著者
石川 晴香 高木 正則 市川 尚 森本 康彦
雑誌
情報教育シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2021, pp.45-52, 2021-08-21

著者らの大学では,数学リメディアル科目を反転授業形式で実施している.この科目では,毎回の授業の中で著者らが開発した学習計画作成支援システムを利用し,授業外学習の学習計画や学習記録を登録させている.これまでの実践では,本システムによる学習目標の達成に結びつく,実行可能性の高い学習計画の作成の支援ができていなかった.本研究では,学習計画力の向上を目的とし,過去の学習計画の実施状況の客観的な把握を促す振り返り支援機能を開発した.また,2021 年度前期に本学で実施された数学リメディアル科目において,本システムの利用実験を行った.システム評価の結果,ダッシュボードと関連付けて振り返りをさせることで,過去の学習計画や学習記録等のデータに基づいて,より実行可能性の高い学習時間に学習を計画できるようになったことが示唆された.
著者
木室 義彦 古里 健一 家永 貴史
雑誌
情報教育シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2021, pp.224-229, 2021-08-21

我々は,晴眼盲弱を区別しないプログラミング教材を開発している.これまで, Arduino をベースに 10 個の数字キ ーのみでプログラミングできる移動ロボットやドローンの教材を開発,盲学校において実験授業を実施し,晴眼児童と同様に学習可能であることを確認してきた.この活動の中で, micro:bit に興味を持つ児童や教員があることが分かった.また, micro:bit は小学生向けではあるが,プログラミング環境が PC であり,教育現場への導入は簡単とはいえないことも報告されている.この論文では, micro:bit を用いた市販ロボット玩具をベースに, PC を使わない晴眼盲弱の区別なく利用可能な micro:bit プログラミングについて検討したので報告する.
著者
諸井 克英 早川 沙耶 板垣 美穂 MOROI Katsuhide HAYAKAWA Saya ITAGAKI Miho
出版者
京都
雑誌
同志社女子大学生活科学 = DWCLA human life and science (ISSN:13451391)
巻号頁・発行日
vol.48, pp.13-24, 2015-02-20

The present study examined the factor structure of paranormal beliefs of female undergraduates. The Paranormal Beliefs Scale was developed by authors. We developed a new scale composed of seventy-six items by refining scale items used by previous studies. The Paranormal Beliefs Scale, the Big Five Scales (Wada, 1996), and the Trait Feelings of Unreality Scale (Sunaga, 1996) were administered to female undergraduates (N=392). By factor analysis (principal factor method with promax rotations), for the Paranormal Belief Scale, five factors were extracted : belief in augury, belief in unidentified objects, belief in good or bad luck, positive attitude toward science, and negative attitude toward science. According to a series of regression analyses (stepwise method), paranormal beliefs were significantly determined by big five and feelings of unreality. The significance of research in paranormal beliefs was discusssed from the point of view of youth and religion.
著者
井上 亮文 平石 絢子 柴 貞行 市村 哲 重野 寛 岡田 謙一 松下 温
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.38-50, 2005-01-15

シナリオの存在するシーンを一般のユーザが撮影する場合,被写体の数が多かったり,撮影環境がそのつど異なったりするため,効果的なカメラワークを事前に計画することは困難である.そこで本論文ではシナリオ情報に基づいてカメラワークを自動的に計画する手法を提案する.撮影対象としてオーケストラ演奏を想定し,シナリオである楽譜から被写体の候補を決定する方法と,各カメラのショットを決定するための優先度の計算方法を定義している.実際にショットを接続して1 本の映像を編集する実験の結果,提案手法はシナリオや優先度を考慮しないショットで編集したものよりも変化に富んだ映像を制作できることが分かった.また,カメラの配置に適応したショットを提示できることが分かった.
著者
中井 勇介 遠藤 良輔 小島 昌治 中野 明正 豊田 剛己 Nakai Yusuke Endo Ryosuke Kojima Masaharu Nakano Akimasa Toyota Koki
出版者
宇宙航空研究開発機構(JAXA)
雑誌
宇宙航空研究開発機構特別資料 = JAXA Special Publication (ISSN:24332232)
巻号頁・発行日
vol.JAXA-SP-19-001, pp.65-76, 2019-06-19

月面での長期間滞在または居住を可能にするためには、月面での生活で生じる有機性廃棄物の処理や植物生産のための元素資源の欠乏といった問題を解決する必要がある。月面農場ワーキンググループ第3グループでは、持続的な月面農場を確立させるために必要なシステムの一つを構築することを目的として、ISRU(In-Situ Resource Utilization;その場資源利用技術)などを念頭におきながら、月面における効率的な有機性廃棄物の資源循環のあり方について議論を行った。月-地球間の輸送は莫大なコストがかかるため、作物を生産するために必要な炭素や窒素などの元素は、その都度の交換輸送ではなく、月面での生活において生じる作物残渣などの有機性廃棄物から、効率的に回収して循環利用する必要があると考えられる。月面において生じる有機性廃棄物は、非可食部などの作物残渣や養液栽培廃液、尿、糞便などが想定された。それらを効率的に循環させるためには、月面での現地試験が必要であるが、地球上で実用化されている嫌気的処理であるメタン発酵や好気的処理である活性汚泥法、堆肥化などの微生物を利用した処理が有効であり、資源循環の中核を成すと考えられた。本稿では、これまでの第3グループの検討結果を取りまとめ、持続的な月面農場を確立するための資源循環システムや月の鉱物(レゴリス)の資源としての利用について提案を行う。
著者
菱本 明豊
出版者
横浜市立大学医学会
雑誌
横浜医学 = YOKOHAMA MEDICAL JOURNAL (ISSN:03727726)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.83-87, 2021-04-30

本邦における10~54歳の死因上位を自殺が占める.今般のCOVID19パンデミックの影響による経済状況の悪化・社会的孤立・心理的ストレス等が引き金となり,自殺率のさらなる悪化が強く懸念される.個人が自殺に至る背景は失業・貧困・病苦・いじめなど様々であるが,家族・双生児・養子研究から自殺には生来の遺伝負因が存在するといわれてきた.我々は遺族の深いご理解の下,世界最大規模 1 ,250例超の自殺者血液試料を保有し,精力的に自殺の遺伝学的研究に取り組んできた.最近,日本人自殺者746名(vs対照者としてバイオバンクジャパン14,049名)のゲノムワイド関連解析(GWAS)を行い,これまで疫学レベルでしか示されてこなかった「自殺の遺伝負因」のエビデンスをGCTA解析やポリジェニックリスクスコア(PRS)解析等により世界で初めて実験科学的に証明した.同研究で日本人自殺について,遺伝負因が強い統合失調症や双極性障害に匹敵する約40%という一塩基多型由来遺伝率を検出した.さらにGWASデータから算出できる個人ごとの自殺PRSが,個人の自殺リスクを予測できる可能性を見出した.今後,自殺GWASのサンプルサイズが向上していくことで,強いストレス下の自殺リスクに寄与する遺伝子領域の同定や,PRS算出による確度の高い自殺リスク判定が可能となることが強く示唆される.
著者
藤野 博行 フジノ ヒロユキ Hiroyuki Fujino
雑誌
九州国際大学法学論集
巻号頁・発行日
vol.18, no.1/2, pp.133-152, 2011-12
著者
市川 紘美
雑誌
東京女子大学紀要論集 (ISSN:04934350)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.1-24, 2011-03-15

Kyoka Izumi's Ryutantan (1896) is written as a first-person narrative. In the story, the narrator “Ware" (I) seeks out a Mother who does not exist. Previous studies have interpreted Ryutantan to show “a union of mother and child" or “the formation of Ware's ego." However, there are no concrete descriptions of his deceased mother or memories of her in the story. “Ware" creates images based on an imagined mother figure and seeks her out in various ways. However, the women that he meets are not able to become this nonexistent “Mother" that he has created in his imagination. This paper shows that “Ware" is doomed to never find this mother figure that can fulfill his desires.“Ware's" assertiveness can be seen in his quest to find the nonexistent “Mother". However, the narrative is in a passive voice, creating a discrepancy between the story and the narrator's voice. In addition, toward the end of the story, “Ware" abruptly discontinues the narration, and a change to an outsider's third-person voice occurs. In a hopeless pursuit to fulfill his desire, “Ware" becomes unable to complete the narrative. This “Ware," who cannot find completion, falls short of establishing his “self."In Ryutantan, the story unfolds by linking the drifting of the subject between reality and the nonexistent, to his continued pursuit to find the nonexistent mother figure. This state of suspension between reality and the nonexistent can also be found in the late works of Kyoka. One can say Ryutantan holds the possibility to go beyond reality.
著者
辻 ゆき子 千里金蘭大学 生活科学部 児童教育学科
巻号頁・発行日
vol.17, pp.29-40,

本学は保育者養成校として、学生自身の心の豊かさや感性の育成を重要視して保育内容(表現)の授業の中で様々な体験学習を計画・実施している。そのような折、2019年末からの新型コロナウィルス感染症拡大の波の中で対面での様々な演習を行うことが難しくなり、今年度はリモートでの演習を実施することとなった。そこで、例年は対面で実施していた演習をリモートで行うことで、学生の気付きや学びにどのような影響があるのかを検証することとした。結果的には、課題の内容を全く同様にはできずに結果に違いは見られ、ポイントを絞った細やかな観察は難しかった部分はあったが、2020年度は各自が好きな時間に自身の身近な場所で実施したことで、時間的にも余裕があり、自身の生活圏の自然により関心をもつことができ、課題以外の事柄にも幅広く目を向け、これまでとは違った気付きや考察が多く見られる結果となった。