著者
岡井 治 多気 昌生 望月 篤子 西脇 仁一 森 卓二 藤尾 昇
出版者
Japan Ergonomics Society
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.15, no.5, pp.271-278, 1979-10-15 (Released:2010-03-11)
参考文献数
21
被引用文献数
5 1

低周波音 (8~50Hz; 105dB) における人体の反応を評価した. 低周波音は, 直接外気に接する聴覚器, 前庭器, 呼吸器に作用するものと思われる. そこで, 低周波音に全身曝露して人体反応を調べ, 次の結果をえた.i) 低周波音に敏感な人は, 閾値が低くかった. もっとも, 多くの人では, 他の報告と同じ閾値をもっていた.ii) 閾値付近で脳波の振幅が減少した.iii) 心拍数, 呼吸数は減少傾向を示した. 肺循環脈波は振幅が増した.iv) 血圧および身体の動揺は一定の傾向を示さなかった.
著者
加藤 正明
出版者
Japan Ergonomics Society
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.99-103, 1980-06-15 (Released:2010-03-11)
被引用文献数
1 1
著者
Pongthorn JITTACHALOTHORN
出版者
Japan Ergonomics Society
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.129-142, 1998-06-15 (Released:2010-03-12)
参考文献数
28
被引用文献数
3 2

本研究では情報の記憶過程の特徴と個人特性を調べる方法を提案するために, コンピュータから与えられる作業手順情報をもとに有効な取付場所記憶方法と“取付場所-部品-部品置場所”の記憶順序で情報を記憶し, 部品箱に配置された単純な部品を所定の位置に取り置く作業を対象にした実験を行った. 記憶境界線モデルと記憶境界線パターンを用いて取付点数が記憶過程に与える影響を動作レベルで分析することによって, 作業手順情報の記憶過程には中間先行型と周囲先行型記憶過程があることと, 取付点数の変化による記憶境界線を把握することができた. さらに実験と基準の記憶境界線を比較することによって, 個人特性を分析・評価することが可能になり,“要素作業を前半・後半に分割したうえで, 先に前半の要素作業を中間先行型記憶過程で, 次に後半の要素作業を周囲先行型記憶過程で記憶する”という作業ガイドラインを提案することができた.
著者
佐藤 陽彦 佐々木 司 杉本 洋介
出版者
Japan Ergonomics Society
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.223-229, 1992-08-15 (Released:2010-03-11)
参考文献数
3

“いらいら”の実態と構造を明らかにするために, 2種類の質問紙調査を行った. その結果, イライラの頻度では週2~3回が, イライラの対象では人間関係が, イライラの状況としては時間因子が関与しているときが最も多かった. イライラの構成要素は自分と状況である. イライラを生じさせる状況は, 自分がある目標に向かって計画に沿って行動している過程で, 自分の思いどおりにならないときである. しかも, その状況がある程度持続し, 自分の努力によってその状況を変えることができず, 目標が達成できるかどうかまだ不明なときである. そして, イライラの感じ方は本人の身体的・精神的状態によって大きく左右される.
著者
牧下 寛 松永 勝也
出版者
Japan Ergonomics Society
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.38, no.6, pp.324-332, 2002-12-15 (Released:2010-03-12)
参考文献数
9
被引用文献数
6 5

公道において走行実験を行い, 自動車運転中の危険発生に対し制動で回避するための反応時間を調べるとともに, 視線移動の頻度を計測した. 被験者は, 20代, 40~50代, 60代の3グループの一般運転者である. 単独走行と追従走行の2通りの形態で被験者車両を走行させ, 物陰から人が飛び出して来た場合と, 前を走る車両が制動した場合の2通りの危険を発生させた. 人が飛び出してきた場合の反応時間は高齢者と他の年齢層で有意差が見られたが, 前を走る車両の制動灯に対する反応では, 年齢層による差は見出されなかった. しかし, どちらの危険に対しても, 60歳代の被験者の大部分は, 異常に長い反応時間を示す遅れ反応になる場合が見られた. 運転中の視線移動の頻度は, 加齢とともに低下することが示されたが, 60歳代の被験者に遅れ反応を示す人が多いのは, 視線移動の頻度が低いためであると考えられた.
著者
倉前 正志 豊島 悠輝 前田 享史 横山 真太郎
出版者
Japan Ergonomics Society
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.44, no.5, pp.260-267, 2008-10-15 (Released:2010-03-15)
参考文献数
14

CELSS (閉鎖生態系生命維持システム) とは系外と物質の授受を行わない閉鎖空間内を, 系内での物質循環により人間が生活できる環境に保つシステムである。本研究ではCELSSの物質循環を解析する第一段階として, (財) 環境科学技術研究所・閉鎖型生態系実験施設 (CEEF) の実際の設定を参考に, CELSSの数理モデル化に必要な構成要素の検討とそれに基づくモデル化を行った。今回の検討ではO2およびCO2に着目し, 食物生産は植物栽培により賄うこととした。居住区, 植物区, O2タンク, CO2タンク, 湿式酸化装置, 酸素再生装置の6要素でモデルを構成し検討を行った結果, 適切に属性値を設定することで各区画のO2・CO2濃度が長期間で安定し, 閉鎖系内で安定した物質循環を行ううえで少なくともこの6要素が有効であると示唆された。また, CEEFの属性値を用いて検討を行った結果, 時刻により変動する人間および植物の代謝量にも, 設定を変更することで応用可能性があることが示された。
著者
神保 有紀 福田 忠彦
出版者
Japan Ergonomics Society
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.33, no.5, pp.281-288, 1997-10-15 (Released:2010-03-12)
参考文献数
16

近年, 日本の多くの駅で発車予告の合図に音楽を用いている (以下「ベル音楽」と称す). 本研究は, ベル音楽とそれのもたらす心理的効果との関係について分析し, 併せてその利用環境についての考察を行い, 発車予告にふさわしいベル音楽のあり方を提案することを目的とした. 発車認知に関するアンケート調査の結果から, 駅利用者が急いでいるときほど聴覚的情報を手がかりとし, なかでもベル音楽を望む人が多数を占めることがわかった. そして, フレーズパターンの試聴実験により, そのベル音楽は, 人の歩く速さよりやや速めのテンポ, 上行形のメロディーライン, ドミナントを経由しトニックで終わる和声進行などの音楽的構造を備えていることが好ましいこと, さらにリズムの刻み方によりふさわしいテンポが異なること, 年齢によりテンポの感じ方が異なることなどが明らかになった.
著者
小松原 明哲 横溝 克巳
出版者
Japan Ergonomics Society
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.25, no.5, pp.277-286, 1989-10-15 (Released:2010-03-11)
参考文献数
16
被引用文献数
2 3

ユーザインターフェイス設計の基礎研究として, 人間の短期記憶保持による負担をパーソナルコンピュータを用いた実験により検討した. まず短期記憶の保持方略と負担との関係について検討した. 計算偶奇判定作業を被験者に行わせた結果, 課題内容を積極的に解釈しつつ保持する場合のほうが, 課題を単にリハーサルしている場合より, 心理的負担が少なく, パフォーマンスも良好であった. 次に短期記憶の保持量と負担との関係について, 数列の短期記憶保持実験を行った結果, 完全な短期記憶再生を期待できるのは5チャンクまでであり, 5チャンクを超えると完全な再生が期待できないばかりでなく, 心理的・精神的負担が高まることが明らかとなった. 5チャンク以下でも負担は均一ではなく, チャンク数の増加とともに負担が高まることも明らかとなった.

1 0 0 0 OA 情緒の心理学

著者
増山 英太郎
出版者
Japan Ergonomics Society
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.22, no.6, pp.316-318, 1986-12-15 (Released:2010-03-11)
参考文献数
6
被引用文献数
4 3
著者
江守 陽子 青木 和夫 吉田 義之
出版者
Japan Ergonomics Society
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.31, no.6, pp.369-377, 1995-12-15 (Released:2010-03-11)
参考文献数
28
被引用文献数
3 2

揺りかごによる振動刺激が新生児にどのような影響を与えるかを, 新生児の啼泣と生理学的指標に着目して検討した. 健康新生児54名を対象に, 振動周波数1Hz, 振幅55mm, 加速度1m/s2, Z軸方向, 正弦波振動を5分間負荷した. その結果を要約すると次のとおりである.(1) 揺りかごの振動刺激は新生児の啼泣を速やかに停止させる効果が認められた. (2) 揺りかごの振動刺激は啼泣中の新生児の心拍数, 末梢体表面温度, CVR-Rを減少させ, 呼吸数を増加させた. (3) 揺りかごの振動刺激は睡眠中の新生児の末梢体表面温度, CVR-Rを減少させ, 呼吸数を増加させた. (4) 今回使用した振動刺激は, 啼泣している児については鎮静化する効果が認められた. しかし, 睡眠中の児には覚醒へと導く強い刺激となった. 今回の実験で用いた加速度は, 新生児の啼泣を停止させるためには十分な加速度であると考えられたが, 睡眠中の児に対しては覚醒を引き起こすため, もっと弱い加速度の振動が望ましいと考えられた.
著者
竹田 晴見 畑 四郎 倉矢 悦治 高瀬 直寿
出版者
Japan Ergonomics Society
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.18, no.4, pp.229-233, 1982-08-15 (Released:2010-03-11)
参考文献数
4

先の報告では脳波の特徴情報の実時間抽出システムについて述べた. 本論文ではそのシステムの応答を速めるための2つの改良を提案している. 第一に, PLL回路中のループフィルタに位相補償を施すものであり, 第二の改良点は方形波変換回路の出力パルス数を, 付加回路により従来の4倍に増加することである. 実験的に新しいシステムのステップ応答は, 旧システムの応答よりはるかに速くなることが確かめられ, そのシステムの性能が改良された.
著者
渋谷 恒司 菅野 重樹 加藤 一郎
出版者
Japan Ergonomics Society
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.30, no.6, pp.395-403, 1994-12-15 (Released:2010-03-11)
参考文献数
6
被引用文献数
2 3

人間は指と腕を協調させることによって巧みな作業を行うことができる. 本研究の目的は, この指-腕協調による巧みさ (スキル) を, 人間の動作を分析することによって明らかにすることである. 本研究では巧みな動作の一例としてバイオリン演奏をとりあげ, その演奏動作を分析した. 被験者は, 職業演奏家, 音楽大学学生, 未経験者各2名の計6名とした. 実験では, バイオリン演奏において最も基本的な演奏法である全弓下げ弓を用いることとし, 被験者に弓圧および弓速を3段階に変化させて演奏してもらった. 上肢およびバイオリンの動作は三次元動態計測装置を用いて計測し, 弓圧は弓に貼ったひずみゲージを用いて計測した. 分析の結果, 未経験者は指, 腕を効果的に使えないこと, また職業演奏家のほうが音楽大学学生より, ボーイングの変化に対する動作の変化が大きいことが明らかとなった.
著者
吉田 辰夫
出版者
Japan Ergonomics Society
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.155-164, 1982-06-15 (Released:2010-03-11)
参考文献数
7
被引用文献数
4 4

視野の中心部あるいは周辺部を被った状態を実現する装置を構成し, 中心視か周辺視のいずれか一方で図形を観察する実験を行った. 中心視の範囲は視線を中心とする直径が3°の円形の領域と定め, 15°の大きさの図形を自由に眼を動かして観察した.中心視および周辺視のそれぞれの場合について, 視野の制限のない通常の観察条件での見え方とは, 異なった見え方をする図形が存在することを見出した. これらの結果は, 人間の図形認識機構の特徴抽出の部分に, 多層のニューロン回路網を想定したモデルにより一貫した説明の可能であることを示した. このモデルに基づいて, 図形知覚における中心視と周辺視の役割を検討した.