著者
桑田 耕太郎
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.66-77, 1985 (Released:2022-07-14)

時代は経営組織に創造性を要求している.本稿では創造的経営組織のデザイン論の確立を目指し,まず第1に創造的経営組織デザイン論には適切な組織学習および創造的意思決定過程の管理という2つの課題が含まれることを指摘する.次いで既存の組織デザイン論の限界をふまえつつ,それぞれの課題について議論し,そこでの研究上の理論的要請や展望を明らかにしてゆく.
著者
田中 佐織 宮治 裕史 井上 加菜 田中 享 谷野 美智恵 加藤 昭人 金山 和泉 西田 絵利香 村上 秀輔 川本 康平 宮田 さほり
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

歯根破折歯接着治療法の予知性向上を目的として,封鎖材料のレジン表面を改変し培養細胞シートを貼ることでレジン上に歯周組織再生を目指した.レジン表面をカーボンナノチューブ(CNT)とナノβ-TCPでコーティングした.細胞付着試験では,CNTコートした試料に付着した細胞はコントロールと比較すると多く,細胞伸展が良好であった.また細胞増殖性試験でも高い細胞増殖性がみられた。皮下埋植試験では著明な炎症反応は認められず,CNTコートした試料に培養細胞シートを貼った試料周囲に骨様組織形成が認められた.以上よりレジン表面を改変することにによりレジン上に歯周組織再生の可能性が見出された.
著者
榊原 清則
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.52-62, 1986 (Released:2022-07-14)

組織のダイナミックな変容はしばしばドメインの定義に関連しているといわれる.しかし,その関係の分析的な議論はほとんど存在していない.本稿では通常のドメインに代えて,より広いドメイン・ユニバースという新しい概念を導入し,独自の組織変動論を展開している.
著者
高田 昭彦
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.55-66, 1986 (Released:2022-07-14)

今やネットワークを論ずることはブームであり,産業組織の新しい形態としても,市民運動の新たな戦略としても大きな期待が寄せられている.では,「組織」万能の現代になぜ「ネットワーク」が注目されるのか.この本質的問題は,従来の社会的ネットワーク論や組織関連分析では捉えられない.本稿では,草の根運動における連合形成に焦点を合わせて,ネットワークとは,理念的にも組織的にも既存の産業社会に対するオルターナティヴであることを明らかにしていく.
著者
今井 賢一
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.2-12, 1986 (Released:2022-07-14)

社会学,経済学,経営研究,および運動論としてのネットワーキング論において提出されている「ネットワーク組織」の概念,および内容を,インターディシプリーな観点から考察し,各分野の諸研究の間に概念共鳴というべきものを見出しうるか否かを検討する. 展望論文であると同時に,その内容との関連で筆者独自の「取引コスト」に関する考察を行い,また「ネットワーク論集」という概念を示す.
著者
野中 郁次郎
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, pp.79-90, 1987 (Released:2022-07-14)

戦略論に対する合理的アプローチとプロセス・アプローチの両者を総合する分析視角として,生成するプロセスそのものとしての戦略という概念が提唱される.戦略を,情報の絶えざる創造から創発するプロセスと捉えた上で,情報概念を再検討し,形式情報と意味情報の特性が明らかにされる.さらに組織と集団,個人の各レベルに固有の情報創造の方法論について考察し,レベルを超えた動的協力現象を促進する要因を分析する.これらの議論を通じて最後に,直観を戦略に取り込む方法を考察する.
著者
加護野 忠男
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, pp.68-78, 1987 (Released:2022-07-14)

本稿では,コンティンジェンシー理論以降の組織研究を検討し,そこにみられる新しいパラダイムの崩芽を探る.新しいパラダイムとして,組織認識論が提唱される.組織認識論は,コンティンジェンシー理論の基礎であった情報処理モデルにおける情報の概念にかわって,「意味」を鍵概念として展開される理論であり,集合的な認識過程という観点から組織現象を捉えようとするものである.本稿では,組織認識論の基本的なパースペクティブが明らかにされる.
著者
富永 健一
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, pp.45-55, 1987 (Released:2022-07-14)

組織学会25年の歴史はバーナード理論への熱烈な関心からスタートし,それがしだいに組織-環境の枠組によってとって代わられてきたと要約し得る.しかし,組織の社会学理論にとっての中心問題の一つが,メゾ水準での組織の機能的要件問題と,ミクロ水準での個人の欲求充足問題との分離にある事情は25年前も現在も変わりがない.これについてのバーナードの二元論的な理論化の意義を再検討する.
著者
河合 忠彦
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.54-66, 1987 (Released:2022-07-14)

日本経済の戦後の好パフォーマンスの重要な一因は「企業間での競争と協調の適切なミックス」が実現したことだが,そのようなミックスの実現に際し,財界組織,ことに経団連が重要な役割を果した.また,それが可能となったのは,企業,業界・財界組織,政府等を主要な構成主体とする日本の産業システムが,エリート的,各主体の高い自律性,および構造的安定性,等のユニークな属性を有していたためであった.
著者
岡田 了祐
出版者
日本教科教育学会
雑誌
日本教科教育学会誌 (ISSN:02880334)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.103-116, 2015 (Released:2020-01-26)
参考文献数
11

本稿の目的は,多様な子どもの学びを捉える構築型評価モデルを使って,典型的な社会科授業の一つである概念的社会認識形成型社会科,その中でも概念の構築型授業における子どもたちの社会認識形成過程について理論的な説明をすることにある。当該授業では5つの認識類型が混在しており,各類型から1名ずつ抽出し,上記のモデルを使って個々の認識形成過程を分析した上でそれらを比較考察した。その結果,自他の観点の比較による因果の関連づけの有無が飛躍とつまずきの分岐点となることが当該授業における認識形成過程の特質として浮上し,それを踏まえ指導を検討した。本稿の意義は以下の4点である。①当該授業における5つの認識類型を見いだし,個々の認識形成過程を実証した点。②当該授業における個々の認識形成過程が異なる理由を実証した点。③認識形成過程の評価の具体を示した点。④目標論のみの評価では捨象される子どもの学びを明らかにした点。
著者
小林 敏男
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.64-72, 1987 (Released:2022-07-14)

リーダーシップを含めて諸現象を認識する主観=自我は超越的には存在せず,間主体的な相互作用が取り交わされていくうちに,事後的に形成されるのであり,こうした認識主観の形成原理を調べることによってこそ,リーダーシップ論の認識論的現実妥当性が確保されるのみならず,そもそも主体間での関係の一形態であるリーダーシップのエイドスを見出すことができるのである.極言すれば,リーダーシップがなければ主体における主観=自我は明確には形成されないのである.
著者
榊原 清則
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.34-42, 1987 (Released:2022-07-14)

成熟を脱却し新たな成長可能性を模索するなかで,日本企業は新しい型の戦略を展開している.それは国際ネットワーク戦略であり,それとともにネットワーク型の組織も現われている.本稿では日本企業のグローバリゼーションにかかわるこのような最近の現象を概観し,その問題点を検討する.
著者
金井 一賴
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.32-42, 1987 (Released:2022-07-14)

既存の組織知識の転換や新しい組織知識の創造は,企業家的活動なしには実現できない.本稿では,中小組織における企業家のリーダーシップに焦点をあわせ,それを組織学習の視点から,具体的な事例をもとに分析していくことにする.そして,この分析に基づいて,中小組織の企業家的リーダーシップの主体や方法およびそれが組織学習にどのような影響を与えているかということを明らかにしたい.
著者
大畑 裕嗣
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.10-18, 1987 (Released:2022-07-14)

現代の社会運動のリーダーシップは,復活しつつある群集心理学によっても,またマルクス主義組織論によっても十全に把握することはできない.新たな運動リーダーシップ論の礎石を,従来,利益集団論で主として用いられてきた政治的企業家モデルに求め,集合行為の生成に際して政治的企業家がとる戦略的リーダーシップ・モデルの素描を行う.同時に,このモデルの運動論としての射程の限界にもふれる.
著者
桑田 耕太郎
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, pp.43-54, 1988 (Released:2022-07-14)

組織変革の理論には,戦略行動をうみだす組織の主体的側面が組み込まれなければならない.本稿ではまず組織の主体的側面を組織文化の次元においてとらえ,それと戦略行動とのダイナミックな関係を記述する枠組みとして,デザイン・パースペクティブが提唱される.次いでこの枠組みを用いて組織変化の理論モデルを構築,簡単な事例による説明を経て,組織変革における主体的―連続的側面の重要性を指摘する.
著者
加護野 忠男
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.50-59, 1988 (Released:2022-07-14)

この論文では,組織の変動を認識進歩の過程として分析する.まず,これまでの組織変動論が批判的に検討され,組織変動と認識進歩の多様な形態が識別される.さらに,既存の認識進歩の方法論のなかでの組織変動と,新しい認識進歩の方法論の獲得をともなうような組織変動の2種類が存在することが明らかにされ,ある種の組織変動の難しさは,認識進歩の新しい方法の獲得の難しさからもたらされることが明らかにされる.