著者
山田 浩雄 小林 玲爾 中田 了五 宮浦 富保
出版者
THE JAPANESE FORESTRY SOCIETY
雑誌
日本林学会誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.80, no.3, pp.201-204, 1998-08-16 (Released:2008-05-16)
参考文献数
16
被引用文献数
1

林木花粉の長期貯蔵試験をスギ花粉を用いて行った。花粉の含水率を調節した後,室温,5°C,-20°Cおよび液体窒素(-196°C)の四つの温度条件下で貯蔵した。また5年間液体窒素内で貯蔵した花粉(貯蔵花粉)と貯蔵していない花粉(新鮮花粉)を用いて人工交配を行った。花粉を液体窒素で貯蔵した場合,花粉の発芽率は5年間低下しなかった。人工交配によって得られた種子の100粒重,球果1個当りの種子重,種子の有胚率に関しては,花粉を液体窒素で貯蔵したことによる影響は認められなかった。
著者
沼田 真 三寺 光雄
出版者
THE JAPANESE FORESTRY SOCIETY
雑誌
日本林学会誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.12, pp.311-319, 1961 (Released:2008-12-18)
参考文献数
21
被引用文献数
1

今まで生態学で行われてきた環境解析には不十分な点が多い。たとえば,土壌学的に土壌条件を解析することはできても,それが植物の生活にいかなる意義をもち,どんな役割をはたすかにについて適確に判定できなければ,生態学的に土壌環境を解析したことにはならない。われわれは,竹を材工料として,生態学的環境解析の方法を確立するための実験を行なつている。さきに(三寺・沼田1960),分散分析と因子分析の方法を用いて,きいている環境要因を探索する方法を述べたが,そこで推定された第1因子としての発筍期の雨量という水条件の意義を確認するために行なつた実験について報告したものが,本稿である。実験は現在も続行中であるし,総括にも述べたような問題点が多く残されているのであるが,今までにえられた結果を報告する。
著者
芝本 武夫 中沢 春治
出版者
THE JAPANESE FORESTRY SOCIETY
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.40, no.9, pp.383-390, 1958

アカマツ播種苗について6月下旬から10月中旬にかけて, 4時期にわけて苗木採取を行い,成長量・全灰分・K<sub>2</sub>O・CaO・MgO・P<sub>2</sub>O<sub>5</sub>・Nについて測定しつぎの結果を得た。<br> 1. 乾物重量の増加は, 8月初旬まではたいしたことがなく,そた以降において急増した。<br> 2. 全灰分の乾物百分率は,肥料区・無肥料区ともに8月初旬に最高であり, 9月初旬10月中旬に減少した。また,いずれの時期においても,肥料区は無肥料区に比して高い値を示した。<br> 3. K<sub>2</sub>Oの乾物百分率は,肥料区では時期による変化はほとんどみられなかつたが,無肥料区では, 6月下旬にひじように低く, 8月初旬以降増加し, 10月中旬に再び減少した。<br> 各時期とも,肥料区は無肥料区より高かつた。<br> 4. CaO・MgOの乾物百分率は,肥料区・無肥料区ともに時期による変化は少なく,各時期を通じて肥料区の方が高かつた。<br> 5. P<sub>2</sub>O<sub>5</sub>の乾物百分率は,肥料区・無肥料区とも6月下旬に最高であり, 8月初旬以降は低く時期による変化は少なかつた。 6月下旬を除くど,各時期とも肥精区の方が高かつた。<br> 6. Nの乾物百分率は,肥料区・無肥料区ともに9月初旬に最高であつた。各時期を通じて肥料区は無肥料区より高かつた。<br> 7. 各時期の成長最と各成分の分折値から苗木1,000本当りの各成分含有堂を計算すると,各成分とも8月初旬における含有量は種子のそれとたいした差はなかつたが, 9月初旬から10月中旬へと急増した。<br> とくに, K<sub>2</sub>O・Nにおいて著しく増加する。
著者
芝本 武夫 田島 俊雄 大塚 健二
出版者
THE JAPANESE FORESTRY SOCIETY
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.87-90, 1961

樹木の精油成分が木材腐朽菌の生育におよぼす影響をみるために,構造既知の数種の精油成分,今回はとくに七員環を有する物質を中心にして抗菌性試験を行なつた。<br> 抗試菌: <i>Coriolus versicolor, Coriolus consors, Tyromyces balsameus, Poria vaporaria, Fomitopsis•pinicola, Trametes sangineus</i><br> 培地:グルコース・ペプトソ寒天培地<br> 各種供試剤の木材腐朽菌に対する発育阻止濃度を要約すれば大体以下のようになる。<br> 0.001~0.01% β-thujaplicin, β-thujaplicin Na salt, β-thujaplicin Ca salt, β-thujaplicin Mg salt, β-thujaplicin Cu salt, β-thujaplicin Zn salt, β-thujaplicin acetate, α-thujaplicin, nootkatin Cu salt, thymol<br> 0.01~0.1% β-thujaplicin Fe salt, β-thujaplicin nitrate, α-thujaplicin Cu salt, thujic acid, nootkatin, p-methoxythymol, carvacrol<br> >0.1%, s-guaiazulene, s-guaiazulene-3-sulfonic acid Na salt, colchicine, cedrol, occidentalol
著者
陳野 好之
出版者
THE JAPANESE FORESTRY SOCIETY
雑誌
日本林学会誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.11, pp.369-374, 1975-11-25 (Released:2008-12-18)
参考文献数
22

1972年秋,カラスザンショウに発生した葉さび病菌Coleosporium xanthoxyli DIET. et P. SYD.の小生子を用いて数種のマツ属に人工接種を試み,クワマツ針葉で陽性の結果をえた。これによって従来不明であった本菌の異種寄生性が実験的に証明された。本菌の小生子はクロマツ針葉に感染後約2か月の潜伏期を経て幼若な柄子器を形成し,翌春3月下旬ごろ成熟して柄子を, 4月下旬~5月上旬銹に胞子をそれぞれ形成する。本菌の銹.夏胞子を用いた数種の中間寄主植物に対する人工接種によると,カラスザンショウにのみ陽性でサンショウ,フユザンショウおよびイヌザンショウでは陰性であった。カラスザンショウでは銹,夏胞子接種後約14日を経て夏胞子が約1か月を経て冬胞子が形成された。本菌は従来夏胞子および冬胞子のみが記載されていたが,本実験によって未記載の柄子と銹胞子の両世代を含めた全世代の生活史と銹胞子寄主範囲が明らかとなった。
著者
千葉 茂
出版者
THE JAPANESE FORESTRY SOCIETY
雑誌
日本林学会誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.35, no.9, pp.286-289, 1953-09-25 (Released:2011-09-02)
参考文献数
8

The changes in colouration of needles, green to reddish-brown, in the fall in Cryptorneria japonica are associated with decreases in chlorophyll, with occurrence of yellowish- or reddishbrown pigments in chloroplastens. From the results of chemical investigations, these pigments were determined as α-carotin, β-carotin and xanthphyll.In general, almost all the trees of Cryptomeria turn the dour of needles to reddish-brown (Red cloured type), but sometimes appear such individuals that needles are still green during the winter as the chlorophyll in chloroplastens remained unbroken (Green dour type).Crossing experiments were done between these two types and following results were obtained: (1) The colouring of needles was effected by genetical control. (2) The FI progenies, arisen from Red×Red and reciprocal crossing between Red×Green were all red coloured type. Green type progenies arose only from the crossing whithin Greens. (3) These results suggested that the gene which causes the changing the colour of needles is dominant (R) and that of green colour is recessive (r); (R) probably be complete dominance as shown in Fig. 1 and Table 1. (4) Dominant gene (R) probably causes the destruction of chlorophyll in chloroplastens and as this result the colouration of needles will appear by the occurrence of carotinoid pigments, recessive gene (r) did not not causes the destruction of chlorophyll during the wininter.
著者
柴田 勝
出版者
THE JAPANESE FORESTRY SOCIETY
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.6, pp.178-185, 1970

マツ類における交雑育種の研究のため,クロマツ×アカマツと,クロマツ×天然アイグロマツの組合せ交配 (13×20) を行なった。その結果,交配稔性(種子生産力)に関して次のことが明らかになった。<br> (1) 母本,父本間に顕著な稔性の違いがあり,いわゆる,一般組合せ能力に差異のあることが認められた。<br> (2) 父本の稔性値と雑種性との間には高い相関が認められたので交配稔性の差異は遺伝子構成の異なる2つの組織,すなわち,胚組織と雌性配偶体組織との親和性,または交互作用によると,推定された。<br> (3) 雑種性の指数としては,解剖学上針葉における2層以上の下表皮厚膜細胞数のほうが,樹脂道指数 (R.D.I.) よりはるかに相関が高かった。<br> (4) 交雑親和性遺伝子を有すると推定された特殊個体DEN S<sub>1</sub>が, 20の父本の一つに認められた。これは解割学上アカマッと分類される個体であるが,その高い稔性から,交雑親和性遺伝子を有する"潜在的雑種アイグロマツ"と定義できると思われた。
著者
小見山 章 大根 瑞江 加藤 正吾
出版者
THE JAPANESE FORESTRY SOCIETY
雑誌
日本林学会誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.85, no.2, pp.152-155, 2003-05-16 (Released:2008-05-16)
参考文献数
11

比較的若齢の造林地が豪雨等で崩壊すると, 広葉樹に較べてヒノキやスギが浅根を示すことがその原因であるといわれることが多い。このことを再検討するために, 48年生のヒノキ造林地で, ヒノキ主林木とそこに侵入したミズナラの根重の垂直分布を比較した。2本の試料木を選んで, 地上部に関する調査を行った後に, 深さ60cmまでに存在する根をトレンチ法により採取した。深さあたりの根重密度の垂直分布パターンを求めたところ, 指数関数にしたがう減少パターンを示した。2本の試料木問で, 深さ方向の根重密度の減少率に有意差は認められなかった。回帰式を積分して個体根重の垂直分布を計算した。地表から30cmまでの深さに含まれる根重の割合は, ミズナラ試料木で89%, ヒノキ試料木で94%となり, 試料木間で根の垂直分布に極端な違いは認められなかった。また, 傾斜地で, ヒノキ試料木は根を谷側に多く配置していたのに対して, ミズナラ試料木は山側に多く配置するという, 根の水平分布上の違いが認められた。
著者
山崎 一 吉村 哲彦 神崎 康一
出版者
THE JAPANESE FORESTRY SOCIETY
雑誌
日本林学会誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.78, no.2, pp.143-149, 1996-05-16 (Released:2008-05-16)
参考文献数
15

長伐期優良材生産を指向した間伐木選定に関して,ファジィ推論を用いた簡単な規則による選木モデルを構築し,一熟練者の経験的判断の再現を試みた。モデルの入力値は,幹,樹勢および配置に関する計測情報であり,林木の残伐判定が出力である。面積0.05haのプロット内の林木に対して推論を適用した結果,判別率で全木86%,間伐木63%の精度が得られた。これは同一要因を説明変数とする判別分析の精度をやや上回った。また,システム調整の点においてもファジィ推論の利便性が認められた。本研究により,林業における経験的判断に対するファジィ推論の有効性が明らかになった。さらに,優良材生産を指向した選木では,林木配置および隣接木との相対的な形質比較が重要であることが確認された。
著者
三浦 覚
出版者
THE JAPANESE FORESTRY SOCIETY
雑誌
日本林学会誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.82, no.2, pp.132-140, 2000-05-16 (Released:2008-05-16)
参考文献数
36
被引用文献数
12

林地表層における雨滴侵食保護に関わる林床の被覆状態を明らかにするために,林床植生および堆積リターの両者による総合的な被覆指標として林床被覆率を新たに定義し,急傾斜地にあるヒノキ,スギ,アカマツ,落葉広葉樹林の林床の被覆状態を評価した。その結果,スギ,アカマツ,落葉広葉樹林の林床被覆率は,林齢によらず常に90%以上で高かった。一方,ヒノキ林の林床被覆率は,10~20年生の幼~若齢期に著しく低下し,40年生前後の壮齢期に林床植生が回復し始めるまで低い状態が続いた。林床被覆率を支配する因子は,スギ,アカマツ,落葉広葉樹林では堆積リターであったが,ヒノキ林では林床植生であった。林床被覆率とこれに対する林床植生および堆積リターの寄与の強さは,樹種や林齢によって大きく変化する。したがって,林床の被覆状態を評価するためには,林床植生と堆積リターの消長の特質を明らかにし,林床被覆率のように両者による被覆を一体として捉えうる指標を用いる必要がある。
著者
吉田 洋 林 進 堀内 みどり 羽澄 俊裕
出版者
THE JAPANESE FORESTRY SOCIETY
雑誌
日本林学会誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.83, no.2, pp.101-106, 2001-05-16 (Released:2008-05-16)
参考文献数
25
被引用文献数
1

本研究では, クマハギ被害発生の要因を探るために, クマハギ被害の発生率と林床植生との関係を, スギとヒノキの造林地において調査した。剥皮率と低木層の植被率の間には, 正の相関が認められた。また低木層の種数と剥皮率の間には負の相関が認められた。一方, 分散分析の結果, 陽性種である液果類が生育している造林地は, そうでない造林地に比べ, 剥皮率が低かった。多数の陽性低木種を生育させている明るい造林地ほど, クマハギ被害は少ないといえる。このことから, 低木の全刈りがクマハギ被害の防除に有効であると考えられる。また, 林内に林縁効果を発揮しうる空間を形成し, ツキノワグマの食物となり得る陽性種を導入していくことが, クマハギ被害防除に有効であると考えた。これに適した施業法として, 孔状皆伐法がある。
著者
太田 猛彦 塚本 良則 城戸 毅
出版者
THE JAPANESE FORESTRY SOCIETY
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.67, no.10, pp.383-390, 1985

<br>丘陵性自然斜面における雨水移動機構を解明するため,多摩丘陵に試験斜面を設け,土層中の水分変化を観測した。これより斜面全体にわたる等サクション線図と等水理水頭線図を作製し,その時問的変化を追跡 して,斜面内の雨水移動の実態を,降雨の開始からそのピーグ,終了,乾繰過程に至るまでに生起する各種の水文事象について詳細に説朗した。なかでも,不飽和浸透流の実態飽和側方流の諸相,復帰流の役割等が明らかになった。また,これらの解析を通して,斜面に生起する大帯の現象が基盤地質の影響をうけていることを示し,とくに,斜面頂部に存在する厚いローム層の役割について以下の点を指摘した。 1) 大きな土湿不足をもつた め,降雨流出に対していわば負のソースエリアとして働く。 2) 大量の雨水を一時貯留し,おそい直接流出に貢獣する。 3) 急傾斜部以下に生起する諸水文現象の支配要因となる。
著者
倉永 善太郎
出版者
THE JAPANESE FORESTRY SOCIETY
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.6, pp.176-183, 1975

九州地方のマツカレハ個体数変動について,金峰山と大浦の2試験地で, 1956年より8世代にわたる調査結果に基づぎ,その要因の解析をおこなった。1)金峰山では1957年と1963年,大浦では1958年と1963年に突発的に大発生が起こり,いずれも1世代で終息して,大発生の前に漸進的な密度の高まりはなかった。2)全期間を通じて生命表を作り,VARLEYとGRADWELLのグラフ法により個体数変動要因の解析をおこなった。金峰山では全ステージについて調査がでぎた1957年から1962年まで6世代のうち,はじめの4世代までは卵期から越冬前幼虫期の死亡が,また,あとの2世代では雌成虫の中で繁殖雌数が占める割合が総死亡の変動主要因となった。大浦では世代ごとに異なった要因で変動がおこり,変動主要因は明らかでなかった。3)金峰山のデータから,回帰法によって越冬前幼虫密度から次世代の卵粒数を推定する式を導き出した。この式からの推定値ば,第3世代から第5世代までの適合はきわめてよかったが,第8世代(大発生)の予測はできなかった。このモデルを大浦にあてはめると適合はきわめて悪く,両試験地間では個体数変動要因にかなりの違いがあると推定された。4)この調査は8世代の長期におよび,その期間の初期と終期では林相や林内生物相などの環境変化も大きく,このような林分での少数要因による個体数変動の説明はむずかしいと思われる。
著者
丸山 温 松本 陽介 森川 靖
出版者
THE JAPANESE FORESTRY SOCIETY
雑誌
日本林学会誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.78, no.4, pp.427-432, 1996-11-16 (Released:2008-05-16)
参考文献数
21

樹冠上部の葉は,重カポテンシャル差によって常に下部と比べて乾燥状態におかれている。'この乾燥に対する適応を明らかにするため,スギ成木の梢端部と最下部の葉について,水分特性と形態的特徴の季節変化を調べた。梢端部の葉では,圧ポテンシャル(Ψp)を失うときの水ポテンシャル(ψWtip),飽水時の浸透ポテンシャル(ψSsat)が最下部と比べて低く,Ψpを維持しやすい特徴を持っていた。また,梢端部の葉では空隙の発達が抑制され,葉の単位体積当りの水分量も最下部と比べて多かった。すなわち,水分特性だけでなく,形態的にも梢端部の葉は乾燥に適応しており,このことがスギが高い樹高まで育つ重要な要因になっていると考えられる。
著者
藤森 隆郎
出版者
THE JAPANESE FORESTRY SOCIETY
雑誌
日本林学会誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.59, no.12, pp.435-441, 1977-12-25 (Released:2008-12-18)
参考文献数
20

米国カリフォルニア州北部の太平洋沿岸のセソペルセコイア(Sequoiasempervirens)の成熱した天然林を調査し,幹の現存量と林分構造を解析したoその構造は複層をなし,センペルセコイアがすべてめ階層で優占していた。他の木本種は常緑広葉樹が主で,中層の下部と下層に出現した。上層木の平均樹高は87.6mで,幹の総材積と乾重:量はそれぞれ1e, 817m3/haと3,461ton/haであった。地上1.7mにおける幹の断面積合計は338m2/ha,幹の現存量密度.(林分の幹の乾重/上溜木の平均樹高と林分面積の積)は3.95kg/m3であった。上記の成熟林のそばにある47年生のセソペルセコイアの2次林を測定し,その上層木の平均樹高ほ45.8m,地上1.3mの幹の断面積合計は152m2/haという値を得た。
著者
原田 盛重
出版者
THE JAPANESE FORESTRY SOCIETY
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.22, no.7, pp.390-392, 1940

1) ランシンボク.テレピンノキの乳液は中性にして,全く毒性を有せず。<br> 2) タイトウルシ,アンナンウルシ,マンゴウは酸性反應を呈し,その中タイトウルシ,アンナンウルシは毒性強く,マンゴウは僅かなり。<br> 3) ランシンボク,テレピンノキの乳液中の蛋白質の結晶は五角形,六角形をなし結晶が僅かなり。<br> 4) タイトウルシ,アンナンウルシ,マンゴウは蛋白質の結晶が槍状,圓錐状,角柱状をなし,結晶の數が比較的多く,タイトウルシに特に特微ある結晶を有す。
著者
近野 英吉
出版者
THE JAPANESE FORESTRY SOCIETY
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.22, no.6, pp.337-351, 1940

竹材の形状及び材積を竹林の施業と竹材の利用とに關聯して論究せんとする。<br> <b>1.</b> 竹材の太さと長さの關係節間の大小配列等が竹の種類により異り,マダケはマダケの形状を具ふる。而して母體内榮養素の多少と温度濕度の適否とが筍の發育を左右し,竹材の形状に多少の變異を生ずる。從つて竹林の完全なる構成を圖つて筍の發育を良好ならしむることは或る程度迄可能である。<br> <b>2.</b> マダケの全長は筍が適當に發育すれば目通周圍の約60倍(7寸竹上)65倍(6寸竹)70倍(5寸竹)あつて,枝下はその中央より2~3節上位にある。全長短く枝下低い竹林に於ては立竹の疎密配置その他手入に注意を要する。<br> <b>3.</b> 竹の節數は大竹に多いが竹材の中部に於ける節間の長さに關係少く,節數の多い竹は主として梢部に於て節間が短縮する。<br> <b>4.</b> 竹材は部分的に大小形状を異にして用途に適不適がある。節間の太さ厚さ配列は順次増減し,太さは最太部位,厚さは初め急に減じ長さの最大部位附近に於てその差甚だ少く,長さの配列は往々不規則で,長さの最大部位附近にその變化が多い。5~6寸以上のマダケ竹材各部の位置及び大さは大體次の如し。<br> <b>イ.</b> 目通高は普通地上第7節間で,その節間の長さ9~10寸・肉の厚さ2分内外。<br> <b>ロ.</b> 中央高は第20節間の上下2~3節間の部位で,目通高に比し1.5~2.5割細く,2.5~4.0割長くして肉の厚さは1.2~1.3分。<br> <b>ハ.</b> 第1枝節直下の節間は疎生と密生とによりその位置異り,中竹は中央高と略一致し大竹は中央高より2~3節上位する。從つてその大さは中央高と略同じか僅に小さい。<br> <b>ニ.</b> 竹材の最太部位は根元を別として普通第10節間附近が上部で以下數節間同大の事がある。5~6寸の中竹はI/4高にも上下し大竹は目通高とI/4高との間にあつてその太さは目通高と同じかそれより1~3分周り太い。<br> <b>ホ.</b> 節間の最長部位はI/4高とI/2高との間I/2高に近く,その長さは目通高節間長の約中竹2倍餘大竹2倍近く大。<br> <b>5.</b> 竹材の材積は大小竹共にマダケ1束の幹材容積は12立方尺締の3/10空洞を除いた實積はそのI/3即ち1/10尺締に近接し,適度に密生して發育の良い竹は容積も實積も多い。普通の施業竹林は年々1町歩實績約50石の竹材を生産することになる。
著者
生原 喜久雄 相場 芳憲
出版者
THE JAPANESE FORESTRY SOCIETY
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.97-99, 1981

Individual trees of a stand are labeled with vinyl number-plates fastened with staples because of the convenience for recording trees. These vinyl number-plates are left in place. Wood discoloration and damage to young trees from the vinyl number-plates and the staples were investigated. Discoloration of wood on radial sections, vinyl number-plates overgrown and encased in wood, and parts of staples left in the wood were observed. Therefore, we must avoid the use of this method of numbering individual trees, especially on these parts used for lumber. If this numbering-method is used, the number-plates and staples must be removed as soon as possible.