著者
大野 正英
出版者
日本経営倫理学会
雑誌
日本経営倫理学会誌 (ISSN:13436627)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.241-253, 2012-01-31 (Released:2017-08-08)

'Sanpo-yoshi (three parties good)', which means 'good for the seller, good for the buyer, good for the society', is usually regarded as the word which expresses the management philosophy of Omi merchants. In this paper, I revealed that it was not historic word and the first use of the word could be found in the moral theory of Dr. Chikuro Hiroike. He claimed that we should give sufficient moral considerations to the interests of the third parties, as well as of one's own and of the partner. This concept can be interpreted as a Japanese style stakeholder approach.
著者
岡 孝夫 天野 卓 林 良博 秋篠宮 文仁
出版者
Yamashina Institute for Ornitology
雑誌
山階鳥類学雑誌 (ISSN:13485032)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.77-87, 2004-03-20 (Released:2008-11-10)
参考文献数
40
被引用文献数
1 4

セキショクヤケイ(G.gallus)の亜種認識に関する統一の見解は現在も得られていない。一般にセキショクヤケイの亜種は生息地,羽装,耳朶色などによって分類される。また,その広大な生息地にはさまざまな気候や植生が存在する。このような環境条件は草むらに身を隠す習性をもつセキショクヤケイの羽装に影響を与えている可能性が考えられる。さらに羽装は繁殖季節によって影響を受けやすい形質であり,また観察条件や観察者の主観によっても異なる。耳朶色に関しても,赤色と白色の2形質が亜種分類の基準にされてきたが,白耳朶は単一遺伝子により発現する形質ではないことが報告されている。従来の分類ではG.g.murghi,G.g.jabouilleiおよびG.g.bankivaの3亜種は大きさや羽装によって明確に分類されている。G.g.gallusとG.g.spadiceusの分類に関しては,G.g.gallusに完全白耳朶と不完全白耳朶の2型の存在が認められているが,現在ではそれらを一括してG.g.gallusとし,赤耳朶のG.g.spadiceusとは耳朶色のみによって区別している。タイとマレーシアのG.g.gallusにおいて,タイのG.g.gallusは完全白耳朶,マレーシアのG.g.gallusは不完全白耳朶を呈し,両者の生息地はG.g.spadiceusの生息地によって分断されている。もし白耳朶形質の完全,不完全を亜種分類の根拠とするならば,G.g.gallusはさらに2つのグループに分類することもできる。さらにmtDNA情報を用いたいくつかの研究においても,この分類を示唆する結果が報告されている。したがってセキショクヤケイの亜種分類は,これまでの形態学的手法を新たな視点で見直すとともに,最新の空間分析や分子遺伝学などの手法などを用いることが望ましいと考えられる。

5 0 0 0 OA 噫天理教

著者
上田千尋 著
出版者
甲寅社
巻号頁・発行日
1915
著者
吉川 禄助
出版者
長崎大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2015-04-24

①SFTSフレボウイルス(SFTSV)は2011年に中国で発見され、その後我が国でも発見された、新規のフェニュイウイルス科フレボウイルス属に属する新興ウイルスであり、重症熱性血小板減少症候群の原因ウイルスである。SFTSVはヒトには病原性があるが、実験動物であるマウスには病原性を示さず、マウスはSFTSVを自然免疫依存的にその病原性を抑制していることがわかっている。そこで、その病原性の差異を理解することはSFTSVの制御につながると考え、その原因を探索することを目的とした。前年度では、IFNシグナル阻害活性を有するSFTSVのNSsタンパクがヒトでは機能するが、マウスでは機能しないことを見出した。また、それはNSsがIFNシグナルにおいて重要な役割を担う、宿主タンパクであるSTAT2と結合できないためであることを見出した。今年度はマウスに加えて、SFTSV非感受性であるハムスターでも同様な現象がみられることを確認した。その結果、NSsはハムスター細胞においてマウスと同様にIFNシグナルを阻害できず、NSsはハムスターSTAT2と結合できなった。そのため、ハムスターもマウスと同様の機構でSFTSVを抑制していると考えられる。このことから、NSsの抗STAT2活性が病原性を規定し、その宿主特異性を規定していると強く言えると考えている。この結果から、NSsとSTAT2がSFTSVの治療標的になりうると推察している。これらの結果をまとめ、現在論文投稿準備中である。②昨年度に引き続きSFTSVのリバースジェネティクスの開発を進めた。その結果、一定の成果が得られた。
著者
吉松 組子 有川 二郎
出版者
日本ウイルス学会
雑誌
ウイルス (ISSN:00426857)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.239-250, 2012-12-25 (Released:2013-10-22)
参考文献数
52
被引用文献数
1 1

ブニヤウイルスは,ブニヤウイルス科オルソブニヤウイルス属,ハンタウイルス属,ナイロウイルス属,フレボウイルス属およびトスポウイルス属に分類されるウイルスの総称である.植物に病原性を有するトスポウイルス属以外は,脊椎動物に感染し,人や動物に重篤な疾患を引き起こす.いずれも,医学・獣医学・農学領域で重要な疾病であり,その多くが人獣共通感染症である(図1).ハンタウイルス属以外は,節足動物をベクターとするアルボウイルスであるが,自然界における感染環には属間で相違がある.近年,ハンタウイルスの自然宿主としてげっ歯目以外にトガリネズミ目の動物が重要な役割を担っていることが明らかになった.また,フレボウイルス属のウイルスを原因とし,血小板減少と発熱を特徴とする重篤な疾患が中国で新たに出現し1,2),その後,米国でも存在が確認され新興感染症として注目されている.
著者
西岡 佑一郎 楠橋 直 高井 正成
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳類科学 (ISSN:0385437X)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.251-267, 2020 (Released:2020-08-04)
参考文献数
118

化石記録と分子系統の結果が一致しないという問題は今に始まった話ではないが,近年,哺乳類の現生目の起源と放散が中生代なのか,新生代なのかという点が多く議論されてきた.哺乳形類の起源は2億年以上前であり,中生代のジュラ紀から白亜紀にかけて,ドコドン類との共通祖先群から単孔類,有袋類,有胎盤類に繋がる狭義の哺乳類が分岐したと考えられている.化石記録に基づくと,有胎盤類に含まれる現生目の多くが新生代の古第三紀初頭(6000万~5000万年前)に出現しており,未だ白亜紀からクラウン・クレードの確実な化石は発見されていない.これは有胎盤類が古第三紀初頭に爆発的に放散したという仮説を支持しているが,一方で白亜紀/古第三紀境界(約6600万年前)から有胎盤類の放散時期までの時間があまりに短すぎるという批判もある.最近の研究では,有胎盤類のクラウン・クレード(異節類やローラシア獣類など)の起源が白亜紀,目レベルでの放散が暁新世に起きた可能性が示されており,現状ではそれが化石記録と分子系統の折り合いをつける最適な解釈であろう.
著者
酒見 英太
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.953, 2007-11-15

私が国立京都病院にいた時,総合内科外来カンファレンスに提示された症例である.32歳の農業を営む著患を認めない男性で,年に何回もかぜをひくからと,自らイソジン(R)うがい薬やのどぬーる(R)スプレーを頻用していた.2003年3月に咽頭痛と鼻水を主訴に内科外来を受診.倦怠感,眠気,寒がり,便秘,体重増加や徐脈傾向はいずれもなかったが,甲状腺が軽度腫大していたため甲状腺機能の採血をしたところ,FT3 2.6pg/ml,FT4 0.8ng/dl,TSH 17.6μU/mlと甲状腺機能低下症の所見であった.続いて測定された抗サイログロブリン抗体,抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体,TSHレセプター抗体はすべて陰性であったため,うがい薬の使い過ぎによるヨード過剰摂取が原因と推定された.患者にヨード含有うがい薬の使用を禁じたところ,3カ月後には甲状腺機能はほぼ正常化(TSHはピークの39.5から5.8μU/mlに低下,FT4はボトムの0.7から1.0ng/dlに上昇)した. 体表面積の小さな未熟児でヨード含有消毒剤の使用がTSHの上昇を招きうるという報告はある1)が,ポビドンヨード液で年余にわたって毎日うがいをしたため顕性の甲状腺機能低下症をきたした珍しい症例の報告2)(日本人!)もあった.そもそもヨードでうがいをするのが上気道炎を予防するという臨床的な証拠は乏しく,むしろ水でうがいをしたほうが効果的であるというRCT3)さえある.そのうえ,使い過ぎが甲状腺機能低下まで起こしうるとすれば,わが国におけるヨード含有うがい薬への「信仰」はもう改めるべきであろう.
著者
福井 順子 河野 えみ子 奥平 咲絵 寺村 重郎 井野 千代徳 山下 敏夫
出版者
日本口腔・咽頭科学会
雑誌
口腔・咽頭科 (ISSN:09175105)
巻号頁・発行日
vol.10, no.3, pp.419-425, 1998-06-01 (Released:2010-06-28)
参考文献数
2

うがい薬はかぜ症候群, その他の口腔疾患の治療と予防に広く使用されており, その有効性についてはよく知られている.しかし, 使用方法についてはあまり検討されておらず, 各人各様に行なっているものと思われる.そこで患者が実際にどのようなうがいを行なっているか, ポビドンヨード含嗽剤を用いて調査し, 現在提唱されているマニュアルと比較した.その結果, 患者は規定の3~6倍薄い希釈液を用い, 短い時間でうがいを行なっていた.うがい方法については, 多くの患者が咽頭部分にうがい液が行き渡る咽頭型のみのうがい方法であった.これらの事実はうがいの有する機械的除菌作用と殺菌作用とが有効に活かされていないことを示している.その他, 現在提唱されているうがいの方法にも幾つか問題のある事が解り, 筆者らの目的である『有効なうがい方法の確立』に良い手がかりとなった.
著者
中島 隆
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.124, no.8, pp.603-625, 2018-08-15 (Released:2018-10-10)
参考文献数
196
被引用文献数
2 15

2017年時点での日本の花崗岩の総括を行った.日本列島の花崗岩類はすべて顕生代の造山運動で形成された島弧型花崗岩である.大部分が日本列島がまだアジア大陸の一部だった時代に大陸の成長最前線として形成された花崗岩類で,ほとんどがIタイプであり,Sタイプ花崗岩類は非常に少ない.起源物質はその大部分がマントル由来の玄武岩質下部地殻の部分溶融によると考えられ,古い大陸基盤の存在や関与は考えられない.その活動はきわめてエピソディックであり,地表露出面積では50-130Maの白亜紀~古第三紀の花崗岩類が全体の約8割を占め,後期中生代環太平洋花崗岩地帯の一部をなす.西南日本外帯には13-15Maと極めて限られた期間に活動した花崗岩類が広範囲に露出しており,背弧海盆の拡大に関連した特異なテクトニクスでの活動と考えられている.ジュラ紀と三畳紀の花崗岩類は飛騨帯に見られる.古生代の花崗岩類はきわめて少ない.
著者
田中 保平 藤原 慈明 渡邊 伸貴 山黒 友丘 富永 経一郎 新庄 貴文 太田 真 伊澤 祥光 米川 力 間藤 卓
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.58-61, 2020-02-29 (Released:2020-02-29)
参考文献数
7

75歳,男性。ハチ酒造りを趣味とし,これまで多数回のハチ刺傷歴があるが症状を呈したことはなかった。某日スズメバチに両肩を2カ所刺傷された後,意識消失した。血圧低下・頻呼吸・全身の膨疹を認め,アナフィラキシーショックとしてアドレナリンを筋注され当院に搬送となった。病着したとき,呼吸・循環動態は安定していたため,経過観察を目的に入院し翌日に退院した。ハチ刺傷によりアナフィラキシーショックをきたすことはよく知られ,通常は2度目以降の刺傷により発症率が増加すると思われる。一方で複数回の刺傷において無症状であればその危険性は低下していると考えられやすい。しかし本症例は多数回の刺傷歴があるものの無症状で経過し,今回に限りアナフィラキシーを発症した。残念ながらその機序を説明する所見を得ることはできなかったが,このような症例が存在することの重要性に鑑みここに報告する。
著者
吉安 京子 森本 元 千田 万里子 仲村 昇
出版者
公益財団法人 山階鳥類研究所
雑誌
山階鳥類学雑誌 (ISSN:13485032)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.21-48, 2020-06-30 (Released:2020-07-12)
参考文献数
2
被引用文献数
1

In 2002, the Japan Bird Migration Research Center compiled longevity records based on the research during 1961–1995. Subsequently, additional data have been updated in each issue of the Bird Banding Research Annual Report of Japan. However, no complete list has been published. Here, we report the top two longevity records of each species based on the Japan Bird Banding data during 1961–2017.
著者
桑原茂夫著
出版者
河出書房新社
巻号頁・発行日
2007