著者
鄭 寅瓏
出版者
神戸大学
巻号頁・発行日
2017
著者
木村 建次郎
出版者
神戸大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2015-04-01

我々は、2013年に波動散乱の計測データから散乱体の構造を再構成する散乱トモグラフィの理論を発明し、それを機にマイクロ波を用いたサブサーフェスイメージング技術の開発を進めてきた。これまで、ファントム実験、動物実験、臨床実験に成功し、量産機の完成に向けた要素技術の開発を進めている。本研究では、マルチスタティック計測用のアレイアンテナの開発、乳房内組織の誘電物性の計測、アンテナのサイズ効果を考慮した散乱トモグラフィ理論の開発を実施した。今後、この成果をさらに深化させ、数年以内に、量産機の実現と、乳癌検出の物性論として基礎固めを目的として基礎研究を進展させる計画である。
著者
藤井 聰 岸原 士郎 玉城 一 河本 正彦
出版者
神戸大学
雑誌
神戸大学農学部研究報告 (ISSN:04522370)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.97-106, 1986
被引用文献数
2

良質なサゴデンプンを製造する条件を探るため, 1981年にマレーシヤ, クアラルンプル市郊外で, 種々の条件下でサゴデンプンを実験室的に調製し, 調製品を日本に持ち帰って, その品質, とくにその色に関係する分析をした。その結果得られた良質サゴデンプンの製造条件と, 留意すべき事項について報告する。原料は新鮮で熟していなければならない, 未熟の原料や, 収穫後, 剥皮及び磨砕後長時間放置したものからは, 劣悪なものしか得られなかった。デンプン製造には鉄製器具はできるだけ避けるべきである。さもなければピスの切断面はインク色に染まり, その色はデンプンに取り込まれてしまう。ピスを短時間貯蔵せねばならぬときは, 空気から切断面を遮断する適当な方法を講ずるべきである。例えば適当な表面コーティング剤を噴霧するとか, 水に浸漬するとかの方法である。良質の水を使用することが高白度のデンプンを得るために必須である。若し良い水が得られないなら, たとえば, 塩(海)水を用いるとか, Tween 60のような界面活性剤を添加した用水を用いるのが薦められる方法である。不純物は製造時にデンプンに吸着されるので, 一度劣悪なデンプンが製造されると, その品質の改良は普通の方法では大変むつかしい。
著者
細澤 仁
出版者
神戸大学
雑誌
神戸大学保健管理センター年報
巻号頁・発行日
vol.23, pp.73-82, 2003-04

解離性同一性障害の終結3症例を提示し,精神療法という観点から考察を加えた。解離性同一性障害患者との精神療法過程においては,以下の二つの次元の転移に注意を払う必要がある。(1)幼小児期に患者が外傷を経験したとき,その外傷を消化する能力,つまり自然治癒能力を発揮できないような心的あるいは外的要因が中核的葛藤となり,治療関係に転移されるということ。(2)外傷により精神病水準の不安が維持され,投影同一化を介して治療関係の内外に立ち現れるということ。それぞれの転移に対する治療上の留意点として,(1)には転移解釈,直面化,明確化を用いて,患者が解離という機制で否認することなく,治療関係に転移された中核的葛藤をワークスルーすることを助けること,(2)には精神病水準の不安を治療者が治療関係のなかで「生き残る」ことを通して抱えること,以上二つの次元の作業が解離性同一性障害患者の精神療法に必要であると主張した。
著者
植松 忠博
出版者
神戸大学
雑誌
國民經濟雜誌 (ISSN:03873129)
巻号頁・発行日
vol.173, no.4, pp.15-30, 1996-04
著者
原田 仁 宮尾 祐介 金治 新悟 掛地 吉弘
出版者
神戸大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究の目的は,手術動画を自動で文章化するプログラムの開発,および映像データと言語データが相互に検索可能な新しい手術記録データベースの構築である。手術動画内の解剖,器具,動作,事象を言語で意味付けし,機械学習によりパターン化させることで,手術動画から手術記録を自動作成するプログラムを開発する。また,映像と言語が互いに関連付けられた手術記録データベースを構築することで,膨大な手術データが客観性の高い均質化された手術記録として保存管理し,データベースから必要な映像データを言語で検索することを可能とする。具体的には,手術映像から選別した特定の場面を用いて,解剖,手術器具,動作,事象を認識しテキスト化する手術認識アルゴリズムを作成し,手術認識アルゴリズムを基に手術動画を自動で文章化するプログラムを開発するとともに,映像とテキストをリンクさせ相互に検索可能な新しい手術記録データベースの構築を目指す。手術認識アルゴリズムの作成においては,解析用コンピューターにインストールした専用ツールを用いて,手術動画内に登場する臓器・血管などの解剖,鉗子類などの手術器具,把持・切離などの手術操作,出血・血管の拍動などの体腔内の事象などに対し,名称や動作の属性を付与する。これにより言語で意味付けされた動画を保存,蓄積し,映像からテキストデータへの変換を,機械学習によりパターン化させる。機械学習のデータとしては,手術手技として規則性があることが望ましいと考えられる。そのため,手技が定型化された約100症例の腹腔鏡下胃切除の動画をサンプルデータとして使用する。
著者
宇津木 成介
出版者
神戸大学
雑誌
国際文化学研究 : 神戸大学国際文化学部紀要 (ISSN:13405217)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.73-91, 2007-12

How many basic emotions are? As William James suggested, we may have an endless list of words expressing emotional states if we enumerate them. In this article the author briefly introduced "seven (basic) emotions" which seem to be based on Buddhism. Charles Darwin provided 37 affective words in eight chapter titles in his "On the expression of the emotions in man and animals." To the contrary J.B. Watson argued he found only three basic emotions X,Y, and Z in his "Behaviorism." James listed seven names of emotions in his 1884 article, and eight names in his 1892 textbook. Only anger and fear appeared in the both lists. He thought that "the varieties of emotion are innumerable," so he seemed to try not to talk about each emotion but to explain emotion per se. Researchers like Wundt have suggested the dimensional structure of emotion. Later, Plutchik introduced his three dimensions theory of emotions and maintained that there are 8 primary emotions and they compose other emotions as three primary colors do. His dimensional view of emotions seems to be the opposite to the one that we humans have a set of basic instincts and each emotion connects to the instinct. James' view of emotion could be understood on a sort of physiological continuum, he also subscribed the idea that humans have discrete instincts. Watson, criticizing James, followed the way suggested by James, that emphasizes the stimulus arousing the emotional response. Although he did not deny the basic action parts observed in the newborn child, he did deny the importance of human instinct which was laid a great importance by McDougall. Woodworth showed that 58 emotional words could be classified into 11 classes. He also indicated that there might be six categories of emotions using Feleky's data. The six categories showed a similar circular structure proposed by Plutchik. In sum, most common number of basic emotions will be 6 to 8. The modern theories of basic emotions should be compared with the older philosophical views of emotions speculated by Tomas Aquinas, Descartes, and Spinoza who proposed 3 to 6 basic emotions that humans have.

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著者
福田 敬太郎
出版者
神戸大学
雑誌
國民經濟雜誌 (ISSN:03873129)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.579-596, 1928-10
著者
中村 昭子 和田 浩二 木内 真人 大村 知美 Guettler Carsten
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

小天体レゴリス層での衝突クレーター過程を理解するために、模擬低重力衝突実験装置を開発し、低速度衝突クレーター形成実験を、0.01-1 G の範囲で大気圧下と 10 Pa 以下で行った。クレーター直径は、重力加速度の約 -0.2 乗に比例することがわかった。また、粉粒体層の空隙率の重力依存性に関する経験則を得た。一方、重力が減ってもクレーター直径があまり大きくならない、粒子間力が卓越する場合があることも実験的に示した。一方で、衝突時の放出物量は、反発係数や摩擦係数といったエネルギー散逸をもたらす粒子間相互作用によらないことが数値シミュレーションで示された。
著者
高 宜良 永安 朋子 内藤 あかね 中井 久夫
出版者
神戸大学
雑誌
神戸大学医学部紀要 (ISSN:00756431)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.287-336, 1997-03

直接治療に関与した強迫症の長期外来治療例全例9例の記録とグラフ表現とによって治癒過程を研究した。その際,本症を全生活障害と捉えて身体診察とアートセラピーを行い,また症状の改善にもまして生活の再開と拡大とを重視した。治癒過程は特徴的に症状中心期,感情表出期,生活拡大期の3期と,各段階の移行期に分けられ,段階ご存に「病圧」が格段に低下する。全体を通じての治癒的因子は,睡眠,薬物に対する心理的受容性,必要薬物の比較的少量,症状の生活阻害が部分的であることである。治療者側の基本的態度は超自我的脅威と専門家的不関性とを避けて基本的信頼の維持を態度で示すことである。これは特に治療中断後の再開時に重要である。また,症状中心期においては,目標は患者の意識における症状の脱中心化と患者の士気の維持向上である。治療の反作用として身体的動揺と身体症状の発現,症状の激化,行動化とが出現するが,いずれも一過性であり,治療に活用しうる。続く移行期にはしばしば治療上意味のある患者の「一時雲隠れ」が起こる。その意義は土居の甘え理論によっても森田の精神交互作用によっても理解しうる。感情表出期においては症状よりも,生の苦悩と苦渋な生活状況とが中心となる。治療的セレモニーの雰囲気の醸成のために音調の重視,アートセラピー,身体診察が貢献する。生活拡大期においては患者を信頼し,支持的態度とタイミングについての助言でよい。