著者
端崎 圭一
出版者
金沢大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2008

最近のパソコンでは,DVDの映画を英語字幕を出しながら容易に視聴でき,また,映像に合わせてその字幕を読みながら音声を録音することができるようになった。この方法を用いると,英語の音読指導がより効果的にできるのではないかと考えた。本研究の目的は,実際に映画を用いて音読を生徒に試みさせ,初期の音読から終期の音読の変化を生徒の自己評価をもとに検証することであった。授業は,2年の選択授業で実施した。生徒数は,前期34名,後期30名であった。場所はコンピュータ教室。Windows XP搭載のパソコンを使用。使用したソフトは,Windows標準のサウンドレコーダとパソコン附属のDVD再生ソフト。授業回数は14回。映画は『ハリーポター(賢者の石)』を使用。最初の2回で,生徒は,読んでみたいセリフのある場面を8つ選んだ。3回目以降は,1回の授業につき自分で選んだ一つの場面をDVDを観ながら録音を何度も試みた。音声をファイルとしてポートフォリオ化し,いつでも聞き直せるようにした。毎回,表計算ソフトを用いて自己評価に取り組ませ,時系列で評価を見渡せるようにした。最終3回は全員に同じ場面に取組ませ,友人同士協力して行わせた。生徒の自己評価を通して言えることは,初期の音読では,何よりも教科書の学習では経験できない速さに難しさや戸惑いを感じている生徒がほとんどであるどいうことである。しかしながら,それでやる気をなくすことはなく,むしろ生徒意欲の高まりをひしひしと感じることができた。それは,映画の中にある本物の力,自分でやってみたい場面を選べた喜びに起因すると考える。回を重ねるに従って,スピードや英語らしい音に慣れてくると同時に,より上手になりたいという思いも強く感じることもできた。最終段階では,「どうやって本物に近いものになるか」「今は少しだけはっきりと,英語らしい発音で話せるような気がする」「他の場面でのセリフの成果もあった」など自己学習の成果がはっきりと見て取れた。
著者
山越 健弘 山越 憲一 松村 健太
出版者
金沢大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

光電容積信号を用いた容積振動法に基づき,血圧,脈圧,心拍数,血管緊張度,および血管弾性度の5生理指標を,指一本から同時かつ簡便に取得可能なプロトタイプを開発した。そしてこの動作性能評価を行い,次いで上記5指標から体調の善し悪しを判別可能かどうかのパイロット・スタディを行った。また,飲酒運転防止を目的とし,光電容積信号を利用した血中アルコール濃度計測の可能性をin vitro(アルコール吸光特性試験)及びin vivo(飲酒負荷試験)下で予備検討した。
著者
永井 善之
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

児童ポルノの刑事規制根拠の明確化を目的とする本研究では、その規制の伝統に伴う法的議論の蓄積の豊富なアメリカにおける理論状況に係る比較法的な分析も踏まえて、その規制利益の個人的法益性の基本的妥当性を確認すると共に、この個人的法益を被写体児童の人格的利益、より具体的に自由の一種たる自己の性的姿態に係る情報権と構成する可能性について検証した。
著者
沢田 有香
出版者
金沢大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2007

生徒の人間関係力を向上するねらいで,選択理論心理学を用いた教材を開発活用し,あらゆる機会を通じ,コミュニケーションスキルを向上させる支援を行い,その効果を検証した。2年生に実施した薬物乱用防止講座の中で,タバコを吸うか吸わないかは自己の欲求からの選択であるというプレゼンテーションを行った後,グループでタバコを吸わない宣言のキャッチコピーを作るワークを行った。この感想の内容をまとめてみたところ,これからの選択への責任,決意,達成感などが多く見られた。このことから,自分たちが作り出した喫煙防止キャッチコピーを自分たち自身のこれからの選択への宣言として取り入れるという効果がみられたと考察する。3年生に実施した思春期講座では,オリジナル教材として「人間関係を『ぴと』で考えると」を開発した。これは人間関係をより良くしていくための教材であり,友人関係や異性関係に役立つようにと考えたものである。人間関係の距離感を「ぴと」という単位で概念化した。いずれの距離においても役立つ人間関係の持ち方としてレクチャーした。この講座への生徒の評価は,おおむね良好なものであった。また,「Happy Cakeをつくろう!」というコミュニケーションワークを開発し,全校生徒の中から希望者に行った。このワークをすることで,相互の関係の距離感が縮まったり,自己の内的統制感が高まったりする効果も期待できるということが調査から若干みることができた。「心の授業」として過年度から実施していた2年生対象の選択理論心理学をレクチャーする授業では,高野和子氏とともにTTで行った。内容は,心の宝石箱「上質世界」を公開し共有するワーク,「基本的欲求」との関連づけ,そしてその中から自分自身の目標への「全行動」のプランニングのワークで構成した。これについての生徒の評価および内的統制感との関連は現在分析中であり,選択理論心理学研究に論文として投稿予定である。
著者
名古 道功
出版者
金沢大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1991

1 本研究においては、計画年休の実態調査と比較法研究を行った。(1)実態調査では、10の企業及び労働組合から聞き取り調査をした。そこで明らかとなったのは次の諸点である。(1)計画年休は大きく全社一斉型、事業場一斉型そして個人別付与型に区別される。(2)連休は、大型化しているところは少ない。(3)個人別付与型においては、i年休取得時季の指定ないしは奨励をしている場合がある。ii取得日の決定方法は労働者が計画表に記入し、それを職制が調整する。労働者の希望取得日が重なった場合の優先基準を定めているところがあるがわずかである。(4)計画年休に関する労働協約ないしは労使協定の法的拘束力は一斉型で背定されるが、個人別付与型ではそれが否定されている。(6)計画年休の変更は原則として禁止されている。 (2)次に、比較法研究は文献により行った。特にドイツでは、(1)法律において連休の単位(最低2週間)、優先基準、変更事由などが明記されている。(2)取得日の決定にあたっては、事業場における労働者の代表組織である経営協議会が関与している。(3)病休制度などが充実しており、年休を本来的目的にそって利用できる環境にあるなどが明らかになった。2 以上の研究から解明された点のなかで特に重要なのは、以下の事項である。(1)計画年休に対して正当な評価が与えられるべきである。(2)一斉型よりは、個人別付与型のほうが労働者個人の年休権の充実という観点からしてすぐれている。(3)労基法上の計画年休に関する規定は不十分であり、少なくとも、連続取得、優先基準を明記するとともに、労働者の過半数代表についての法整備を進め、労働者の意向を十分に反映させる手続を完備しなければならない。(4)病休制度などを創設していく必要がある。
著者
辻本 哲郎
出版者
金沢大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1994

近年,河川整備は治水・利水・環境のいずれの機能も等しく向上させるという理念で行なわれるようになりつつある.すなわち多機能水路が目指されるが,それぞれの機能が充分発揮できるように水流を的確に制御する技術の開発・確立が望まれている.本研究ではとくに斜め桟粗度によるら旋流制御と植生帯を利用した横断混合促進を中心に多機能水路設計に必要な現象理解と記述・予測をめざし,室内実験,野外計測,数値解析の3つのアプローチを採用した.斜め桟は底面あるいは側岸に設置されるが,適当な間隔で設置された場合,流下方向に均質な乱流が形成される.桟が斜めに配置されることにより,抗力に横断方向あるいは鉛直方向成分が出現し,これが2次流を駆動する.抵力とそれによるエネルギー損失を局所的に平均化した力と乱れエネルギー生成として取り込んだ数値解析で現象を記述できることを計測結果と比較して示し,桟の配置と流れの関係を予測できるようにした.底面・側岸の斜め桟はストリーム型魚道の阻流板に相当し,魚道の設計への応用も示した.魚道はストリーム型にかかわらず典型的な機能型水路で,従来のその設計は経験式や模型実験に頼っていた.ここでは各種ストリーム型魚道,バ-ティカルスロット魚道について数値解析法を提案し,これによって標準型でない魚道も容易に工夫・設計できるようにした.一方,植生帯は横断混合を促進し,主流部の濁質を植生帯に引き込んで,主流の清浄化に役立つ.こうした効果を利用するため水路に植生帯を配置することを考えると,植生帯流入部から従来よく知られた植生帯を伴う平衡流れ場までの遷移距離の推定やその過程での流れの変化や浮遊砂の挙動を知る必要があり,室内実験・野外実験・数値解析を行なってそれらを調べた.
著者
浅野 秀重
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

公民館は,地域における重要な拠点として,学習活動を通じて地域の担い手を育てるとともに,地域の状況や住民のニーズに応じて,地域課題の解決のための取り組みを行っている。震災後における公民館職員へのヒアリングにおいて,公民館職員は,地域住民の「つながり」形成に重要な役割を果たしていると述べるとともに,利用する地域住民は,公民館が,住民と住民,住民と地域,地域と他の地域を結ぶ機能を果たしている,と応えている。公民館における社会教育事業が,魅力的で活力ある地域コミュニティの再生に寄与している。
著者
関 平和 池本 良子 中木原 江利 本多 了
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

未利用資源の一つである竹チップの発酵過程における発生熱に着目し、伝熱理論と実験に基づいて、その熱の抽出・利用システムの適用可能性を検討した。まず、竹チップ層の発熱安定状態の発熱速度を求めた。次いで、竹チップ層内に埋設した配管への通循環通水による熱抽出の伝熱計算式を導いた。そして、抽出熱の蓄熱水槽、熱利用槽への熱供給を含めた総合システムを想定した小型システムによる伝熱実験により、伝熱計算モデルの妥当性を確かめた。さらに、実用的規模の竹チップ層を用いた発熱・蓄積・熱利用システムの実験を実施し、システムモデルの妥当性を確認した。
著者
小林 宏明
出版者
金沢大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

多様な教育・支援ニーズがあり、勉学や部活動などで多忙な吃音のある中学・高校生の実情にあった教育・支援方法について、(a)「吃音のある中高生のつどい」の実施、(b)「吃音スタディーブック中高生版」の開発をした。「吃音のある中高生のつどい」は勉学や部活動などの影響が最小限となる夜間や休日に、2014年度に6回、2015年度に5回実施し、毎回1~7名の参加があった。「吃音スタディーブック中高生版」は、中高生が興味を持って取り組めるように、タブレット端末などを用いるマルチメディア自学教材とし、吃音の基礎知識クイズ、吃音動画クイズ、吃音の中高生へのメッセージ(吃音との付き合い方の提案)で構成された。
著者
木村 和子 谷本 剛 坪井 宏仁 吉田 直子
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究では、カウンターフィットドラッグ(偽造薬)について、グローバル化の現状を発展途上国(カンボジア)側から検証した。その結果、先進国と発展途上国における偽造ターゲットは同じだが、実際の偽造薬の発生は、具体的製品、地域とも当該国の流通状況を反映していた。また、発展途上国では、品質不良医薬品の蔓延が非常に深刻であり、製造・流通環境の改善が喫緊であることが明示された。
著者
長谷川 雅美 小泉 順二 河村 一海 細見 博志 谷本 千恵 細見 博志 谷本 千恵
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

本研究は、看護師によるうつ病者の自殺予防につながる有効な治療的アプローチを開発することを目的とする。大学病院外来で予約制の相談外来を設置し、うつ病者と研究者間のナラティブから認知行動療法を用いて患者にアプローチした。その結果、否定的な自動思考を患者自らが徐々に修正していき、6~10回のセッションで自殺念慮が改善されるという治療的効果を6名に確認した。
著者
藤谷 かおる
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究の目的は、(1)「地域」「企業」及び「学校」運動会の成果とサービス評価をアンケート調査で比較し、(2)学校運動会の実践カリキュラムの課題を検討することである。(1)運動会では、学校の成果(協力意識、役割や責任、まとまり感)が最も高く、なかでも小学校が他校種に比べ、「周りや皆との協力」意識などが高い結果を示した。また、サービス評価の結果から、参加者は意見や要望を聞き改善すること、安全を求めていることが明らかとなった。(2)学校運動会では、事後の「運動会サービス評価アンケート(16項目)」を活動の内容に加え、カリキュラムを組み立てることを提案した。
著者
米田 幸雄 荻田 喜代一
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1997

薬物療法低反応性の精神分裂病陰性型(2型)の発症に、脳内N-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)型レセプターの異常な活性低下が関与する可能性を追究する目的で、脳内における遺伝子転写調節に着目した。転写制御因子は、細胞核内で遺伝子DNAからmRNAへの転写を制御する核内蛋白質である。実験動物にNMDAを全身的に適用すると、転写制御因子activator protein-1(AP1)のDNA結合能が、脳内各部位の中でも特に海馬において選択的に増強された。実体顕微鏡下における凍結脳切片からのパンチアウト法を用いて解析したところ、AP1結合増強は海馬の歯状回顆粒細胞層においては強く認められたが、CA1野およびCA3野錐体細胞ではこのような増強は見られないことが明らかとなった。歯状回におけるAP1結合上昇は、投与後2時間をピークとする一過性の現象であり、投与後4時間目にはほぼ消失したが、錐体細胞層ではいずれの経過時間でも、著明なAP1結合上昇は観察されなかった。NMDAアンタゴニストを前投与すると、NMDAによる歯状回AP1結合増強は完全に阻止された。免疫組織化学的検討により、NMDA投与は歯状回顆粒細胞層においてのみ、選択的にc-FosおよびC-Jun蛋白質を強く発現する事実が判明した。また、NMDAを全身適用すると、その後動物は「tail biting」のような異常行動を示した。以上の結果より、精神分裂病のような脳機能長期的変化の出現メカニズムには、特定機能蛋白質の生合成変動が、深く関連する可能性が示唆される。
著者
伏田 幸夫 原田 真市
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

アンギオテンシンIIを介した細胞の増殖や間質の線維化および抗アポトーシスが胃癌の腹膜播種の成立に関与していると予想し、そのメカニズムの解明および治療への応用が可能か否かを検討した。その結果、胃癌組織中のアンギオテンシンII濃度は正常胃組織と比較して有意に高濃度であり、腫瘍周囲に浸潤した肥満細胞から発現されるmast cell tryptaseによって生成されることが明らかとなった。また、アンギオテンシンIIの受容体であるAT1は胃癌原発巣や腹膜播種巣に高率に発現していた。肥満細胞の機能を抑制し、かつTGFbの機能も抑制するトラニラストおよびAT1アンタゴニストのcandesartanを用いてマウス腹膜播種モデルにおいて播種が抑制されることを解明した。
著者
林田 和也 中尾 慎太郎 石本 浩康 藤本 坦孝 一瀬 孝 小俣 正朗
出版者
金沢大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1994

1988年にJ.L.Kazdanは彼の論文(Comm.Pure-Appl.Math.vol31)で次の問題を提起した:変分量J_i(v)=∫_Πr|∇u|pdx(p>1)のcritical pointsについて一意接続性がなりたつか?我々はJ_i(v)については出来なかったが,J_i(v)を同等な次の変分量:J_2(v)=Σ^^n__<i=1>∫_Π|∂_iv|pdxについて条件付き乍ら,彼の問題が肯定的であることを示した(J.Math.Soc.Japan.vol,46)。yamabeの問題から派生した楕円型方程式の問題:単位球内正値で、球面上で0になる半線型楕円型方程式の解の存在と非存在について,我々はこの問題を双曲空間で考察し,ある結果を得た(with M.Nakatani,Mathematica Joponica vol,40)。研究分担者一瀬孝によって,負のスカラーポテンシャルをもつ相対論的ハミルトニアンに対して,本質的自己共役性が証明された。又,研究分担者藤本担孝によって,Nevalinna理論が放物型Riemann面をパラメータ空間とする極小曲面の場合に拡張された。
著者
中谷 英夫
出版者
金沢大学
雑誌
金沢大学十全医学会雑誌 (ISSN:00227226)
巻号頁・発行日
vol.114, no.4, pp.103-111, 2005
著者
西村 聡
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

戦後の舞台利用の変遷を番組に基づく能楽史年表を作成して明らかにした。また文献資料及び聞き取り調査により、各地の能楽関連施設の沿革や利用実態に関する最近の傾向を把握した。従来の地方能楽史研究には他地域との関係が視野に入っていないことを指摘し、それらを補う多くの資料を発掘した。能楽史研究の成果を同時代の文学作品の成立にどう関わらせるか、という視点で両者の融合のモデルを『歌行燈』論で作り上げた。
著者
亀田 幸枝
出版者
金沢大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2002

目的;妊婦の出産に対する自己効力感を高める介入方略を考えるために,モデリングによる形成に焦点をあて,出産に対する自己効力感の形成プロセスを明らかにする。方法;総合病院で妊婦健診をうけ,経膣分娩を予定していた妊娠後期の妊婦9名(初産婦7名,経産婦2名)に振り返りによる半構成的インタビューを行った。面接内容は逐語録にし,質的帰納的に分析した。結果;モデリングの資源には,ピア・グループ,過去の出産体験の中の自己,助産師や医師などの専門家,パートナーがあった。妊婦の出産に対する自己効力感の形成には,【自己の身体能力への信頼】と【安心できる出産環境づくり】という2つのプロセスが見出された。【自己の身体能力への信頼】のプロセスは,モデリングとなる情報に対して「モデリング情報と自己との距離感の判断」を行い,「自分なりの対処方法の具体化と蓄積」を繰り返すという連続的なプロセスがあった。そこに影響していたのは"妊娠週数","妊娠経過の正常性","胎児の発育状態","生活パターン","専明家や周囲からの支持的関わり"があった。一方,【安心できる出産環境づくり】のプロセスでは,妊婦はモデリングの資源である助産師や医師などの専門家およびパートナーとの間で,「接近」と「自分への関心と承認の確認」という体験を繰り返し,「傍にいてくれる存在」と「緊急時の対応システム」を確認していた。そこに影響していたのは,"プロフェッショナルな雰囲気"や多忙でも笑顔で答えてくれるという"近寄りやすさ","妊娠・出産だけでない会話"があった。加えて,このような形成プロセスは,妊婦が出産に求める「母児の安全性」や「満足感」の優先性と強さに影響されることが示唆された。結論;本研究の結果は,出産に対する自己効力感への介入を考える際のアセスメント視点になると考える。しかしながら,総合病院に通院している妊婦と限定された対象からの結果であり一般化まではできない。今後,助産院で出産する女性など対象事例を積み重ねていくことと,量的に関連性を検証していく課題が残された。