著者
吉井 千春 森本 泰夫 二階堂 義彦 田尾 義昭 津田 徹 永田 忍彦 城戸 優光
出版者
日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.33, no.6, pp.917-923, 1993
被引用文献数
3

rG-CSFは, 白血球数最低値を底上げし, 白血球数減少期間の短縮が期待される薬剤として, 肺癌化学療法での併用が定着しつつある. しかし, どの時点からの投与開始が最適であるかの検討は十分にされていない. 今回我々は, 3つの化学療法レジメン (3日間) で, 投与開始時期により4群 (A群: rG-CSF非投与, B群: 白血球数2000/mm<SUP>3</SUP>以下からの開始, C群: day2からの開始, D群: day5からの開始) に分け, r G-CSFを2μg/kg皮下注して, 各群の白血球数最低値と白血球減少期間を比較した. この結果, D群は全例で白血球数最低値が2000/mm<SUP>3</SUP>以上になり, A群と比べ有意に最低値が底上げされた. またB, C群は同一症例で同一レジメンの比較で白血球数減少期間の短縮傾向を認めた. この結果から, 今回行った化学療法レジメンでは白血球数最低値を確実に底上げする目的ならば, day5からの投与開始が最も有用と思われた.
著者
三吉 明
出版者
北星学園大学
雑誌
北星論集 (ISSN:03871886)
巻号頁・発行日
no.9, pp.85-108, 1972-03
著者
嶺崎 寛子
出版者
日本文化人類学会
雑誌
文化人類学 (ISSN:13490648)
巻号頁・発行日
vol.78, no.2, pp.204-224, 2013-09-30
被引用文献数
1

本稿は、宗教を淵源とするディアスポラ・アイデンティティの構築とその次世代再生産にかかる日常実践を、在日アフマディーヤ・ムスリムを事例として描く。アイデンティティの構築性を前提として、それが構築されるということを、行為主体としての個人だけでなく、個人が帰属する共同体、さらには社会的背景をも視野に入れつつ、民族誌的文脈のなかから捉え返そうとする試みであるともいえる。その際には、グローバル化や越境、国家との関係、言葉、ジェンダーに特に注目する。アフマディーヤは19世紀末、英領インドのパンジャーブ州に興ったイスラーム系の新宗教である。インド・パキスタン分離独立の際本部をパキスタンに移し、その後さらにパキスタン政府からの迫害により本部をイギリスに移転、現在に至る。信徒数は公称数千万、現在はパキスタンよりも欧米や西アフリカで勢力を伸ばしている。極端な平和主義と教団の高度な組織化、カリフ制の採用などに教団の特徴がある。本稿ではアフマディーヤ信徒たちを、国家の外縁に確信的に逃れながら、居場所とアイデンティティ保持のために平和的に交渉する多様な主体として位置づける。そして信徒らがどのようにアイデンティティを保持し、その世代間継承につとめているか、国家との関係や距離感、ホスト社会の内部での立ち位置の取り方などを具体的に検討する。それによって、ディアスポラにとってのアイデンティティや「いま、ここ」が持つ多様な帰属のあり方の意味と可能性、そして限界を明らかにしたい。なお本稿は2012年5月から現在に至るまで継続的に主に愛知県で行ったフィールド調査で得たデータに基づく。
著者
北村 太道
出版者
種智院大学
雑誌
種智院大学密教資料研究所紀要
巻号頁・発行日
vol.2, pp.1-78, 1999-03-21
著者
熊倉 正修
雑誌
経済学雑誌 (ISSN:04516281)
巻号頁・発行日
vol.113, no.3, pp.83-127, 2012-12
著者
池畑 望 伊藤 毅志
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.52, no.12, pp.3817-3827, 2011-12-15

2007年よりIEEEのCIGシンポジウムの中でMs. Pac-Manの自動操作を競う大会が開かれている.この大会以来,Ms. Pac-Manは,デジタルゲームAIの研究対象として注目を集めつつある.これまでの大会では,知識ベースを用いた古典的な手法によるAIが最も良い成績を収めているが,その性能には限界が見え始めており,知識ベースに代わる新しいアプローチが求められている.そこで,本稿では囲碁で成功したモンテカルロ木探索によるMs. Pac-Manの自動操作システムを実現し,その有効性を検証した.モンテカルロ木探索は乱数によって生成された未来局面についてのシミュレーションを繰り返すことで,専門的知識に頼らずに期待値の高い次の手を求めることができる.性能評価実験ではモンテカルロ木探索による自動操作システムは過去にMs. Pac-Man Competitionに参加したすべてのプログラムよりも優秀な成績を示し,Ms. Pac-Manにおけるコンピュータの世界記録を上回る結果を得た.
著者
高木 正則 若林 俊郎 勅使河原 可海
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.125-128, 2009
被引用文献数
1

我々は学習者が問題を作成し,その問題をグループ内で相互に評価できるWBTシステム「CollabTest」を開発してきた.CollabTestでは,学生が作成した問題を利用して確認テストを出題することもできる.本研究では,CollabTestを小学校5年生に利用してもらい,作問と相互評価,確認テストの解答を実践した.実践の結果,4割の児童がオンラインテストを繰り返し解答し,知識の定着に役立てていたことや,作問や相互評価活動を通して四字熟語の問題を解くことが得意になった児童が増加したことなどが示された.
著者
岡部 いさく
出版者
海人社
雑誌
世界の艦船
巻号頁・発行日
no.675, pp.82-89, 2007-06
著者
池谷 守司
出版者
静岡県中小家畜試験場
雑誌
静岡県中小家畜試験場研究報告 (ISSN:09146520)
巻号頁・発行日
no.12, pp.19-22, 2001-10

秋季と冬季に餌付けした市販の肉専用種の雌を用いて、市販アミノ酸とフィターゼを添加した低蛋白、低リン飼料(CP16%、非フィチンリン0.3%)を給与する試験区と、日本飼養標準と同等レベルの飼料(CP18%、非フィチンリン0.4%)を給与する対照区に区分し、発育体重、飼料要求率、生存率、ふん中の窒素、リンおよび乾物排泄量を比較し以下の結論を得た。 1.発育体重、飼料要求率、生存率は試験区と対照区に差は見られなかった。 2.一羽当たりの窒素排泄量は季節の影響を受けず試験区が対照区より有意に少なかった。 3.一羽当たりのリン排泄量は季節の影響を受けず試験区が対照区より有意に少なかった。 4.一羽当たりのふん排泄乾物量は試験区が対照区に比較して少ない傾向を示したが有意差は見られなかった。一方、飼料消費量に対するふん乾物排泄量の割合は対照区より有意に少なかった。 以上のことから肉用鶏の飼料中に市販アミノ酸とフィターゼを添加した低蛋白、低リン飼料を給与すると、窒素、リンの一括低減化が図られ、乾物排泄量をも低減できる傾向が示された。またアミノ酸、フィターゼの添加で飼料価格は一羽当たり4.2~8.4円上昇した。
著者
萩 浩司 牧川 方昭 飯泉 仁美
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス
巻号頁・発行日
vol.95, no.291, pp.1-8, 1995-10-13
被引用文献数
1

本研究は生体内にコンピュータならびに計測回路などの,生体内信号の直接計測に必要な一切の要素を埋め込むことを最終目標とし,今回はこのような体内コンピュータ実現に不可欠な要素である皮膚を介した情報通信の方法,電力供給の方法について検討を行った.体内と体外のコンピュータ間の経皮ディジタル通信は赤外線を用いたシリアル通信を検討し,皮下に赤外発光ダイオードおよび受光センサを埋め込むことにより体内・体外間の双方向ディジタル通信が可能であることが明らかとなった.また経皮的電力供紿に関しては皮膚表面に一種のトランスを形成することにより実現できることが確認された.
著者
三浪 俊夫 久保寺 章 表 俊一郎 木下 保美
出版者
日本地熱学会
雑誌
日本地熱学会誌 (ISSN:03886735)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.43-53, 1981-04-20 (Released:2010-02-05)
参考文献数
20
被引用文献数
1

The area around the Kujyu volcanic mountains that is locating just in the central part of Kyushu Island is named as the Hohi geothermal area. In this region, the Ohtake and the Hatchobaru geothermal electric power stations are currently in operation. In this region, the micro-earthquake observation system has been set up providing six satelite stations connected to the Hatchobaru central station by public cable lines and giving seismograph records displayed on one sheet of paper in the central station. The operation of this micro-earthquake system has started July 1977 with highly increased time accuracy.Analysis of the seismic records for the last two years has yield following results.i) In these two years, about 200 foci of the earthquakes that occurred in this region have been located. All of these earthquakes gave the magnitudes smaller than M=3. These earthquakes could be classified into two groups. One was a group of earthquakes that might be related to the characteristic tectonics in the geothermal area, and the other were the earthquake that may be related either to the earthquake swarm activity in the northern part of the Aso caldera or the aftershock activity of the Oita earthquake of 1975.ii) The micro-earthquakes that are proper to the geothermal area were seen arranged in a belt zone along fault lines that are developed clearly in this region. In this belt zone swarm type microearthquake activities were observed showing the short duration period of swarm occurrence and shifting the swarm activity from one place to another.iii) For the purpose of obtaining more accurate focal locations, re-determination of the foci of all these swarm earthquakes were carried out by the aid of the improved master event method.As the result of which, it was made clear that foci distribution of each of these earthquake swarm was bounded in a narrow volume having the horizontal and vertial dimensions of 500 m x 2 km, extending almost vertically.iv) With regard to these earthquakes in the swarm, the study was carried out for making clear the earthquake occurrence mechanism of these earthquakes. It was found that earthquakes that occurred in the area near the Aso caldera, showed a mechanism represented by the right-lateral fault movement and for the earthquakes that took place along the geological fault zone, they showed a normal fault type mechanism.v) Within the low gravity area represented by the Kujyu caldera, locating in the north-eastern part of the Kujyu mountain range, almost any micro-earthquake activity is not observed.