著者
安藤 研 布施 秀樹 島崎 淳 村上 信乃 松嵜 理
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.79, no.8, pp.1399-1405, 1988-08-20
被引用文献数
3 8

前立腺癌は経過中に組織学的分化度を変化し,再燃後には,低分化傾向がみられることを既に報告した(日泌尿会誌,74:989,1983).今回さらに症例を追加し,生検時と剖検時の病理組織像の比較を行なった.用いた37例は,全例癌死であり,いずれも内分泌療法が施行された.生検剖検問に取扱い規約による分化度の変化をみたものが9例,不変のものは28例であり,前者はすべて中分化型が低分化型となったもので,後者は中分化型12例,低分化型16例であった.低分化型で分化度の不変のものに内分泌療法無効例が多かった.生検剖検問で取扱い規約により不変とされた28例でもGleason scoreでみると,その40%は剖検時scoreが大となっていた.したがって内分泌療法後に再燃したものは,治療前に比べて,低分化傾向になるとみなせた.剖検時,転移部位の分化度は,多くは,原発巣と同じ分化度であった.
著者
岩間 汪美
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.69, no.11, pp.1381-1390, 1978-11-20

Of 325 women with urinary distress, E. coli was detected in their urine in 23%. The same serological type of E. coli in the uine was isolated from the rectal and urethral flora in almost all cases. In this series, 0.75, 018ab and 06 were predominant in all sites. The chemotherapy with ABPc might eradicate the organism in bladder urine, but did not eradicate rectal flora, although the serological types were changed.
著者
今井 強一 山中 英寿
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.84, no.7, pp.1175-1187, 1993-07-20
被引用文献数
8 2

前立腺癌のスクリーニング検査として,症状・直腸診(DRE)・transrectal ultrasonography(TRUS)・prostate specific antigen(PSA)の評価と,mass screening(前立腺癌集団検診,実検)の現状と将来について検討した.早期前立腺癌発見のためには,DREはTRUSに比べspecificityに優れるが,sensitivityに劣る傾向にあった.PSAは前立腺癌症例の経過観察には優れるが,specificityやsensitivityに劣るが,状況に合わせたcut off値の設定が良好な結果を招くと思えた.また,それぞれの検査法で発見できる前立腺癌は必ずしも同一ではないと思われる.現段階で完全な前立腺癌スクリーニング検査はなく,高い発見率を期待するならば,これら3方法を同時に使用するのが良いであろう.診断医はそれぞれの検査法の特性を熟知し,各施設に適した検査chartを持つことが肝要である.本邦での前立腺癌の集団検診は開発段階をほぼ終了し,試行段階に入る所である.しかし,試行段階では5から10万人規模の無作為割り付けによる研究,ないしはそれに準ずる研究を行うのが望ましい.この施行段階による検討を行うためには全国規模での実検体制が組織されなければならない.
著者
畠 亮 矢内原 仁 早川 邦弘 大橋 正和 石川 博通 中川 健 田崎 寛
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.85, no.6, pp.974-980, 1994-06-20
被引用文献数
5 2

われわれの施設における副腎摘出術施行症例は1971年から1992年6月までに151例を数える.そのうち99例は1985年以後の8年間の症例で明らかに増加している.症例数増加の理由は偶発腫瘍の増加である.ちなみに99例中26例が偶発腫瘍であった.26例中24例は内分泌非活性腫瘍であり,活性腫瘍である残りの2例はいずれも褐色細胞腫であった.われわれが暫定的に決めた偶発腫瘍の手術適応基準は,(1)腫瘍径3.5cm以上,(2)画像診断上悪性が否定できないもの,(3)腫瘍径が3.5cm以下でも6ヵ月ごとの再検査で増大傾向が明らかなもの,(4)内分泌活性腫瘍は全て,とした.本研究の主目的は偶発腫瘍における悪性腫瘍との鑑別診断である.診断方法としては,(1)エコー, CT, MRI,血管造影などによる画像診断,(2)摘出した副腎腫瘍組織のフローサイトメトリーによるDNA ploidy, BrdU取り込み率の検討,(3)尿中ステロイド分画の検討を行った.一般論として現在の診断技術をもってしても確実に悪性腫瘍を鑑別できる方法はなく,われわれの選択した方法に対する評価も,文献によって賛否両論ある.そうした中,われわれの結果で興味をひいたことは,尿中17KS分画の検討である.すなわち癌症例において高値を示したのは,ステロイド核5番目のOH基がβ位にある画分に限られていた.まだ症例数が少なく,断定的なことはいえないが,鑑別診断の有力な方法になりうるものと期待される.
著者
斉藤 史郎 泉谷 正伸 白木 良一 石黒 幸一 藤岡 俊夫 長久保 一朗
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.85, no.12, pp.1777-1780, 1994-12-20
被引用文献数
1 1

症例は31歳,男性.18歳時,自慰行為によりナイロン製のつり糸を尿道より挿入してとれなくなるも放置.最近排尿痛が激化したため受診した.レントゲン写真上膀胱内に巨大な結石が存在し,超音波検査にて両腎に著明な水腎症および実質の非薄化を認めたため,入院のうえ膀胱切石術にて結石を摘出した.結石は大きさが10.5×7.5×7.5cmで重量360g.割ったところ中より全長3メートル以上にもおよぶつり糸が認められた.術後も血清 BUN 28.4mg/dl,CRTNN 4.1mg/dlと高値であり,これは術後6ヵ月経過しても改善はみられなかった.本症例は膀胱結石により腎機能障害が生じた比較的まれな症例であり,またこの膀胱結石は検索し得た範囲内では,現在までに報告されたもののうち最大のものである.
著者
佐伯 英明 三浦 邦夫 五十嵐 信寛 小川 弘良 清水 世紀 和田 郁生 鈴木 隆志 原田 忠 森田 隆 加藤 哲郎
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.73, no.8, pp.1058-1062, 1982-08-20

症例は妊娠第15週の36歳の女子で,肉眼的血尿を主訴として当科を受診した。膀胱鏡を施行したところ,膀胱左側壁に巨大な腫瘤を認めたので生検を行ない,移行上皮癌と判明した。患者は既に3子を有しているので,人工流産を施行し,泌尿器科的精査および治療を進めていつた。膀胱造影では左側半分を占める巨大た陰影欠損を認め,骨盤部動脈造影で腫瘍血管に富む腫瘍を認めた。術前に,マイクロカプセル化されたマイトマイシンCを合計40mg使用して2度にわたつて腫瘍支配動脈の化学塞栓を行ない,化学塞栓後の膀胱造影で腫瘍が中等度縮小した時点で膀胱全摘除術および回腸導管造設術を施行した。肉眼的には大小2個の腫瘍が認められ,組織学的にはgrade I, stage Aの移行上皮癌であつた。術後5ヵ月という短い経過ではあるが,転移や再発の徴候はない。妊娠に悪性腫瘍が合併することは稀れであり,殊に尿路悪性腫瘍が合併することは極めて少ない。妊娠に合併した膀胱癌の症例は欧米の文献に7例を認めるが,本邦では最初の報告ではないかと思われた。血尿が認められれば妊娠の有無にかかわらず即時にしかも適切な検索が行なわれなけれぼならないことを強調し,かつ,妊娠中の膀胱癌の治療法および妊娠と悪性腫瘍との関係について若干の考察を加えた。
著者
岩動 孝一郎
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.85, no.8, pp.1189-1212, 1994-08-20
被引用文献数
1 1

男性仮性半陰陽は性腺として精巣が分化していながら内外性器系の男性化が障害される先天異常で,極めて多彩な発生病理に基づく性分化異常症の一型である.従来,本症の分類は主として外性器の形態,女性内性器の分化の有無,および思春期における二次性徴の性差を中心に行われてきた.しかし発生機序に関する要因は殆ど不明であり,分類法での配慮は殆どなされていなかった.近年,性分化の機構に関する研究が大幅に進展し,Y染色体上に座位のある精巣決定因子 TDF も SRY 遺伝子として同定された.また胎生期精巣の分泌するミューラー管抑制ホルモン(AMH)に関する研究も進み,内性器分化とその異常に関する知見も一新された.Androgen Receptor(AR)についても遺伝子のクローニングの結果, ARとgenomic DNAとの相互作用についても重要な情報が蓄積されつつある.現在では,古来の臨床的な分類に加えて,MPHを発生機序の面から捉えた分類法を確立し,当面の患者に対しより適切な社会的な適応を目的とした性の決定を可能とし,その後の治療をも容易ならしめる基準を普及させる必要がある.最近の傾向では, MPH を SRY および性決定に関連する一定の遺伝子の異常を含めた機序に起因する性腺分化の障害 ; 胎生期精巣より分泌される androgen および AMH などの性器分化誘導物質生成の障害 ; そして androgen receptor(AR) の異常に伴う感受性障害 androgen insensitivityの3つの要因に大別して扱う報告が多い.このほか性腺腫瘍,腎腫瘍(Wilms'tumor)あるいは腎障害の合併などを示す症例の存在も注目され,その発生機序の解明は出生前診断,予防法さらには治療法の開発にもつながる重要な研究分野であると考えられる.
著者
石引 雄二 松村 勉 瓦井 美津江 福士 剛彦
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.98, no.4, pp.638-642, 2007-05-20
被引用文献数
1

症例は79歳,男性. 2004年1月11日より全身倦怠感,発熱出現.既往歴はS状結腸癌.近医CTで左後腹膜腔に腫瘤あり.当院外科に紹介受診.腹部エコーは低エコーの腫瘤.CTは内部均一,軽度造影効果のある腫瘍. MRIはT1強調画像で高信号, T2強調画像で低信号から等信号であった.血管造影施行し,左腎上前区動脈を栄養動脈とする左後腹膜腫瘍の診断. 3月10日紹介で当科初診.後腹膜腫瘍の診断で, 3月22日左腎と共に腫瘍摘出術施行.摘出標本は大きさ21×18×7cm,重さ1,100gであった.病理組織診断はstoriform-pleomorphic typeの悪性線維性組織球腫.術後11ヵ月目のCTで左後腹膜腔再発を認め,放射線治療(45Gy)を施行した. 12月20日多発性肺転移及び多発性骨転移のため永眠された.本邦報告された腎周囲組織発生のMFHは10例と比較的稀であった.
著者
岩城 秀出洙 梶田 洋一郎 清水 洋祐 山内 民男
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.92, no.5, pp.589-592, 2001-07-20
被引用文献数
4 1

73歳,男性.1999年9月初旬より全身倦怠感と微熱が出現し,当院内科を受診.腹部CTにて左腎下極に3.5cmの腫瘤を認め,ガリウムシンチでの同部の集積像もみられたことから,腎原発悪性リンパ腫の疑いで,1999年11月10日に当科紹介受診となった.検尿所見には異常なく,血液生化学検査ではCRPおよび可溶性インターロイキン2受容体(sIL-2R)の軽度上昇と赤沈の亢進以外には異常所見を認めなかった.腹部MRIで,腫瘤はT1強調画像で等信号,T2強調画像で低信号を示し,血管造影では腫瘍性血管は認めなかった.以上の検査結果から,乏血管性腎細胞癌あるいは腎原発の悪性リンパ腫を疑い,1999年12月20日に左腎摘除術を施行した.腫瘤はゴム様硬,淡黄白色均一,充実性腫瘤で,辺縁は不整であったが周囲との境界は明瞭であった.病理組織学的所見にて腫瘤は形質細胞,小リンパ球,好中球,好酸球の浸潤を伴う線維性の組織から成り,炎症性偽腫瘍と診断された術後経過は良好で2000年1月18日に退院となった.腎に発生した炎症性偽腫瘍は極めて稀で,自験例は内外で15例目である.
著者
吉村 一宏 細木 茂 黒田 昌男 清原 久和 古武 敏彦
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.79, no.11, pp.1848-1851, 1988-11-20
被引用文献数
2

症例は54歳,男性.1986年1月,排尿痛を主訴として当科受診した.家族歴,既往歴に特記すべきことはなかった.膀胱鏡にて乳頭状有茎性腫瘍を認め,1986年8月15日経尿道的膀胱腫瘍切除術(以下,TUR-Btと略す)を施行した.病理組織は移行上皮癌,G2,pTisであり,同年12月15日よりBCG膀胱内注入療法を開始した.BCGはTokyo172株を用い,80mgを50mlの生理食塩水に溶かし膀胱内に注入し2時間は保持させた.膀胱内注入は週1回,6週間施行した.投与開始前のツベルクリン反応は陽性であった.膀注3回目より尿細胞診は陰性になったが膀胱刺激症状が著しくなりINH,副腎皮質ホルモンを投与しても改善されなかった.BCG膀注終了後約6ヵ月を経て膀胱容量は約50mlと減少し,高度の膀胱刺激症状も持続していたため1987年7月20日,膀胱尿道全摘および回腸導管造設術を施行した.摘出した膀胱は壁が肥厚し粘膜は全体に充血し浮腫状であった.組織学的には腫瘍細胞を認めなかったが粘膜上皮が脱落し乾酪壊死を伴う結核性病変を広範囲に認めた.BCG膀注による副作用として萎縮膀胱はまれであり調べ得た限り本邦1例目である.若干の文献的考察を加え報告する.
著者
園田 孝夫
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.80, no.4, pp.505-506, 1989-04-20
被引用文献数
40

EndourologyとESWLが尿路結石症の治療に導入されて以来,本邦の結石治療の内容は大きく変わった.EndourologyとESWLが普及するにつれて,今後の質的発展の為には種々ある治療法の成績・合併症,数種類に及ぶESWLの成績・合併症の比較検討,さらには組みあわせの問題などを可及的に客観的に評価することが必要になって来ている.その為に,日本泌尿器科学会理事会から委嘱を受けて,ESWL検討委員会が1987年12月10日に作られた.ほぼ1年かかったが,以下の様な「Endourology,ESWLによる結石治療の評価基準」を作成した.日本泌尿器科学会の会員の皆様がこの評価基準に則って治療成績を発表されますよう提案いたします.
著者
伊勢田 徳宏 横山 雅好 金山 博臣 大本 安一 香川 征
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.91, no.5, pp.514-519, 2000-05-20
参考文献数
19

(目的)腎細胞癌におけるinterferon receptorの発現の有無,発現量,発現部位ならびにその意義は検討されておらず,同様に細胞核内からの伝達により産生されている酵素や蛋白等なども検討されていない。今回,抗体を用いたELISA法による細胞膜外部分の可溶性interferon-α/β receptor(s-IFN-receptor)の測定系が確立されたので腎細胞癌患者血清を用い臨床的意義を検討した。(対象・方法)1990年から1995年までに愛媛大学医学部泌尿器科を受診した腎細胞癌患者27例の血清中s-IFN-receptor値の測定を行った。採決は治療前空腹時とし,血清分離した後測定するまで-80度で凍結保存した。また徳島大学医学部で測定した健常者22例の血清中s-IFN-receptor値と比較した。(結果)腎細胞癌患者では健常者に比し,血清s-IFN-receptor値は有意に高値であった。(p<0.003)。High risk群のs-IFN-receptor値は高かった。生存率について,今回の腎細胞癌患者のs-IFN-receptor平均値の2.7±1.7ng/ml以上と未満で検討したところ,高値群では4年の累積生存率は53.3%,低値群では78.7%であった(Logrank検定,p=0.4289)。High risk群とlow risk群の4年生存率では有意さはあったが(Logrank検定,p=0.0342),high risk群およびlow lisk群においてs-INF-receptor値と生存率に相関がなかった。s-IFN receptor値は,一般的に腎細胞癌の予後因子と言われているCRP,赤沈とは相関していなかった(Spearman Rho値,0.33,0.31)。(結論)今回,s-IFN-receptor値と予後との関連を明らかにすることはできなかったが,腎細胞癌治療前において,一般的に予後因子とされるCRP,赤沈とは相関しておらず,今後,これらとは独立した因子である可能性を含め,さらに症例数を増やして検討する必要があると考えられる。
著者
北島 清彰 斎藤 忠則 清滝 修二 佐藤 安男 森田 博人 岡田 清己 岸本 孝
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.78, no.1, pp.87-96, 1987
被引用文献数
1

1984年12月より1年間に,膀胱摘出後の尿路変向術としてKock回腸膀胱を作製,現在までに17症例に対して行った.患者の年齢は35歳から78歳,男性11例,女性6例,全例悪性腫瘍であり,手術はKock,Skinnerらの方法に順じて行った.Kock回腸膀胱造設術に要する時間は4〜5時間で出血量は100ml以内であった.早期合併症は3例,うち2例は尿貯留槽よりの尿漏出があり再手術,他の1例は薬剤性肝障害で死亡した.術後経過は最長14ヵ月まで見ることができたが,中期合併症(1年以内)として,尿輸出脚に形成したnipple valveに起因するものが最も多く,17例中11例,うちわけは失禁2例,カテーテル挿入困難8例,逆流3例,うち3例に再手術を行った.カテーテル挿入困難は術後2〜4ヵ月の間に急に発生することが多く,原因としては腸重積の滑脱と輸入脚の一部が嚢状に拡張したものであった.尿貯留槽の容量は300ml位が多く,3〜4時間間隔で導尿を行っている.Kock回腸膀胱は手術時間,nipple valveの形成の難しさなど問題点はあるが,電解質のバランスは保たれ,腎機能も異常なく,体外集尿器を必要とせず,現在評価できる14例中12例が快適な生活を送っており,Kock回腸膀胱はすぐれた尿路変向術である.