著者
河村 文一 並木 博
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.7, no.4, pp.238-242, 1958-04-05 (Released:2009-06-30)
参考文献数
6
被引用文献数
5 4

塩化第一錫を還元剤として使用するモリブデン青法による燐酸根の定量法を検討した.硫酸およびモリブデン酸アンモニウムの濃度の如何は発色にいちじるしい影響をあたえることを認めたので,このことについてはとくに詳細に検討し,両者の濃度変化と発色の関係を図示して発色の領域を定め,これにより定量に最も適する濃度は,硫酸が0.65N,モリブデン酸アンモニウムが0.15%であることを確めた.また,反応温度は45℃以下で行うべきであり,25℃附近における誤差は1℃につき約1%であることを知った.なお,塩化第一錫溶液の添加量の若干の変化は発色の強さに影響しないことを認めた.
著者
西田 隆仁
出版者
一般社団法人 日本高圧力技術協会
雑誌
圧力技術 (ISSN:03870154)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.60-72, 2016-03-25 (Released:2016-04-29)
参考文献数
48

Gaskets have been used widely in bolted flange connections in the various plants such as chemical, petroleum refining, petrochemical, power generation and so on. The prototype of gaskets had started to use in 19 century and gaskets have improved and developed for applying severe specifications conditions in a lot of industries. The role of gaskets is to prevent leakage of inner fluid from the interfaces of connections. Asbestos gaskets have been used for a long time, however, in 1980"asbestos have replaced to non-asbestos materials in the US and Europe because asbestos have affected the human health. In Japan, the new use of asbestos gaskets was completely prohibited in 2012. In the present article, the history of gaskets is described. Recently, from the environmental regulation, the quantitative measurement of a leakage has been necessary in the bolted flange connections. Thus, the higher sealing technology is needed for satisfying the severe conditions. An overview of the recent researches and trend for designing bolted flange connections are described.
著者
小川 久貴子 安達 久美子 恵美須 文枝
出版者
一般社団法人 日本助産学会
雑誌
日本助産学会誌 (ISSN:09176357)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.2_50-2_63, 2006 (Released:2008-06-30)
参考文献数
53
被引用文献数
2 1

目 的 本研究では,1990年から2005年の10代妊婦に関する国内文献の内容を分析し,今後の課題を明らかにすることである。対象と方法 「医中誌WEB:」及び,「最新看護検索」を用い,キーワードを,『未成年者妊娠,若年初産婦,10代妊娠,思春期妊娠』として検索し,得られた106件の文献内容を分析し,それを分類して検討した。結 果 文献内容を分析した結果,10代妊婦の背景や妊娠から育児に関する実態と今後の課題の合計5項目が明らかになった。その中で,既存文献では,10代妊婦の実態やケア実践への提言は比較的多くなされているが,ケアの効果を実証する研究や10代の年齢による特性の違いを論じる研究は少ないことが明らかになった。さらに,10代女性にとっての妊娠の受容過程や,10代で妊娠することや子育てを経験することが,その社会のなかでその人にどのような意味をもち,健康面にどのように影響するかという心理・社会的状況についても十分には明らかになっていないことが判明した。結 論 今後の10代妊婦の研究では,実践のエビデンスを提供する質の高い研究を目指して,対象者の特性をより明らかにする主観的体験を探求する研究などが重要である。
著者
石原 香絵
出版者
学習院大学大学院人文科学研究科アーカイブズ学専攻
雑誌
GCAS report = 学習院大学大学院人文科学研究科アーカイブズ学専攻研究年報 (ISSN:21868778)
巻号頁・発行日
no.3, pp.4-19, 2014

本論は、日本における映画保存史の中でも、とくにGHQによる占領期に着目し、この時期に法定納入の対象から映画が除外された事実とその背景を明らかにするものである。池田義信(日本映画製作者連盟初代事務局長)は、戦中・戦後の混乱期の資料散逸を悔い、映画フィルムの収集保存先として国立国会図書館(1948年開館)に期待をかけた。国立国会図書館法は文化保存の観点から法定納入を定め、当初は映画もその対象としたが、当時のフィルムの燃えやすく危険な性質や、小売価格の半額程度を支払う「代償金」の負担が重いこと等から、1949年の法改正時にその納入を免除した。その後、小規模ながらフィルム・ライブラリーを有していた東京国立近代美術館(1952年開館)へと映画の収集保存先としての期待が移り、民間による〈映画保存運動〉が1960年に始動するが、ここではこの運動が始まるまでの状況を扱うとともに、映画の法定納入の重要性を改めて検討する。
著者
田中 颯樹 増田 容一 石川 将人
出版者
公益社団法人 計測自動制御学会
雑誌
計測自動制御学会論文集 (ISSN:04534654)
巻号頁・発行日
vol.55, no.4, pp.305-312, 2019 (Released:2019-04-16)
参考文献数
15
被引用文献数
1

This paper is concerned with nonlinear analysis of a 1-d.o.f. vertical hopping robot, composed of its body, foot and a DC motor with crank mechanism. We show that its hopping motion under a constant voltage converges into a stable limit cycle, through physical experiments and numerical simulations. We then clarify this stabilization mechanism based on a simplified mathematical model, by showing that the negative torque-velocity correlation (weakness) of DC motors plays as a feedback law for stabilization. We also show that the limit cycles exhibit period-doubling bifurcation as the applied voltage increases, and the corresponding bifurcation diagram is affected by the weakness parameter of the DC motor.
著者
日本集中治療医学会集中治療PT・OT・ST委員会 集中治療に従事する理学療法士等の能力要素検討ワーキンググループ
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.237-254, 2021-05-01 (Released:2021-05-01)
参考文献数
28
被引用文献数
1

要約:日本の集中治療領域で働く理学療法士(physical therapist, PT)のためのミニマムスタンダード(MS)を合意形成することを目的として,集中治療に関して十分な経験を持つPT,医師,および看護師(それぞれ54名,44名,42名)を対象に,修正Delphi法を用いた調査を実施した。調査項目は,集中治療に関する潜在的な知識と技術272項目とし,すべての項目について,集中治療領域で働くPTのMSとして“必須である”,“必須でない”,“わからない”のいずれかで回答するように求めた。3職種のそれぞれにおいて70%以上が“必須である”と回答した項目をMSに合意したとし,PTのみ合意の場合は,MSの予備的項目として合意したと定義した。MSとして合意されたのは141項目,MSの予備的項目として合意されたのは58 項目であった。本調査で合意形成されたMSは,集中治療に関わるPTの質を担保し,チームでの診療を円滑かつ効果的なものにすると考えられる。
著者
福光 恵
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネスassocie (ISSN:13472844)
巻号頁・発行日
vol.10, no.19, pp.4-6, 2011-11-01

透き通るような色白肌、アヒルとポッテリの合わさったハイブリッド唇など、天使を実写化したかのような完全無敵のイケメンぶり──。ドラマ「花ざかりの君たちへ」に出演していたほんの4年前、単なる見てくれのいい若手俳優の一人だった"岡田クン"が、いつの間にか美しくない役もこなせる実力派俳優に変身を遂げていた。 11月公開の映画「アントキノイノチ」。
著者
髙久 智広
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Japanese History (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.182, pp.89-114, 2014-01

これまで幕藩制社会における官僚制の問題は、将軍や幕閣といった政権担当者の交代や改革に伴う幕府の機構改革の側面から論じられることがほとんどであった。しかしそうした改革や政権交代には必然的に積極的な人材登用とともに前政権が行った政策の批判的継承と前政権の諸政策を担った諸役人の処分や否定も付随する。このように考えると、幕府の官僚組織を編成する側の論理もさることながら、その構成員たる幕臣たちが、組織内での地位の上昇・下降をどのように捉えていたのかを明らかにすることが、組織の実態を明らかにするうえでは欠かせない作業となってくる。そこで本稿では武士の立身出世を題材にした出世双六のうち、「江戸幕臣出世双六」「御大名出世双六」「御役替双六」の三点を検討素材として、史料としての有効性を測りつつ、幕府の官僚組織における出世を、幕臣たちがどのように捉えていたのかを考察した。本稿では、まず第一節において、「江戸幕臣出世双六」と「御大名出世双六」の比較からこれらの双六には、職制上の階梯を昇っていくことだけではなく、それに伴う禄高の上昇や御目見以下から以上、あるいは旗本から大名への家格の上昇、また殿席や官位・官職の上昇、さらには武家としての継承・繁栄までを組み込んだ出世観が示されていると位置づけた。また、この二つの双六の特徴として、まずそれぞれの場に応じた上役や関係諸職との間で交わされる付届けの贈答関係、即ち交際のあり様がより重視されており、それは出世・昇進とは不可分の関係にあったこと、またその結びつきの強弱はこれらの双六では付届けの数によって示されているが、その多少は職階の上下以上に、それぞれの職務内容や権限がより大きく作用する構成となっていることを指摘した。またこれら二つの双六は「振出シ」や「家督」のマスにおいては、サイコロの出目というある種の運命によって振り分けられる武家としての身分的階層が、現実世界と同様に御目見以下の最下層に位置する中間から、最も上層の万石以上まで大きな幅をもって設定されており、そうした各家に歴史的に備わった家格=身分的階層が出世・昇進と密接な関わりを持っていることがゲームを通じて実感される構成となっている。その一方で、佐渡奉行が側用人や伏見奉行に飛躍するような実際にはあり得ない抜擢人事の要素をも組み込んでいて、しかもそれが両双六において採用されていることから、これらの双六にみられる特徴は、幕臣の出世に関し、当時共有されていた認識を示すものではないかと本稿では位置づけている。また、本稿で検討した三つの双六では、サイコロを振るごとに単純に地位が上昇していく仕組みではなく、降格や処分を意味する設定が実態に即した内容で組み込まれている点が重要ではないかと考えた。そのことにより、どの役職や場に、どのようなリスクがあるのかということも知ることができるからである。なかでも第二節においては「御役替双六」に設定された「振出シ小普請」と「一生小普請」に注目した。これは三〇〇〇石以下の無役を意味する一般的な小普請と、処分や粛正によって貶される咎小普請という、幕府の官僚組織の特色の一つである小普請の両義性を明確に提示するものである。特に「一生小普請」については、当該双六の作成時期として比定される享保期から天明期にかけての勘定奉行・勘定吟味役、大坂町奉行の動向を追い、「御役替双六」における「一生小普請」の設定が、一八世紀半ばにおける上記三職就任者の処分・粛正と小普請入りの実態を反映したものであることを指摘した。同時代に生きた幕臣やその子弟たちは、「御役替双六」の「一生小普請」と諸職の対応関係をみただけで、現実にあった政権担当者の交代やそれに伴う政策方針の転換、前政権担当者や関連諸役の粛正などを想起したであろう。こうした出世双六は、本来、幕府の官僚組織のあり方を論じる上では二次的・三次的史料に分類されるものではある。また、概ね実態を反映する形で構成されてはいるものの、それぞれの双六には製作者の意図や認識が組み込まれている。しかし、これらの双六において再現される立身出世のプロセスは、現実世界を強く照射するものでもあり、一次的史料に即して批判的に検証したことで、有効な研究素材になりうることを明らかにできたのではないかと考える。Most of conventional research on the bureaucracy in the shogunate-and-domain-system society has focused on organizational reforms of the Tokugawa shogunate accompanied by changes of people in power such as shoguns and high-ranking officials. These organizational reforms and administrative changeovers, however, always trigger the aggressive appointment of new officials, combined with the criticism of the previous administration on its policies and the dismissal of former officials responsible for these policies. Therefore, in addition to the study of views of top-ranking officials organizing the shogunate bureaucracy, the study of views of vassals composing it about their promotions and demotions in the government is crucial in clarifying the real situation of the organization. This article examines vassals' views on promotion in the shogunate bureaucracy by using three games of sugoroku (Japanese backgammon) on the theme of samurai's advancement in life and career, Edo Bakushin Shusse Sugoroku, Odaimyo Shusse Sugoroku, and Oyakugae Sugoroku, as research materials while evaluating their validity as historical sources.In the first chapter, by comparing Edo Bakushin Shusse Sugoroku and Odaimyo Shusse Sugoroku, this article reveals their outlook on promotion; it not only means climbing up the bureaucratic ladder but also includes the fruits of promotion such as an increase in stipends, advancement in family status from omemie-ika (the unprivileged who were barred from seeing a shogun) to omemie-ijo (the privileged who were allowed to do so) or from hatamoto (vassal) to daimyo (feudal lord) , and upgrading of the class of anteroom and official rank and post. Promotion seems even associated with the inheritance and prosperity of samurai family. Another attribution of the two games is to attach importance to relationships of gift-exchange, socializing, with superiors and other relevant officials. The connection is described to be inseparably linked with promotion and upgrading. In the game, the strength of relationship is indicated by the number of gifts, which seems to depend more on the functional role and authority than on the hierarchy of officers. Moreover, like in the real world, both sugoroku games provide a wide range of status levels from the lowest (footman, the bottom of the omemie-ika servants) to the highest (feudal load with a stipend of ten thousand koku or over) , and the throw of dice, a kind of destiny, determines the class of players when starting or arriving at the cell of "inheritance." Thus, the games are designed to make players realize that the historical family rank, status hierarchy, is closely connected with advancement in life and career. On the other hand, the games include exceptional promotions such as from Sado magistrate to grand chamberlain or Fushimi magistrate. Though such upgrading seems unlikely, it can be considered as a common view of promotion of shogunate vassals at that time because both sugoroku games include these kinds of promotion.The three games of sugoroku covered by this article do not simply allow players to get promoted by throwing a dice but provide a realistic view of demotion and punishment. This is considered to be important because players can understand what kind of risks each rank or position has. In the second chapter, this article focuses on the rules of starting kobushin and lifetime kobushin in Oyakugae Sugoroku. Kobushin (vassals holding no post in the government) is one of distinctive human resource cultivation systems of the Tokugawa shogunate, and the sugoroku clearly indicates the two meanings of it: general kobushin holding a stipend of less than 3,000 koku but no post and punished kobushin forfeiting his post due to a penalty or purge.By examining the primary historical materials written by Honda Naritaka, who managed kobushin from the end of the Kansei period to the Kyowa period (from 1800 to 1803 ) , this article studies how general kobushin got recommended for and promoted to posts. It is discovered that, despite conditions that they had to have both literary and military accomplishments, in practice vassals were judged for recommendation or promotion based on the different criteria depending on respective posts such as guard, housekeeper, and treasurer.With regard to the lifetime kobushin, this article examines the changes of chief financial officials, comptrollers, and Osaka magistrates from the Kyoho period to the Tenmei period (from 1716 to 1789 ) , which is estimated to be when Oyakugae Sugoroku was created. As a result, it is discovered that the profile of lifetime kobushin in Oyakugae Sugoroku reflects the actual penalties, purges, and forfeitures of officers in the above-mentioned three ranks at the middle of the 18th century. The relations between lifetime kobushin and other posts described in Oyakugae Sugoroku could have reminded contemporary vassals and their children of the actual changes of people in power and the subsequent shifts of policies and purges of officers and officials of the previous regime. In the study of the bureaucracy of the Tokugawa shogunate, these games of shusse sugorokuhave fallen under the secondary or tertiary historical sources. Each of the games includes opinions and views of its producer. However, they are designed to generally reflect the reality. The processes of advancement in life and career described in those games strongly reflect the real world. Examining their validity based on the primary historical sources, therefore, this article concludes that those games can serve as effective research materials.