著者
矢島 伸男
出版者
日本笑い学会
雑誌
笑い学研究
巻号頁・発行日
no.20, pp.83-95, 2013-08-31

本稿は、学校教育における笑いの導入に確かな正当性を持たせ、かつ、導入に関しての注意点を明らかにする思いから、笑いが持つ同義性を中心に考察した.笑いがもつあらゆる両義性のうち、学校教育から疎まれる性質を持つものは、【協調⇔対立】、【創造⇔破壊】、【更生⇔堕落】の3つであると考えられる。望ましくない笑いが持つ【対立】【破壊】【堕落】の属性に陥る危険性を冒してもなお、望ましい笑いが持つ【協調】【創造】【更生】の属性の教育的可能性は捨てきれない。笑いの可能性を支持する教育者にとっては、笑いの同義性について深く理解をしてもらった上で、「笑いは決して万能ではない」との自覚を持ってもらいたい。ともあれ、「教育者の温かい人間的な善意]があればこそ、学校教育にとって笑いは望ましいものであり続ける。笑いを安易に用いることなく、適切な用法を持って子どもと接することが、教育者にとって大切なのではないだろうか。
著者
大橋 英寿 桐田 幸子
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1996

沖縄シャーマニズム現象についての社会心理学の立場からのフィールドワークから以下のような研究成果がえられた。1. 沖縄シャーマニズムには一種の「信仰治療」が内在しており、今日も、現代医療と拮抗して機能している。本研究では、(1)シャーマン「ユタ」の治療儀礼の観察によってシャーマニズムの治療メカニズムを明らかにし、(2)クライエントの対処行動の事例研究によって現代医療と信仰治療が地域社会で機能している実態を明らかにすることができた。2. 地域社会でユタがはたしている役割を、戸別訪問による主婦50名の面接調査の結果をもとに分析した。その結果、(1)主婦のユタ依存は女性のライフサイクル全体の社会化過程と密接に関連していること、(2)土着シャーマニズムは沖縄の伝統文化の3側面、すなわち、(1)宗教,(祖先崇拝)、(2)相続法(慣習法)、(3)治療(信仰治療)を内包しており、それらが、外来文化、すなわち(1)外来の諸宗教、(2)新民法、(3)現代医療と拮抗関係にあることを確認できた。3. 沖縄県が移民を多く出していることに注目して、ブラジルにおける沖縄シャーマニズムの実態を調査した結果を分析した。ブラジルで活動しているユタの巫業形態は、沖縄シャーマニズムを継承している度合いと、ブラジルの宗教要素を取り込んでいる様態から、ユタを、(1)伝統型、(2)折衷型、(3)融合型の3型に分けられる。要するに、シャーマニズムは「危機や問題場面への文化的対処システム」であり、シャーマン「ユタ」は「野のカウンセラー」あるというのが、沖縄シャーマニズム研究からみちびかれた本研究の結論である。
著者
嶋田 正和 鷲谷 いづみ
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

カワラノギクの3階層のメタ個体群構造(全体個体群/地域個体群/局所個体群)をセル状格子モデルで表現し、セル間の相互作用としては3段階の種子散布を考慮した。また、洪水の時空間特性として、規模・頻度・地域間同期性・地域内での洪水の生起位置を考慮した。各セルの中の個体数動態は、3つのステージ(小ロゼット・大ロゼット開花個体)に分けた推移行列モデルで記述した。種子の発芽・定着率は、丸石河原が生成されてからの経過年数に伴い侵入する多年草の被陰によって減衰するものとし(パラメータは被陰速度β)、さらにある一定の年数(パラメータは生息地劣化時間dtime)を経過すると全く定着できなくなるとした。行列モデルのパラメータ推移は本研究による野外調査、及び様々な先行研究によって報告されているデータを用いて推定した。絶滅リスクの評価基準には100年後の絶滅確率(全試行回数のうち、絶滅が生じた割合)を用い、感度分析によって、それぞれのパラメータが絶滅リスクに与える効果を評価した。解析の結果、本モデルは実際の局所個体群の動態データをよく記述した。さらに、被陰速度β、生息地劣化時間dtimeの効果が絶滅リスクに大きく影響することが確認された。また、洪水の時空間特性として、洪水の生起位置の変動が絶滅確率に非常に大きな影響を及ぼし、洪水の位置が固定化すると絶滅確率は顕著に高まった。このように、本研究により、カワラノギクメタ個体群の存続に特に重要と思われる要因が明らかにされた。
著者
有村 治子
出版者
ワック・マガジンズ
雑誌
Will
巻号頁・発行日
no.43, pp.249-257, 2008-07

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出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
藥學雜誌 (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
no.36, pp.73-74, 1885
著者
山谷 えり子 中條 高徳
出版者
産経新聞社
雑誌
正論
巻号頁・発行日
no.402, pp.250-259, 2005-10
著者
福田 智子
出版者
同志社大学
雑誌
社会科学 (ISSN:04196759)
巻号頁・発行日
vol.101, pp.19-37, 2014-02

『古今和歌六帖』は、約四千五百首の歌を、二十五項目、五百十七題に分類した、我が国初の類題和歌集である。古来、兼明親王や源順が編者に想定されており、貞元・天元年間(九七六〜九八二)頃の成立かと考えられている。作歌の手引き書を意図した歌集であるが、和歌のみならず、『源氏物語』をはじめとする物語などの文学作品にも、少なからぬ影響を与えたと見られる。収載歌には、『万葉集』『古今和歌集』『後撰和歌集』や私家集・歌合など、出典の明らかな歌もある一方、現在では出典未詳と言わざるを得ない歌も多く、それらの歌数は、収載歌の約四分の一を占める。本稿では、それらの出典未詳歌のうち、第六帖の「芹」から「青葛」までの題に配されている歌、九首について注釈を施し、表現のあり方を考察する。なお、底本は、『新編国歌大観』の底本である書陵部蔵桂宮本を用い、江戸期の流布本である寛文九年(一六六九)版本を含めた九本の伝本を視野に入れた本文異同を示す。
著者
比嘉 由紀子 津田 良夫 都野 展子 高木 正洋
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.205-209, 2000
被引用文献数
4 16

1998年9月, 長崎大学熱帯医学研究所敷地内で家屋周辺の茂み及び裸地においてヒトスジシマカの24時間採集を行い, 周辺環境の異なる採集場所における吸血活動性と密度のちがいを調べた。ヒトスジシマカの密度は茂みで高く, 屋内や裸地で低かった。吸血活動は薄明薄暮に高まり, 夜も高かった。最も活動性が高い薄暮には, 統計的な有意差はみられないが, 昼間や夜間に比べて屋内や裸地で採集される雌個体の割合が高かった。以上の結果からヒトスジシマカの生態における夜間の吸血活動の重要性と薄明薄暮には茂み以外に裸地や屋内などでも吸血される機会が増加することが示唆された。
出版者
眞龍山執事
巻号頁・発行日
1812
出版者
渥美正義 [写]
巻号頁・発行日
1814