著者
藤田 英美 加藤 大慈
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.325-337, 2008-09-30 (Released:2019-04-06)
被引用文献数
2

近年、統合失調症患者の体重増加の問題が指摘されている。それに対してさまざまな栄養・運動管理プログラムが行われているが、その効果を長期的に検討した報告は少ない。そこで、精神科デイケアを利用中の統合失調症患者を対象に、10セッションで構成される栄養・運動管理プログラムを実施し、その(1)実施前、(2)実施後、(3)2か月後、(4)6か月後、(5)12か月後に、身体指標として体重とbodymassindex(BMI)、認知指標としてHealthyEatingSE尺度、行動指標として食事記録、日常的な食生活および運動生活の評価を用いて、効果の検討を行った。その結果、12か月後まで追跡調査を行うことができた5例全員において、プログラム終了の12か月後には体重、BMI、食生活の自己管理に対するセルフエフィカシー、食生活の改善を認めた。その一方で、運動生活の改善は持続せず、プログラムを定期的に実施して関心を促すなどの工夫が必要と考えられた。
著者
油谷 藍子 仲谷 正 尾崎 麻子 山口 之彦 山野 哲夫
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.85-91, 2022-04-25 (Released:2022-06-01)
参考文献数
9
被引用文献数
1

2013年から2018年に大阪市内で購入した魚介加工品112検体について,加熱気化水銀計を用いて総水銀を測定した.その結果,マグロ加工品の総水銀濃度は平均0.115 µg/g(中央値0.070 µg/g)であった.中でもビンナガマグロを原材料とした加工品の総水銀濃度は高く,平均0.301 µg/g(中央値0.296 µg/g)であった.今回調査した魚介加工品の総水銀濃度はマグロ類を原材料とした加工品および混合削り節(サバ,イワシおよびアジの削り節)を除いて概ね低く,0.1 µg/g未満であった.今回の調査結果と日本人の平均的な食生活での魚介加工品摂取量から推定した体重50 kgの人の総水銀摂取量は0.13 µg/kg体重/週であり, FAO/WHO合同食品添加物専門家会議が評価した総水銀の暫定的耐容週間摂取量4.0 µg/kg体重/週の3.3%に相当する量であった.以上より魚介加工品の摂取は通常の摂食では問題ないが,妊婦が総水銀濃度の比較的高いビンナガマグロを原材料としたツナ缶を日常的に摂食した場合には食品安全委員会が評価した妊婦に対するメチル水銀の耐容週間摂取量(2 µg/kg体重/週)を超過する可能性が示唆された.
著者
初宿 正典
出版者
京都大学 (Kyoto University)
巻号頁・発行日
2015-11-24

新制・論文博士
著者
吉田 健太郎
出版者
日本哲学会
雑誌
哲学 (ISSN:03873358)
巻号頁・発行日
vol.1995, no.45, pp.193-202,5, 1995-04-01 (Released:2009-07-23)

Mathematical truths are distinct from natural laws both epistemologically and ontologically. But this distinction does not make mathematics kinds of form or convention as logical positivistsdid. Mathematical truths have their own reality independent of physical substances, which is evident fact that Descartes takes Platonic stand on mathematics. So, the part of mathematics in physics is not the negative one such as data-regulating function, but the positive one which imposes the reality on nature. In that sense, mathematical truths come to have the power producing the reality. When I say "naturalisation of mathematics" I mean such an active and efficient side of mathematics.
著者
澁谷 智子
出版者
一般社団法人 日本社会福祉学会
雑誌
社会福祉学 (ISSN:09110232)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.70-81, 2014-02-28 (Released:2018-07-20)
被引用文献数
3

一般に,子どもは保護されケアされる対象と考えられているが,家族の状況によっては子どもが大人並みのケア役割を果たすことがあり,こうした子どもたちはヤングケアラーと呼ばれている.本稿では,医療福祉専門職がヤングケアラーをどう認識しているか,こうした子どもがどれほどの頻度でみられるのかを知るために,東京都医療社会事業協会の全会員に質問紙調査を実施した.回答者402人のうち,35.3%は子どもが家族のケアをしていると感じた経験をもち,親の病気や入院,ひとり親家庭であることなどをヤングケアリングの理由として挙げた.全体的に,ケアを担う子どもに対する回答者の関心は高かった.しかし,そうした子への支援方法は確立しておらず,個々の医療福祉専門職が現場で試行錯誤していることも浮き彫りとなった.