングが可能であることを確認した。これにより、RGBカメラを基盤とした動脈血酸素飽和度と容積脈波の非侵襲・非接触イメージングが実証され、新しいバイタルサイン計測法の可能性が得られた。
著者
高木 康博
出版者
東京農工大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2017-06-30

拡張現実(AR)技術の表示デバイスとして、現在はシースルー型ヘッドマウントディスプレイが用いられている。本研究では、究極のAR用表示デバイスとして、コンタクトレンズ型ディスプレイをホログラム技術を用いて実現した。コンタクトレンズ型ディスプレイの実現では、ディスプレイをコンタクトレンズ内に置くと目がピント合わせできないことが問題となるが、ホログラムにより目から離れた位置に立体表示することでこれを解決した。本研究では、スケールアップ光学系を作製して、提案した表示原理の有効性を確認した。また、コンタクトレンズに組み込むために必要なレーザーバックライトを開発し、実際のホログラム表示に用いた。
著者
都木 恭一郎
出版者
東京農工大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2006

本研究では光の圧力を用いるプロペラントレスのエネルギー直接変換型宇宙推進の研究を行っている。初歩的ではあるが,電源からエネルギーを準黒体輻射源に供給し、光束の形で運動量を放出させ、その推力を計測することから開始,準黒体輻射源としてタングステンフィラメントを用いた。エンジン内部のノズルで光を反射し平行光に近づけるいわゆる放物面ミラーを採用,その焦点位置にタングステンフィラメントを固定する。フィラメントは最高2,500Kまでとし,蒸発量を抑制した。推力計測は申請者等が独自に開発した微小推力測定用の「ねじり式推力スタンド」で行った。本実験では、ワイヤーでバランスしてアームの一方に金属箔を光圧力を受ける形で吊るし、ワイヤーのねじり復元力と釣り合う際のねじり回転変位をレーザー変位計によって計測できるように構成した。推力のキャリブレーションはこれも申請者等が独自に開発した帯電による金属箔の反発力を利用した方法で既知の微弱静電気の力を発生して行った。その結果、「ねじり式推力スタンド」は十分な分解能である0.1μNの測定精度を持つことが分かったが、タングステンフィラメントから発生する輻射熱の影響があってゼロ点ドリフトが問題となった。今年度は新たにシャッター開閉機購を有した計測系(熱の影響が出る前に短時間で推力測定を完了する)を構築することで問題の改善を図り,その結果得られた推力は300Wで0.2μN,パワー変換効率としては20%程度であることが判明した。一方、全く別の光源として、タングステンフィラメントの替わりに、最大出力100Wで波長0.9μmの半導体CWレーザーを製作した。その結果,半導体レーザーにて出力80Wまでを達成,今後はこれを用いてシャッター機構を有する改良型「ねじり式推力スタンド」にて推力を評価することになった。
著者
阿部 広明 嶋田 透 三田 和英
出版者
東京農工大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2005

カイコの性染色体型は雄はZZ,雌はZWで、W染色体が1本でもあれば、その個体(細胞)は雌になる。カイコのW染色体上に存在していると考えられる雌決定遺伝子(Fem)をクローニングすることを目的とし、W染色体の分子生物学的ならびに遺伝学的解析を行った。W染色体は遺伝的組み換えを起こさないため、これまでに得られている分子マーカーのマッピングは不可能であった。しかしW染色体に放射線を照射して作製したW染色体の変異体は、いろいろな程度で欠落が生じていることが明らかとなり、deletionマッピングが可能となった。これらの変異体を利用したマッピングにより、雌決定遺伝子はW染色体の中央付近に座位していると考えられた。また、雌の繭だけ色が黄色くなる「限性黄色繭W染色体」では、通常のW染色体で12個あるDNAマーカーのうち、わずか1個(W-Rikishi RAPD)を保有するだけであった。すなわち計算上ではW染色体が1/12の長さにまで削られていると考えられる。このマーカーを出発点として、BACライブラリーよりW染色体特異的クローンを得てDNA塩基配列の解析を行った。その配列の特徴は、これまでに得られているW染色体の塩基配列と同様に、レトロトランスポゾンが複雑に入り込んだ「入れ子」構造であり、解析そのものが大変困難である。しかしごく最近、カイコ(雄を使用)の大規模ゲノム解析が行われ、レトロトランスポゾンの詳しいデータも得られるようになった。これらのデータを使用することにより、以前よりW染色体の解析は効率的に行えるようになった。現在までのところ、雌決定遺伝子と考えられる塩基配列の特定には至っていないが、その存在領域を確実に絞り込むことには成功し、現在も絞り込まれた領域を解析している。
著者
LENGGORO WULED
出版者
東京農工大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

ナノ粒子合成技術と高い選択性をもつ粒子集積化技術を用いて、気相プロセスに液相法の利点を組み込んだ「複合型ナノ材料プロセッシング」を開発した。静電気力を用いて、気中におけるナノ粒子の輸送と基板上のナノ粒子群の構造を制御し、高感度の環境センサ素子を構成するナノ粒子構造体における最適な幾何学的構造モデルを試みた。材料とする懸濁液を用い、その後のプロセスを気相において行う輸送制御技術を開発した。構造体の形成技術として、安定した懸濁液の調整とエアロゾル化技術、静電気力を用いた気中での粒子の輸送・制御技術、基板の帯電パターニングによる粒子集積制御技術を開発し、一連の技術の高度化を行った。
著者
高田 秀重 綿貫 豊
出版者
東京農工大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

海洋漂流プラスチックおよび海岸漂着プラスチック中に添加剤由来および周辺の海水中から吸着してきた有機汚染物質が1ng/g~10000ng/g程度の濃度で含まれることを明らかにした。これらの有機汚染物質はプラスチックが生物に摂食された場合に、生物の組織中に移行することを、海鳥を対象にして、明らかにした。添加剤由来の化学物質の海鳥への移行において、海鳥の胃内のストマックオイルという油に富む消化液による溶出が鍵となっていることを室内溶出実験により明らかにした。今後、摂食プラスチックを介した化学物質の生物への曝露について、その規模と広がりを明らかにしていく必要がある。
著者
石田 寛 遠山 茂樹 佐藤 令一 遠山 茂樹 佐藤 令一
出版者
東京農工大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

嗅覚センサを搭載し、匂い・ガスを辿って危険物の所在を突き止める犬型ロボットの開発を目指した。ナノスケールの周期構造を持つ金属薄膜に光を照射すると、化学物質の吸着に敏感に応答し、反射光強度が変化する。これを利用して小型嗅覚センサを実現した。また、くんくんと匂いを嗅ぐ犬の鼻の構造を模倣した測定装置を開発した。能動的に気流を操作し、左右の嗅覚センサの応答差を拡大することにより、匂い・ガスの発生源を容易に見つけ出すことができる。
著者
早川 東作 守 一雄
出版者
東京農工大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

笑顔装着具で「笑顔」を作らせた時の効果を実験的に検証した。効果の潜在指標として感情誤帰属手続き(Affect Misattribution Procedure, Payne et al., 2005)を用いた。市販の救急絆創膏2つを輪ゴムでつなぎ、輪ゴムを頭の上を通して絆創膏で両頬をつり上げる条件と、逆に顎の下を通して両頬を引き下げる装着具を作成した。大学生80名(男52名女28名)をランダムに頬引き上げ(=笑顔)条件と、引き下げ条件に割り当てた。実験の結果、笑顔条件では、AMPでの評価がより好ましい方向に変化することが確認された。