著者
亀山 純生
出版者
東京農工大学
雑誌
東京農工大学人間と社会 (ISSN:13410946)
巻号頁・発行日
pp.75-93, 1990-03-30

親鸞の「僧に非ず俗に非ず」という自己規定は彼の在家主義の立場を示すものとして有名である。しかし,これを彼の信仰・思想構造に内在させて論ずる者は,実は私自身も驚いたことに,ほとんどない。そして,非僧非俗論の解釈もかなり多様である。別の機会に私はこれをとりあげて,次の7つの解釈類型に整理した。すなわち,I「非偽僧(非-官僧・俗権僧)かつ非在俗=真僧(禿)」論。 II「非真僧かつ非俗権的僧俗=愚禿(偽僧の自覚)」論。III「非俗権=非僧俗」論。IV反出家主義。「非-出家の遁世かつ非-出家即遁世(貧世)=末世の真仏弟子(禿)」論。V「愚禿/非僧非俗」論。VI「不可-僧俗」論。VII「不可僧かつ不可俗=超越的理念(禿)」論。そして,それぞれの意義と問題点を指摘し,これを統一した「親鸞の非僧非俗論」の必要を提起した。本稿は,これをふまえて私なりの積極的解釈の展開を試みることを課題とする。その際の主要な論点-多様な解釈類型の統一の視座-をあらかじめ提示すればこうなるであろう。第1に,親鸞の反権力主義といわゆる旧仏教批判の内在的関係,第2に,このことを主内容とする外的批判と彼の内的批判との内在的関係(愚禿の解釈),第3に,彼の禿の自称と愚禿の自称との関係である。
著者
岡山 隆之
出版者
東京農工大学
雑誌
萌芽的研究
巻号頁・発行日
1996

稲わらを原料として酸素アルカリ蒸解を行い、水酸化ナトリウム濃度、蒸解温度、蒸解時間、酸素濃度の影響について検討したところ、蒸解温度及び蒸解時間の増加に伴ってパルプのシリカ含有量が増加することが判明した。稲わらの酸素アルカリ蒸解は通常のアルカリ蒸解に比べて蒸解液中に一旦溶出したシリカの再沈積量が増加した。蒸解中におけるシリカの再沈積現象は、蒸解液の残留アルカリ濃度の低下及び、これに伴うpH値の低下と密接に関連していることを確認した。酸素アルカリ蒸解パルプ繊維シートはアルカリ蒸解パルプに比べて、密度や引張り強さが低下したが、白色度や比散乱係数のような光学特性の向上が認められた。さらに、酸素アルカリ蒸解パルプではシートの空隙率が大きく、多孔性を有し、特に直径1μm以下の細孔が広く分布していた。また、これらの微細な細孔の量は叩解処理によってほとんど変化しなかった。SEM-EDXAによる観察から、微細な細孔は主としてシート中に多量のシリカが存在することによってもたらされていることが判明した。シートの液体浸透性を測定したところ、酸素アルカリパルプでは水の浸透速度が速くなり、シート中にシリカが残存していることによるものと推測された。さらに、シートのインクジェット記録特性を評価したが、酸素アルカリ蒸解パルプ繊維シートに印字されたドットは、円形度及び印字濃度が最も高く、ドット面積のバラツキも少なく、市販のインクジェット用にに近い記録品質を示した。
著者
谷脇 徹 興津 真行 細田 浩司 阿部 豊
出版者
東京農工大学
雑誌
フィールドサイエンス (ISSN:13473948)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.25-30, 2003-03-25
被引用文献数
2 1

マツノマダラカミキリの羽化脱出消長を,東京都府中市では供試丸太をビニールシートで被ったビニ区で1999〜2002年に,林内区で2001年と2002年に,林外区と25℃恒温条件の恒温区で2002年に,茨城県那珂郡那珂町の林内区と茨城県下館市の林外区で1999〜2002年に調査した。供試丸太の網室搬入時期は,那珂町と下館市では冬期の伐倒直後であったが,府中市では5月下旬〜6月上旬であった。すべての調査区を設けた2002年の府中市では,脱出初日は林外区,50%羽化日は恒温区が最も早く,脱出初日から最終日までの日数は林外区で最も多く,ビニ区で最も少なくなり,同一地域でも環境や処理方法を変えると羽化脱出の傾向が異なることが確認された。4年間調査を行った府中市のビニ区,那珂町の林内区,下館市の林外区を比較すると,50%羽化日の平均は下館市が最も早く,有効積算温量が最も小さかった。林外では直射日光の影響でカミキリが実際に得る温量が多くなり,羽化脱出時期も早くなると考えられた。性比は高温少雨の年には小さくなった。また,府中市のビニ区と下館市の林外区では2000年から2002年にかけて同様の傾向を示した。
著者
若林 功 小松 啓一 田代 俶章 間下 克哉 和田 倶幸 横手 一郎
出版者
東京農工大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1987

1.解析関数の代数点における値が超越数とならないとき, その代数点は例外点と呼ばれるが, 例外点の個数を上から評価するシュナイダー・ラング型定理の拡張を研究した.(1) リーマン面への拡張. 複素平面の場合の完全な拡張が得られ, 裏面の第1論文で発表した.(2) 単位円上の関数に対しては, 知られている結果より良い評価式を得ることができていたが, その改良をできるだけ一般の形に拡張し第2論文とした.(3) 上記(1)(2)の結果等は若林の東京大学学位論文としてまとめられ既に審査済みで, 63年3月に学位授与の予定.(4) 若林は(1)(2)について口答発表を行った.(i) 函数論分科会シンポジウム, 於長崎大学, 62年7月.(ii) ディオファントス近似国際会議, 於Oberwolfach, ドイツ, 63年3月.2.超越数論で有名な「四指数問題」を研究した. 上記(2)て考案された方法の考え方を適用し若干の進展が得られた.3.多変数関数の場合のシュヴァルツの補題を研究したが, 状勢を調べたに留る.4.間下は四元数射影空間およびケーリー射影平面から球面への標準的極小はめこみの剛性について研究し, 裏面の第3論文とした.
著者
安藤 哲 LE VanVang LE Van vang
出版者
東京農工大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2010

昆虫性フェロモンは超微量な天然生理活性物質であり、一頭の雌が分泌するフェロモン量は大変限られている。しかしながら、各種クロマトグラフィー法や機器分析技術が発達したため、大量飼育の困難な害虫も研究対象にできるようになった。ベトナムで採取し性フェロモンを溶媒抽出し、それを航空便で輸送し日本にて分析した。構造決定した化合物を日本にて有機合成し、それを誘引源としたトラップをベトナムの圃場に設置し雄蛾の誘引を調査することで、効率よく多くの種のフェロモンを同定することができた。当該特別研究員も年に数回、2国間を行き来し研究を進めるとともに、カントー大学において多くのスタッフの協力の下に害虫の採集と野外誘引試験を実施した。主な研究成果は以下の通りである。1)ポメロの実を食害するPrays endocarpaの性フェロモンの同定とその防除への応用: ポメロはベトナムでは贈答用に使われる高級柑橘で、フェロモン腺抽出物の分析より本種の処女雌は(Z)-7-tetradecenalなどを分泌することがわかった。合成化合物を用いた野外試験の結果、雄成虫は合成アルデヒドのみの誘引源に強く誘引され、12月および3~4月に発生のピークがあることが判明した。更に、そのアルデヒドをポリエチレンチューブに封入した製剤(ディスペンサー)を作成し、それを果樹園で1ヘクタールあたり200~400本設置した。その結果、被害が明確に低減し、本種を対象とした交信撹乱技術を確立することができた。2)ミモザに潜るスカシバガの性フェロモンの構造決定:ミモザは中南米原産の低木で世界各地に植生域広げ、農耕地の荒廃をもたらしている。生物的防除を目的に、ミモザの幹に潜るスカシバガの一種Carmenta mimosaの性フェロモンを分析したところ、(3Z,13Z)-3,13-octadecadienyl acetateであることが判明し、合成化合物を用いた雄蛾の誘引にも成功した。現在、年間を通した発生消長を検討中である。
著者
佐藤 容子
出版者
東京農工大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

アイルランドの詩人・劇作家・神秘家であるウィリアム・バトラー・イェイツの超自然演劇における表象構造を以下の観点から多角的に分析した。すなわち、イェイツが体系的に用いる頭韻によるサウンド・シンボリズム、アイルランドのフォークロアと溶け合ったスピリチュアリズムの要素、さらに日本の能狂言との接触という観点である。劇作としては、イェイツのクフーリンサイクルの最後の作品となる『クフーリンの死』を取り上げて論じるとともに、『鷹の泉』と『猫と月』について、能「養老」及び狂言「不聞座頭」との比較を行った。
著者
伊藤 禎宣
出版者
東京農工大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究の目的は、ユビキタス情報環境における外部観測可能な情報行動から、人々が欲する情報を推測する技術の開発である。この技術開発を目標に、項目1として、人の情報探索対象判別技術の確立、項目2として、情報探索対象判別技術を実装した、ユビキタス環境において実際的な情報行動判別センサデバイスの開発を目指した。これらの成果は、論文(Ito2006, 伊藤2007)等で発表した。
著者
服部 順昭 原田 寿郎 安藤 恵介
出版者
東京農工大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010-04-01

スラブCO2レーザでスギのラミナに直径2 mm以下の貫通孔が出力1 kW、パルス幅0.1秒であけられたこと、孔からの難燃薬剤浸透性能に応じたパターンでレーザインサイジングを行ったスギラミナには薬剤がむら無く注入できたこと、荷重支持部のスギ無処理集成材を難燃薬剤を所定量注入した燃え止まり部となるスギラミナで覆い、表面を無処理のスギラミナで覆った集成材が耐火1時間の加熱試験に合格し、別途国土交通大臣から建築基準法上の認定を受けたこと、同じ構成のスギCLTでも耐火1時間の性能が確認できたこと、その耐火集成材が都内の防火地域に建設の木造3階建て飲食店舗に採用されたことが期間内に得た成果である。
著者
藤井 義晴 木村 園子ドロテア 及川 洋征 岡崎 伸 新藤 充 吉田 昌裕 荒谷 博 和佐野 直也 マニナン ジョン・ソロモン サポン アピア・クワメ アドクウエイ アモアテイ・クリスティアナ アジジ マジード マルダニ ホサイン ミシナ マリア カザンツエバ エレナ オニプチェンコ ウラジミル パリサ タヘリ ホセイン アロウイ オシバンド アスマ 宝 龍 白 梅栄 阿 都沁夫 康 高娃 李 振豪 阿仁也 曾 任森 曾 英子 ルオ シンミン ウンダム ロレンス・モナ ミイ アフィ・アティアス イスミル ライハン ベイカー バキ 田村 尚幸 唐内 里緒 小林 賢太朗
出版者
東京農工大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

ガーナ、ケニヤ、スーダン、カメルーン、カンボジア、マレーシア、ベトナム、トルコ、イラン、ロシア、中国の雲南省、内モンゴル自治区などに出張したり現地研究者と連絡研究を行い、アレロパシー活性の強い植物を検索した。選抜した植物を重力屈性阻害活性、蔓の巻き付き防止活性を検定する系で検定した。アメリカネナシカズラを用いるつるの巻き付きを防止する検定法を開発した。これらの系によりクズ、シラゲクサフジ、アメリカネナシカズラ等のつる植物のつるの巻き付きを阻害する物質を数種見出した。これらの物質が実際にクズのつるの巻き付きを阻害する検定試験を実施し、現地においても蔓の巻き付きを阻害する活性のある成分を得た。
著者
亀田 正治 市原 美恵
出版者
東京農工大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2007

気泡を含む流体に関する多分野融合問題,具体的には,噴火様式を決定付ける要因とされる「マグマの破砕」現象の解明に取り組んだ.研究手法には,高い再現性と可視化撮影の実現性を重視して「マグマ模擬材料による常温室内実験」を採用した.模擬材料は,「水あめ」に過酸化水素水と二酸化マンガンを加え,触媒反応により酸素気泡を得たものである.この模擬材料は,マグマの持つ特徴である「超高粘度」「高剛性」「Maxwell型粘弾性」を併せ持ち,発泡マグマと同様に直径数10μmの気泡を大量に含んでいる.また,粘度,ボイド率も幅広い範囲で調整ができる.実験では,減圧による発泡材料の破砕過程を高速度撮影により詳しく調べた.その結果,十分固体的な状態におけるマグマの破砕は,破砕に必要な臨界差応力に達する時間tdecが特性をつかさどることを見出した.また,材料の固体流体遷移を支配する緩和時間trとの比(デボラ数: tr/tdec)を指標として,破砕に必要な臨界差応力に対するレオロジーの影響を詳しく調べた結果,臨界デボラ数(10)以上では,差応力はほぼ一定になること,また,臨界デボラ数を下回ると,次第に差応力が大きくなることが分かった.つぎに,減圧開始から破砕にいたるまでの時間tfに対するレオロジーの影響を評価したところ,デボラ数に反比例することがわかった.さらに,その最小値は減圧特性時間tdecによって,その最大値は,材料内の気泡が膨張を開始する特性時間tvに支配されることが分かった.これまでの成果を取りまとめたものを,雑誌論文2編,図書1巻として公表した
著者
佐野 理
出版者
東京農工大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

1.粒状体中に空洞のような不均一な領域があると,そこに流れが集中して力学的な平衡状態が壊れ,流動化する可能性がある.本年度は,これまでの2次元の空洞相互作用の実験を再現する数値シミュレーションを行い,空洞崩壊の進行速度や崩壊領域の成長について実験との定性的な一致を得た.現在,これをさらに3次元空洞に拡張している.これらの素過程の土砂崩れ発生機構の解明や地下水による汚染物質の異常拡散の予測,あるいは肝臓等における腫瘍近傍に発生する血管新生の問題への応用について国内外の学会で発表した.2.粒状体界面の粒子が流れによって運ばれ,巨視的な界面が変形する過程の長時間観測を行った.とくに,流れ場と界面形状の時間変化を定量的に明らかにし,乾燥地域の拡大や海浜浸食などに伴う環境予測への応用も含め,関連学会の原著論文2編および研究所報1編で公表した.3.渦輪は運動量やエネルギーを携えながら粒子のように個性を保ったまま移動する流体運動であるが,これが粒状体の表面に衝突すると,渦輪の崩壊や界面の変形を起こす.本年度は,渦輪の強さと界面切削パターンの関係を定量的に観測した.渦輪を崩壊させる技術として,あるいはまた海底堆積物の撹拌による生物活駐化技術などへの応用が期待される.4.粒状体薄層を鉛直に加振すると,条件によっては層全体に弾性体の撓み波や流体的なさざ波が観測される.これはエネルギー散逸の大きな系でありながら粒子の配置変化と排除体積効果によって長距離秩序の現れる特異な挙動であり,ミクロな粒子間相互作用とマクロな流動を結びつけるメソスコピック物理構築の鍵となる現象である.本年度はとくに波長や加振条件,粒子の材質などを含む普遍的な関係式を模索し関連学会で発表した.
著者
佐藤 容子
出版者
東京農工大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

アイルランドの詩人・劇作家・神秘家であるウィリアム・バトラー・イェイツの夢幻劇における表象構造を以下の観点から多角的に分析した。すなわちイェイツが体系的に用いる頭韻によるサウンド・シンボリズム、アイルランドのフォークロアと溶け合ったスピリチュアリズムの要素、さらに日本の能との接触という観点である。劇作としては『鷹の泉』、『骨の夢』、『煉獄』を取り上げ、能『景清』、『熊坂』、『錦木』、『求塚』との関連性を明らかにした。
著者
須田 良幸
出版者
東京農工大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

代表者の開発したスパッタエピタキシー法を用いて提案した高濃度Pドープ基板上へのGe直接平坦化成長する方法について系統的に解析し,Si/Ge界面に90°転位が発生し,僅かな歪を残して平坦成長する機構を解明した.この転位はスパッタ法でのGeの短い表面泳動長とドープP原子に起因して発生すると考えられる.Bドープ基板でも同様の現象が見られ,本手法を用いたGe仮想基板の作製への応用展開が期待される.
著者
細川 大二郎
出版者
東京農工大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1995

近年、多くの植物ウイルスについて、ゲノムの構造や機能が明らかにされてきている。しかし、ウイルスのゲノムの宿主細胞における発現や複製、あるいはウイルスの増殖機構については不明の点が多く残されている。本研究では、電子顕微鏡(電顕)レベルのin situハイブリダイゼーション法を用いて、ウイルス核酸の動態を宿主細胞の微細構造と関連させて詳細に調べ、ウイルスの増殖機構を主に細胞生物学的な面から明にしようとした。現在、まだ電顕レベルのin situハイブリダイゼーション法は十分に確立されたものがないため、固定や包埋法(前包埋法、後包埋法)、核酸プローブや標識マーカーの種類、ハイブリダイゼーション反応やその可視化などについて検討した。供試ウイルスにはタバコモザイクウイルス(TMV)及びジャガイモXウイルス(PVX)を用いた。これらのウイルスを接種したタバコプロトプラストを4%パラホルムアルデヒドと0.5%グルタルアルデヒド混合液で、4℃で、2時間固定し、アルコールで脱水後、Lowicryl K4Mに包埋り、超薄切片を作製したのち、ジゴキシゲニン標識RNAプローブでin situハイブリダイゼーションを行い、抗ジゴキシゲニン抗体と反応後、金コロイド標識抗ヒツジIgG抗体で可視化する方法によりシグナルを検出することができた。そこで、この方法を用いて、TMV及びPVXのRNAのタバコプロトプラスト内における局在を調べ、次ぎの結果を得た。すなわち、TMVでは、プロトプラストの細胞質の一部にやや電子密度の高い部位が生じ、そこに金粒子の標識が認められた。このプロトプラスト内におけるウイルスRNAの局在部位とその合成部位の関連を明らかにするため、[II]-ウリジンの取り込みによる電顕オートラジオグラフィー法を用いて、プロトプラスト内におけるTMV-RNAの合成部位を検討した。その結果、[II]-ウリジンの取り込みによる現像銀がプロトプラストの細胞質のウイルス粒子の集塊の近傍に認められた。PVXではウイルス接種4時間後からプロトプラストの細胞質の一部に金粒子の標識が認められ、金粒子は数個から10個位が集合して観察され、接種後の時間が経過するにつれて金粒子の標識部位はやや大きくなり、数も多くなつた。この金粒子の標識部位は細胞質基質であり、特別の細胞構造は認められなつた。
著者
堤 正臣 笹原 弘之
出版者
東京農工大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

回転軸のピッチ誤差、バックラッシを考慮した5軸制御マシニングセンタのモデルを開発し、円すい台の仕上げ切削を想定したシミュレーションを行い、ボールバーによる測定結果と種々条件を変えて比較したところ、両者はよく一致することがわかった。このモデルを四角すい台に応用したところ、ほぼ同様の結果を得ることができることを示した。このモデルを使えば、工作精度を予測でき誤差を診断することが可能なことを示した。
著者
永井 正夫 ポンサトーン ラクシンチャラーンサク
出版者
東京農工大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

本研究では、全国の交通事故の3割を占めている追突事故に焦点を絞って、運転中の居眠りや不注意を外乱変動とみなし、ドライバパラメータや操作量の分析にモデルベースのロバスト設計手法を導入して、人間機械系のドライバモデルを定量的に扱う手法の確立を目的として研究を実施した。2年間の研究期間の具体的な実施内容は以下のとおりである。(1)シミュレータ及び実車による走行実験により、速度制御にかかわる運転行動パラメータを抽出し、(2)調布と富士河口湖町の間の高速道路における公道実験データを収集して、(3)走行時の運転行動データとドライバモデルの出力との比較による眠気状態の分析を実施し、(4)顔画像による居眠り状態の分析と比較することにより、ドライバの注意力低下を判断できることを示した。基本的に、前後運動の理想的な速度制御モデルは、リスクポテンシャル理論に基づいており、結果的にはバネマス系で構成されるドライバモデルとして構築をした。この成果をさらに拡張して、アクセル・ブレーキペダルによる速度制御モデルだけではなく、ハンドル操作に基づく車線維持制御モデルと統合することにより、より精度よくドライバの居眠り状態や注意力低下状態を判断できるモデルを構築した。この成果は事故を未然に防ぐことを目的とした予防安全技術への応用として期待される。
著者
梶 光一 高橋 裕史 吉田 剛司 宮木 雅美 鈴木 正嗣 齊藤 隆 松田 裕之 伊吾田 宏正 松浦 由紀子 上野 真由美 及川 真里亜 竹田 千尋 池田 敬 三ツ矢 綾子 竹下 和貴 吉澤 遼 石崎 真理 上原 裕世 東谷 宗光 今野 建志郎
出版者
東京農工大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009

洞爺湖中島のエゾシカ個体群は、2度の爆発的増加と崩壊を繰り返して、植生に不可逆的な変化をもたらせた。その後落葉に周年依存するようになり、2008-2012年の間、高い生息密度(45~59頭/km^2)を維持していた。落葉はかつての主要な餌であったササよりも栄養価は低いが、生命・体重の維持を可能とする代替餌として重要であり、栄養学的環境収容力の観点から高密度を維持することが可能な餌資源であることが明らかになった。
著者
西田 浩之
出版者
東京農工大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2009

流体制御デバイス(DBDプラズマアクチュエータ)により細長形状の飛翔体周りの流れを能動的にコントロールし空力特性を制御するコンセプトを実証するため,風洞実験と数値シミュレーションを行った.飛翔体の前胴と後胴の右舷と左舷にそれぞれアクチュエータを取り付け,別々に駆動することで縦と横の空力(ピッチングモーメントと横力)を比例的に制御できることが実験により実証された.シミュレーションにおいては剥離流れの構造を再現することに成功し,より効率的な制御方法を探る為の知見を得ることができた.
著者
斎藤 隆文 吉田 典正 原田 利宣 今間 俊博
出版者
東京農工大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究では,CGや意匠デザインで用いる曲面形状を,鏡面・拡散反射による見栄えを包括的に考慮して生成・制御することを目的としたものである.鏡面反射による良好な映り込み形状を得るための,対数美的曲面の形状パラメータに関する知見を得るとともに,対話的制御法を提案した.また,より理想的な曲面集合として,完全対数美的曲面を提案した.アニメ調描画で用いる,拡散反射とセルシェーディングによる段階的陰影形状に関して,屈曲や波打ちの原因を明らかにし,滑らかで単純な陰影形状を得るための陰影付け方法を提案した.その他,見栄えを良くする形状処理技術に関して,種々の成果を得た.