著者
青野 那々子 磯谷 海斗 杉山 康貴 中田 有紀 矢野 元暉
雑誌
JpGU-AGU Joint Meeting 2020
巻号頁・発行日
2020-07-04

1.研究の背景今日、マイクロプラスチック(以下、MP とする)による海 洋の汚染が進行している。海洋生物が MP 自体と、それに付 着した有害物質を摂取すると、生物濃縮によって海鳥や人間 の健康にも影響を及ぼす可能性がある。汚染の度合いを調べ るためには MP の量を把握する必要があるが、静岡県内には その計測データが少ない。そこで、高校生でもできる MP の 検出方法を確立し、伊豆半島の周辺の海、川にどの程度 MP があるかどうかを調べた。2.研究の手順①狩野川、静浦ダイビングセンター、静浦漁 港センター、淡島、我入道(狩野川河口)、沼 津港で試料採取を行った。②それらの場所の水をポンプで汲み上げ 315 μmのプランクトンネットを用い、500L ろ過し て浮遊物を採取した。③プランクトンネットに残っていたものを ろ紙でろ過し、乾燥させた。④汲み上げたものには、MP 以外にも草、木、 プランクトンなどの有機物があるため、10% KOH水溶液でそれらを分解させるために、 2日間放置した。⑤2日後、溶液をろ過し、再び乾燥させた。⑥そのサンプルを 30%H2O2水溶液につけ 2 日間放置し、有機物を分解した。⑦2日後、溶液をろ過し、乾燥させた。⑧乾燥したサンプルを双眼実体顕微鏡下で観察し MP を探した。⑨70%NaI水溶液に試料をつけウォーターバスで 60°Cの湯煎をしながら、6 時間以上放置。⑩その後、冷却して、NaIを再結晶させた。 ⑪再結晶させたものの上澄み水溶液と、再結晶した上半分の 結晶と試料を採取した。⑫採取したものを水で薄め、ろ過をし、乾燥させた。⑬⑫をブルーライトで当て、専用眼鏡で観察した。3.研究結果地点 採取日 個数狩野川 9/4 8静浦ダイビングセンター 9/16 3静浦漁港 9/16 2淡島 10/19 2我入道 11/4 5沼津港 11/4 114.現在までの成果 学校の設備では細かすぎると観察できな いのでプランクトンネットの網目を 315μmにし MP の採取に成功した。採取した川 や海の水から有機物等を取り除き、MPを 検出しやすいサンプルを作ることに成功 した。そのサンプルから MP を検出するこ とにも成功した。サンプルにブルーライ トを当てると一部のプラスチックが発光 することが分かった。5.考察高校生でも高校にある設備で伊豆半島及び狩野川に存在す る MP を検出できることが分かった。研究結果から判断する と沼津港以外の海洋より、河川の方が検出された MP の数が 多い傾向にあることからこの地域の海洋汚染の原因は河川 からの MP の流出である可能性が高いことが考えられる。し たがって、海洋汚染を進めないためには河川にごみを投棄し ないことが重要であると考える。また、漁港である沼津港は プラスチックの使用頻度が高いことで検出数が多くなって いると思われる。MP の量は人間生活に深くつながっている と考えられる。6.今後の展望各地点ごとに、検出されたプラスチックの種類を調べる。使 用したプランクトンネットの網目が 315 μmであるため、対 象を 315 μm以下のサイズの MP まで広める。今回の計測では 台風 19 号の後に計測した値も含まれるため、試料の採取を より広範囲で、定点観測を行うようにして伊豆半島海岸域に おける MP の量や流出場所を推定する。また、ブルーライト を用いた MP の検出方法を確立させるほかにブルーライトで は反応しない MP の検出方法を見つける。7.参考文献海岸域におけるマイクロプラスチックの調査手法の確立 http://www.pref.shizuoka.jp/kousei/ko- 510/documents/412slide.pdf8.謝辞静岡県環境衛生科学研究所 平松 祐志様筑波大学 下田臨海センター 佐藤 壽彦様
著者
伊藤 綾香
出版者
東北社会学会
雑誌
社会学年報 (ISSN:02873133)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.51-61, 2016-12-26 (Released:2018-09-25)
参考文献数
11
被引用文献数
1

本稿では,コミューンという起源を持つ「わっぱの会」において,対抗文化的手法がいかに変遷し,それが現在の活動にどのような特質を生み出しているのかを明らかにする. 「わっぱの会」は,障害者入所施設でボランティアを行なった学生が,産業社会化に伴い施設化を進める支配的文化への対抗文化として,街の中でのコミューン建設に着手したことに始まる.そこで経済的問題に直面し,社会福祉法人格の取得という制度化を選ぶが,外面的にそれを受け入れながらも,実際には共同生活での「一つの財布」をもとにした給与体系をつくるなど,独自のありようを模索した.現在の働く場のメンバーは,大小問わず生じるトラブルや衝突を通して「自問自答」しながらより良い働き方を模索し,障害者と「一緒に働く」べきという価値規範を身につけていた.これは必ずしも障害者をめぐる社会的状況に関心のなかったメンバーにも見られた.外面的な制度化の受け入れと独自のあり方の模索は,運動にとっての制度化のジレンマを乗り越えようとする工夫である.「閉じられた」コミューンから「開かれた」働く場への活動様式の移行は,活動に関心の無い人々を受け入れるだけでなく,彼らを,より良い働き方の追求という,変革志向的な活動の担い手として再生産することを可能にしている.こうした,独自の制度の確立という方法での対抗文化の維持は,運動が運動として継続するうえで有用である.
著者
山谷 里奈 望月 公廣 悪原 岳 西田 究 市村 強 藤田 航平 山口 拓真 堀 高峰
雑誌
JpGU-AGU Joint Meeting 2020
巻号頁・発行日
2020-03-13

Off Ibaraki region is located at the southern end of the focal area of the 2011 off the Pacific coast of Tohoku Earthquake (Tohoku Earthquake). A dense network of 32 ocean bottom seismometers (OBSs) was deployed at this region with a station interval of about 6 km from October 2010 (11 OBSs started from February 2010) to October 2011. A large number (> 10,000) of aftershocks following the 2011 Tohoku earthquake were detected by this network. However, precise determination of these hypocenters and focal mechanisms is challenging due to uncertainties of seismic properties of thick sediment layers beneath the seafloor. The P-wave velocity structure has been reasonably constrained by active-source seismic surveys (Mochizuki et al., 2008), but the S-wave velocity structure is still unrevealed despite its importance.To constrain the S-wave velocity of the shallower portion, we apply the ambient noise interferometry to the short-period OBS data in this study. After dividing the data into ten-minute segments, we deconvolve the data with instrumental response function, remove trends, and discard data dominated by seismic events. Then, we apply a one-bit normalization and spectrum whitening. Finally, we calculate cross-correlations for vertical-vertical, radial-radial, and transverse-transverse components to retrieve Green's functions.We measure average phase velocity in the array using spatial auto-correlation method (Aki, 1957; Nishida et al., 2008). The phase velocities of the fundamental Rayleigh, the first-higher Rayleigh, and the fundamental Love modes are 0.5 to 2.5 km/s (in the frequency range of 0.1 to 0.3 Hz), 0.8 to 1.5 km/s (0.17 to 0.3 Hz), and 0.5 to 2.0 km/s (0.25 to 0.1 Hz), respectively. Next, we infer the 1-D average S-velocity isotropic structure by non-linear inversion, whose sensitivity is mainly ~5 km. The results show ~1000 m thick sediment with S-wave velocity of 300–1000 m/s immediately beneath the seafloor. At last, we apply band-pass filter with frequency range of 0.125 Hz and measure travel-time anomaly of the phase velocity in each frequency range, following Nagaoka et al. (2012). We apply non-linear inversion (Rawlinson & Sambridge, 2003) and find low-velocity anomalies in the deeper of the northern part and in the shallower of the center part.
著者
平井 郁子
雑誌
大妻女子大学家政系研究紀要
巻号頁・発行日
vol.47, pp.121-126, 2011-03-03
著者
児玉 真美
出版者
科学技術社会論学会
雑誌
科学技術社会論研究 (ISSN:13475843)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.55-67, 2019-04-20 (Released:2020-04-20)
参考文献数
19

世界各地で「死の自己決定権」「死ぬ権利」を求める声が広がり,積極的安楽死と医師幇助自殺の合法化が加速している.それに伴って,いわゆる「すべり坂」現象の重層的な広がりが懸念される.また一方では,医師の判断やそれに基づいた司法の判断により「無益」として生命維持が強制的に中止される「無益な治療」係争事件が多発している.「死ぬ権利」と「無益な治療」をめぐる2 つの議論は,決定権のありかという点では対極的な議論でありながら,同時進行し相互作用を起こしながら「死ぬ・死なせる」という方向に議論を拘束し,命の選別と切り捨てに向かう力動の両輪として機能してきたように思われる.日本でも「尊厳死」のみならず積極的安楽死の合法化まで求める声が上がり始めているが,「患者の自己決定権」概念は医療現場にも患者の中にも十分に根付いておらず,日本版「無益な治療」論として機能するリスクが高い.日本でも命の切り捨ては既に進行している.

5 5 5 3 OA 少年伝記叢書

出版者
民友社
巻号頁・発行日
vol.苐三卷, 1897
著者
Akihiko Nakamura Kei-ichi Okazaki Tadaomi Furuta Minoru Sakurai Jun Ando Ryota Iino
出版者
The Biophysical Society of Japan
雑誌
Biophysics and Physicobiology (ISSN:21894779)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.51-58, 2020 (Released:2020-07-10)
参考文献数
26

Motor proteins are essential units of life and are well-designed nanomachines working under thermal fluctuations. These proteins control moving direction by consuming chemical energy or by dissipating electrochemical potentials. Chitinase A from bacterium Serratia marcescens (SmChiA) processively moves along crystalline chitin by hydrolysis of a single polymer chain to soluble chitobiose. Recently, we directly observed the stepping motions of SmChiA labeled with a gold nanoparticle by dark-field scattering imaging to investigate the moving mechanism. Time constants analysis revealed that SmChiA moves back and forth along the chain freely, because forward and backward states have a similar free energy level. The similar probabilities of forward-step events (83.5%=69.3%+14.2%) from distributions of step sizes and chain-hydrolysis (86.3%=(1/2.9)/(1/2.9+1/18.3)×100) calculated from the ratios of time constants of hydrolysis and the backward step indicated that SmChiA moves forward as a result of shortening of the chain by a chitobiose unit, which stabilizes the backward state. Furthermore, X-ray crystal structures of sliding intermediate and molecular dynamics simulations showed that SmChiA slides forward and backward under thermal fluctuation without large conformational changes of the protein. Our results demonstrate that SmChiA is a burnt-bridge Brownian ratchet motor.
著者
西沢 千恵子 太田 剛雄 江頭 祐嘉合 真田 宏夫
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.45, no.8, pp.499-503, 1998-08-15 (Released:2009-05-26)
参考文献数
19
被引用文献数
17 23

フェルラ酸は,主として細胞壁中にアラビノキシランとエステル結合して存在しており,種々の抗酸化性を有していることが知られている.本研究では,日常的に摂取している食品,特にイネ科の食品中のフェルラ酸含量を,HPLCにより定量した.同一の原料では,例えば玄米の方が精白米より多くフェルラ酸を含み,精製されていないものの方が精製されたものより多く含有していた.またライ麦粉,オートミール,粟などの雑穀や大麦,たけのこには,米,小麦粉及びそれらの加工品より多く含まれていた.さらに食品中の総食物繊維含量や不溶性の食物繊維含量が増加すると,フェルラ酸含量も増加する傾向が認められた.これはフェルラ酸が各部位の細胞壁において,細胞壁マトリックス多糖であるアラビノキシランとエステル結合していることによると推定された.
著者
田中 光 上山 瑠津子 山根 嵩史 中條 和光
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.49-58, 2020-07-10 (Released:2020-07-10)
参考文献数
20

本研究では,小学校5,6年児童を対象とする意見文産出方略使用の程度を測定する尺度を開発した.研究1では,5,6年児童426名に対して意見文産出時の方略使用に関する質問紙調査を行った.探索的因子分析を行い,読み手意識,反対意見の考慮,文章の構成,自分の意見の表明,校正・校閲の5因子からなる意見文産出方略が見出された.尺度の妥当性を検討するため,意見文産出の自己効力感,意見文を書く主観的頻度の高群と低群間で方略使用を比較した.その結果,全因子で高群の評定値が低群の児童の評定値よりも高く,尺度の内容的妥当性が支持された.研究2では意見文に対する評価と方略使用との関連を調べた.その結果,評価が高い意見文の書き手は低い書き手に比べて読み手意識,文章の構成,自分の意見の表明の3因子の評定値が高いことが見いだされた.今後の課題として,尺度の使用によって意見文の質が高まるかどうかを検証することが必要である.
著者
島田 博匡
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.122-127, 2007 (Released:2008-02-12)
参考文献数
14
被引用文献数
4 3

三重県尾鷲地域のウラジロに覆われた再造林放棄地を森林再生するために,低コストで更新木に対するシカ食害を防止する手法の確立が求められている。再造林放棄地内でウラジロを坪刈してヒノキ苗木を植栽し,坪刈地内へのシカの侵入と植栽木の成長を2~3年間調査した。シカの坪刈地内への侵入頻度は斜面傾斜が急であるほど低い傾向があり,植栽木の樹高成長は植栽初年度の食害程度や2年目以降の頂枝食害頻度が低いほど大きい傾向が認められた。そのため,急傾斜の斜面部では,この手法によりシカ食害を防ぎつつ植栽木を育成できると考えられた。