- 著者
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柴田 克己
- 出版者
- 滋賀県立大学
- 雑誌
- 基盤研究(C)
- 巻号頁・発行日
- 2009
(1) DemozらのアシルCoA測定方法を参考にして,移動相,カラム,検出波長,流速,カラム温度を検討し,分離能が高くて機器に負担をかけない測定条件を検討した.分離用カラムとして, Tosoh TSK-GEL ODS-100Vを,移動相として100mmol/L NaH_2PO_4-75 mmol/L CH_3COONa(pHはH_3PO_4で4. 6に調整)-acetonitrile(94 : 6, v/v)を用いて,流速1. 0 ml/分で流すことで, CoA,アセチルCoA,デホスホCoAの分離に成功した.各々の定量限界は同じで,すべて10 pmolであった.測定時間は25分であった。(2)開発した方法を用いて,仮想酵素であるパンテテインアデニリルトランスフェラーゼ(パンテテイン+ATP→デホスホCoA+Pi)の検索を行ったが, in vitroでは酵素活性を検出することはできなかった(3)開発した方法が実際に生体試料に実用できるかを,パントテン酸欠乏動物と正常動物中の種々の臓器・組織中のCoA,アセチルCoA,デホスホCoA含量を測定したところ,小腸を除く他のすべてにおいて測定が可能であることがわかった.(4)幼若ラットをパントテン酸欠乏食で47日間飼育し,パントテン酸欠乏ラットを作成した.この欠乏ラットをパントテン酸含有食あるいはパンテチン(パンテテインが2分子結合した化合物)含有食を投与し,回復速度を比較した.その結果,種々のパントテン酸栄養状態を示す指標は,パントテン酸含有食とパンテチン含有食と差異は認められず,パントテン酸はパンテチンと同等の生体有効性を持つということが明らかになった.