著者
落合 雄彦
出版者
龍谷大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2004

瘻孔(フィスチュラ)とは、身体の組織器官などに形成される、通常みられない穴や管のことを意味し、産科瘻孔とは、主に遷延分娩(難産)に起因して形成される、女性器、特に膣の瘻孔をいう。帝王切開といった適切な医療サービスを受けられないことが多いアフリカの農村部では、遷延分娩が生じた場合、その母胎では、産道に詰まった児の頭部が母の骨盤を強く圧迫し、膀胱や膣といった周辺組織器官への血液の循環を長時間にわたって阻害し続ける状況がしばしば生じる。その場合、児はやがて死産となるものの、女性の体内では血流阻害による組織の壊死部分が拡大し、膣にフィスチュラが形成される。そして、このようにフィスチュラが形成されると、尿や便が膣へとたえず流入し、膣口から漏出する症状がみられるようになり、このためにフィスチュラの女性は、夫、家族、親類、隣人から差別され、次第に孤立し、最終的には離縁されることが多い。このようにアフリカのフィスチュラ問題とは、単なる「生物医学的な疾患」にとどまらず、ジェンダー、家族、医療、ガバナンス、権力関係などをめぐるアフリカ社会の諸問題が複雑に影響し合うことで生み出される「社会的な病理現象」にほかならない。それは、心理的抑圧、精神的疎外、政府の対応の不十分さなどが凝縮した、アフリカ人女性のリプロダクティブ・ヘルス/ライツを考える上で看過できない重要な研究課題である。今回、当該研究では、ナイジェリアに焦点をあて、同国におけるフィスチュラという「疾患」の疫学的分析とそれに起因する「問題」の社会的調査研究を実施した。まず、平成16年7〜8月、当該研究の海外研究協力者であるOlubomi Ogedengbe氏(ラゴス大学医学部教授)を日本に招聘し、産科瘻孔を含むナイジェリアのリプロダクティブ・ヘルスをテーマとしたセミナーを龍谷大学(京都)で開催した。また、その際、ナイジェリア現地調査の打ち合わせ会合をもった。そして、同年8〜9月にナイジェリアのラゴスやカノで現地調査を実施した。特に、カノのムルタラ・ムハマッド病院にある産科瘻孔専門治療センターでは、Kees Waaldijk氏(ナイジェリア唯一の連邦政府雇用フィスチュラ治療専門医)の協力のもと、産科瘻孔患者の女性や家族への聞き取り調査を実施するとともに、産科瘻孔の回復手術にも直接立ち会った。また、同市にある産科瘻孔患者のためのホステルも訪れ、入所者やソーシャル・ワーカーに対してニーズ調査を実施した。帰国後、ナイジェリアで蒐集した資料や聞き取り調査記録などを整理・分析し、ナイジェリア人医師2名とともにナイジェリアのリプロダクティブ・ヘルスに関する英文論文を執筆した。また、平成17年5月に開催される日本アフリカ学会学術大会においてナイジェリアの産科瘻孔に関する口頭発表を行う予定である。
著者
小長谷 大介
出版者
龍谷大学
雑誌
龍谷紀要 (ISSN:02890917)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.37-45, 2013-09-30
著者
金 泰憲 李 允碩
出版者
龍谷大学
雑誌
国際文化研究 (ISSN:13431404)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.119-128, 2007

韓国人の家族に対する価値観は伝統的に儒教思想に基づいている。儒教思想は、人間は子孫を通して永生を得ることができ、子孫は親を通して命を得ることができると考える。従って、子孫は家系を継承し、父母の老後面倒を見てあげなければならず、祖先を祭る責任を果たさなければならない。このような思想からは拡大家族制が理想とされ、長男を中心に家系と家産が相続される直系家族形態が普遍化してきた。韓国の伝統家族観は、日本の植民地と韓国戦争を経験しながらも相変わらず韓国の中枢的価値観としての位置を占めてきた。しかし、最近社会変化とともに韓国の伝統的な家族観は大きく、早く変わっている。多くの韓国人は老後子どもに頼るより独立して生きていくことを望んでいる。夫婦が葛藤を解決できなければ離婚も可能であり、自分のためなら子どもを生まないか、一人で満足するという考え方が広がっている。一人の子どもが男ではなく娘であってもかまわないし、必ず結婚する必要もないと考えるようになってきている。このような価値観の変化は、1960年代から進められた経済発展とともに起こっているが、最近そのスピードが大変早くなりつつある。
著者
八幡 耕一
出版者
龍谷大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究から得られた示唆は、情報通信技術の革新が、先住民族の権利宣言の立案過程とその議論にも影響を及ぼし、国家が先住民族テレビを制度的に支援する意義が、起草・交渉の過程を通じて低減または変質していったと推察される点である。また、事例分析からは、国内法における先住民族問題の認知が重要な役割を果たすことは明らかであり、技術革新だけに依拠していては、先住民族テレビの成立・存続は十分に達成しえないと考えられる。
著者
時本 義昭
出版者
龍谷大学
雑誌
龍谷紀要 (ISSN:02890917)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.A1-A25, 2007-09

フランスではギゾーによって一八三四年に初めて大学に憲法講座が設置され、そこで初めて憲法の講義を行ったのはイタリア出身のペッレクリーノ・ロッシである。本稿は、その最初の講義の講義録を紹介するとともに、それを七月王政下の諸情勢の中に位置づけることによって評価したものである。ロッシの『憲法講義』は「開講の辞」と一〇五講義から成り、前半で人権が、後半で統治機構が論じられている。そこでは一八三〇年憲章の存在を前提として歴史的観点と比較法的観点から分析がなされている。同憲章の存在を前提としているという意味で『憲法講義』は法実証主義に立脚しているが、このことが『憲法講義』の後世への影響力を弱めた原因の一つである。すなわち、『憲法講義』は現行制度に密着するあまり個々の点で理論的展開が不十分なものとなり、体制の崩壊ととものその妥当性を失ったのである。その結果、講義内容の学問的レベルは高いとはいえず、個々の点における後世への影響も強いとはいえない。しかし、『憲法講義』の意義は、フランス革命に由来する諸原理に立脚した公法を初めて体系化することによって近代憲法学の原型を示したことにあると考えるべきである。
著者
石塚 伸一
出版者
龍谷大学
雑誌
龍谷法学 (ISSN:02864258)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.1031-1060, 2016-01-29
著者
小峯 敦 藤田 菜々子 牧野 邦昭 古家 弘幸 橋本 努 原田 太津男 堂目 卓生
出版者
龍谷大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究は、3つの時代と2つの国(および全世界)という特徴的な時期・国に焦点を当て、「戦争・平和と経済学」の複雑な関係を歴史的・思想的に精査することで、「経済学は戦争を回避し平和を構築することに貢献できるのか」という根源的な問いに回答する。初年度に続き、二年目はこの共同研究を軌道に乗せ、特に、(a))学術雑誌(英語)の「戦争と平和の経済思想」シリーズを特集させること、(b)近隣の社会科学者や政策担当者に開かれた形で、日本語による専門書・啓蒙書を編纂すること、という二点を推進した。その具体例として、(a)学術雑誌History of Economic Thoughtにおいて、War and Economicsというシリーズを2017年度中に3回連載し、研究分担者・連携研究者による3本の英語論文を掲載した。また、(b)いくつかの出版社と交渉し、『戦争と平和の経済思想』(晃洋書房、2018年度後期に出版予定)として出版するべく、11人による原稿を集め、草稿を検討する研究会も行った。2017年度における最大の実績は、Fabio Masini (the University of Roma Tre, Italy) とMaria Paganelli (Trinity University, USA)という研究者を招き、2日間に渡り、広島修道大学で国際会議を開催したことである(2017.9.4-5)。平和記念館の資料にもアクセスできたことは大きな収穫であった。二番目の実績は、経済学史学会・全国大会で、スミス研究の世界的権威Nicholoas Phillipsonの招待講演を実現したことである。特に、現実主義的な側面をスコットランド啓蒙研究の立場から、一般会員にも平易に講演された。
著者
平塚 佳菜
出版者
龍谷大学
雑誌
國文學論叢 (ISSN:02887770)
巻号頁・発行日
vol.55, pp.93-108, 2010-02-01
著者
市村 卓彦
出版者
龍谷大学
雑誌
龍谷紀要 (ISSN:02890917)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.1-12, 2009-03-12