著者
星野 英人
出版者
独立行政法人産業技術総合研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究の主題は、1細胞レベルで起こる転写制御の変化を生物発光技術のみによりリアルタイムかつ定量的に評価するシステムを構築することにある。ストレス応答性転写因子の経時空間的な細胞内局在変化とその転写制御機構を対象とした"リアルタイム"生物発光イメージング技術への発展と二色同時観察のための新規の生物発光プローブ群などの基盤技術を開発した。
著者
伊藤 万利子
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2011

本研究では、身体知形成過程での視覚の役割を明らかにすることを目指し、けん玉熟練者のふりけんにおける身体運動と玉の運動を記録・分析した。視覚の役割を検討する上で、視野遮蔽眼鏡を用いてけん玉熟練者の視環境の制約を行った。けん玉熟練者3名を対象とし、視野遮蔽眼鏡により視環境が制約された状況下でのふりけんの練習を計8回行った。8回の練習の前後には、どの程度見える時間があれば、ふりけんを成功させることができるのか調べる実験(pre-testとpost_test)をし、一人のけん玉熟練者につき計10回の実験を実施した。分析では、視環境の制約の有無で1)玉の運動・玉を操作するけんの運動・頭部運動がどのように変化するのか、2)回転する玉の穴にけんを入れる際に利用される視覚情報に対して、頭部運動がどのように影響を与えるのかを検討した。データ解析は学習過程(練習時データ)の分析にまで到達しておらず、現在はpre-testとpost-testのデータを中心に分析をしている。Pre-testとpost_testにおける熟練者の傾向としては、pre-testでもpost_testでも視環境の制約の有無によって玉の運動、けんの運動、頭部運動が変化した。pre-testでは視環境制約の有無によってふりけん時に利用された視覚情報が異なるとも同じとも言えなかった。一方post_testでは、視環境の制約に関わらず成功試行では利用された視覚情報は異なっておらず、成功試行と失敗試行とで利用された視覚情報が異なっていた。さらに、玉にけんを入れるときの制御に対しては、頭部運動によりその見えが相対的に緩やかになることがわかった。以上より、ふりけんが成功する場合には視環境の制約の有無にかかわらず同一の視覚情報が利用されており、各条件下で視覚情報が得られるように身体運動が変化するのではないか、つまり運動の柔軟性・多様性の背後に視覚情報の一貫性があるのではないかと考えられた。今後は現在の考察を仮説として残りのデータの解析を進めつつ検証をしていきたい。
著者
Naoki Sakane Yoko Asano Tomoko Kawamura Tomohiro Takatani Yasuhiro Kohama Kazutake Tsujikawa Hiroshi Yamamoto
出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
Biological and Pharmaceutical Bulletin (ISSN:09186158)
巻号頁・発行日
vol.27, no.12, pp.2014-2020, 2004 (Released:2004-12-01)
参考文献数
29
被引用文献数
1 2 3

Fetal liver (FL) hematopoiesis is thought to be important for expanding the cell number during ontogeny. In order to investigate the cellular interaction molecules among FL stromal and hematopoietic cells, we established a monoclonal antibody, Ndk-10, that reacts with FL stromal cells but not with dish non-adherent cells. When Ndk-10 was added to an FL stromal and hematopoietic cell-coculture, it inhibited the survival of c-kit+ cells. The inhibitory activity of Ndk-10 was also observed in the fetal liver organ culture. The Ndk-10 recognized a 150 kD molecule in the adherent cells of FL and kidney, and the N-terminal amino acid sequence was identical to that of mouse aminopeptidase N/CD13. The peptidase activity of CD13 was inhibited by Ndk-10, and addition of its specific inhibitor resulted in the same inhibitory activity as Ndk-10. We propose that aminopeptidase N/CD13 is a critical molecule that regulates the survival of c-kit+ cells in the FL microenvironment.
著者
挾間 章博 三宅 将生 小林 大輔 勝田 新一郎
出版者
福島県立医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

セシウムの臓器蓄積モデルとしてHeLa細胞を使用した。HeLa細胞に対してCsが増殖抑制効果を示すことを明らかにし、学術論文(FEBS Lett. 2017 Mar;591(5):718-727)として発表した。本研究で細胞内へのCsの流入が実際に起きていることが示され、Csにより解糖系酵素の発現抑制や機能抑制が起きている可能性が示された。HeLa細胞と他の細胞株のCs感受性の違いからCsの透過経路となる遺伝子を調べたところ、TRPC1、TRPM7がCsの透過経路と予想できた。
著者
甲斐 義浩 村田 伸 田中 真一
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.365-368, 2007 (Released:2007-08-18)
参考文献数
24
被引用文献数
8 6 10

本研究は,健常成人男性15名(平均年齢22.4±5.7歳,平均身長170.2±5.4 cm,平均体重62.3±8.7 kg)の左右30肢を対象に,利き足と非利き足における足把持力と大腿四頭筋筋力およびそれらの最大値到達時間について比較検討した。利き足の判定については,ボールを蹴る足を機能脚,走り幅跳びで踏み切る足を支持脚とした。機能脚と非機能脚,支持脚と非支持脚の比較において,双方ともに足把持力と大腿四頭筋筋力および最大値到達時間に有意差は認められなかった。本研究では,利き足と非利き足の足把持機能ならびに大腿四頭筋機能の優位性を示すに至らなかった。今後,別の変数を用いた検討が必要と考えられる。
著者
西脇 仁 奥平 敬元
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.111, no.3, pp.141-155, 2005 (Released:2005-07-01)
参考文献数
62
被引用文献数
3 2 5

領家変成帯中の近畿中央部飛鳥地域に分布する苦鉄質岩は,領家古期 花崗岩類に対して層状に産している.苦鉄質岩のほとんどは,コアもリムもほぼ均一な化学組成を示す半自形~他形の斜長石と角閃石からなる.また,斜長石-角閃石温度計を用いて平衡温度を計算するとおよそ500-600℃となることから,これらの苦鉄質岩は角閃岩相の変成作用を被った変成岩であると考えられる.一部の苦鉄質岩に認められる面構造とマグマ期-亜マグマ期に形成された花崗岩類の片麻状構造が斜交関係にあることから,両者は同じ変形作用を被っておらず,苦鉄質岩の面構造は,少なくとも花崗岩類との接触以前に形成されたと判断される.これらのことから,苦鉄質岩は花崗岩質マグマの定置以前に角閃岩相の変成作用を被った後,花崗岩質マグマに捕獲されたと結論づけられる.
出版者
水路部
巻号頁・発行日
1937
著者
川俣 博嗣 土佐 寛順 寺澤 捷年
出版者
社団法人日本東洋医学会
雑誌
日本東洋醫學雜誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.253-260, 1996-09-20
被引用文献数
5 1

寝たきり老人に黄耆建中湯を投与したところ, 著明に日常生活動作 (ADL) の拡大を得た2症例を経験した。 症例1は76歳の女性。 くも膜下出血で約5ヵ月間の入院により, 寝たきりとなった。 入院時は両下肢に麻痺と廃用性萎縮を認め, 意欲の低下は著明であった。 証に随い小建中湯を投与したが, 効果がなかったため, 黄耆建中湯に転方。 徐々に意欲の上昇が得られ, 著明な ADL の拡大を得た。 症例2は86歳の女性。 腰椎圧迫骨折で1年間寝たきりの状態が続いた。 黄耆建中湯の投与で意欲の上昇が得られ, 積極的にリハビリテーションを取り組むようになった。 この結果, 座位が可能となり, 杖歩行で退院となった。 寝たきり老人の病態は, 虚労状態と考えられる。 気力・体力の低下した寝たきりの老人に対して, 本方で著効が得られたことは高齢者医療における漢方医学の寄与を具体的に示す一つの事例であると考え報告した。
著者
森本 剣太郎
出版者
熊本大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究は,持続可能な魅力的ある朝市について特性導き出しこれを一つの地域資源として活用することを最終目的として,①アンケートやヒアリング調査による量的データを収集し,また②現地調査を通して朝市の細かい特性を導く質的データを収集し,これを整理分析した2カ年の研究である.その結果,朝市の魅力キーワードを抽出し,朝市が持続的に地域活性化を担う考察した.