著者
小野 厚夫
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.46, no.6, pp.612-616, 2005-06-15

情報は日本で作られた言葉で、1876年出版の酒井忠恕訳『佛國歩兵陣中要務實地演習軌典』に最初の用例があり、その原語はフランス語のrenseignementである。初期には情報と状報が併用されていたが、ほどなく情報に統一された。はじめは兵語として用いられていたが、日清、日露戦争の記事で新聞用語として定着し、一般化した。第二次世界大戦後は英語のinformationの日本語訳として用いられ、科学的に取り扱われるようになった。

199 0 0 0 OA 刺客岡田満

著者
真継雲山 著
出版者
大陸出版社
巻号頁・発行日
1920

47 0 0 0 OA 教育勅語衍義

著者
重野安繹 著
出版者
小林喜右衛門
巻号頁・発行日
1892
著者
田中 久美子
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.1_127-1_137, 2015-04-20 (Released:2016-01-07)
参考文献数
31

本研究は,日本の専門看護師(certified nurse specialist:CNS)が役割を獲得するまでの内面的成長プロセスを明らかにすることを目的に行った。研究協力を得られた11名のCNSを対象に半構造化面接を行い,その内容を質的に分析した。 その結果,対象者のCNSとしての内面的成長プロセスは,時間軸に沿って,①コンフリクトの時期,②精製の時期,③創出の時期,④発展の時期の4段階に分類することができた。対象者は,当初曖昧な役割認識のなかで悩み,周囲に支えられながら,自分自身のCNSとしてのあり方を深くかえりみる作業を繰り返し,やがて役割獲得の感覚を得ていた。そこまでにおおむね3年の月日を要していた。その後も経験と努力を積み重ね,6~10年という時間をかけて,自分なりの確固としたCNSの役割を獲得していた。 この成長プロセスを通して,CNSの大学院教育のあり方の検討,初任者のCNSに対するサポートの必要性,組織とCNSの関係の構築の必要性に関して看護の示唆を得た。
著者
安田元久編
出版者
新人物往来社
巻号頁・発行日
1985
著者
髙田 祐介
出版者
佛教大学歴史学部
雑誌
歴史学部論集 (ISSN:21854203)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.55-78, 2016-03-01

本稿では、明治維新直後に生じた外交問題として知られる、堺事件とその「殉難者」の近代日本における顕彰過程に焦点をあてた。近代という時間軸を通してこれを跡づけた場合、国家による評価の揺らぎや、ときに国家との相克を伴う地域の顕彰活動および歴史像の形成が析出された。それとともに事件現場の堺のみならず事件当事者の出身地である高知あるいは中央の政治家など、広範な顕彰主体の存在と時々の情勢に沿ったその変遷という顕彰の推移が明確となり、特に靖国合祀に至る経過を、初めて実証的に解明した。明治維新堺事件殉難者顕彰靖国神社合祀

6 0 0 0 OA 一平全集

著者
岡本一平 著
出版者
先進社
巻号頁・発行日
vol.第7巻, 1930
著者
小野田 慶一
出版者
日本生理心理学会
雑誌
生理心理学と精神生理学 (ISSN:02892405)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.231-238, 2015-12-31 (Released:2017-03-08)
参考文献数
20
被引用文献数
6

脳は複雑なネットワークであり,特性や状態によって変化する動的な存在である。グラフ理論解析により,こうした脳ネットワークを神経生物学的に有意義な,かつ計算の簡単な指標によって特徴づけることが可能である。本稿では,脳の結合データからネットワークを構築する手法に関して議論し,脳機構の機能分離,機能統合,中心性などを定量化するネットワーク指標を説明する。最後に,グラフ理論解析に用いられるツールを紹介する。
著者
道下 竜馬 太田 雅規 池田 正春 姜 英 大和 浩
出版者
公益社団法人 日本産業衛生学会
雑誌
産業衛生学雑誌 (ISSN:13410725)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.11-20, 2016 (Released:2016-02-18)
参考文献数
30
被引用文献数
1 2

目的:近年,運動負荷試験中の過剰な収縮期血圧の上昇が将来の高血圧や心血管病の新規発症と関連することが多数報告されている.本研究では,勤労者の職場環境や労働形態,労働時間,睡眠時間,休日数と運動負荷試験中の収縮期血圧の反応との関係について横断的に検討した.対象と方法:某市の健康増進事業に参加した者のうち,安静時血圧が正常であった労働者362名(男性79名,女性283名,平均年齢49.1歳)を対象とした.自転車エルゴメータを使用して3分毎に10–30 wattsずつ漸増する最大下多段階漸増運動負荷試験を実施し,各負荷終了1分前に血圧を測定した.Framingham Studyの基準に準じ,運動負荷試験中の収縮期血圧の最大値が男性210 mmHg以上,女性190 mmHg以上を過剰血圧反応と定義した.また,自記式質問票を用いて,職場の有害環境や労働形態,労働時間,睡眠時間,休日数,通勤時,仕事中の身体活動時間,余暇時の運動時間について調査した.結果:362名中94名(26.0%)に運動負荷試験中の過剰な収縮期血圧の上昇が認められた.有害環境や労働時間,睡眠時間,休日数,通勤時の身体活動時間別による過剰血圧反応発生の調整オッズ比について検討したところ,過剰血圧反応発生と関連する要因は,労働時間が1日10時間以上,睡眠時間が1日6時間未満,休日数が週1日以下であった.労働時間,睡眠時間,休日数を3分割し,それぞれの組み合わせによる過剰血圧反応発生の調整オッズ比について検討したところ,労働時間が長く,睡眠時間,休日数が少ないほど,過剰血圧反応発生の調整オッズ比が有意に高かった.まとめ:本研究の結果より,労働時間が長く,睡眠時間や休日数が少ない勤労者は,将来の高血圧や心血管病発症,過労死防止のため,日常生活や職場,運動負荷時の血圧変動を把握することが重要であると考えられる.
著者
奥田 圭 田村 宜格 關 義和 山尾 僚 小金澤 正昭
出版者
日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.109-118, 2014-11-30

栃木県奥日光地域では、1984年以降シカの個体数が増加し、1990年代後半から植物種数が減少するなど、植生にさまざまな影響が生じた。そこで当地域では、1997年に大規模な防鹿柵を設置し、植生の回復を図った。その結果、防鹿柵設置4年後には、柵内の植物種数がシカの個体数が増加する以前と同等にまで回復した。本研究では、防鹿柵の設置がマルハナバチ群集の回復に寄与する効果を検討するため、当地域において防鹿柵が設置されてから14年が経過した2011年に、柵内外に生息するマルハナバチ類とそれが訪花した植物を調査した。また、当地域においてシカが増加する以前の1982年と防鹿柵が設置される直前の1997年に形成されていたマルハナバチ群集を過去の資料から抽出し、2011年の柵内外の群集とクラスター分析を用いて比較した。その結果、マルハナバチ群集は2分(グループIおよびII)され、グループIにはシカが増加する以前の1982年における群集が属し、シカの嗜好性植物への訪花割合が高いヒメマルハナバチが多く出現していた。一方、グループIIには防鹿柵設置直前の1997年と2011年の柵内外における群集が属し、シカの不嗜好性植物への訪花割合が高いミヤママルハナバチが多く出現していた。これらのことから、当地域におけるマルハナバチ群集は、防鹿柵が設置されてから14年が経過した現在も回復をしていないことが示唆された。当地域では、シカが増加し始めてから防鹿柵が設置されるまでの間、長期間にわたり持続的にシカの採食圧がかかっていた。そのため、柵設置時には既にシカの嗜好性植物の埋土種子および地下器官が減少していた可能性がある。また、シカの高密度化に伴うシカの嗜好性植物の減少により、これらの植物を利用するマルハナバチ類(ポリネーター)が減少したため、防鹿柵設置後もシカの嗜好性植物の繁殖力が向上しなかった可能性がある。これらのことから、当地域における防鹿柵内では、シカの嗜好性植物の回復が困難になっており、それに付随して、これらの植物を花資源とするマルハナバチ類も回復していない可能性が示唆された。
著者
井原 今朝男
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Japanese History (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.121, pp.1-42, 2005-03-25

本稿は、あらたに発見された長野市の守田神社所蔵の新史料『鉄炮之大事』とセットで伝来した『南蛮流秘伝一流』の史料を翻刻・紹介するとともに、中世における技術と呪術の相関関係を考察したものである。第一に、『鉄炮之大事』は、天正十九年から、文禄三年、文禄五年、慶長十年、元和元年までの合計十五点の文書群である。これまで最古とされる永禄・天正期の火薬調合次第とほぼ同時代のものから、文禄・慶長・元和という江戸初期への移行期までの変遷を示す史料としては、稀有な史料群である。しかも、これまで知られている大名家と契約をとりかわした炮術師の炮術秘伝書よりも古い史料群であり、民間の地方寺社に相伝された修験者の鉄炮技術書としては、最古ではじめての文書群である。第二に、『南蛮流秘伝一流』は『鉄炮之大事』とセットで相伝されたもので、その内容は南蛮流炮術の伝書ではなく、戦傷者などの治療技術を記載した医書である。鉄炮の技術と医術とがセットで相伝・普及されたことが判明した。傷の治療法として縫合術や外科手術法が相伝されており、内容的にポルトガル医学だけではなく、室町期に日本で独自に発達した金瘡医学の要素が強く、両者の混在を指摘した。第三に、『鉄炮之大事』『南蛮流秘伝一流』には、火薬調合や膏薬製造など技術的薬学的知識が、呪法や作法によって神秘化・儀礼化され、呪術的性格をあわせもっていた。実践的戦闘法として活用された戦国期に近い天正・文禄年間ほど、技術的要素が濃厚であり、慶長・元和年間の近世社会になるほど、呪術的性格を強化しているという逆転現象を指摘した。
著者
福田 安佐子
出版者
京都大学大学院人間・環境学研究科共生人間学専攻
雑誌
人間・環境学 (ISSN:09182829)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.55-68, 2016

ゾンビとは, 歩く死者, 生きている死者と呼ばれ, それは, 腐敗した身体を引きずってのろのろと動き, 集団で人問に襲いかかる.噛み付かれた人間は, 生きたまま肉体を食われるか, うまく逃げたとしても, 自らがゾンビへと変化し, 理性や感情を失い, 他の人間を襲いはじめる.このようなゾンビ像は, 1970年を前後して.ジョージ・A・ロメロ監督の『ナイト・オブ・ザ・リピングデッド5をはじめとする三部作の世界的なヒットによって生み出された.しかしながら, 2002年以降のゾンビ映画は, そのより凶暴な特徴により〈走るゾンビ〉や〈ゲームゾンビ〉と呼ばれ, 従来のものとは異なるものとして説明されている. 木稿では, ゾンビ映画史を振り返りながら, 1930年頃に西カリブ諸島を舞台に生み出されたゾンビが, ロメロの作品によって, その造形と物語構成の点でいかに変容したかを説明する.この時, ロメロゾンビとは, 前述の特徴に加え, 人間に似た怪物, という特徴を獲得していた.一方で, ロメロゾンビは当時のホラー映画におけるゴアジャンルの影響を受けることで, より残虐性を増したまた別のゾンビ像を形成した, つまり, 人問に似た怪物としてのゾンビと, 腐敗しよりグロテスクなゾンビである.双方はともにそれぞれの仕方で観客の恐怖を煽った.く〈走るゾンビ〉においては, この二種類のゾンビが様々な仕方で一つの映画の中に共存している, この共存の特殊な事態にこそ〈走るゾンビ〉の特異性が存在することを明らかにする. We know what zombies are. They are referred to as the "walking dead" or "living, dead". They have started to decompose, zombies walk in a tottering. manner, and they attack humans en masse for flesh meat. If a zombie attacks someone, that person will either be eaten alive or if he is lucky to escape, the victim himself will transform into a zombie and start to attack others. Such an image of zombies was rendered around the 1970's, by the Zombie trilogy filmed by George Andrew Romero (Night of the Living Dead, Dawn of the Dead and Day of the Dead). However, zombie films produced after 2002 portray them in another way. Zombies in these films arc called "running zombie" or "game zombie" and it is explained that they are vastly different from Romero's zombies. In this paper, we reconsider the historical view of zombie films and how zombies, who were in fact born in the West Indian nation of Haiti around 1930, have transformed in terms of representation and narrative thanks to the influence of Romero's works. Romero's zombies, in addition to the above-mentioned features, were human-like monsters. Furthermore, the effect of the gore genre, where Romero's zombies are also classified, created another image of the zombie : the one with more brutality and blood-shed. These two types of zombies, one as a human-like monster and another more grotesque and bloody, exist in their own works and frighten audiences in their own ways. Yet, in works containing "running zombie", these two types of zombies co-exist in the same film in various ways. It is in this special co-existence that a specificity of the "running zombies" is found.
著者
菱田 信彦
出版者
東京女子大学比較文化研究所
雑誌
東京女子大学比較文化研究所紀要 (ISSN:05638186)
巻号頁・発行日
vol.78, pp.59-76, 2017

Elves and goblins in J. K. Rowling's "Harry Potter" books seem to be rather different from their traditional images we see in British folktales. Rowling's elves are pathetic, hardly able to act for their own sake, delighted only when they are treated well by witches and wizards. On the other hand, goblins are clever and assertive, and always stick to their goals. In Harry's last battle with Voldemort told in the seventh book, a goblin, Griphook, plays a crucial part. It seems that in Rowling's works goblins are given more positive roles than elves, which is not the case in most traditional folktales. However, learning to be kind to house-elves is also very important for Harry, because house-elves work best for those who are kind to them, and acquiring their help means a lot in the battles Harry fights. In the seventh book, Harry digs a grave for Dobby, the house-elf who has died to save him. Harry does this just for Dobby's memory, not to get help from house-elves. This selfless service of Harry's moves Griphook, usually a stubborn and defiant goblin, and he agrees to join forces with Harry in his task to defeat Voldemort. Elves and Goblins described in Rowling's works show that just being kind can change the world.