著者
小田 裕昭
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01 (Released:2016-04-21)

栄養・運動・睡眠は健康の要である。この3つの要素は生物時計という観点で見ると、統合的に制御できると考え、臓器間時計ネットワークの同調を介して代謝を正常化させて健康に結びつけるための分子的基盤を明らかにすることを目指す。現代社会では、肝臓時計の乱れによる代謝異常だけでなく、24時間社会による脳時計異常による睡眠障害、運動不足による筋肉時計異常による筋委縮など各臓器の異常が指摘されている。シフトワーカーに限らず仕事柄不規則な生活をせざるを得ない人では、3つの要素が乱れ(脱同調)、生活習慣病の罹患者が多い。そのため特に、摂食タイミングを生物時計のキー同調因子として、脳時計と肝臓時計、筋肉時計のネットワークの同調(脱同調)機構を明らかにする。まずは摂食リズム崩壊モデル動物を用いて、摂食リズムの崩壊が肝臓の時計遺伝子ならびに脂質代謝関連遺伝子の発現を異常にさせるメカニズムを検討した。これらの異常が転写レベルで起きているのか検討する目的で、成熟mRNAのプロセッシングを受ける前の新生mRNA量を測定することにより、転写速度とした。そうしたところ、ほとんどのmRNA量の変化は転写レベルで制御されていることが分かった。しかし、転写レベル以降の、たとえばmRNAの安定性によりリズムが形成される遺伝子もあることを見出した。これは、新しい概日リズムの制御機構である。それが食事によって影響を受けることは新しい知見である。筋肉の時計を見るために、生活不活動モデルラットを用いて筋肉時計と筋肉活動、筋萎縮の関係を調べた。この実験は、食事による筋肉時計へ与える影響を調べるための基礎的実験として行った。生活不活動モデルラットの筋肉は萎縮し、筋肉時計にも異常が生じることが分かった。さらに筋細胞の分化に関わる転写因子群が筋肉特異的な時計遺伝子として機能している可能性も分かった。
著者
大石 恵子 村上 真基 綿貫 成明 飯野 京子
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.245-250, 2018 (Released:2018-08-16)
参考文献数
12

【目的】緩和ケア病棟併設のない病院の療養病棟での緩和ケアの実態を明らかにし,療養病棟における緩和ケア推進のための課題を検討する.【方法】東京都の211の療養病棟管理者へ無記名自記式質問紙調査を行った.医療用麻薬の管理と使用実態,緩和ケアに習熟した医師・看護師の存在,がん患者の受け入れ体制,非がん緩和ケアへの認識,療養病棟での緩和ケアにおける困難について質問した.【結果】55施設から回答を得た.89.1%ががん患者を受け入れ医療用麻薬も使用可能だが,緩和ケアに習熟した医師がいる施設は32.7%であった.7割以上が非がん緩和ケアを重要視し取り組んでいた.緩和ケアに習熟した医師のいない施設では,専門知識・技術,麻薬投与,苦痛緩和についての困難感が有意に高かった.【結論】多くの療養病棟でがん・非がん緩和ケアに取り組みつつ,困難感も抱えている.緩和ケアに習熟した医師の存在は困難感を低減させる可能性が示唆された.
著者
山中 亮一 上月 康則 野上 文子 魚谷 昂一郎 三好 真千 五島 幸太郎
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.I_1206-I_1210, 2012 (Released:2012-11-15)
参考文献数
12

Mytilus galloprovincialis (mussel) is a dominant species that attach to seawalls in eutrophied enclosed ports in Japan. Mussel drop-off occurrs every summertime causing sediment contamination at the sea bottom. To avoid the occurrence of mussel drop-off, we suggest to harvest an attached mussel just before the drop-off and composting it. To predict the occurrence of the mussel drop-off, we have to investigate it's biological reaction to influential factors, especially water quality variation. Therefore, we conduct the field observation and reaction experiment of mussels. As a result, we clarified that adhesion characteristics of mussels are affected by the pattern of water quality variation and caused by internal seiche which improves the number of byssus of the mussels.
著者
須藤 守夫 須藤 礼子 雑賀 優
出版者
日本花粉学会
雑誌
日本花粉学会会誌 (ISSN:03871851)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.17-24, 2011-06-30 (Released:2018-03-30)
参考文献数
11

盛岡市のスギ・ヒノキ花粉飛散数を予測するために,花粉飛散数と前年夏の気象要因の関係を詳細に調べると共に,複数の気象要因を用いた重回帰分析により,より精度の高い予測式について検討した.盛岡市における25年間のスギ・ヒノキ花粉総飛散数と,盛岡地方気象台の観測値である夏季の7気象要因との関係を,7月1日から10日ずつずらした7月,真夏I,真夏II,8月のそれぞれ31日間のデータで調査した結果,年間あたり3,350個/cm^2以上の大量飛散年では真夏IIで25年間平均値より約2℃高く,同1,000個以下の小量飛散年では逆に約2℃低かった.単相関では7月21日から8月10日の真夏IIの時期に,前年-前々年の最高気温年次差との間に最も高い正の相関が認められ,相対湿度との間にも比較的高い負の相関が得られた.真夏IIで最高気温年次差,全天日射量,相対湿度を説明変数とする重回帰分析を行なった結果,R^2=0.86の高い精度の予測式が得られた.

56 56 56 21 OA 埋忠銘鑑

著者
刀剣会本部 編
出版者
刀剣会本部
巻号頁・発行日
1917
著者
岡部 祐介 友添 秀則 春日 芳美
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
体育学研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
pp.1203240225, (Released:2012-04-03)
参考文献数
40

Konjo is the willpower necessary to endure suffering, and for making an effort, having become a word in daily use in society, as well as in sports. The purpose of this study was to clarify the opportunity and the factors responsible for the transformation of konjo in Japanese society in the 1960s. Our study focused on three points: 1) Clarifying how the meaning of the word konjo changed in the 1960s, from its dictionary definition and usage in newspaper articles. 2) Clarifying the situation in which konjo became popular through the Tokyo Olympic Games, and its spread to the sports community and to society. 3) Considering the factors responsible for the transformation of konjo, and to propose a hypothesis that could account for it. Our conclusions were as follows: 1) The meaning of konjo evolved from a negative context of “a fundamental character and mindset with which a person is born” to a positive context of “a strong, resilient character that cannot be suppressed” and “a strong motivation to accomplish an aim” at the beginning of the 1960s. 2) Konjo was considered to the spiritual keynote for athletes at the Tokyo Olympic Games. Hirobumi Daimatsu's “konjo theory” had the persuasive reason by winning “Oriental Witches” championship at the Tokyo Olympics. In view of these factors, we considered that konjo was interpreted as a popularized moral virtue by society, and impacted on both education and popular culture. 3) We considered that the concept of konjo became transformed and was used to promote competitiveness in sports at the Tokyo Olympics as part of the strategy for “character building”. It also played a role in bolstering human resources that played a key role in economic development during the 1960s, and thus was of strategic value. The considerations listed above show that the Tokyo Olympic Games played an important role in the transformation of the concept of konjo in the 1960s.
著者
藤田 昌也 松見 淳子 平山 哲
出版者
一般社団法人日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.195-204, 2011-09-30

本研究は、最重度知的障害を伴う自閉症成人女性に対して、1時間単位の時計の読みと時系列の順序を指導した事例研究である。対象者は、28年間施設を入所利用し、)し2年から重症心身障害児施設を入所利用する41歳の最重度知的障害を伴う自閉症のある女性である。モデル提示、弁別訓練、プロンプトを用いた約30分の指導セッションを45試行、フォローアップを5試行実施した。介入の結果、アセスメントでは7以上の数字を読むことができなかった対象者が、段階的な指導を行うことにより1時間単位の時計の読みと時系列の順序を獲得することができた。3カ月半後のフォローアップでは時計の読みスキルの維持と他の時計への般化も確認された。本研究の結果から、段階的な行動的支援方法を用いることにより、最重度知的障害を伴う自閉症成人に対して、日常生活に応用可能な新たなスキルを形成できることが示された。
著者
須賀 晶子
出版者
独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター)
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01 (Released:2015-04-16)

成熟した神経細胞には再分裂能がなく、成体神経組織に存在する幹細胞の分裂は非常に限られているため、中枢神経組織の障害は回復が非常に困難である。網膜では神経細胞が障害されるとミュラーグリア細胞が増殖を開始し、神経細胞へと分化することが示されているが、増殖・分化能は動物種によって非常に異なっている。例えば魚類は大部分のミュラーグリア細胞が増殖して網膜全層が再生されるのに対して、マウス・ラットといった哺乳類を用いた実験では一部のミュラーグリア細胞のみが増殖し、分化する神経細胞の種類も限られている。内在性細胞による神経細胞の再生は将来的には神経変性疾患の進行抑制につながると期待され、また組織内での分化細胞の維持機構の理解がより深まると期待される。本研究は遺伝子を導入によりミュラーグリア細胞の増殖および神経細胞の再生を促進することを目指して行っており、当初は成体マウスの網膜をモデルに使う予定だった。しかし成体網膜組織への遺伝子導入効率が低く導入遺伝子による影響の確認が困難だったこと、また生後2週間以内のマウス網膜に対するin vivo 遺伝子導入でミュラーグリア細胞の増殖と神経細胞への分化促進が報告されたことから、本年度はラットミュラーグリア細胞由来の細胞株と幼弱マウス組織を用いて遺伝子導入による細胞増殖への影響を検討した。ミュラーグリア細胞株に対してこれまでに検討した候補遺伝子からは、既に先行研究があるAscl1の増殖促進作用をさらに大きく変える因子は得られなかった。
著者
中村 博一
出版者
文教大学大学院言語文化研究科付属言語文化研究所
雑誌
言語と文化 = Language and Culture (ISSN:09147977)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.256-271, 2011-03-01

Ninja is said to be the ancient warrior originated in Japan. Nowadays its transnational emerging has been seen globally, even in Sokoto, northern Nigeria where I have conducted field research for Nollywood kungfu film since 2001. In this article, I trace some transnational process of ninja representation outside Japan and consider ways to transform global image into a localized ninja/ninjoji of Sokoto.
著者
山口 哲生
出版者
日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会
雑誌
日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会雑誌 (ISSN:18831273)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.7-10, 2014-10-10 (Released:2015-02-02)
参考文献数
7

サルコイドーシス治療において,抗菌薬,免疫抑制剤,吸入ステロイド薬は,各々有効率は低いものの明らかに有効な例が存在することは確かである.抗菌薬の中ではドキシサイクリンが最も使いやすく,隆起性の皮膚病変や筋肉病変などに有効性が高いが肺野病変やBHLにはほぼ無効である.メトトレキサートは単剤治療でも肺野病変やBHLにも有効な例がある.フルチカゾンの吸入は末梢型肺野病変例には無効であるが中枢型病変例では有効例がある.経口ステロイド治療では症例に応じて少量ステロイド,十分量ステロイド治療を使い分ける.本症の全身症状は,不定愁訴と考えずに本症特有の治療の対象となる病変と考えるべきであり,ステロイド薬や抗菌薬が有効な例がある.