著者
鈴木 雅大 松尾 豊
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

近年のマルチモーダル学習は,深層ニューラルネットワークが用いられることが多い.通常,ネットワークの訓練のために大量のラベルありデータ集合が必要だが,ラベル情報の付与には人的コストがかかってしまう.したがって,マルチモーダルデータにおける半教師あり学習が重要となる.これらの手法の中でも,近年深層生成モデルを用いたマルチモーダル半教師あり学習が提案されている.本研究では,まずこれらの手法を比較し,特に決定論的な対応関係がない異なるモダリティを入力とした場合,共有表現に対応する潜在変数を持つSS-HMVAEが高い性能となることを確認する.次に単一モダリティからラベルを予測するために,SS-HMVAEを拡張したモデルであるSS-HMVAE-klを提案する.この手法によって,従来のモデルと比較して,単一モダリティを入力とした場合の性能が大幅に向上することを確認した.
著者
味藤 未冴来 川岸 卓司 水谷 孝一 善甫 啓一 若槻 尚斗 竹前 喜洋 西藤 岳彦
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

豚呼吸器感染症は農家に甚大な損失を与える。豚は呼吸器感染症に感染している時にくしゃみ回数は増加する。しかしながら,くしゃみ回数の増加がインフルエンザによって引き起こされるかは検証されていない。これを検証するため,感染をコントロールした環境下で音信号・動画像の収録を行った。本稿では,収録した音信号に効率的なラベル割り当て支援システムの開発を目的とする。まず,音響イベントを検出するために,収録した信号に周波数フィルタを適用し,SN比に基づいて閾値判定した。その後,検出した音響イベントと動画像を観測者に同時に自動提示した。結果として,14日間の収録音に対し,3万サンプルの音響イベントが検出された。また,観測者は3000サンプルに対してラベル割り当てを行い,このうちくしゃみ音は67サンプル存在した。ラベル割り当ては,1時間あたり最大200サンプルの速さであり,本支援システムが割り当て作業の効率化をもたらした。
著者
相馬 尚之
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

本論文は、人間と機械の関係を「遊び」から論じる。近年のチェスや将棋における人工知能の勝利は、人間の知能さえ機械が超越しうることを示しており、これらを受けて、『フランケンシュタイン』のように、創造主は被造物に乗り越えられ遂には破滅してしまうのではないかという恐怖が高まっている。だが18世紀末、機械は遊戯のための娯楽であった。機械は、産業革命の進展とともに見世物のための自動人形から実用機械へと姿を変え、生産性や実用性の尺度に基づく「ロボット」へと変節していったのである。そこで本論では、人間と機械の共存を模索する一つの道として、チェスや将棋を主題に「遊戯性」の観点から機械の系譜をたどることで、この盤上の世界でこそ遊戯的人間と、実用性のくびきを逃れた遊戯的機械の邂逅が果たされる可能性について検討したい。
著者
鈴木 麗璽 有田 隆也
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

本論文は連続的な社会相互作用ダイナミクスの理解に対する次の3つのアプローチについて論ずる:1)社会空間を表現した二次元平面上を近傍とのゲーム論的状態と位置関係に応じて移動するsocial particle swarm(SPS)モデル,2)実時間で意思決定を行い利得を得る状況における動的な社会相互作用を理解するためのWeb実験フレームワーク,3)超多個体での3次元版SPSモデル.
著者
早矢仕 晃章 大澤 幸生
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

異なる分野のデータと知識を結合することで問題を発見し、問題解決を行うことへの期待が高まっている。しかし、その実現には多くの障壁が存在する。本稿では、データ3.0時代におけるデータの在り方についてデータランドスケープを用いて所見を述べる。現在はデータ2.0からデータ3.0への過渡期である。これからのデータ駆動型社会の実現には、データ・AI技術・人間の相互作用による異分野のデータと知識の連携によるイノベーションの場である「データ市場」の整備が重要と言える。
著者
米田 航紀 横山 想一郎 山下 倫央 川村 秀憲
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

深層学習を使用した芸術の作成が近年注目を集めている。また、日本で古くから親しまれている芸術として俳句がある。そこで、俳句を作成する方法として一般的な「モチーフから俳句を作る」ということを深層学習を使用して行うこと で、芸術作成としての深層学習の有用性を示す。まず、我々は大量の過去の俳句に基づいてLSTMを訓練し、LSTMに文字列を生成させる。2つめに、生成された文字列から俳句としての条件を満たすものを抽出し、モチーフ画像に適合するかどうかの評価値を算出する。評価値が高ければ、生成された俳句がモチーフ画像に適合しているとみなす。この過程で、LSTM が俳句としてのルールを学習できているかを確認するための実験を行った。
著者
大木 基至 竹内 孝 植松 幸生 上田 修功
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

モバイルネットワークサービス提供社の課題の一つが安定した高品質なサービス提供である.しかしながら,ネットワークトラフィックの急増や設備の経年劣化がスループットの低下などの品質劣化やネットワーク故障を引き起こすことがある.そのような問題において,サービス利用者はサービス提供社よりも早くサービスの使用不能や品質劣化を発見することがある.利用者は彼らの体感をすぐにソーシャルサービス上で発信したり,故障情報を得るためのWeb検索などを迅速に行う.これらのデータから異常を検知することで,故障検知および予測に役立つと考えられる.この論文では,複数のユーザ行動データを用いて,故障を検知および予測するための機械学習モデルアプローチを提案する.モバイルネットワークサービスの実データを用いた複数の実験により,提案するフレームワークの有用性を検証する.
著者
杉本貴代
出版者
日本教育心理学会
雑誌
日本教育心理学会第57回総会
巻号頁・発行日
2015-08-07

0.はじめに 本研究では,日本語の心的辞書の中核を成す和語(やまとことば)に固有の現象である「連濁」の獲得過程と言語発達を検証することにより,子どもの言語処理と心的辞書の発達的特徴を検討する。連濁は,複合語の後部要素の語頭子音が濁音化する現象であり(例:いちばん+ほし→いちばんぼし, /h/→[b]),日本語の心的辞書を特徴づける語種の一つである和語に固有の現象として知られている(窪園 1999, 他)。脳科学的手法による研究から,連濁は言語の音声,形態,統語,意味の各範疇の情報処理に関連することが示されており(尾形他 2000, 酒井他 2006),その獲得の過程を明らかにすることは,日本語獲得過程と言語処理の統合的理解に寄与すると考えられる。これまでの成人対象の研究から,連濁が生起されるためには,①和語であるか否かの語種の区別に関する知識と,②単語を解析して有声阻害子音の有無を判別する能力の2条件が求められると考えられてきた(成人の連濁の2条件)。しかしながら,近年の先行研究から,子どもは初めから成人の2条件をそのまま学んでいるわけでなく,幼児は自ら利用可能な言語情報を用いて独自の連濁処理方略を発達変化させ,就学期を境に質的変化を経て成人に近づいていくことが示唆されている(杉本 2014)。1.問題と目的 音声言語を用いる幼児の連濁方略が児童期に質的に変化する要因は何であろうか。本研究では,幼小移行期の文字言語の学習とそれにともなう発達的変化に注目する。かな文字と漢字を学ぶ定型発達児の知見(杉本2015)に新たに点字を習得する盲児の事例を加え比較考察することにより,習得する文字種の特性により,心的辞書の再構成と言語処理方略に差異の有無を検討する。2.方法 実験は,定型発達児対象の先行研究(杉本2015,印刷中)と同じ2(アクセント)*2(既知/新奇語)の2要因反復測定計画とし,複合名詞産出課題を用いた。研究協力者は,東京方言地域(早田 1999)に居住する全盲の幼児2名(59カ月齢,72ヶ月齢)と先天盲の大学生1名であった。幼児2名のうち,1名は点字既習であり,もう1名は未習得であった。実験に際し,盲児に分かりやすい触覚刺激を用いた複合名詞産出課題を開発した。言語産出実験と発達検査を実施し,かな文字・漢字を習得途中の同年齢の定型発達児の知見と比較した。 実験結果の予想として,点字未習得の盲児は,定型発達幼児と同様にプロソディにもとづく連濁方略を用いると予想される。点字既習の盲児においても,ひらがな,カタカナのような区別を学習しないため,点字未習得の幼児と同様に音声特徴のみにもとづく連濁方略を使うと予想される。3.分析と結果 全盲の研究協力者を得にくい状況から,本研究は事例研究として分析した。まず,点字未習得の盲児は,プロソディにもとづく連濁方略(平板型アクセント語をもつ連濁和語のみ連濁させる),同年齢の定型発達幼児と同様の連濁方略を用いていることが明らかになった。一方,定型発達のかな文字習得児と点字習得児では,連濁方略に差異が見られた。すなわち,点字習得児は,幼児期固有の連濁方略には依存しておらず,成人と同様に連濁和語をすべて連濁させること(平板型≒頭高型語)に加え,外来語と漢語もすべて連濁させる非和語への拡張が確認された。点字習得児の非和語への規則的な拡張は,定型発達の幼児・児童にまれな傾向であることから(杉本2013),点字の学習と同時に別の手がかりをもとに語彙を分類(レキシコンの再構成)している可能性が考えられる。4.結論 点字を習得している/していない全盲の幼児の連濁方略に明らかな差異が確認された。点字未習得の幼児は,同年齢の定型発達児と同様の連濁方略を持つが,点字を習得している幼児の連濁方略は,定型発達幼児には見られない傾向であるため,点字学習の影響が考えられる。しかし,その因果関係は,本横断研究からは結論づけられるものでなく,今後の縦断的調査により,個人内の発達変化を追跡する必要がある。【謝 辞】 本研究にご協力くださいましたお子さんと保護者の皆様,先生方に心より御礼を申し上げます。本研究の一部は,平成26年度文部科学省科学研究費補助金挑戦的萌芽研究(課題番号26580080)および国立国語研究所共同研究プロジェクトの助成を受けました。
著者
Toshiro Tanimoto Anne Valovcin Vala Hjorleifsdottir Felix Rodríguez Cardozo
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2018年大会
巻号頁・発行日
2018-03-14

From satellite data, we can learn the location of a hurricane (typhoon) quite accurately. What is hard to get from satellite data is its intensity change and that is why hurricanes hunters (NOAA) still fly into a hurricane to measure pressure and wind near its center. We are exploring an alternative idea of using seismic signals to monitor its intensity change. Our main questions are (i) when a hurricane (typhoon) intensifies, what kind of seismic waves are generated and can be measured on land and (ii) what is the best seismic indicator of an intensifying hurricane?In this study, we take an example of Hurricane Patricia in 2015 which was the strongest hurricane on record in the eastern North Pacific and North Atlantic basins (Kimberlain et al., 2016). We examine the nature of seismic waves that were excited as the hurricane intensified over anomalously warm waters to the south of Mexico and then reached land near Playa Cuixamala (Oct. 23, 23th hour, UTC). This landfall area was surrounded by many seismic stations from the Mexican National Seismological Service (SSN) which has broadband seismic data (STS-2 type velocity sensors).We examined temporal variation of power spectral density (PSD) of seismic data for selected 32 stations using the time-frequency plots. The landfall occurred near the center of 32 stations and depending on the distance from the hurricane, we can categorize the characteristics of time-frequency plots into three types, the northern group, the central group, and the southern group. Stations in the central group recorded the time evolution of hurricane intensity most faithfully and for monitoring purposes, we should focus only on these stations. The southern group showed signals from the hurricane but it also showed strong effects of nearby coastal (trapped) waves which made it problematic for monitoring purposes. The northern group seems too far away in general as seismic signals from the hurricane became much weaker.This hurricane developed from category 1 to category 5 within 24 hours on Oct. 22, 2015, while it was off the coast about 350-400 km; the data in the central group shows a rapid increase of seismic energy around 0.15 Hz (between 0.1 and 0.2 Hz) which matches with intensification of wind speeds of this hurricane. This frequency band is similar to those of secondary microseisms. The integrated power between 0.1 and 0.3 Hz shows a sudden increase of power during the first 6 hours of Oct. 22 and remains at this high level for about a day when the hurricane was the strongest. Seismic amplitudes decay from the coastal stations to the interior, suggesting (obviously) that coastal stations are critical for monitoring purposes.The data in the central group showed a rapid increase of seismic energy for higher frequencies up to 1 Hz too, although the maximum energy was at about 0.15 Hz. We also noted that there were no significant changes in seismic data below 0.1 Hz.These observations indicate that we should examine the frequency band from about 0.1 Hz to 0.4 Hz focusing mainly on the stations within about 500 km from the hurricane center. Since the location of hurricane is critical, seismic monitoring has to be conducted together with satellite data.
著者
Michel Nicolas 坂田 隼人 栗田 啓大 山崎 俊彦
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

バナー広告においてクリック率は広告効果を評価する上で非常に重要な指標である。広告主は大量の広告画像候補を経験と直感に基づいており、効果測定をする際には実際に広告配信することで行わなければならない。このプロセスは非常に時間と労力がかかる上、効果測定のための広告コストや、本来ならば高い広告効果が出るはずだった画像が担当者の判断によって配信されない機会損失が発生するなどの問題がある。そこで、私たちは広告画像からクリック率の高いものと低いものを分類する技術をCNNによって実現した。はじめに、画像や画像及び広告に関する様々なメタデータからクリック率を予測するモデルを構築した。これにより、広告業界の人間による広告効果予測の精度を大幅に上回ることを示した。また、CAMを適用することにより、広告画像のどのような領域や要素がクリック率を高めるのかを示唆するシステムを構築した。本研究により、広告画像のいち早い評価と広告画像作成においてデータに基づいた示唆を与えることに成功した。
著者
津旨 大輔 坪野 考樹 三角 和弘 立田 穣 豊田 康嗣 恩田 裕一 青山 道夫
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2018年大会
巻号頁・発行日
2018-03-14

A series of accidents at the Fukushima Dai-ichi Nuclear Power Plant following the Great East Japan Earthquake and tsunami of 11 March 2011 resulted in the release of radioactive materials to the ocean by two major pathways: direct release from the accident site and atmospheric deposition. A 6 years, regional-scale simulation of 137Cs activity in the ocean offshore of Fukushima was carried out by the Regional Ocean Model System (ROMS), the sources of radioactivity being direct release, atmospheric deposition, the inflow of 137Cs deposited into the ocean by atmospheric deposition outside the domain of the model, and river discharges.Direct releases of 137Cs were estimated for 6 years after the accident by comparing simulated results and measured activities adjacent to the accident site. In addition, river discharge rates 137Cs were calculated by multiplication between river flow rate and 137Cs activity. River flow rates were simulated by a water circulation analysis model for each catchment. Temporal change of 137Cs activity both of particle and dissolved forms were measured at 8 rivers and normalized by the inventory of 137Cs in each catchment. 137Cs activity in other 4 rivers were estimated by the normalized 137Cs activity and inventories of catchments. After 2013, direct release and river discharge were dominant for input of 137Cs to the ocean. Apparent half-life of direct release and river discharge of were estimated to be about 1 year and 2 years, respectively.Apparent half-life of measured 137Cs activity adjacent to 1F NPP was about 1 year, on the other hand, the ones in the coastal zone away from 1F NPP were about 2 years after 2013. Apparent half-life of simulated results with river discharge was in good agreement with the one in the coastal zone away from 1F NPP. River discharge affected on temporal change of 137Cs activity there. On the other hands, simulated 137Cs activities with river input were one order of magnitudes smaller than observations. This underestimation suggests modifications of river input process, such as estuary mixing process, removal from particle form 137Cs and inputs from small rivers around the 1F NPP.
著者
三浦 輝 栗原 雄一 山本 政義 山口 紀子 坂口 綾 桧垣 正吾 高橋 嘉夫
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2018年大会
巻号頁・発行日
2018-03-14

Introduction: A large amount of radiocesium was emitted into environment by the Fukushima Nuclear Power Plant (FDNPP) accident in March, 2011. Adachi et al. (2013) reported glassy water-insoluble microparticles including radiocesium, called as radiocesium-bearing microparticles (CsMPs). The CsMP is spherical with 1-3 μm in diameter and the radioactivity ranges from 0.5 to 4 Bq. It has been suggested that the CsMP was mainly emitted from Unit 2 or Unit 3 of FDNPP based on the 134Cs/137Cs activity ratio in the samples. In contrast, Ono et al. (2017) reported new particles called as Type B particles emitted from Unit 1. Type B particles are in various shapes and the size is 50-300 μm with radioactivity ranging from 30 to 100 Bq. These differences may represent the difference of generating process or condition of each unit in the plant. Previous studies have reported chemical properties of radioactive particles in detail but the number of particles reported is small. In this study, we tried to understand radioactive particles systematically by analyzing a lot of particles separated using wet separation method. Method: In this study, we collected 53 Type B particles and 13 CsMPs from road dusts, non-woven fabric cloths from Fukushima, and aerosol filters from Kanagawa Prefecture by a wet separation method. After measurement of radioactivity with a high-purity germanium semiconductor detector, scanning electron microscope and energy dispersive X-ray spectroscopy analyses were performed to confirm that separated particles were CsMPs or Type B particles. We investigated inner structure and calculated the volume and porosity of Type B particles by X-ray μ-computed tomography (CT). We determined Rb/Sr ratio by X-ray fluorescence (XRF) analysis. Redox condition of each unit was investigated by X-ray adsorption near edge structure (XANES) analysis for Uranium in particles. Result: CT combined with XRF analysis showed the presence of many voids and iron particles in Type B particles. In addition, 137Cs concentration of CsMPs were ~10000 times higher than that of Type B particles, which suggests that Type B particles were formed by fuel melt. In contrast, CsMPs were formed by gas. Among Type B particles, spherical particles had higher 137Cs concentration than non-spherical particles. Type B particles with larger porosity had higher 137Cs radioactivity because of capturing a lot of volatile elements such as Cs and Rb within the particles. Moreover, four spherical particles had inclusions in their voids which are considered to be formed by rapid cooling of gaseous materials. XANES analysis showed the presence of U(IV) in a Type B particle, whereas U(VI) in other Type B particles and a CsMP. These results suggest that Type B particles and CsMPs are totally different in forming process and they have information of condition in Units.
著者
青山 道夫
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2018年大会
巻号頁・発行日
2018-03-14

Radiocaesium (134 Cs and 137 Cs) released by the TEPCO Fukushima Dai-ichi Nuclear Power Plant (FNPP 1) accident that occurred in March 2011 was injected directly into the North Pacific Ocean via the atmosphere or directly discharged as contaminated water. It is considered that tritium (3H) is also released into the atmosphere as water, then enters the ocean through precipitation or river water and enters the water circulation by evaporation from the surface of the ocean. In addition, 3H is directly injected into the ocean as contaminated water, it is considered that it also enters the water circulation like 3H that entered the ocean via the atmosphere. There is well known tritium source other than FNPP1 accident derived tritium in our environment. Cosmogenic tritium is big source term, too. In this presentation, radiocaesium and 3H activity concentrations on the coast of Fukushima obtained in 2014, 3H/137Cs activity ratio and 134Cs/137Cs activity ratio were examined and discuss about behavior of radiocaesium and tritium.At Tomioka, 134Cs/137Cs activity ratios ranged from 0.31+- 0.03 to 0.35+-0.03 and were similar with 134Cs/137Cs activity ratios observed at the station FNPP1-T-1 where those ranged from 0.29 to 0.40. 134Cs/137Cs activity ratio off Fukushima stations ranged from 0.24+-0.03 to 0.37+-0.03. The consistency of 134Cs/137Cs activity ratio in these regions are clearly shown. An activity ratio of 0.355 for 134Cs/137Cs activity ratio means that 134Cs/137Cs activity ratio at the time of accident, 11 March 2011, was 1.0 whcih is similar with 134Cs/137Cs activity ratio in the core inventory at FNPP1 at the time of the accident [19,20]. This indicates that major source of radiocaesium observed at Tomioka, off Fukushima stations and the station FNPP1-T-1 should be FNPP1 accident derived radiocaesium and originated from the same source.3H activity concentrations at Tomioka and Hasaki were 175 ±14 Bq m-3 in June 2014 and 57±12 Bq m-3 in August 2014, respectively. In contrast with strong gradient of 137Cs activity concentrations in surface water between FNPP1-T-1 and off Fukushimastations as stated previosuly, 3H activity concentrations among the off Fukushima stations including Tomioka and Hasaki which located north and south of FNPP1 showed relatively homogenius as around 60 Bq m-3 to 200 Bq m-3 during the period from May 2014 to September 2014. Only exception was obserevd at FNPP1-T-1 station and 3H activity concentrations exceed 1000 Bq m-3. It is also known that 3H activity concentration in precipitation is relatively 3H rich rather than 3H activity concentrations in seawater due to cosmogenic 3H of which activity concentration ranged 180 - 1000 Bq m-3 in precipitation globally and observed 3H activity concentrations in Tomioka river were 590-700 Bq m-3 during the period from Dec. 2013 to Dec. 2015 and 3H activity concentrations in several rivers at Fukushima region also showed similar level around several 100 Bq m-3 by monitoring of Fukushima Prefecture, and 690 +- 20 Bq m-3 on 19 January 2015 (Aoyama unpublished data). This homogenous distribution of 3H activity concentrations in this interestd region might indicate that contribution from 3H rich water from sorrounding rivers located north and south of FNPP1 site was larger rather than flux of 3H from FNPP1 site.On the other hand 3H/137Cs activity ratio at Tomioka was 2.0 +- 0.2 in June 2014, however 3H/137Cs activity ratio at station FNPP1-T-1 ranged from 2.2 to 15.3. 3H/137Cs activity ratio at off Fukushima stations ranged from 1.1 +- 0.1 to 17.1 +- 2.1. The 3H/137Cs activity ratio at Tomioka is close to lower side of 3H/137Cs activity ratio at station FNPP1-T-1. The physical and chemical characteristics of 3H are quite different from those of caesium of which form in seawater is dissolved but cannot evaporate from surface of seawater. 3H might exist as HTO and HTO can move by evaporation and precipitation through seawater surface. During the transportation processes in the ocean and also possible different source of highly contaminated water from FNPP1 site, reasons of the observed variability of 3H/137Cs activity ratio in this region might be complex. One possibility of this variability after released from FNPP1 site may be evaporation.
著者
Tsubono Takaki Kazuhiro Misumi Daisuke Tsumune Michio Aoyama Katsumi Hirose
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2018年大会
巻号頁・発行日
2018-03-14

We conducted the five ensemble simulation of 137Cs activity in the North Pacific Ocean (NPO) water from 1945 to 2020, before and after the Fukushima Dai-ichi Nuclear Power Plant (1F NPP) accident. We applied the Regional Ocean Model System (ROMS) with variable mesh of 1/12º-1/4º in horizontal, 45 levels in vertical), of which domain was the NPO, to the activity in NPO by using the estimations of 137Cs activity flux such as the atmospheric deposition due to the atmospheric nuclear weapon test from 1945 to 2020 and the atmospheric deposition and the direct release due to 1F NPP accident from 2011 to 2020, but climatology as physical forcing in the whole time. The calculations show almost comparable to the 137Cs activities from 2011 to 2014 in the area that was increased or not increased by the impact of the accident. That suggested that this model reproduced the observed 137Cs activities reasonably from 1945 to 2014.The model showed the largest inventory (290 PBq) of the 137Cs activity in the NPO recorded in 1966, because the largest fallout occurred around 1963 due to the atmospheric nuclear weapon test. The inventory has gradually decreased to about 60PBq by January 2011 because of the half-life and the outflow through the boundaries of the NPO, while hardly showing impact of the Chernobyl accident. The Inventory rapidly increased to 76PBq of which 34PBq existed in surface layer (0 - 200m depth) and 31PBq in central layer (200m - 600m depth) after the accident in April 2011 and then decreased to 56PBq of which 19PBq in the surface layer and 27PBq in the central layer in 2020. The actual half-life, including the radioactive half-life, the transport between the layers and the outflow from the domain, of the inventory was calculated before and after the accident. While the inventory showed same the actual half-life of about 20 years before and after the accident, the half-life of the total amount in the surface decreased from 14 years before the accident to 12 years after the accident and that in the central layer increased from 19 years to 33years. This result showed that the decrease in the total amount in surface is mainly because of the transport from the surface to the central layer after the accident.
著者
邵 博華 浅谷 公威 坂田 一郎
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

M&Aが起こりやすいペアを自動的に検出する技術を作ることができれば、効率的なM&Aの候補の推薦や検討しているM&Aの有効性の検証に適用する事ができる。しかし、過去において、データの不十分さとM&A本来の複雑さのため、M&Aを自動推薦することは難しい。本研究では、M&Aを企業が持つキャッシュフローのデータや企業間の関係性などの指標からクラスタリングする手法を提案し、M&Aは特定のクラスターに集中していることが観察された。また、クラスタリングの精度を向上するために、キャッシュフローに関する指標から企業間の関係性の分類に重要と思われる指標のみを取り出すべく各指標間の関係性を分析した。本研究の結果は大規模データからのM&A推薦の有用性を示すものである。また、今後は多くの特徴量の設計と取捨選択を行い、M&Aの分析に応用し、その結果を経営学と比較連携する予定である。
著者
溝口 勝
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2018年大会
巻号頁・発行日
2018-03-14

2011年3月に福島第一原子力発電所から放出された放射性セシウムは表層に5cm以内の水田に集積していた。この放射性セシウムを除去するために、国は一斉に表層土を剥ぎ取る除染工事を実施した。そのため、福島県飯舘村の水田には汚染土が詰め込まれた黒いレコンバックが山積みになっている。一方、国の方法とは別に、私は放射性セシウムが粘土粒子に固定される性質に着目し、農家自身が手軽にできる農地除染法をNPOや農家と協力して開発してきた。2012年12月、福島県飯舘村の佐須地区の水田で汚染土壌の現場埋設実験を行った。我々は水田の汚染された表土(10m×30m)5cmを剥ぎ取り、水田の中心にトレンチ(幅2m、長さ30m、深さ1m)を掘って、深さ50~80cmに汚染土を入れ、厚さ50cmの非汚染土を被せた。この水田で、2013年から毎年米を育て、この除染法で安全な米を生産できることを確認した。さらにこの水田から放射性セシウムが漏出しないことを証明するために、2014年5月に水田に底付のPVCパイプ(内径10cm、長さ200cm)の井戸を設置し、2015年3月から半年間ごとに土壌放射線量を測定している。その結果、土壌放射線量は深さ70cm辺りでピークを持つガウス分布となることが観測されている。そのピークを持つ深さはこの3年間ほとんど変化していない。この結果は、田面水が地中に浸透していても放射性セシウムが移動しないことを示している。
著者
中村 有吾 高橋 唯 仙頭 杏美 和田 庫治
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2018年大会
巻号頁・発行日
2018-03-14

室戸ジオパークは、2008年に日本ジオパークに認定されてから、今年で満10年となる。2018年には、今後10年間の活動計画(マスタープラン)を策定し、今後のジオパーク活動を推進する上で主要な活動場所となるサイトおよび拠点施設を見直し、新たに指定することになる。その際、2015年のGGN再審査による指摘事項(Recommendation)に対応するため、次の条件を満たすサイトを設定する:内陸のサイトを増やす、地質サイトとそれ以外(生態・文化)をわける、自然の家展望台などツーリストの関心を引く施設も活用する、構造地質学的要素(断層など)をとりいれる、施設や道を「サイト」としてはいけない。ただし、大前提として、室戸ジオパークのテーマ(「海と陸が出会い 新しい大地が誕生する最前線」)およびそこから派生するジオストーリーに沿った地点を、サイトとして設定する。新たなサイト設定には、従来「ジオサイト」として活用してきた地点を再定義するとともに、市民から要望のあったサイトでテーマとの関連するものを新たにサイトとして定義した。そのほか、専門員による野外調査・文献調査に基づいて、室戸ジオパークに分布する主要な地層(Formationレベル。場合によってはMemberレベル)や地形(海成段丘や海食地形など)は代表的な地点をサイトとして認定する。その際なるべく、室戸半島の東海岸・西海岸でそれぞれ認定する。その結果、51のジオサイト、10のエコサイト、17のカルチュラルサイトを「サイト」として、また、展示施設や展望台などの10施設を「拠点施設」として、設定した。
著者
平松 良浩 松原 誠 中川 和之
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2018年大会
巻号頁・発行日
2018-03-14

はじめに 日本各地のジオパーク活動の支援ならびに地震学の知識の普及、学術研究の促進を目的として発足した日本地震学会ジオパーク支援委員会では、ジオパーク専門員に対する勉強会として、地震学習会「ジオパーク活動で使える地震学1」を昨年度に実施した。さらに参加者に対してアンケートを実施し、地震学習会に対する評価や今後のテーマについて調査を行なった。本講演ではそれらについて紹介する。 地震学習会「ジオパーク活動で使える地震学1」 日本地球惑星科学連合2017年大会期間中の5月22日に地震学習会を実施した。 (1) 「ジオパーク活動で使える地震学 −地震観測データの活用方法−」(防災科研:松原 誠)および (2) 「日本周辺の沈み込み帯における海底地形」(海上保安庁:西澤あずさ)と題した講演が行われ、地震観測網、地震データや震源分布図に関する解説、地震データの展示例、各ジオパーク内の地震観測点の分布や、日本周辺の3D海底地形図に見られる海底地形と地震の関係や海上保安庁の各管区の海の相談室の利用やwebで公開されている海洋台帳に関して解説された。地震学習会には、事前申込のあった10ジオパークの他に、飛び込みで8ジオパークおよびJGN事務局から計32名の参加者があり、紹介されたデータの具体的な利用法など活発な質問がなされた。 参加者アンケートによる地震学習会の評価と要望 講演内容の理解度や今回紹介されたデータの活用事例の有無、開催時期や時間の長さ、今後のテーマへの要望に関して、参加者に対してアンケート調査を実施した。講演内容及び各ジオパークにおける地震観測点や海上保安庁が所有するデータの利用方法については、概ね理解でき、今回紹介されたデータについても活用したいという意見が多かった。開催時期については、日本地球惑星科学連合大会開催期間中を望む声が多かった。時間の長さについては、ちょうど良いとの意見と短いとの意見に分かれ、参加者の予備知識が反映された結果と推測される。今後のテーマについては、地震防災、地震教育、地震活動や日本列島の地震学的構造など多様な意見があり、地震学習会を継続的に実施する必要性があると考えられる。 謝辞:地震学習会の実施にあたり、日本ジオパークネットワーク事務局に多大なるご協力をいただきました。記して感謝します。