著者
LOWE David J. PITTARI Adrian
出版者
公益社団法人 東京地学協会
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.130, no.1, pp.117-141, 2021-02-25 (Released:2021-03-18)
参考文献数
122
被引用文献数
2 3

西暦232 ± 10年の晩夏にニュージーランド北島タウポ火山で起こった噴火は,過去5,000年間において地球上で起こった噴火のなかでもっとも強力なものであった。噴火は数日から数週間継続し,5つの明確な降下火砕堆積物(ユニットY1~Y5)に続いて,非常に爆発的な噴火による低アスペクト比イグニンブライト(ユニットY6)が堆積した。降下火砕堆積物の内,ユニットY1,Y3およびY4は水蒸気プリニー式噴火によって形成され,Y2とY5はプリニー式噴火であった。Y5とY6は一連の噴火で形成され,非常に強いY5噴火による噴煙柱は高度35-40 kmに達し,それが崩壊することによって非常に高速(600-900 km/h)で高温(最高500°C)の火砕密度流が発生し,ユニットY6が堆積した。このイベントによる堆積物は噴火後十数分で北島中央部の約20,000 km2に及ぶ範囲を覆い尽したと考えられる。また一連の噴火によるマグマ噴出量は約35 km3と見積もられている。この噴火による周辺環境への影響は甚大であり,現代においても農業などの土地利用において火山ガラスを多く含み,コバルトなどの微量元素に枯渇した土壌への対策が必要となっている。
著者
渡辺 理仁
出版者
一橋大学大学院法学研究科
雑誌
一橋法学 (ISSN:13470388)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.299-333, 2021-07-10

In the Byzantine Empire, Roman law had been applied prior to its rediscovery in the twelfth century. However, it is sometimes pointed out that Byzantine law deviate from Corpus Iuris Civilis. The eighth century small code Ecloga is a typical example of that. This begs the question of whether it is appropriate to position Byzantine law definitely in terms of continuity with Roman law or not. In this paper, I provide an overview of Ecloga and examine its divergence from the Principles in Roman Law that have been identified in previous studies. I then translate the related materials and compare the provisions in the Corpus Iuris Civilis and Ecloga, examining the differences between them and presenting some conclusions.
著者
村越 一哲
出版者
日本人口学会
雑誌
人口学研究 (ISSN:03868311)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.19-32, 2009-05-31 (Released:2017-09-12)
被引用文献数
1

旗本の出生力を分析したヤマムラ(1976)は,徳川幕府が開かれて以降200年の間に旗本一人あたりの平均子ども数が著しく低下したと主張している。そしてその原因は,実質所得一定のもとで消費欲求が増大したことから生じた経済的困窮に旗本が直面したことと,階層間移動の減少により所得の増加が見込めず次三男への分知の困難さが増したことにあると説明している(「経済的困窮仮説」と呼ぶ)。この研究の問題点は,適切な方法によって旗本の出生力が求められているとは言いがたいという点である。そこで,本稿は,旗本の出生力を推計し直し,その意味するところを明確にすることを第一の目的とし,推計された出生力が上述の考え方によって説明できるか検討することを第二の目的とした。まず史料として用いる「寛政重修諸家譜」の編纂過程を概観し,そこから標本を抽出する手続きについて説明した。つぎに旗本当主のもうけた男子から,記載漏れの可能性が高い,成人するまえに死亡したと考えられる男子を除いて,旗本当主一人あたりの平均成人男子数を求めた。推計された平均成人男子数は17世紀の間に大幅に低下したが18世紀にはそれほど変化せず,その傾向は19世紀前半まで続いた。そしてその動きは大名家臣のものとほとんど同じであった。また低下後の出生力は旗本の人口を単純再生産する水準以上にあったと推測した。さらに,17世紀における出生力の低下は「経済的困窮仮説」によって説明されないことを示した。そのうえで,17世紀前半まで高かった次三男の召出可能性が世紀後半以降低下してゆき,子どもを多くもうけても彼らに武士社会のなかで生きてゆくことを保証できなくなったことが出生力低下の原因である,という「社会的制約仮説」が旗本にも適用可能であると結論した。
著者
北 明美
出版者
社会政策学会
雑誌
社会政策 (ISSN:18831850)
巻号頁・発行日
vol.5, no.3, pp.38-61, 2014-03-31 (Released:2018-02-01)

「子ども手当」は日本で初めての所得制限をもたない普遍主義的な児童手当制度であった。そこでは旧「児童手当」がもっていた多くの矛盾が解消される方向にむかっていたが,そのことの意義が理解されないまま「子ども手当」は終焉をむかえた。だが,所得制限が復活し,次の段階として年少扶養控除まで復活することは,日本社会におけるジェンダー・バイアスの強化と低所得者に不利な国民の分断につながる。また,児童手当と育児サービスの二者択一の対立関係を前提し,それらの給付を相殺させる政策は,子育て支援の費用の単なる圧縮につながりかねない。真の対立は税に基づく公的保育と普遍主義的な児童手当の組み合わせか,準市場化される保育サービスを育児保険に基づくクーポンで購入するシステムかという選択にある。日本の社会政策とフェミニズムは後者の方向にむかいつつあるかにみえるが,税に基づく普遍主義的な給付という社会手当の意義を無視すべきではない。
著者
丸毛 美樹
出版者
日本笑い学会
雑誌
笑い学研究 (ISSN:21894132)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.19-33, 2015-08-01 (Released:2017-07-21)
被引用文献数
1

2005年から2006年にかけて『ユランズ・ポステン』を発信源として起きた「ムハンマドの風刺画」問題が、今回は『シャルリ・エブド』を中心として繰り返された。この問題をめぐって、「表現の自由」やイスラームに関する様々な議論がわき起こった。本稿では、「表現の自由」をめぐる問題、イスラーム世界の現状、フランス社会におけるムスリムの状況を概観する中で、主として風刺の成立する枠組みという観点から「ムハンマドの風刺画」問題について考察する。今回の事件において問題とすべきなのは「表現の自由」とイスラームという宗教との対立ではない。風刺は弱者を抑圧する力ではかなわない相手(権力者や権威)の悪行や腐敗、矛盾などを暴くために用いられる、機知と悪意の融合した抵抗の表現である。すでに社会的排除に苦しんでいる人々をただ愚弄することのみが目的のように見える、社会的弱者に向けられる悪意の表現は、嘲笑のための表現にしかならない。「ムハンマドの風刺画」はそもそも風刺として成立していなかったのだと言えよう。
著者
森川 高行 永松 良崇 三古 展弘
出版者
一般財団法人 運輸総合研究所
雑誌
運輸政策研究 (ISSN:13443348)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.020-029, 2004-07-30 (Released:2019-05-31)
参考文献数
12

需要予測における誤差要因を解明するため,愛知県小牧市の名鉄小牧駅と桃花台ニュータウンを結ぶ桃花台線ピーチライナーを取り上げ検証した.計画者が4段階推計法を用いて行った需要予測値約31,000人/日は実績値約2,100人/日の約15倍の過大予測であった(比較年:1991年).分析の結果,ニュータウン入居者数の予測誤差による「発生」段階で約1.7倍,分担率曲線の時間移転性や競合路線の未考慮による「分担」段階で約7倍の誤差が確認された.計画者と同じデータを用いて構築した非集計モデルでは,競合路線と予測時点の社会経済属性の前提が適切であれば,予測が実績に大きく近づくことが示された.

22 22 22 0 ACCCM年鑑

著者
全日本CM協議会編集
出版者
三彩社
巻号頁・発行日
1964