著者
高野 克己 鴨居 郁三 小原 哲二郎
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.33, no.5, pp.310-315, 1986-05-15 (Released:2009-04-21)
参考文献数
31
被引用文献数
8

米糠中の脂質分解機構に関する基礎的知見を得るため,米糠の貯蔵試験を行い,各脂質成分の変化ならびに脂質分解酵素の存在について検討した.1. 米糠100g中にトリアシルグリセロール約11.5m mol,糖脂質(グルコースとして)約0.85m molおよびリン脂質(リンとして)約0.7m mol含有されていた.2. 米糠貯蔵中における各脂質成分の変化を詳細に知るため,米糠を31℃で貯蔵し,経時的にその変化を調べた.その結果,各脂質の分解速度はリン脂質>トリアシルグリセロール>糖脂質の順であり,トリアシルグリセロールの分解に先立ちリン脂質の分解が起こっていることが認められた.3. 米糠を貯蔵すると,まずリン脂質の分解が起こるので,米糠中の主要リン脂質であるホスファチジルコリン,ホスファチジルエタノールアミン,ホスファチジルイノシトール,ホスファチジン酸およびリゾホスファチジルコリンの経時的変化について検討した結果,ホスファチジルコリン,ホスファチジルエタノールアミンおよびホスファチジルイノシトールは貯蔵初期に急速な減少を示したが,ホスファチジン酸およびリゾホスファチジルコリンの分解はやや緩慢であった.4. 米糠中の主要糖脂質であるトリグリコシルジグリセリド,ジグリコシルジグリセリド,モノグリコシルジグリセリド,アシルステリルグリコシドおよびステリルグリコシドの貯蔵中における経時的変化について調べたところ,各成分共にリン脂質成分に比べ,初期における分解速度は小さかった.5. 米糠の脂質分解酵素活性について検討したところ,米糠中に初めてホスホリパーゼCおよびホスホリパーゼDの存在を認めた.また,米糠100g中にはリパーゼ34 Unit,ホスホリピトアシルヒドロラーゼ8 Unit,ホスホリパーゼC 12 UnitおよびホスホリパーゼD 13Unitが存在し,その活性比は100:24:35:39であった.6. 米糠貯蔵中における各脂質分解酵素活性の変化について調べた結果,リパーゼ,ホスホリピドアシルヒドロラーゼ,ホスホリパーゼCおよびホスホリパーゼDは貯蔵60日目でも約30~60%の活性が残存し,これら酵素は米糠中において比較的安定であった.
著者
高野 博幸 青木 章平 梅田 圭司 佐藤 友太郎
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.21, no.6, pp.273-279, 1974-06-15 (Released:2010-01-20)
参考文献数
8
被引用文献数
1

“札幌黄”の最適照射期間の延長と,照射タマネギの貯蔵中の内芽の褐変防止について検討した。(1) 収穫したタマネギは約2週間の乾燥後照射処理を行なうのが普通である。しかし,この乾燥前または乾燥途中に照射しても,その後設定の乾燥を行なったのち貯蔵するなら,発芽抑制効果および貯蔵後の品質は常法で処理したものと差はない。(2) 収穫後常温貯蔵しておき,2カ月以上経過したものは放射線による発芽抑制効果は低下し,3カ月以上経過するとまったく効果は認められなくなる。これは内芽の伸長度と関達しており,内芽の伸長が2~3cmまでなら発芽抑制効果はあるが,それ以上になると効果は低下し,5~6cm以上になると照射によって発芽を抑えることが不可能になる。(3) 内芽の伸長は収穫後の低温貯蔵(3~5℃)によって抑制することができ,このような条件下では,収穫後3カ月までは3~7kradの照射で十分その後の発芽を抑制することができる。つまり照射前の低温貯蔵で,放射線処理の操業期間を少なくても3カ月以上に延長させることができる。(4) 照射タマネギの唯一の欠点は,実用的には問題ないとはいえ貯蔵中に内芽が枯死し褐変することである,内芽の褐変化を防止するには3~5℃の低温貯蔵をすることで,少なくとも8カ月は変色しない,またこのものを出庫しても常温で1カ月ぐらいの流通期間ならば,内芽には何ら変化はなく,商品価値を維持できる。
著者
Ana L. LANFRANCHI Norma H. SARDELLA
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
Food Science and Technology Research (ISSN:13446606)
巻号頁・発行日
vol.16, no.5, pp.499-504, 2010 (Released:2010-11-17)
参考文献数
22
被引用文献数
4 9

Some studies support the effectiveness in controlling nematodes in fishes for human consumption by freezing at –20°C and by cooking at 74°C by microwave process. The aim of this work was to analyse the effect of different treatments over anisakids from Argentinean fishes. The known anisakids in fishes from Argentina belong to genera Hysterothylacium, Terranova, Anisakis, Contracaecum and Pseudoterranova, being the three latest recognised as pathogens for human. Living larvae of anisakids obtained from fishes were used for survival assessment. Some parasites were kept in NaCl (0.85%) at 4-5.5°C until death. Anisakis, Terranova, Pseudoterranova, Contracaecum and Hysterothylacium survived during 330, 75, 75, 210 and 90 days, respectively. For freezing, microwaving and salting treatments, infected fillets were exposed at –20°C until 24 hours, 1 minute at 64.05°C and 75.56°C and to salt during 24 hours, respectively. No surviving anisakids were observed neither after freezing nor salting. Anisakis sp. survived at 64.05°C.
著者
川嶋 浩二 田中 芳一 梅田 圭司
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.21, no.12, pp.592-596, 1974-12-15 (Released:2010-01-20)
参考文献数
8

(1) 市販プロテアーゼ製剤9種に,殺菌線量(0.75~1Mradで芽胞菌を103~104減少させる)の放射線照射(氷水中,線量率約0.9~0.95Mrad/hr)を行なった。その結果酵素の保持活性は,もとの95%以上のもの7種,約93%のもの,および約80%のもの各1種であった。この結果,プロテアーゼ製剤の放射線殺菌は十分可能であると考えられた。(2) 照射時の酵素の水分量が,酵素の放射線感受性に影響することはなかった。(3) 数種のプロテアーゼで放射線照射により,最高4~60%の活性増加が見られた。その時の線量はいずれも250Krad付近にあった。(4) 照射酵素の熱安定性は未照射のものと差はなかった。(5) 照射酵素で5℃に2ヵ月間貯蔵中に酵素活性のやや回復するものがみられた。
著者
畑江 敬子 脇田 美佳 宮後 恵美 佐藤 由紀 島田 淳子
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.41, no.11, pp.755-762, 1994-11-15 (Released:2011-02-17)
参考文献数
12
被引用文献数
3 1

嗜好性の高い昆布だし汁を調製するための基礎的知見を得るために,だしの成分量と抽出時間(1~90分間)および抽出温度(5~95℃)との関係を調べた.各温度における各成分の抽出量(Y)は,抽出時間(X)の関数としてうまく示された.すなわち,ここでa値は,抽出初期段階における傾斜で, b値は,漸近値すなわち最大抽出量である.各成分についてa値を各抽出温度に対してプロットし,みかけの活性化エネルギーを計算した.同様に,各成分について, b値のみかけの活性化エネルギーを求めた.これらの活性化エネルギーを比較することによって,各成分の抽出における温度依存性を知ることができる.抽出初期の温度依存性は,マンニット,全エキス,K+, Cl-,および全窒素に高かった.最大溶出量の温度依存性の高い成分はCa2+,グルタミン酸, Mg2+, P5+お上アド全エキスであった.
著者
小日山 正剛 兼松 弘 新谷 勲
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.39, no.7, pp.596-600, 1992-07-15 (Released:2011-02-17)
参考文献数
10
被引用文献数
1

カカオ豆及びカカオ豆を主成分とする食品中のニッケル,鉄,銅,鉛及びヒ素などの重金属含量がどのように異なるかを調べた.試料にはカカオ豆26試料,カカオマス14試料,カカオ脂10試料,市販のチョコレート14試料(ブラック9,ホワイト5)及び粉末ココア4試料を用いた.また,参考試料としてシアナッツ5試料,ボルネオナッツ3試料及びコーヒー豆6試料についても分析した.(1) ニッケル含量はカカオ豆で平均5.12ppm,その胚乳部に相当するカカオマスでも平均4.81ppmとほとんど差がなかった.しかし分離脂肪のカカオ脂にはニッケルは0.13 ppmしか存在しなかった.鉄,銅の含量もカカオ豆(x: 112.4, 24.7ppm)とカカオマス(x: 82.5, 26.7ppm)の間ではほとんど差を示さないが,カカオ脂(x: 0.30, 0.04ppm)では著しく低かった.(2) 市販のカカオ加工食品では,ニッケル含量はブラックチョコートで平均1.09ppmとかなり高いが,ホワイトタイプでは主原料のカカオ脂と同様に微量にすぎなかった.これに対し,粉末ココアでは平均12.7ppmのニッケルが検出され,カカオマスよりさらに高いことを示した.この傾向は鉄及び銅の含量でも同様であり,ブラック,ホワイトチョコレート及び粉末ココアからそれぞれ平均24.4, 0.82及び362.5ppmの鉄及び5.36, 0.16及び43.9ppmの銅が検出された.(3) 参考試料としたハードバターの原料となるシアナッツ及びボルネオナッツからは,それぞれ平均0.58及び0.45ppmのニッケル, 85.4及び137.1ppmの鉄と0.72及び10.8ppmの銅を検出した.また,コーヒー豆からは平均0.55ppmのニッケル, 67.0ppmの鉄及び13.3ppmの銅を検出し,これを風味原料として使用するファットスプレッドではこれらの重金属の給源となり得ることが示された.なお,鉛はシアナッツ,ボルネオナッツ及びコーヒー豆の一部試料から0.1~0.3ppmの微量が検出されたにすぎず,ヒ素は全試料から検出されなかった.
著者
阿部 利徳 氏家 隆光 笹原 健夫
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.172-176, 2004-03-15
被引用文献数
5 11

エダマメ9品種および普通大豆5品種を用いて,開花後35日の未熟子実の遊離アミノ酸含量および糖含量の品種間差異,およびこれらの成分がゆで操作により加熱した場合にどのように変化するかを調べた.未熟子実の全遊離アミノ酸含量には顕著な品種間差異が認められた.おいしいエダマメとして知られている白山ダダチャは全遊離アミノ酸は新鮮重1g当たり,11mg含有し,最も多く,含量の少ない品種の約3倍量含有していた.遊離アミノ酸の中で,特に呈味性アミノ酸のグルタミン酸,アスパラギンおよびアラニン含量が多く,この3種の遊離アミノ酸で全遊離アミノ酸の約50%を占めた.白山ダダチャの他,サッポロミドリ,青ばた,かほりが比較的高く,その他のエダマメ品種や普通大豆品種は低い含量であった.また,3分間煮沸水中でゆでた場合,多くのアミノ酸は含量がやや減少した.平均して全遊離アミノ酸は74%に減少した.全糖およびショ糖含量の品種間差異をみると,白山ダダチャが最も多く,新鮮重1g当たり全糖で約47mg,ショ糖では約30mg含有していた.白山ダダチャに次いで,青ばたと秘伝が多く含有していた.3分間煮沸水中でゆでた後のショ糖含量の増減は認められなかったが,全糖含量は平均して1.5倍に増加した.
著者
山野 善正 仲原 貴生 三木 英三 合谷 祥一
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.38, no.11, pp.1033-1037, 1991-11-15 (Released:2009-04-21)
参考文献数
2
被引用文献数
1 1

包丁と超音波カッターで切断した測定試料について,切断方法の違いによる試料への影響を,クリープメーターを用いて粘弾性を測定し,写真機及び電子顕微鏡により観察したところ,次の結果が得られた.(1) カステラ,チーズでは,超音波カッターと包丁の切断方法の違いにより,瞬間弾性,遅延弾性,遅延粘性,定常粘性に差が認められた.特にカステラでは,その差が大きく,スポンジ状食品では,超音波カッターは非常に有用であると考えられる.(2) かまぼこでは,超音波カッターと包丁での切断方法の違いによる,明確な差は認められなかった.(3) カステラ,キュウリの切断表面の電子顕微鏡観察では,超音波カッターと包丁の切断方法の違いにより表面の凹凸に差が認められた.しかし,チーズ及びかまぼこでは,切断方法の違いによる,表面の凹凸の差は認められなかった.
著者
諏訪 信行 久保田 春美 高橋 和子 町田 肇
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.44-51, 1986-01-15 (Released:2009-04-21)
参考文献数
17
被引用文献数
12 20

耐熱性の高い高温性有芽胞細菌Cl, thermoaceticum, B. stearothermophilus, Cl. thermosaccharolyticumの芽胞を接種した代表的なレトルト殺菌タンパク飲料であるミルクコーヒーの変敗に対する食品乳化剤の添加効果を検討した.(1) F0 20~30という通常のミルクコーヒー缶詰の殺菌条件では,ショ糖脂肪酸エステルP-1670, S-1670を500ppm添加することによりミルクコーヒーの変敗を防止できることが判明した.また,500ppm以上添加することにより,加熱殺菌条件を緩和できることが示された.(2) ショ糖脂肪酸エステルの中では,ステアリン酸モノエステルS-1670よりもパルミチン酸モノエステルP-1670は約2倍の変敗防止効果を有することが認められた.(3) ポリナキシエチレンソルビタンモノパルミテート,ポリグリセリンモノパルミテート,グリセリンモノパルミテートのミルクコーヒー変敗防止効果は殆ど認められなかった.
著者
上田 成子 桑原 祥浩 平位 信子 佐々木 弘子 菅原 龍幸
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.38, no.6, pp.507-514, 1991-06-15 (Released:2010-01-20)
参考文献数
28
被引用文献数
1 3 12

食用植物類101種107検体とキノコ類60種の計167検体のTry-P-1に対する抗変異原活性をSal. typhimurium TA 98株を用いて検討した結果以下の成績がえられた.1. 試験した試料のうちTry-P-1に対して強い抗変異原活性を示したものはレモンバーム,タイム,フキノトウ,モミジガサ,オレガノ,ツクシ,シロザ,ギョウジャニンニクおよびエストラゴンの9種であった.2. 食用植物類の科別分類では,キク科,シソ科,アブラナ科,セリ科植物に抗変異原活性がみられるものが多かった.また,香辛野菜類については,試験した全てが抗変異原活性を有していた.キノコ類については,45%の試料で抗変異原性がみられたが,野菜類に比してその活性は弱いものであった.
著者
恒次 祐子 芦谷 浩明 嶋田 真知子 上脇 達也 森川 岳 小島 隆矢 宮崎 良文
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.8, pp.347-354, 2005-08-15
被引用文献数
3 1

5種類の味と香りの異なるチョコレートに対する主観的快適感と被験者の性別およびパーソナリティの関係を検討したところ, 以下の結果が得られた.<br>1) 女性群においては,<br>i) チョコレート全体に対する快適感が男性群よりも有意に高いこと, ならびに個別のチョコレートについては, 苦みを強くしたチョコレートにおいて快適感が男性群よりも有意に高く, オーク材抽出物を添加したチョコレートにおいても高い傾向にあることが認められた.<br>ii) 快適感に対する男性性ならびに女性性の有意な正の影響が認められた.<br>2) 男性群においては,<br>i) 快適感に対するタイプA型傾向の有意な正の影響が認められ, 特性不安の有意な負の影響が認められた.<br>3) チョコレート別の快適感とパーソナリティとの関係について,<br>i) 男性群においてはオーク材抽出物添加チョコレートの快適感と女性性との間に有意な正の相関が認められた.<br>ii) 女性群においてはオーク材抽出物添加チョコレートならびに甘みを強くしたチョコレートの快適感と男性性との間に有意な正の相関が認められた.<br>以上により, チョコレートの快適感に評価者個々人のパーソナリティが影響を与えていることが明らかとなった. 今後個人の価値観や好みを重視したチョコレートの創造を検討していく上で, 有用な示唆を与えるものと考えられる.
著者
Yumiko Nakanishi Kentaro Irie Masatsune Murata
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
Food Science and Technology Research (ISSN:13446606)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.159-167, 2018 (Released:2018-03-24)
参考文献数
22
被引用文献数
1

Pasta samples boiled for different times and mixed with tomato sauce were physically and chemically evaluated to determine the factors affecting the suitability of boiled pasta with tomato sauce for eating. Physical properties of the pasta boiled for the shortest time changed greatly when sauce was added. The texture of the pasta boiled for the longest time was soft, because the core lacked a non-gelatinized region. In a force–strain curve, the change in the force after the breaking point of the pasta boiled for the shortest time was the largest after sauce addition. The T2 values and chlorine distribution of pasta samples showed that the amount of penetration of the sauce ingredients to the core of the pasta boiled for the shortest time was less than that of the pasta boiled for the longest time. These results suggest that small changes in the physical properties after the sauce addition, sufficient penetration of the sauce ingredients to the core, and the presence of a non-gelatinized region at the core are critical factors affecting the suitability of boiled pasta with tomato sauce for eating.
著者
五島 義昭 青山 英樹 西沢 健治 柘植 治人
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.147-153, 1988-03-15 (Released:2011-02-17)
参考文献数
17

PC粒の形態,主成分である澱粉の性質,および大気条件下で, 160~200℃に加熱した時の膨化機構等,以下の事項についてDC, WCと比較検討した. i)コーン粒のいくっかの種類より単離した澱粉粒子の比較, ii)粒構造の特性, iii)加熱中の膨化における粒の走査電子顕微鏡による観察. (1) PCより単離した澱粉粒子の性質は,アミロース含量が, DCのものより高いものの(約3%),糊化特性や糊化温度において, DCと類似した値を示した. PC種の特徴はむしろ穀粒の特異な構造にあると考えられた. (2) 膨化中のPC粒の走査電子顕微鏡による観察から,角質胚乳における澱粉は, 160℃以上で糊化し,空気の膨張によるはちの巣状の構造をつくることが明らかとなった.膨化した生成物において,膜のような薄いフィルムは,糊化,焼結した澱粉によりっくられた. (3) 膨化するコーン粒において,澱粉粒子は130~170℃の範囲で糊化し,糊化の程度は65~75%であった,PCの調製において,本質的に重要なことは,加熱中に内部蒸気圧に十分耐えることを可能とする外皮の性質にある.
著者
森 健 村岡 信雄 蔀 花雄
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.14, no.5, pp.187-192, 1967-05-15 (Released:2009-04-21)
参考文献数
10
被引用文献数
2 1

シリカゲルカラムによる溶出分析法を用いて,リンゴ,洋ナシ,モモ,ウメ,ミカン,ブドウ,サクランボ,イチゴ,メロンの9果実20品種の有機酸組成および各酸の含量を検討した。以上の果実からシリカゲルクロマトグラム上に18個のピークからなる有機酸の存在が認められた。果実別にみると,リンゴには11~14個のピークからなる有機酸パターンが得られた。同様に洋ナシは12個,モモは12~14個,ウメは12~13個,ミカンは13個,ブドウは13~16個,サクランボは14個,イチゴは14個,メロンは13個のピークからなる有機酸パターンが得られた。主要酸構成をみると,リンゴ酸のみを主要酸とするものはリンゴとサクランボであり,クエン酸のみを主要酸とするものはメロンであった。ウメはクエン酸がもっとも多いが,リンゴ酸もかなり含み,ミカンとイチゴもクエン酸がもっとも多いが少量のリンゴ酸をともなっている。洋ナシは品種により主要酸構成がかなり異なり,バートレットがクエン酸を主要酸とし,ついでリンゴ酸もかなり含むのに対し,ラフランスではリンゴ酸のみを主要酸とし,クエン酸はほとんど認められなかった。モモはリンゴ酸がもっとも多くクエン酸がこれにつぐが,両酸の含量は品種によりかなりの差が認められた。ブドウはリンゴ酸と酒石酸を主要酸とし,ローズシオターと植原1号ではこの両酸の割合が約2対1でリンゴ酸のほうが多いが,ヤマブドウでは酒石酸のほうがやや多く認められた。
著者
山口 静子
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.241-248, 1994-03-15 (Released:2009-04-21)
参考文献数
47
被引用文献数
1 1
著者
山本 泰男
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.21, no.12, pp.579-584, 1974-12-15 (Released:2010-06-23)
参考文献数
10
被引用文献数
2 3

胡椒の辛味性はピペリンによるもので,ピペリンのシス-異性体はほとんど辛味がない。ピペリンの辛味の閾値は5~10ppmであり,これはピペリンの水に対する溶解度(6.2μg/ml)に近い。しかも,ピペリンは非常に結晶化しやすく結晶ピペリンにはほとんど辛味がない。これがシス-異性体のシャビシンなどが辛味の本体であると誤解されてきた理由の一つである。神経細胞に刺激を与え得るほどに分散または溶解したピペリンは強烈な辛味を与える。たとえば,ピペリンのアルコール溶液を水に注ぐと直後は強烈な辛味を示すが結晶化すると辛味がなくなる。モデル実験(ピペリンの溶解状態,でん粉ペースト中,油脂の存在下,ろ紙吸着状態などでのテスト)により,このピペリンの存在状態の差による辛味性の違いを示した。粉砕胡椒の辛味性の減少の理由はシャビシンよりピペリンへの異性化(NEWMAN),ピペリンよりイソシャビシンへの異性化(CLEYN)とされてきたが,著者は精油や油状副アルカロイドに溶解分散していたピペリンが粉砕後の経時変化により結晶化して辛味度を減少するのだと考えた。
著者
Ikuko MAEDA Akemi K. HORIGANE Mitsuru YOSHIDA Yoshihiro AIKAWA
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
Food Science and Technology Research (ISSN:13446606)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.107-116, 2009 (Released:2009-06-16)
参考文献数
27
被引用文献数
11 15

Magnetic resonance imaging (MRI) was employed to observe water diffusion within two kinds of buckwheat noodles (marunuki, sarashina) and one kind of wheat noodle during boiling and holding. The apparent diffusion coefficients for water were statistically estimated with Fick's second law using a rectangular cylinder model, and the changes in moisture distribution in buckwheat and wheat noodles were compared quantitatively. Apparent diffusion coefficients of water in noodles during boiling were 4 to 7 × 10–6 cm2/sec. The diffusion coefficients of water in buckwheat noodles during boiling were higher than those in wheat noodles. For each noodle, the diffusion coefficient during holding after boiling was 2 to 3 × 10–7 cm2/sec and constant through the holding time, from 30 to 120 min. The diffusion coefficients in buckwheat noodles during holding were lower than those in wheat noodles. These results show that, as compared with wheat noodles, buckwheat noodles cooked more rapidly and lost favorable texture during holding.
著者
梅田 圭司 高野 博幸 佐藤 友太郎
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.16, no.11, pp.508-514, 1969-11-15 (Released:2010-01-20)
参考文献数
4
被引用文献数
2 4

コバルト60・ガンマ線照射によるジャガイモの発芽防止効果について,“島原”および“男爵”を用いて照射時期と発芽率,重量減などを調べた。(1) “男爵”と“島原”では休眠期間が異なり,収穫後の貯蔵条件によって多少の変動はあるが,前者は約100日,後者は約45日ぐらいである。この休眠期間に照射するなら7Kradで両品種とも効果的に発芽を抑制することができる。ただし発芽直前のものは,7Kradでは完全に発芽を抑制することはできず,長期貯蔵中に芽を出すが,これもほとんど伸長しないので実際面では問題にならない。また15Krad以上ではほぼ完全に発芽を抑制する。(2) “男爵”“島原”ともに休眠期を過ぎて若干発芽し始めたものでも,7Kradで発芽した芽の伸長を押え,かつ新しい発芽を抑制できる。発芽した“男爵”の芽の長さが0.5~1.0cm程度あるものでも,7Kradで効果的にその芽の伸長および新しい発芽を押えることができる。15Kradでは一層強く,とくに新しい発芽を抑制するが,実用化を考えた場合7Kradと15Kradの間にそれほど大きな差はない。また0.5~1.0cm発芽した芽は,7~15Kradの照射で,芽の部分のみが腐敗するが,これはジャガイモ本体に悪影響を与えるものではない。(3) 照射後の貯蔵温度は1℃は低温障害を起すために不適当である。5℃貯蔵は重量減,発芽率の点で室温貯蔵よりもよい結果を与えているが,冷蔵コストを考慮に入れると実用化に際しては室温貯蔵で十分目的を達せられる。(4) このほか照射時期による重量減少率の変化,貯蔵温度による腐敗率の変化,テキストロメーターによる物性の変化,官能検査などを調べたが,いずれも照射による影響,線量間の差異は問題にならない程度である。以上の結果より,“男爵”“島原”の実用化に即した発芽抑制のためには,目的とする貯蔵期間を収穫後8ヵ月と設定して,休眠期間中または若干の発芽(0.5~1.0cm程度)状態までに照射するなら,7~15Kradの照射で十分目的を達することができる。以上の結果より,“男爵”“島原”の実用化に即した発芽抑制のためには,目的とする貯蔵期間を収穫後8ヵ月と設定して,休眠期間中または若干の発芽(0.5~1.0cm程度)状態までに照射するなら,7~15Kradの照射で十分目的を達することができる。
著者
神山 かおる 西成 勝好
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.39, no.8, pp.715-721, 1992-08-15 (Released:2010-03-08)
参考文献数
17
被引用文献数
9 11

豆腐の力学的性質に影響する諸条件を検討した.プランジャーの形状,試料の形状,測定温度により,応力-歪曲線は変化した.貫入試験における見かけの破断応力はプランジャーの大きさに依存して変わったが,圧縮試験での破断応力は試料の形状に依存しなかった.豆腐が一定の剛性率を示すまでには長時間かかることが示された.以上のことから,豆腐の破壊試験を行う際の注意点は次のようである.1) 評価値は破断力ではなく,破断応力で示すべきである.また同時に破断歪も示すことが望ましい.2) プランジャーの形状,試料の形状,圧縮速度,測定温度は条件として必ず記載されなければならない.3) 凝固してから十分な時間が経過したものを実験に供する必要がある.
著者
新原 立子 米沢 大造
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.37, no.10, pp.779-785, 1990-10-15 (Released:2009-04-21)
参考文献数
6
被引用文献数
2 2

(1) 厄前および厄後の素麺の脂質を添加して調製した乾麺についてゆで麺の物性を測定した結果,厄後の脂質によりかたさが増し,凝集性が小さくなりヤング率が増加した.これらの変化は素麺自体の厄による変化と同様であった.(2) 素麺から抽出した総脂質を単純脂質,糖脂質およびリン脂質に分画し,厄による極性脂質の量的な減少について調べたが大きな変化はみられなかった.(3) 脂質の各画分について厄による変化がゆで麺の物性に与える影響を調べた結果,脂質変化の影響は単純脂質画分の変化が主体で厄による極性脂質画分の影響はほとんど認められなかった.(4) 厄後の単純脂質画分は,厄前のものに比ベトリグリセリドが約17%減少し,脂肪酸が3.5倍に増加し,モノグリセリド及びジグリセリドが若干増加した.(5) 以上の結果から,手延べ素麺の厄現象の主原因は貯蔵中の脂質変化であることが確認されたが, 極性脂質の加水分解の直接的な影響はほとんど認められず, 遊離脂肪酸の大幅な増加がデンプン粒の膨潤やグルテンの性質に与える影響によるものと推察した.