著者
角岡 賢一
出版者
龍谷大学
雑誌
龍谷紀要 (ISSN:02890917)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.169-189, 2008-01

この小論では、仏教語彙が本来の教義を離れて意味が一般化した過程を語彙誌的に跡付ける試みを行う。まず直近20年間の新聞記事をデータベースによって検索し、共時的視点から分析を行う。次に時代を遡り、本来の意味から逸脱し始めたのがどの時代であったかを探る。検証の対象としたのは、次の八語彙である。他力本願、お題目、一蓮托生、億劫、極楽浄土、唯我独尊、後生大事、〓啄同時各語彙が新聞記事でどのように用いられているかによって、仏教語彙本来の意味であるか一般化した意味かに分類した。その比率の比較は、語彙項目毎に大きな偏りがあった。「極楽浄土、〓啄同時」の二語は九割以上という高率で本来意味での記事が見られた。それ以外の六語はいずれも、この比率が一割未満であるという極端な偏りが見られた。
著者
丸山 敦 入口 敦志 神松 幸弘
出版者
龍谷大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2019-06-28

ユネスコ無形文化遺産「和食」の起源である江戸から明治初期における日本人の食生活を、書籍に漉き込まれた毛髪の安定同位体分析によって詳らかにする。申請者らが発表したばかりの新規的アプローチを洗練し、地方の出版物に対象を拡張することでより多くの地域の比較を、書籍の選定や素材の化学分析によってより細かな時間スケールで、当時の食物の同位体比を把握することでより定量的に行うことに挑戦する。
著者
佐々木 郁子
出版者
龍谷大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2019-04-01

Wordsworthの自然観がエコロジーの先駆であることは、1990年代以降多くのエコクリティックにより論じられてきたが、そうした議論で農業や農地の描写はほとんど取り上げられることはない。産業革命下で環境悪化を経験したイギリス・ロマン主義の時代には、農業革命も推進されていたが、その農業は自然の喪失に拍車をかけるものでしかなかったのか、それとも持続可能な農業を予感させるものでもあったのか。本研究では、Wordsworthらロマン派の作品からそれを読み解き、農地といった人工的環境を研究対象とするための理論的枠組みを構築する。文学と農学をエコクリティシズムを用いて接続する、文理融合型研究を目指す。
著者
桂 文子
出版者
龍谷大学
雑誌
龍谷紀要 (ISSN:02890917)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.65-76, 2006-09

ロバート・ブラウニングの『赤い木綿のナイトキャップの国、あるいは、土と塔』はフランスのノルマンディー地方のサン・トーバンで、1870年4月に実際にあった事件を扱っている。この作品に限ってはブラウニング特有の文学形式である劇的独白ではなく、作者ブラウニング自身が語り手となっている。事実しか語らない、と断りつつ、事件に対する自分の解釈を率直に織り込んでいる。彼の関心は事実の虚構化にあるというよりも、この事件の持つ意味を考察し、このような事件を招来した社会的、文化的背景に向けられていた、と考えられる。彼はこの事件をどう解釈し、この作品によって何を表現しようとしたのか、を検討する。
著者
赤池 一将 福田 雅章 山口 直也 三島 聡 徳永 光 本庄 武
出版者
龍谷大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

研究は、大別して、海外における民営刑務所についての調査・検討と、日本国内において進行していたPFI刑務所(2005年春以降、4施設が開設またはその準備の状況にあった)についての調査・検討とから構成された。上記の研究代表者、分担者の他に、岡田悦典(南山大学教授)、笹倉香奈(甲南大学専任講師)、萩原聡央(名古屋経済大学専任講師)、前者については、2005年度に、アメリカ合衆国、オーストラリア、イギリス、2006年度に、イギリス、ドイツ、アメリカ合衆国、フランス、2007年度に、フランスにおいて現地における施設参観、関係者に対する面接調査等を行った。また、後者については、2005年度に、市場化テストモデル事業の実施された宮城刑務所、2006年度に、建設中の美祢社会復帰促進センター、2007年度に、開設後の美祢社会復帰促進センター、播磨社会復帰促進センター、を参観したほか、日本におけるPFI刑務所計画を推進してきた法務省担当者、参入企業担当者、施設受入れを決定した自治体関係者に対する面接調査を重ね、また、座談会を開催した。3年間の研究期間中に、30回を超える研究会を実施し、論文22件(内、雑誌における刑務所民営化関連特集掲載6件、関連紹介論文11件、関連単行本収録論文3件)、書籍1件(論文9件、座談会記録1件)、学会報告3件(主催国際シンポジウム1件を含む)の成果をあげた。また、2008年度刑法学会大会における分科会(刑務所への民間参入の意義と課題)での報告が予定されている。
著者
松倉 文比古
出版者
龍谷大学
雑誌
龍谷紀要 (ISSN:02890917)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.A1-A27, 2006-01-31

『日本書紀』巻第一一は、所謂「民の竃の賑わい」の説話に代表されるように、崇神・垂仁と並んで徳治を実践した天皇として仁徳(大鷦鷯)天皇を描出している。菟道稚郎子との皇位互譲を通じて、その即位に至る経緯を述べる即位前紀は、とりわけその特徴が顕著である。また、元年条以下に於いては「一に曰く」・「一書に曰く」等の異伝を僅かに一条みるのみで、他の諸天皇紀と比して極めて整然とした印象を強く受ける。そのような特徴を持った仁徳天皇紀に於いて、皇位互譲を主たるテーマとする即位前紀を中心に、それに連関すると考えられる元年紀以下の后妃(磐之媛・八田皇女)・氷室起源・易名・鷹甘部設置伝承等を採り上げ、仁徳紀の構成上の特色を検討した。その結果、仁徳紀の構成上の編纂意図の一つとして、徳治を実践する天皇の支配領域が奈辺にあるのかを明示することにあったことを指摘した。それは、崇神・垂仁がそうであったように、令制下に於ける理想的天皇像を語る意図に基づくに他ならない。また、前後の天皇に比して特殊であると指摘される、即ち、日本国内に自生する最小の鳥であると考えられるミソサザイを意味する鷦鷯(さざき)を和風諡号とする理由を、その天皇の支配領域に関連することも指摘した。と同時に、仁徳記・紀を通じてその実在性を含め、仁徳朝としての歴史的事実を導き出すことが、困難であることも併せて指摘した。
著者
辻本 桜子
出版者
龍谷大学
雑誌
國文學論叢 (ISSN:02887770)
巻号頁・発行日
vol.52, pp.A97-A111, 2007-02