著者
川端 基夫
出版者
龍谷大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

本研究では、以下の3点に取り組み成果を得た。1:海外の日系フランチャイズ企業の実態解明本研究では、より現実的に国際FCの成立要件(理論の成立要件)を探るために、日本のFC企業の実態調査を行い、海外進出に際して実際にどのような問題が生じているのかを調査した。対象としたのは、ファミリーマート(韓国、台湾、タイ、中国上海)と、ミニストップ(韓国、フィリピン)、吉野家(中国上海)、味千ラーメン(中国上海)、モスフード(台湾、シンガポール)、ロッテリア(韓国、ベトナム)、ツタヤ(タイ)、すかいらーく(タイ)、ワタミ(香港)、王将(中国大連)であり、補足的に壱番屋とビアードパパのヒヤリング調査を日本で行った(括弧内はヒヤリングを行った市揚)。海外16件、日本本社8件の計22件であった。2:理論研究上の課題の抽出100以上の英語圏の文献をサーベイし、理論研究の偏りの実態と研究課題を明らかにした。3:新たなFC国際化の分析フレームの提起実態調査の結果と2の理論的課題を踏まえて、FCシステムの特性(主体特性)に基づいた基本類型.、すなわち「商品優位(統治)型進出」と「ノウハウ優位(統治)進出」を導出し、この2つの類型をベースに、個別企業の行動と戦略的方向性、可能性を捉えて行くフレームを提起した。
著者
野崎 道哉
出版者
龍谷大学
雑誌
龍谷大学経済学論集 (ISSN:09183418)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.165-181, 2005-10-15

本稿は不確実性下における合理的意思決定に関するポストケインジアン・アプローチについて提示する。具体的には,(1)不確実性の下での意思決定において,ケインズにおける流動性選好と投資決意の重要性を『一般理論』第17章の議論を手がかりとして論じ,現代日本経済への示唆を示す。(2)ポスト・ケインジアンの重要な概念装置である「根本的」不確実性について,限定合理性と比較しながら概念的特徴について論じ,根本的不確実性=非エルゴード的経済過程における非自発的失業と貨幣の長期的非中立性の存在を提示する。(3)不確実性下における合理的意思決定の方法として,慣行的判断の重要性を提示し,それが期待形成に果たす役割,および不確実性下において,入手可能を情報が限られている場合に,他者の集団的・平均的行動に従う「集団的動学」の重要性について指摘する。
著者
脇田 博文
出版者
龍谷大学
雑誌
国際文化研究 (ISSN:13431404)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.3-10, 2013-03-15
著者
三角 洋一
出版者
龍谷大学
雑誌
佛教文化研究所紀要 (ISSN:02895544)
巻号頁・発行日
vol.50, pp.22-34, 2011-12-26
著者
川端 正久
出版者
龍谷大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1987

第1に、中国におけるコミンテルン研究の成果を重点的に検討してきた。昭和62年2-3月、日本学術振興会特定国派遣研究者として中国を訪問し、中国におけるコミンテルン研究者との交流をもつことができた。そのなかで、コミンテルンと日本の政治関係史についての中国における研究の状況を知るに至った。同時に、中国で出されているコミンテルン関係研究文献資料を入手することができた。コミンテルンと日本を結ぶルートは、第1に、ヨーロッパ・アメリカを通じたもので、第2にアジア・中国を通じたものがあった。中国におけるコミンテルン研究文献を調査することにより、後者のルートについて研究を進める手がかりを得ることができた。主要文献資料のなかで、コミンテルンと中国・日本の国際政治関係史に関する部分のリストを作成し、重要箇所(たとえば『一大前後』(一)(三)、『上海地区建党活動研究資料』、黄修#『共産国際和第一次国共合作的形式』、朱成甲『中共党史研究論文誌』、『馬林在中国的有#資料』など)の翻訳を中国人研究者に依頼した。前年の翻訳文献とあわせて、現在分析作業を進めている。第2に、『インプレコール』(ドイツ語版、1921-26年)のマイクロフィシュ覆刻版を購入した。前年に購入した『共産主義インターナショナル』を含めて、とくにコミンテルン・中国・日本の関係史についての材料を中心に、資料の検索・読解を行っている。第3に、コミンテルンと日本の政治関係史年表を作成作業を進めている。これまで、コミンテルンと日本の出来事を中心に歴史年表を作成してきたが、これに中国の出来事を加え、全体としてコミンテルン・中国・日本の関係史年表を作成する必要がでてきた。第4に、全体としてコミンテルンと日本の政治関係史についての論文の作成にとりかかっている。ただし、中国語文献資料の読解が必須なことが、それなりの時間が必要とされている。
著者
蓮池 利隆 岡田 至弘 佐野 東生
出版者
龍谷大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

大乗仏教経典成立の背景にはインド文化の他にイラン文化も存在した。特に、ガンダーラ地域ではゾロアスター教の影響があった。クシャーン王朝は紀元後1世紀から3世紀までガンダーラを中心に統治したが、この王朝のふるさとは中央アジアのタジキスタン・ウズベキスタン周辺であった。その地域の宗教はゾロアスター教であった。この研究では、タジキスタンの遺跡発掘によって、イスラーム化前の中央アジアにおけるゾロアスター教の存在を検証した。ゾロアスター教と仏教の混合によって阿弥陀仏信仰が成立したことを明らかにすることができた。その宗教的交渉においては、インドとイランに共通する神格であるミトラ(ミフル)が仲介となった。
著者
岸田 裕之
出版者
龍谷大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

毛利博物館所蔵の故実書などの新出史資料の蒐集調査において大きな成果をあげ、そのうち学術的にみて貴重なものから順次翻刻作業を進め、それらについては原本校合をも行った。そして毛利元就が書写した「均馬仙翁千午将軍張良師伝一巻書」については、毛利氏関係文書と関係づけながら、戦国大名毛利氏がそれを領国支配のうえにどう活用したかという視点から解析して、学術刊行物に寄稿した(『龍谷大学論集370周年記念号』<2009年1月27日受理>)。
著者
市村 卓彦
出版者
龍谷大学
雑誌
龍谷紀要 (ISSN:02890917)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.27-41, 2006-09

拙論は、フランス国アルザスのルネサンス時代において、その当時最も優れた文学作品のひとつである風刺詩集『阿呆船』と、その著者セバスティアン・ブラント(1458-1510)を取り上げる。『阿呆船』は現代フランスの思想史家ミシェル・フーコーがその『狂気の歴史』において、狂気についてのすぐれた文学的例証であると指摘した作品である。ブラントの『阿呆船』は、ゲーテの『若きウェルテルの悩み』に先駆するヨーロッパ世界で最初のベストセラー作品となり、もっとも読まれる作品となった。ブラントはバーゼル大学法学部に学び、のちに母校の法学部長を長く勤めた後、生まれ故郷のストラスブールに戻って市参事会書記に転進し、ストラスブールの名声を高めるとともにアルザスの人文主義(ユマニスム)を発展させている。拙論はブラントの生涯と当時のストラスブールの文化状況(活版印刷術の発明など)についても考察する。
著者
吉永 進一 GAITANIDIS IOA 大澤 絢子 荘 千慧 栗田 英彦 大道 晴香
出版者
龍谷大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

本研究では、第一に、終戦直後から1960年代までを中心として、インド、アディヤールにある神智学協会本部所蔵の資料や、戦後日本の神智学系の運動の調査を行い、神智学思想の伝播と流布についての通史を記述する。第二に、同時期の出版メディアの調査を通じて、神智学以外の西洋秘教思想の一般への流布を調べる。第三に、それら1960年代までの動きが、1970年代のオカルト流行とその後のニューエイジへの発展へどう発展し、あるいは断絶したかを検証する。
著者
李 済滄
出版者
龍谷大学
雑誌
龍谷史壇 (ISSN:03869210)
巻号頁・発行日
vol.116, pp.94-132, 2001-03-31
著者
岡本 詔治
出版者
龍谷大学
雑誌
龍谷法学 (ISSN:02864258)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.668-736, 2010-03-10
著者
桂 紹隆
出版者
龍谷大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

本研究の目的は、インド仏教論理学を代表する二人の巨匠、ディグナーガとダルマキールティの「認識論的論理学」の体系を、存在論・認識論・論理学・言語哲学という4つの視点から総合的に対比し、両者の相違点を明らかにすることによって、紀元後5世紀末から7世紀にかけて生じた仏教論理学の歴史的な展開を解明することにあった。過去4年間のディグナーガ研究の主眼の一つは、彼の漢訳でしか現存しない、初期の論理学書『因明正理門論』の詳細な解説を付した英訳を完成することにあった。その際、新発見のジネーンドラブッディの『集量論複注』の梵文写本を最大限利用することを試みた。しかし、この目的を達成するためには『複注』の批判的校訂本をまず完成するべきであるという結論に達して、前半部分の英訳・解説は完成しているものの、公表はさらに先に延ばすこととした。一方、新資料を用いて、ディグナーガ論理学の重要な術語を解明する論文を2篇発表した。すなわち、「喩例」と「主張」「同類群」「異類群」に関してである。ダルマキールティに関しては、彼の存在論を論じる論文を公表した。また、彼の主著『プラマーナ・ヴァールティカ』第三章「直接知覚章」の冒頭部分をマノーラタナンディンの逐語的な注釈とともに訳出し、ダルマキールティ認識論研究の資料として提示した。他に、彼の「修道論」「他心存在論証」「自性の概念」に関する論文3篇も完成したが、まだ公刊されていない。以上が、過去4年間の研究の概要である。既に公刊された論文の大部分を報告書として冊子にまとめた。今後の課題としては、先に述べたジネードラブッディ『複注』の校訂作業を継続して行っていく予定である。その結果、ディグナーガとダルマキールティの認識論・論理学の差異性がより正確に、より鮮明に明らかになることであろう。
著者
程 曼麗
出版者
龍谷大学
雑誌
龍谷大学国際社会文化研究所紀要 (ISSN:18800807)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.256-264, 2004-03-25

『華北新報』は日本降伏前の華北地域における最後のよく知られ,日本軍に操作された新聞である。物質節約及び宣伝強化を目指す "華北政務委員会" 政権の新聞新体制の産物である。『華北新報』はいくつかの新聞を作り上げた。これらの新聞は占領された地域の大多数の人々を,日本侵略者と全てを分かち合わせるとともに,人々の決戦情緒,必勝信念を呼びおこす使命を持つ新聞であった。『華北新報』は総合的な矛盾的新聞である。すなわち,素晴らしい新聞経営理念を含める一方,軍国主義を固守し信奉することを創建基礎とする新聞である。その矛盾性及び『華北新報』の分裂は経営者管翼賢の人格矛盾性及び人格分裂に必然的に反映される。
著者
Furmanovsky Michael
出版者
龍谷大学
雑誌
国際文化研究 (ISSN:13431404)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.45-56, 2008

1958年、占領後の日本ではじめて盛り上がった大衆文化がいわゆる「ロカビリー・ブーム」である。アメリカで一世を風靡した新しい「ロカビリー」音楽がすぐに日本にも広がり、数多くの日本の十代たちがこの音楽に強く影響され、戦後の新しい消費文化に煽られていった。東京でおこなわれた「日劇ウェスタン・カーニバル」のコンサートに集まった騒がしい「ロカビリー族」たちは、たちまち警察や当局やPTAから、少年非行につながるとして敵視されることになった。当時の過激派学生たちは、親米派の岸政権と正面から対決していたが、この学生運動と軌を一にして盛り上がったロカビリー・ブームは短命に終わったものの、60年代初頭に大衆文化産業が大いに花開く道を切り開いたのである。
著者
高橋 進
出版者
龍谷大学
雑誌
龍谷法学 (ISSN:02864258)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.513-541, 2004-12-25