著者
荻原 新八郎 松尾 薫 立野 勝彦
出版者
金沢大学
雑誌
金沢大学医学部保健学科紀要 (ISSN:13427318)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.15-19, 2001-03

平均年齢(標準偏差)21.9(2.0)歳の健常大学生18名に対し,身長及び体重を測った後,平地上を10メートルできるだけ速く歩かせ,速度,歩幅,及び歩行率を計算した.次に,椅座位で音刺激に対して前脛骨筋を素早く収縮できる反応時間を測った.速い歩行では,速度と歩幅,速度と歩行率,及び歩幅と歩行率との間に各々有意な相関関係が認められ,歩幅の長いこと及び歩行率の小さいことが速い歩行の予測要因であった.歩幅は,体重及び反応時間と有意な重相関性を示し,反応時間の短いことや,体重の軽いことが歩幅を長くする予測要因であった.本所見は,歩行障害を来たした20歳代男性の歩行検査における指標になりうる
著者
安藤 敏夫 内橋 貴之 渡辺 琢夫
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2008-05-12

分子・細胞で起こるダイナミックな現象を高解像で直接可視化できる高速原子間力顕微鏡を世界に先駆けて完成させた。その結果、いくつかの機能中のタンパク質分子の動的構造変化や動的分子プロセス、生きた細胞で起こる動的現象を撮影することに成功し、この新規顕微鏡の有効性、革新性を実証した。
著者
東 秀憲
出版者
金沢大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2004

昨年度までに高温高圧水に対する無機塩の溶解度の測定を目的として流通型の装置を用い,無機塩として塩化ナトリウム(NaCl)と塩化カリウム(KCl)の溶解度を測定してきた.そこで今年度は.無機塩として1価のカチオンによる違いの変化をみるため塩化リチウム(LiCl)を,価数の違いによる変化をみるために塩化カルシウム(CaCl_2)を選択し,それらの溶解度を測定した.実験は,温度350-400℃、圧力6-14MPaの条件下で行った.さらに,Pitzerらの状態方程式を用いて得られた溶解度データの相関を行い,それらの適用性について検討した.以前,本研究室において松本らにより同じ装置を用いて測定された塩化ナトリウムおよび塩化カリウムの溶解度は,固気平衡領域であり,一定圧力において温度の上昇とともに溶解度は減少するという傾向を示した.しかし,本研究で測定した塩化リチウムおよび塩化カルシウムの溶解度は,一定圧力において温度の上昇とともに溶解度は増加するという異なる傾向を示した.Pitzerらによると,H_2O-NaClの気液平衡領域では,一定圧力において温度の上昇とともに溶解度は増加するという同様の傾向を示しているため,測定条件下において気液平衡になっている可能性が示唆された.また,得られた塩化リチウムおよび塩化カルシウムの溶解度データをPitzerの状態方程式に基づく相関式により相関を行った.状態方程式中のパラメータを最適化することで,相関結果は,塩化リチウムおよび塩化カルシウムの気液平衡領域で各温度,圧力において良好な結果を与えた.
著者
笠原 禎也 後藤 由貴 長野 勇
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

科学衛星上で自律的にデータの選別・圧縮を行なうコンパクトかつ処理負荷が軽い超小型デジタル電波受信器の基礎技術について研究した。具体的な検討内容と成果は以下の通りである。1計算負荷の見積もりと機上のデータフローの実現評価手法の検討電磁界センサで得た広帯域波形データをCPU上で周波数解析するための最適な処理手順を検討し、現状の宇宙機用CPUで処理可能な最適手順を示した。特に低周波数帯での高周波数分解能スペクトルを、低計算負荷・低消費メモリで機上処理する方法を提案した。2各種データ圧縮アルゴリズムの既存計測データを用いた比較研究と定量評価「あけぼの」「かぐや」衛星による実観測電磁波データを用い、衛星上で取得・生成したスペクトル・波形双方について効率的なデータ圧縮法の検討を行なった。限られたテレメトリ容量下で、可逆圧縮と単純平均の併用より、科学的意義を損失なわない低歪みの非可逆圧縮法を提案した。3データ選別・自動抽出機能に関する技術的課題の検討デジタル電波受信器に実装した自動データ選別機能の性能を検証し、適切な選別基準の設定により限られた伝送帯域で有用データが効率的に取得できることを示した。また雷起源ホイスラを効率的に検出・分散値を求める方法を考案した。
著者
小田 竜樹
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

スピン軌道相互作用などほとんど全ての相対論効果を含む電子に対する擬ポテンシャルの開発を推進し、これらを既存の第一原理分子動力学法へ組み込む開発研究を行い、さらに開発された計算コードを用いて、スピントロニクス等で重要となる磁気異方性の電界効果や半導体のラシュバ効果といった新しい研究分野において計算科学的理論的研究を推進した。その結果、開発した計算コードがこれらの分野において重要な研究手段を提供することを実証した。
著者
安村 典子
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究は、ヘレニズム文学の至宝、カリマコスの諸作品を研究し、(1)カリマコス詩歌の文学的意義を考察すること、(2)カリマコスを中心とするヘレニズム文学の特質について考察すること、(3)カリマコス並びにヘレニズム文学が後代に与えた意義を究明すること、主としてこの三点に焦点をあてて考察した。カリマコスの作品は、神々への『讃歌集』6編と『起源物語』、それに風刺詩の断片が残るのみである。いずれの作品もいまだ日本語に翻訳されておらず、その研究もほとんど行われてこなかった。本研究では、これらの作品を初めて日本語に翻訳し、それらが緻密で文学技巧を駆使した薫り高い文学であることを研究した。これにより、古典文学に関心を抱く人々にカリマコス文学の全容を提示するものである。
著者
宮島 昌克 北浦 勝 池本 敏和 村田 晶 清野 純史 能島 暢呂
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

現在,被害地震の直後には被災建築物応急危険度判定士によって建物の健全度が判定されているが,医療機関の機能の健全度を評価するものではないので,医療機関においては効果を発揮し得ない。このような観点から本研究では,医療機関における建物の健全度のみならず,救命ライフラインや医療機器の耐震機能評価法を考究することを目的とする。まず,過去の地震における医療機関の被災資料を収集した。近年わが国で発生した地震のみならず,アルジェリア・ブーメルデス地震やイラン・バム地震などの被害についても調査し,世界共通の視点から分析した。その結果,地震後の医療機能損失の要因としては建物そのものの損壊,ライフラインの機能喪失,医療機器の転倒,落下に大きく分ける必要があることが明らかとなった。つぎに,2007年3月に発生した能登半島地震と7月に発生した新潟県中越地震の際に被災地の医療施設に対して地震被害が医療機能に与えた影響に関するアンケート調査を実施した。ここでは,上記のように,建物そのものの損壊,ライフラインの機能喪失,医療機器の転倒,落下に分けて,それぞれの被害が医療機能にどのような影響を及ぼしたかについて整理,分析した。その結果,能登半島地震および新潟県中越沖地震では,医療施設において生活機能,医療機能の両面に対して断水被害の影響が目立ったことが明らかとなった。さらに,長周期地震動に対して敏感であると考えられ,しかも医療機器類に多い,キャスター付き機器の振動特性を明らかにするために,正弦波を用いた振動台実験を行い,医療機器類のフラジリティ曲線を求めた。さらに,病院内のライフラインの損傷や薬品棚の転倒が医療機能に及ぼす影響を検討し,それぞれのフラジリティ曲線を提示するとともに,地震時の医療機関の機能損曲線を提案した。
著者
新井 豊子 富取 正彦 村田 英幸
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、独自開発した電圧印加非接触原子間力顕微鏡/分光法(Biasnc-AFM/S)を発展させ、試料表面上の原子と探針先端原子との間の結合形成の過程・電子状態の変化を明らかにすることを目的とした。このために高感度力センサーの開発、電子回路の高感度化により探針試料間相互作用力、電流、エネルギー散逸の高感度同時計測を実現した。シリコン-シリコン原子間の共有結合力は、局所電子状態密度に強く依存していることを明らかにした。
著者
山崎 友也
出版者
金沢大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

従来,憲法学の研究が手薄だった「人身の自由」を原理的観点から再構成することを目指し,(1)憲法18条論,(2)憲法31条論,(3)裁判員制度の合憲性の再検証をそれぞれ行った。その結果,(1)については,「意に反する苦役」(憲法18条後段)は社会通念上耐えがたい苦痛を伴う労役であること,(2)については,憲法31条を憲法32条とともに,民刑事手続の総則的規定であること,(3)については,共和主義に基づく同制度の正当化は現憲法上不可能であることをそれぞれ明らかにした。
著者
川村 満紀 谷川 伸 五十嵐 心一 鳥居 和之
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1995

本研究は、融雪・融氷剤(塩化ナトリウムおよび塩化カルシウム)のコンクリートの化学的劣化におよぼす影響およびそのメカニズムを解明するものである。融雪・融氷剤(塩化ナトリウムおよび塩化カルシウム)による影響を想定された各種温度および濃度条件の下で綿密に調べることにより、融雪・融氷剤によるコンクリート構造物の化学的劣化に対しての防止対策について具体的な指針を確立することを目的とした。研究計画は、(1)融雪・融氷剤によるコンクリートの化学的劣化メカニズムの解明、(2)融雪・融氷剤によるコンクリート構造物の化学的劣化に対しての防止対策の確立、とに大別できる。(1)に関しては、濃度および温度を変化させた塩化ナトリウムおよび塩化カルシウム溶液に各種配合のセメントモルタル供試体を浸漬し、浸漬材令に伴う強度の低下および膨張量の変化などを調べることにより、高濃度の塩化カルシウム溶液においてのみ化学的劣化現象が発生することを明らかにした。また、高濃度の塩化カルシウム溶液による劣化現象がコンクリート中の水酸化カルシウムの溶解とそれに伴う複塩(CaO・CaCl_2・15H_2O)の生成によるものであることを明らかにした。(2)に関しては、各種鉱物質混和材(フライアッシュ、高炉スラグ微粉末、シリカフューム)の使用したコンクリートの塩化カルシウム腐食に対する抵抗性を検討するとともに、融雪・融氷剤のコンクリート内部への浸透防ぐ目的で使用される各種表面塗布材の遮塩性およびその化学的劣化現象に対する効果について明らかにした。以上の研究成果をふまえて、融雪・融氷剤によるコンクリートの化学的劣化のメカニズムについて解明するとともに、このような劣化現象の防止対策について具体的な提案を行った。
著者
徳田 規夫
出版者
金沢大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

プラズマCVDを用いたダイヤモンド結晶成長モードを制御することで、ダイヤモンド表面を原子レベルで制御することを行った。その結果、デバイスサイズ100×100μm2のステップフリーダイヤモンド(111)表面の形成に成功した。また、単原子ステップを持つ正三角形島構造を世界最小のナノメートルスケールの物差しとして提案した。