著者
長崎 暢子 篠田 隆 田辺 明生 石井 一也 油井 大三郎 酒井 啓子 清水 耕介 井坂 理穂
出版者
龍谷大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究は、近年再評価されつつあるガーンディーに関する文献購読、史資料調査、および現地調査(インドのアフメダーバード、ワルダー、イギリスの大英博物館、南アフリカのダーバンなど)を行い、ガーンディーの歴史的役割の重要な一端(非暴力的な紛争解決)の詳細とその影響を明らかにすることが出来た。具体的には、彼は、当時の南アフリカに存在した紛争(人種差別)を非暴力的に解決する「方法としての非暴力」をこの時代に編み出し、それによって有色人種(インド人 & 中国人)に対する白人の人種差別の一角を崩すことに成功したのである。のみならず、この方法は、北欧、中東(イラン)の紛争解決、米国の人種差別反対運動にも影響を与えた。
著者
宮治 昭 市川 良文 入澤 崇 岩井 俊平 岡本 健資 小泉 惠英 佐藤 智水 田辺 勝美 永田 郁 芳賀 満 福山 泰子 山田 明爾
出版者
龍谷大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

パキスタン,インド,日本,欧米に散在する多量のガンダーラ美術(彫刻)を実地調査し,写真資料を収集して(総計1,849件),それら画像に関する文字情報を入力して,データベース化のための基礎資料を作成した。これらの資料をもとに,インド・ヘレニズム・イランの諸文化を吸収しつつ独自の仏教美術を形成した様相を明らかにし,仏教信仰の実態にも迫った。その成果は中間報告書(平成23年5月),全体報告書(2冊)と国際シンポジウム報告書(平成25年3月)として刊行した。
著者
入澤 崇 宮治 昭 吉田 豊 山田 明爾 井上 陽 山田 明爾 井上 陽
出版者
龍谷大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

アフガニスタン中央部バーミヤーンを中心としたハザラジャート地域において仏教がどの程度広がりをもっていたか、またバーミヤーン以西へどれほど仏教が及んでいたかについて現地調査を行った結果、8世紀前半にバンデ・アミール川流域に仏教が及んでいたことが判明した。
著者
北原 淳
出版者
龍谷大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

タイのミャンマーとの国境県の広域調査をふまえて、ミャンマー労働者が集中するターク県を対象に選び、各業種におけるミャンマー労働者の移動、労働、生活状態についての調査を行った。先行調査研究は繊維関係の工場労働者に集中しているので、これ以外の業種として、農業、建設、商業等を選んで、それらの分野の労働者についても調査研究を行った。手法として調査票とフリー・インタビューを併用した。産業構造の点では、ターク県はタイでは有数の繊維産業の集積地であるが、これは、ミャンマーから流入する低賃金労働者を求めて、外国、タイの工場がバンコク周辺からこの国境県に移転したためである。基本的には、賃金支払い制度は出来高払いである。労働条件が相対的に良いのは工業省への登録工場であるが、現地には工業省への未登録の工場・作業所も多く、そこでは労働者の労働条件はより厳しい事例が多いもようである。国境県の農業は、平地水田、山地畑地ともに、ミャンマー人、カレン人が農作業を行い、彼らは農地の中の掘立住宅に住み、タイ人農民は自らは全く農作業はせず、彼らの労働の統制・監視役に徹する。建設労働、商店、等の労働もほぼ同様の状況にあり、タイ人労働者は統制・監督役である。ミャンマー人労働者の法的立場は、入局管理法の上では不法であり、パスポートも持たないが、労働法の上では、タイ政府の特別措置によって半合法的であり、特定年月によって異なる各種の労働許可証を所持する。
著者
角岡 賢一
出版者
龍谷大学
雑誌
龍谷紀要 (ISSN:02890917)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.169-189, 2008-01

この小論では、仏教語彙が本来の教義を離れて意味が一般化した過程を語彙誌的に跡付ける試みを行う。まず直近20年間の新聞記事をデータベースによって検索し、共時的視点から分析を行う。次に時代を遡り、本来の意味から逸脱し始めたのがどの時代であったかを探る。検証の対象としたのは、次の八語彙である。他力本願、お題目、一蓮托生、億劫、極楽浄土、唯我独尊、後生大事、〓啄同時各語彙が新聞記事でどのように用いられているかによって、仏教語彙本来の意味であるか一般化した意味かに分類した。その比率の比較は、語彙項目毎に大きな偏りがあった。「極楽浄土、〓啄同時」の二語は九割以上という高率で本来意味での記事が見られた。それ以外の六語はいずれも、この比率が一割未満であるという極端な偏りが見られた。
著者
山中 美由紀
出版者
龍谷大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1992

韓国家族の世代間における位置関係の変化を把握するために、嫁と姑の関係に焦点をあて、韓国水原市において調査を実施した。1992年4月以後、京都韓国学校、韓国文化院資料室(東京)他において資料および情報の収集を行った。9月に訪韓し、韓国老人問題研究所に調査協力を依頼するとともに、水原市において下調べを実施した。調査は、10月ほぼ1カ月間にわたって実施したが、対象者は、嫁として、姑と同居した経験をもつ女性を対象とした。永福女子中学校、永信女子高等学校、老人大学4か所で調査票の配付と回収を行ったが、配付部数は1170部、回収率は80%であった。11月初旬に日本に返送された調査票を整理し780ケースを有効とした。コーデイングしたのち2月にコンピュータによる処理を行った。調査結果のうち主目的であった権威類型については、結婚年次別に分類した4段階の各世代間の変化として、旧世代から新世代に移るにしたがって姑優位型が減少し、嫁優位型が増加する傾向を捉えることができた。また、一致型の減少に対して自律型の増加がみられ、嫁の姑へ追従関係から、嫁、姑の生活領域の個別化の傾向を伺うことができた。こうした嫁・姑の位置関係の逆転現象は、本調査が依拠したところの、増田光吉が神戸市近郊で実施した20年前の調査結果と類似するものであった。
著者
澤西 祐典
出版者
龍谷大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2019-04-01

芥川龍之介・菊池寛共訳『アリス物語』および『ピーターパン』は、興文社と文藝春秋社による『小学生全集』シリーズの一環として刊行された。この<共訳>は、『不思議の国のアリス』の文豪訳などとして好事家の関心を引いてきたが、これまで芥川あるいは菊池の訳業として両作が取り上げられることはほとんどなかった。本研究では<共訳>の分担や翻訳の特徴について明らかにし、創作童話の発表や『小学生全集』を刊行など、児童文学の普及にも貢献してきた芥川・菊池の功績の中で、両作をどう捉えるべきか明らかにしたい。また、この二作を一般読者が親しめる形で普及したい。
著者
中村 尚司 津田 守 広岡 博之 河村 能夫 鶴見 良行
出版者
龍谷大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1993

政治的な独立を達成した後に野心的な工業化が進めたアジア諸国では、急激な社会生活の変化と環境破壊を引き起した。南北間の経済格差とともに、南側諸国内における社会階層間や地域間の格差拡大も深刻である。永続可能な発展を目標にして、環境問題に配慮した新しい南北問題の社会経済指標を検討する必要がある。すでに、世界銀行や国連諸機関では、経済成長率以外の要因を加えた各種の社会経済指標を発表している。本研究は、社会経済発展に関する既存の諸指標を批判的に検討する一方、適切な代案を模索する。本年度は、4回にわたる研究会を開催し、調査研究の方法に関する考察を中心に、「厚生の指標について」、「社会経済指標の研究方法」、「循環、多様、関係という視点からみた発展指標」、「アジアにおける経済格差研究の問題点」、「農村における貧困研究の国際比較」という報告と討論を行ない、個別的な地域の課題として、「フィリッピンにおける経済発展の特質」、「仏教復興運動と農村開発」、「農村金融とエンパワーメント」などのテーマを取り上げ、実証的な報告とその批判的な検討を行なった。その一方で、東南アジアと南アジアの諸地域におけるフィールド7-7によって得られたデータに基づき、それぞれの地域社会の具体的な特殊性を考察して、国際機関による南北格差の指標の現実性を検討し、問題点の指摘を試みた。南側の対象地域としては、フィリピン、タイ、マレーシア、バングラデシュおよびスリランカを取り上げた。南北の比較に必要な北側の代表的な地域として、日本とアメリカ合衆国の対照的な指標を取り上げて吟味した。
著者
西垣 泰幸 伊藤 敏和 佐竹 光彦 寺田 宏洲 西本 秀樹
出版者
龍谷大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2004

西垣と佐竹は、日本の景気循環がカオス理論により説明できるかどうかを実証的に検証するため、日本のGDPデータを用い低次元の決定論的な周期を検出するための「残差診断法」を適用し分析をおこなった。この成果は、2007年8月の国際会議(10^<th> International Conference of the Society of Global Business and Economic Development)において報告する予定である。さらに、設備投資、株価、株価収益率などの複雑な循環的振動を示す時系列データを用いて、複雑性の実証分析を進めた。これらの成果は、順次論文として取りまとめ、今後、学会・国際会議等で報告する予定である。寺田、西垣、伊藤は、複素ロジスティック方程式の経済学への応用に関する成果("An application of complex logistic equation to economics")を再検討したうえで、第63回日本経済政策学会、および、第11回差分方程式とその応用国際会議(11^<th> International Conference on Difference Equations and Applications)において報告した。さらに、複素ロジスティック方程式の一層の応用研究として、粗鋼などの鉱工業生産データ、金融・実物資産などの資産ストックデータ、工業製品普及率などのデータを解析し、シミュレーション研究を進めた。寺田は、ケインジアン動学を線型ではなく非線形動学として分析するために、(1)リエナール微分方程式、(2)ファン・デル・ポール微分方程式の数学的特性の研究に特化した。この成果は、今後、学術雑誌に発表するとともに国際会議(10^<th> International Conference of the Society of Global Business and Economic Development)において報告する予定である。伊藤は、B.Scardua教授との共同研究で、CP(n)上の線型双曲線ベクトル場の幾何学的特徴づけをした。また、フランスの数学研究所CIRMで開催された国際会議「Dynamical Integrability」(2006年11月27-12月1日)で研究報告をした。
著者
末永 雅雄
出版者
龍谷大学
巻号頁・発行日
1948

博士論文