著者
飛田 範夫
出版者
社団法人 日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.52, no.5, pp.7-12, 1988-03-31 (Released:2011-07-19)
参考文献数
10
被引用文献数
1 1

日本の伝統的スポーッの1種である蹴鞠は, 中国から7世紀頃に日本に伝来したものと考えられる。当初邸内の庭で鞠を蹴り合うだけであったが, 次第に本格化して「鞠の庭」が定められ, 4隅に懸と呼ばれる桜柳楓松などの樹木を植えるに至っている。造園的に見ると, 懸の仕立には庭園の勇定技法が応用され, 鞠の庭の舗装に関しては, 土と砂あるいは塩を含ませたものをっき固めるなどの工夫がなされていることがわかる。
著者
上原 三知
出版者
社団法人 日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究(オンライン論文集) (ISSN:1883261X)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.28-32, 2012 (Released:2012-04-11)
参考文献数
11
被引用文献数
1

One of advantage in ecological planning method of Ian L. McHarg is synthesis of respective optimal landuse (non optimal landuse). The earthquake and tsunami damage in March 11, 2011 recalled us the importance of the comprehensive optimal landuse evaluation. Especially, damages of the Fukushima nuclear plants were catastrophic. This study focused on the criteria of land evaluation paper data in report of "Land Use Aptitude Evaluation Technique Investigation based on Ecological Planning" by National Land Agency Japan in 1980. We traced 5 paper maps (geological map, landform classification map, slope distribution map, vegetation map, and soil cartography map) for digital map, and inclination in coastal areas in where the two Fukushima nuclear plants exist. In addition, we made risk hazard maps (landslide, earthquake resistant, and flood, tsunami damage estimation) on each disaster with above 5 divisions maps and the table risk scores in the Land Agency Report 1980. Finally, we developed a comprehensive hazard map with overlaid a previous evaluation result and evaluation of optimum area of nuclear plant. An actual nuclear power plant site was selected to the coast for the reasons of barren ground bought easily. However, our results indicate that the nuclear power plant site was relative dangerous location in the sight of overall disasters vulnerability by the overlay analysis in 1980 data.
著者
柴田 昌三
出版者
社団法人 日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.50, no.5, pp.84-89, 1986-03-31 (Released:2011-07-19)
参考文献数
6
被引用文献数
3 2

植栽された竹笹類の管理方法を考えるために、クマザサとオカメザサを用いて地下茎の季節的な動きを調査した。クマザサは8月の伸長が非常に悪く、6月と9月に盛んな伸長を示した。9月の旺盛な伸長がクマザサにとって非常に重要であることがわかった。オカメザサの地下茎は7月から11月の5ヶ月間しか伸長しない。夏から初秋にかけて活発な伸長を行い、特に7月後半から8月前半の旺盛な伸長が重要であることが示された。
著者
北村 文雄 堀内 孝雄
出版者
社団法人 日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.47, no.5, pp.112-116, 1983-03-31 (Released:2011-07-19)
参考文献数
12

サクラ類には多くの種・変種・品種があるが, 寒冷地に適するものは多いとはいえず, 北日本に植栽する場合に種類の選択が問題となる。本研究はサクラ類の植栽利用に関する研究の一環として, 寒冷地における植栽利用の基礎になるサクラ類の耐寒性について, 実験的に追求したものである。サクラ類の枝を低温処理し, その後の生育状態の調査をもとに耐寒性の分類を行い。その適合性の検討を行った結果を報告している。サクラ類には多くの種・変種・品種があるが, 寒冷地に適するものは多いとはいえず, 北日本に植栽する場合に種類の選択が問題となる。本研究はサクラ類の植栽利用に関する研究の一環として, 寒冷地における植栽利用の基礎になるサクラ類の耐寒性について, 実験的に追求したものである。サクラ類の枝を低温処理し, その後の生育状態の調査をもとに耐寒性の分類を行い。その適合性の検討を行った結果を報告している。
著者
石田 敢 亀山 章 高柳 敦 若生 謙二
出版者
社団法人 日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.55, no.5, pp.19-24, 1991-03-31 (Released:2011-07-19)
参考文献数
4
被引用文献数
2 2

日本人の動物観をとらえるために, 動物に対する態度の類型化を行った。 動物に対する態度は, 動物に関する職業や運動についている専門家が最も極端なものをもっていると考えられることから, 専門家に対するヒアリング調査とアンケート調査を実施することによって, 日本人の動物観の極限としての輪郭の把握を試みた。この調査はS. ケラートがアメリカ人に対して行った調査と同様の方法で行ったが, 審美的態度については日本人とアメリカ人とでは内容が異なることが明らかにされた。 また, 日本の専門家は自然主義的態度と生態学的態度を強くもっている者が多いことが明らかにされた。
著者
飛田 範夫
出版者
社団法人 日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.53, no.5, pp.43-48, 1989-03-30 (Released:2011-07-19)
参考文献数
6

京都市の青蓮院は, 火災や移転などによって大きく変化している。しかし, 青蓮院の記録をまとめた『門葉記』と『華頂要略』によって, その変遷をたどることができる。13世紀前半頃の「三条房指図」を見ると建物も庭園も寝殿造の形態になっている。14世紀前半の「十楽院差図」の時代には, 園池は建物に近接するなど害院造の邸宅の影響が見られる。19世紀中頃の「御本坊総図」からは, 書院造の建築に付随した庭園の状態がうかがえる。
著者
小野 良平
出版者
社団法人 日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.53, no.5, pp.73-78, 1989-03-30 (Released:2011-07-19)
参考文献数
24
被引用文献数
1 1

市区改正に始まる近代都市公園整備が, 帝都復興事業を経て一つの結実を見るまで, その間の公園設計の史的展開は不明な点が多い。主に東京の都市公園を対象に新設公園の現れた明治中期から復興事業の完了した昭和初期に亘る公園設計の源流を辿ることにより, 近代化の中で公共造園設計が, 西欧から何を学び如何なる系譜の下に展開してきたのかを明らかにすることを試みた。
著者
井手 任 守山 弘 原田 直國 横張 真
出版者
社団法人 日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.50, no.5, pp.161-166, 1986-03-31 (Released:2011-07-19)
参考文献数
15
被引用文献数
3 2

ヒヨドり等の果実食鳥により種子を散布される植物の林外から林内への散布特性を把握するため, エンジュの散布量及び芽生え数の調査を実施した. 芽生え数は高木層にアカマツ・スキの樹冠か存在する部分の種子供給源側及ひピサカキの樹冠の下に特異的に多く, 高木層に樹冠の存在しない落葉広葉樹林下では林縁からの距離とは無関係に安定的に少なかった. これらの芽生え数の偏りは, 種子散布特性を反映したものであると考えられた
著者
外村 中
出版者
社団法人 日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.258-271, 1993-02-28 (Released:2011-07-19)
参考文献数
25
被引用文献数
1 1

大仙院の庭園を代表とするいわゆる枯山水は, はたして, 本当に, 日本独自の庭園様式なのであろうか。本稿は, 日本において枯山水が成立したと考えられる時代に, 日本とほぼ同様の庭園趣味が, 韓国にもあったらしいことを紹介し, 枯山水の新たな解釈の方向性を示すものである。
著者
小林 章 金井 格
出版者
社団法人 日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.154-170, 1983-02-28 (Released:2011-07-19)
参考文献数
77
被引用文献数
1 2

京都の造園用石材の地域性を明らかにするため地域性を石材の高目の構成 (特徴: 多くの京都産の品目。京都産・他地域産の品目の併存。数百年にわたり記載のある品目。多様な形質の品目) により記述した。その域因の解析に地域の自然要素として地形・地質を, 人文要素として庭石商の性格を採り上げた。多様な石材が京都の多くの河川・山地・丘陵地から採取きれてきた。庭石商は近世水運または資源により立地し, 石材を供給してきた。
著者
鈴木 誠
出版者
社団法人 日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.48, no.5, pp.61-66, 1984-03-30 (Released:2011-07-19)
参考文献数
5

20年以上放置され荒廃した明治期の庭, 旧伏見宮家別邸銚子瑞鶴荘の庭を発掘調査し, 実測, 文献, ヒアリングにより往時の姿を推定した。特に主庭部分については旧景観の図上復元を試みた結果, 明治期の庭園の特徴とされる自然を生かした借景庭園であることがわかった。また, 千葉県銚子犬吠埼という庭の立地の意味するものもあわせて考察した。
著者
河原 武敏
出版者
社団法人 日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.56, no.5, pp.91-96, 1992-03-31 (Released:2011-07-19)
参考文献数
2

庭園の造営または管理上必要な植物材料の入手が平安鎌倉時代において, どの様になされていたかを古文献によって研究し, その結果, 需要に対する入手の方法に (1) 野外採取,(2) 召し上げ,(3) 献上,(4) 贈答などの手段が採られていたことが明らかとなり, 供給を業とする者は見受けられず, 贈答に関係して, 挿し木など行う庭木愛好者の存在することが確かめられた.
著者
小野 佐和子
出版者
社団法人 日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.48, no.5, pp.55-60, 1984-03-30 (Released:2011-07-19)
参考文献数
57
被引用文献数
3

自然と人間との遊びを媒介としたかかわりをさぐる一助として江戸時代の園芸植物の流行現象を考察した。江戸時代のたび重なる園芸植物の流行は, 奇品-通常とは異なる珍しい植物の嗜好を大きな特徴とするか, そこでは, 奇品は自然が人間の助けをえて作り出す傑出した作品であると考えられた。また奇品の流行には競争及び賭の要素を, 流行の背景には武家と植木屋の積極的な関与の存在を認めることができる。
著者
進士 五十八 吉田 恵子
出版者
社団法人 日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.155-165, 1988-02-15 (Released:2011-07-19)
参考文献数
15
被引用文献数
4 8

本論は、小学校隣接配置による地域密着型小公園として、或いはリバーサイドパーク・勤労者対応型公園として評価される震災復興公園について、既往記録などを整理し、その全体像を明らかした上で、東京日日新聞1大正12年9月1日-昭和10年8月31日の12年間) の公園関連記事 (191) を抽出し、公園かどのようにして市民社会に定着してゆくか、行政の動きを市民や専門家はどのように受けとり、反応してゆくか、現石からふりかえ一、たとき震災復興公園はどのように評価されるか等について考察した。その結果、計画に対する地元の反対や「不良とルンペンの巣云々」等の生活史を明らかにした、また公園意匠などの特徴を2類7型に整理した。
著者
荒井 歩
出版者
社団法人 日本造園学会
雑誌
日本造園学会 全国大会 研究発表論文集 抄録 平成14年度日本造園学会全国大会
巻号頁・発行日
pp.72, 2002 (Released:2003-06-20)

岐阜県の郡上八幡は現在でも日常生活に水路網を利用している旧城下町である。本研究は郡上八幡の水路網の整備過程を整理し、水システムの特徴が現れる水調整装置とその環境音との関係を分析した。その結果、昭和初期までに構築された6系統の水路網が現在も利用されていること、水調整装置の形態等によって系統毎の特徴が異なり、それに応じて水調整装置が発する環境音の分布状況や騒音レベルも異なることがわかった。これらのことから水調整装置が発する環境音は伝統的な水システムを音環境の側面から知覚できる伝統的環境音であることが明らかとなった。
著者
橋本 亜矢子 斎藤 庸平
出版者
社団法人 日本造園学会
雑誌
日本造園学会 全国大会 研究発表論文集 抄録
巻号頁・発行日
vol.2004, pp.23, 2004

落葉樹の樹冠内で、夜間照明により部分的に落葉が遅れる現象がこれまでに報告されている。(三沢・高倉 1990他)しかしこの現象が問題となる具体的な夜間照度は明らかになっていない。本研究では現地調査に基づき、樹冠内で部分的な紅葉・落葉の遅れを引き起こす夜間照明の程度を明らかにすることで、街路樹の生育環境の改善と、統一感や季節感の演出を担う街路景観の向上に役立つ基礎的データを得ることを目的とした。使用頻度が高い落葉樹のうちアメリカフウを対象とした結果、20lux以上の夜間照明(光源は蛍光水銀灯)は、樹冠内での紅葉・落葉の遅れを引き起こすこと、この影響は200lux以上で顕著になることが明らかになった。
著者
中瀬 勲 清田 信
出版者
社団法人 日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.52, no.5, pp.253-258, 1988-03-31 (Released:2011-07-19)
参考文献数
13
被引用文献数
1 5

外部空間での人々の快適性とそれに関連した気象環境要素等との関係をモデル化し, これを造園計画・設計へ応用することが本研究の目的である。まず, 人々の反応行動: RBは, 温度: T, 日射: S, 風速: W, 湿度: H, 樹影: V, 着衣: C1等で説明できるとして次式を設定した。RB=f (T, S, W, H, V, Cl) このモデルの要素間の関係を検討して外部空間での至適温度帯等を明らかにし, さらに造園計画・設計への展開について言及した。
著者
沢田 天瑞
出版者
社団法人 日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.2-12, 1973-03-31 (Released:2011-07-19)
参考文献数
16

The Ryoanji Garden is composed of a pond, a fountain and various stones; all of them are characteristic of the Rinzai Zen Buddhism. This garden did Gensho Giten, the founder of this Ryoanji temple, build in order to enhance the essence of the Myoshinji school.The subject of this garden means the Buddha himself who originates in Zen texts, such as the Soeishu, Hekiganroku, and Gokeshoshiisan.The conception of it is the “realization of our inner Buddha-nature” originating in the 7th Kean of the Hekiganroku-the Meaning of the Buddha Asked by Echo.Its formation means the “freedom from literal attachment “and the” transmission of the Buddhamind beyond his teachings” coming from the 18th Koan of the Hekiganrokuthe Stupa of No-form by Echu-kokushi-and the Answers of National Teacher Echu in the Soeishic, and Mitsuan Kantetsu in the Gokeshushrsan.
著者
吉岡 太郎 熊谷 洋一 斎藤 馨
出版者
社団法人 日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.57, no.5, pp.265-270, 1993-03-31 (Released:2011-07-19)
参考文献数
5
被引用文献数
1

コンピューターテクノロジーの進歩によって, 豊富な情報を可視化することが可能になり, 現在では, 非常に美しいフォトリアリスティックな森林風景を再現することもできる。しかしそれらは, 「そこにあるもの」を基本とし「そこに見えるもの」について考えられているものではない。最近の脳生理学の研究によって, 視覚情報は脳の中で (ニューロンレベルでも) 再構成され, それによって変化しているということが明らかにされている。したがつて, これからのCGは, 豊富な情報を分かりやすい形に再構成するという点も考慮する必要がある。本研究は, 日本画の手法を応用し, 我々が「見ている」形に視覚情報を再構成するという新たな試みである
著者
藤井 基弘 深町 加津枝 森本 幸裕 奥 敬一
出版者
社団法人 日本造園学会
雑誌
日本造園学会 全国大会 研究発表論文集 抄録
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.32, 2012

伝統行事「京都五山送り火」は、京都市内を取り囲む東山・北山・西山に灯される火の祭典の一つで、日本の伝統的なお盆の行事である。そして、今やこの送り火は特定の地域の伝統行事となるだけでなく、「お精霊送り」として広く人々の間に定着し、人々の"心の共有財産"となっている。本研究では、銀閣寺地域・松ヶ崎地域・西賀茂地域・衣笠地域・嵯峨地域それぞれの送り火の形態や祭祀組織の特徴を明らかにすることを目的にした。そこでこの行事を貴重な地域の文化として今後も継承するための方策を資材、人材などの側面から考察した。