著者
島田 英之 島田 恭宏 大倉充
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.47, no.12, pp.3392-3401, 2006-12-15

近年,コンピュータにより高品質の毛筆書体をリアルタイムに筆記する研究例が報告されているが,現実の筆記環境と異なる方法で筆記するために,対話性が十分とはいえない.本論文では,筆者らが構築した仮想書道システムについて述べる.ユーザは,3 次元位置センサを内蔵した毛筆でスクリーン上に直接筆記し,実際の毛筆,仮想的な半紙や硯など,現実の書道とほぼ同じ作業環境のもとで,仮想的な書道を体験できる.毛筆が触れた場所に正確に筆跡を生成できるようにシステムをキャリブレーションし,実際の毛筆で筆記した筆跡の実測値に基づいて筆跡を生成する.これにより,毛筆が触れた場所に,実際に毛筆で筆記した場合と同じ太さの筆跡を表示できるので,手本をなぞる初歩的な書写練習も可能となった.また,毛筆の空間的な挙動をモニタし,墨の滴りや飛び散りなどの視覚効果も表現した.この結果,年齢を問わず簡単に操作でき,かつ多様な表現が可能なシステムを構築したので報告する.
著者
小池 稔
出版者
岩手大学人文社会科学部
雑誌
Artes liberales (ISSN:03854183)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.1-21, 1988-12-15
雑誌
北海道医療大学看護福祉学部紀要
巻号頁・発行日
vol.14, pp.99-114, 2007
著者
板倉 陽一郎
雑誌
研究報告電子化知的財産・社会基盤(EIP)
巻号頁・発行日
vol.2014-EIP-63, no.3, pp.1-6, 2014-02-14

第 185 回国会において成立した 「消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律」 は,集団的消費者被害についてこれを回復するための特別の手続を定めるものである.集団的消費者被害については,インターネットを通じてこれが引き起こされることも数多く存在し,同法のインターネット上の事案への適用について,問題となる点を考察しておくことは,今後の同法の運用にも関連し,重要である.本稿では,同法の概観と,インターネット上の事案への適用について考察する.
著者
岡 優希 長名 優子
雑誌
第82回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2020, no.1, pp.545-546, 2020-02-20

吃音症には大きく分けて3種類の症状があるが、音声からそれらの症状を自動的に分類することができると吃音症の治療や吃音者に利用しやすい音声認識を用いた製品の開発などを行う際に有効であると考えられる。一方で、ディープラーニングの手法の1つである畳み込みニューラルネットワークは音声認識の分野においても優れた成果をあげ、注目されている。吃音者の話し方には音の繰り返し以外にも様々な特徴があると考えられるため、吃音の分類においても畳み込みニューラルネットワークを用いることでそのような特徴を学習によって抽出し、分類に活かすことができると考えられる。本研究では、畳み込みニューラルネットワークを用いた吃音症の分類を提案する。
著者
橋本 大世 鶴岡 慶雅
雑誌
ゲームプログラミングワークショップ2020論文集
巻号頁・発行日
vol.2020, pp.62-69, 2020-11-06

深層強化学習の多くの設定ではエージェントが行動を取る際, 一度選んだ行動を何度か繰り返し, 次の行動決定時まで状態は観測しないことが一般的である. これはaction repeat またはframe skip と呼ばれる. 行動を繰り返すこの技法にはいくつかの利点があるが, 行動を繰り返す間のデータ(中間フレーム)は実質的に捨てられてしまう. 学習データ量はaction repeat の長さに反比例するため, これは学習のサンプル効率に悪影響となりうる. 本研究では, 擬似的な行動という概念を導入することでこの問題を軽減する, シンプルでありながら有効な手法を提案する. 提案手法の要点は, 擬似的な行動を考えることで, actionrepeat 間の遷移データを学習に利用できるようにすることである. 連続制御タスクにおける擬似的な行動は, 行動を決定する時刻をまたぐ行動系列の平均として得ることができる. 一方, 離散制御タスクにおける擬似的な行動は, 行動の埋め込み表現から計算することができる. この手法は, Q 関数の学習を伴う任意のモデルフリー強化学習手法と組み合わせることができ, 汎用的である. 実験では, OpenAI Gym の連続制御タスク, 離散制御タスクの両方で提案手法の有効性を検証した.
著者
冨川 雅満
出版者
法学新報編集委員会
雑誌
法学新報 (ISSN:00096296)
巻号頁・発行日
vol.121, no.5・6, pp.269-310, 2014-10-31

本稿は、暴力団員がその身分を偽ってまたは秘匿して、契約約款において暴力団排除条項を設けていた相手方と契約を締結させた事案(暴力団事例)において、最高裁が下した詐欺罪に関する近時の判断について、ドイツとの比較法的観点から検討するものである。ドイツにおいては、類似の事案構造を有するものとして、いわゆる雇用詐欺が問題となっており、そこでは財産的損害、欺罔行為が肯定されるかが議論されている。ここでの議論を参照し、わが国の判例・学説と対比させることで、暴力団事例における最高裁の判断構造を分析することが、本稿の目的である。
著者
伊藤 大河 山本 利一
出版者
埼玉大学教育学部
雑誌
埼玉大学紀要. 教育学部 = Journal of Saitama University. Faculty of Education (ISSN:18815146)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.107-116, 2016

When killing notice videos of Japanese hostage by ISIL has been published in the January 20, 2015, a photomontage of Japanese Twitter user has processed the part of the video, relentlessly to Twitter account you think that the ISIL persons concerned was sending. Had been highly regarded abroad despite in Japan is a critical evaluation of this case. It was carried out re-examination of educational content related to information ethics in response to this case. And it is proposed to be added to educational content on SNS for convenience of anonymous communication. Specifically, the use of a SNS normally, some degree of anonymity is ensured. However, it is no longer anonymous to the moment the post content is may the manners violations and criminal acts, it is a learning content that could be personally identifiable.
著者
山本 隆一郎 今泉 結
雑誌
江戸川大学心理相談センター紀要 = The bulletin of Edogawa University Psychological Counseling Center
巻号頁・発行日
vol.1, pp.15-24, 2020-03-25

本研究の目的は,拡張版計画的行動理論(TPB-E)に基づき大学生におけるインフルエンザワクチン接種行動意図の関連要因を探索することであった。大学生を対象にTPB-E における各コンストラクトの操作的定義及び測定法(Schmid et al., 2017)を用いた質問紙調査が実施された。127 名の有効回答が分析対象であった。ステップワイズ法による重回帰分析の結果,“ワクチン接種をしない場合に予期される後悔(β = .374,p < .001)”,“態度(β = .248, p = .011)”,“知覚されたインフルエンザ罹患可能性(β = .193,p = .026)”がモデルに投入された(R 2 = .436)。性別ごとに解析したところ,男性では,“ワクチン接種をしない場合に予期される後悔(β = .492,p < .001)”,“知覚されたインフルエンザ罹患可能性(β = .267,p = .015)” がモデルに投入され(R 2 = .343),女性では,“ワクチン接種をしない場合に予期される後悔(β = .571,p < .001)”,“ワクチンを接種した場合に予期される後悔(β = -.375,p < .001)”,“態度(β = .301,p = .011)” がモデルに投入された(R 2 = .654)。このことから,ワクチン接種行動意図を高めるためには,ワクチン接種を行わなかった際の損益を強調すること,特に,男性では予防接種の効果に対する評価を高める介入,女性では副反応に関する正しい知識の教育が有効であると考えられた。
著者
白石 浩介
出版者
拓殖大学地方政治行政研究所
雑誌
拓殖大学政治行政研究 = The journal of politics and administration (ISSN:24239232)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.21-60, 2019-02-28

消費税は多段階課税の仕組みであり,製造販売の過程を経て税が徐々に累増していくので,消費税の転嫁問題の検討に際しては,ある商品の最終生産者や販売者以外に税の形成に寄与した中間事業者を特定化し,その影響について知ることが望ましい。本研究では産業連関分析における価格モデルと生産額モデルを用いて消費税の構造を分析した。価格モデルを用いると,消費税率の引き上げに伴う消費税額の増加をその商品の製造販売に関与した産業別に分解することができる。産業連関分析では「産業別付加価値率×逆行列係数」という算式により税込み価格を推計する。この算式を要素ごとに分解すれば,それが各産業の寄与度となり,そこから消費税分を取り出せば税の転嫁を知ることができる。総務省2011年表に基づく推計結果によると,多くの商品では消費税額の4割強は最終生産者である自産業に由来する。商品の製造販売のために用いられる原材料の種類が多くても消費税の構成という観点からみると,限られた産業が消費税を累増させている。この少なさは消費税の過剰転嫁や過小転嫁をもたらす。消費税のユニット・ストラクチャー分析とは,産業連関分析における生産額モデルを用いて,ある商品の生産に起因する直接間接の生産過程において,中間財・サービスから最終製品に至る段階までに転嫁される消費税額を推計するものである。ここでも自産業に対する転嫁が多くを占めるが,それ以外に転嫁される消費税も少なくない。最終製品の生産者に中間品を納入する1次サプライヤーは,多くの消費税を転嫁している。転嫁対策が必要とされるゆえんである。
著者
荒澤 孔明 服部 峻
雑誌
情報処理学会論文誌データベース(TOD) (ISSN:18827799)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.1-18, 2020-04-16

ユーザの言動に影響を与える人物(インフルエンサ)を精確に推定することは,消費行動の促進や学習への動機づけなど様々なタスクをサポートするための重要な基礎技術となる.そのなかでも,社会的に影響を与えている人物(著名人など)のような,ユーザに共通したインフルエンサだけでなく,身近な人物(友人など)のような,個々人に依存した異なるインフルエンサを推定する技術は,より高度にパーソナライズされた情報推薦システムへの発展にもつながる.そこで本論文では,他者に影響されているであろうことがうかがえるSNS(Twitter)上の反応や関心を分析することで,ユーザごとに影響を受けている人物を推定する手法を複数提案し,それらの推定性能に関する比較実験を行う.
著者
大谷 京子 Kyoko Otani
雑誌
日本福祉大学社会福祉論集 = Journal of social welfare, Nihon Fukushi University
巻号頁・発行日
vol.130, pp.15-29, 2014-03-31

ソーシャルワークアセスメントプロセスにおいて求められるソーシャルワーカーの態度と,プロセスを進めるための行為・スキルについて,先行研究をレビューした.態度としては,ソーシャルワークの価値に根ざした認識論を基礎にしたときに求められる態度について先行研究を整理した.その「世界の見方」として,「問題の所在は社会の抑圧構造にある」という見方,「真実は一つではない」という見方を取り上げた.そこから導き出されるあるべきワーカーの態度とは,自らの役割に対する徹底的な自己批判的省察と,クライエントに対して欠損を負わせないストレングス視点,自らの偏った見方へのわきまえとクラエントとの協働を促進する態度である.行為・スキルとしては,①どのようなデータを,②どのように集め,③いかに分析し,④記録に残すか,ソーシャルワーカーの行為とそこで使われるスキルに関する先行研究を整理した.これらの整理を基に,ニーズアセスメントに焦点を絞って研修プログラムを開発することが今後の課題である.