著者
中島 圭一
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Japanese History (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.113, pp.181-192, 2004-03-01

一五二六年に石見大森銀山が発見されると、まもなく大量の日本銀が大陸に流出する。しかし、銀は京都方面には向わず、京都においては専ら金が、贈答や遠隔地間の送金に使用された。一五六三年、政治的理由から毛利氏が大森銀山を室町幕府と朝廷に寄進したのを契機として、銀が京都に流入を始めた。その後、京都においては急速に金から銀への交代が進み、七〇年代には銀が送金・贈答の主流となる。この間、六〇年代後半までに金が貨幣的機能を具えるに至っており、それを前提として、六〇年代末までに銀も舶来品取引を中心に用いられる貨幣となった。そして、七〇年代には舶来品以外にも用途を広げ、八〇年代から九〇年代にかけて銀貨の使用が完全に定着し、近世の京都が銀貨使用圏に入る基盤が調えられた。
著者
中西 英之 キャサリンイズビスタ 石田 亨 クリフォードナス
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.42, no.6, pp.1368-1376, 2001-06-15

本論文では,仮想空間内での人間同士のコミュニケーションを補助する社会的エージェントについて述べる.このエージェントはパーティーにおけるホスト役を模擬しており,会話が停滞している2人のミーティング参加者に共通の話題を与えようとする.我々は,このエージェントを異文化間コミュニケーションの支援に適用する実験を行った.実験用に,ミーティング参加者との質疑応答を通して,文化的に共通の安全な話題を提供するエージェントと,危険な話題を提供するエージェントを設計した.実験は,専用線でつながれた京都大学とスタンフォード大学のPCの上で,我々が開発した仮想空間FreeWalkを動作させて行った.この実験において,安全なエージェントはアメリカ人の学生に肯定的な影響を与えた.一方,日本人の学生には否定的な影響を与えると同時に,会話相手との類似性を強調した.危険なエージェントのいる環境では,両国の学生とも会話をより面白いと感じ,日本人学生がよりアメリカ人のように振る舞った.実験の結果,危険な話題は有用であり,エージェントは各参加者に適応できた方が良く,エージェントの存在が参加者の振舞いに影響を及ぼすことが分かった.
著者
エディリシンハ チャトリカ 和田 勉
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:21888930)
巻号頁・発行日
vol.2018-CE-144, no.13, pp.1-5, 2018-03-10

登壇発表者の出身国であるスリランカの教育制度,情報教育特に初中等情報教育,および情報分野の入学試験 ・ 検定について調査した結果と考察を報告する.文献やインターネットを通じた予備調査により明らかになった,スリランカの教育制度,初中等情報教育,および情報分野の入試 ・ 検定を報告する.あわせて日本の情報教育制度との違いを考察する.なお発表時には,本予稿執筆のあとで行った現地調査から得られた結果もあわせて報告する予定である.
著者
押岡 大覚 鎌倉 利光 寺原 美歩
出版者
聖泉大学紀要委員会
雑誌
聖泉論叢 = The Seisen review (ISSN:13434365)
巻号頁・発行日
no.24, pp.33-44, 2017

本研究は,コ・ファシリテーター方式,3日間の通い形式により実施した第2回フォーカシング指向グループ("Focusing-oriented" Group:以下,F.O.G.)参加者から得られた《満足した点》及び《不満足な点・心残り・気がかり》に係る自由記述について,テキストマイニング及び多変量解析による分析を施し,F.O.G.のグループ・プロセスに関する仮説の生成を目的とした.その結果,「他者との関わり感覚」,「他者のフェルトセンスの感受」,「場のフェルトセンスの感受」の3要因による好循環を基盤とした「フェルトセンスの言語化」による体験的相互作用の経験が,F.O.G.において満足感を覚えるに至るグループ・プロセスである可能性が示唆された.一方,F.O.G.参加者は「他者との距離感」及び「自己の発信が出来ない」という2要因の悪循環の経験が,F.O.G.において参加者が不満足や心残り,気がかりを感じるグループ・プロセスである可能性が示唆された.ただし,これらの仮説は第2回F.O.G.モデル構成から得られたものであり,これまで,あるいはこれ以降実施されるF.O.G.モデル構成全般に汎化して考えられるか否かについては,一定の保留が必要である
著者
押岡 大覚 鎌倉 利光 寺原 美歩
出版者
聖泉大学紀要委員会
雑誌
聖泉論叢 (ISSN:13434365)
巻号頁・発行日
no.23, pp.1-12, 2016

本研究は,第1回フォーカシング指向グループ("Focusing-oriented" Group:以下,F.O.G.)参加者から得られた《満足した点》及び《不満足な点・心残り・気がかり》に係る自由記述について,テキストマイニング及び多変量解析を用いた体系的,計量的分析を行い,F.O.G.のグループ・プロセスに関する仮説の生成を目的とした.その結果,F.O.G.参加者は,集団内で「他者との関わりの感覚」を覚え,安心できる存在として他者を感じ,その安心感を基盤として,多方向的な相互作用を経験する.そして,個人が「他者との関わりの感覚」を覚えるようになると,「自己の身体感覚」が賦活され,「自己の発信」が行えるようになるという,満足感に係るグループ・プロセスの仮説が生成された.一方,F.O.G.参加者は「他者の身体内感覚を感じられない」,あるいは「自己の身体感覚を感じられない」状態になると,「自己の発信ができない」状態になるという,不満足感等に係るグループ・プロセスの仮説が生成された.ただし,これらの仮説は,第1回F.O.G.のみから得られた限定的なものであり,今後のF.O.G.モデル構成全てに適用して考えられるか否かについては,一定の保留が必要である.
著者
橋内 武 Takeshi Hashiuchi 桃山学院大学国際教養学部
雑誌
桃山学院大学社会学論集 = ST. ANDREW'S UNIVERSITY SOCIOLOGICAL REVIEW (ISSN:02876647)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.337-352, 2011-03-28

Tono-Monogatari, The Legends of Tono, is a collection of 119 folk narratives specific to the remote town of Tono and its neighboring villages of Iwate Prefecture. This paper is an attempt to answer the two questions: 1)How did the humble yet influential publication come about? 2)How did it grow to be a modern classic and to make Tono a pilgrimage site for folklore lovers? Tono-Monogatari is the first Japanese challenge to publish the oral tradition in book form. Actually, there were three people closely linked to this publication. Various forms of narratives were told by Kizen Sasaki, a young country man from Tono to Kunio Yanagita in Tokyo in 1908. These two men met for the first time by the introduction of Yoshu Mizuno, a young thriving writer living at the same boarding house with Sasaki. Mizuno was a ghost story lover, Sasaki was a great folk story teller himself, and Yanagita, public servant and writer, was a very attentive listener eager to dictate what Sasaki told. Then Yanagita travelled to Tono in August, 1909, to observe the setting of stories told. The result is the Tono-Monogatari, first printed and published privately for 350 copies. Thus this little book was known only among the restricted group of literary men and scholars until 1935 when there appeared its second, expanded version with enormous success. However, Tono has been a sleepy country town for a long time until 1970s, when the National Sport Games Soccer Venue and the Annual Convention of Japan Folklore Society were held. Since then there has been built such institutions as Tono City Library, Tono Folk Museum, an outdoor museum called Denshooken, and a folktale theater named Mukashi-banashi-mura. In 2010 Tono celebrated a hundred anniversary of Tono-Monogatari, with such exciting local events as the renewal opening of Tono Folk Museum, a centenary performance of folk drama, and 2010 Tono Seminar focused on this modern classic. Today Tono-Monogatari is still well read and provides the city identity to Tono, which remains to be a destination for Japanese folklore lovers.
著者
山岸 常人
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Japanese History (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.161-193, 1992-12-25

本稿は、中世の寺院において本堂或はその他の仏堂の中に何らかの意図をもって納め置かれた文書―仏堂納置文書と呼ぶことにする―をとりあげ、その納置の状態・納置文書の種類や機能・蔵に納置された文書との関係等について、主として栄山寺・高野山・金剛寺等の納置の事例をたどりながら、寺院内部における文書の安定的な保管についての原理と現実について考察を加える。文書納置には様々な種類の仏堂が使われているが、中でも御影堂・本堂、とりわけ御影堂が特に史料的に豊富な情報を残しており、御影堂が多くの寺に共通して重用されていた。多数の文書が仏堂に納置された要因は、併存する複数の僧侶集団、さらには寺外の諸権門との間での様々な権利が対立する際、権利を保障する支証となる文書の所在とその確かな伝領を実現するためにふさわしい機能を仏堂がもっていた点にある。寺の開祖や宗祖を祀る御影堂が特に選ばれているのは、世俗の諸権力より上位の権力に文書の保管を委ねたと見ることができる。ただしこのシステムは架空の上位権力の存在を想定して成立している擬制とも言えるものであった。このことは笠松宏至氏の言う「仏物」誤用禁止の法理とも共通する理念であるが、その法理の裏では、高野山の御手印縁起等の奉納状や十聴衆評定で定められた出納手続、或は文書の書面上に御影堂納置文書である旨を示す文言を加筆すること等、実態を伴った管理制度の完備によって初めて保管の実効性が保証されていた。更には金堂には下書を、御影堂には正文を置くような危険を分散する方式も編み出されて、それを補完したはずである。即ち理念や擬制だけで現実の利害や権力に対抗しきれるものではなかった。なお仏堂に納置される文書は公験・荘園文書など寺家の権利に直接関わるものに主として限られ、法会文書などは納められず、また年貢なども別の収納施設に納められ、寺内の収納施設は目的により俊別されていた。仏堂に文書を納置することは正に中世寺院の組織構造を直接に反映した現象であった。
出版者
講談社

まえがき / 三橋 順子第1部 誰でも知ってるあの言葉・愛人 / 井上 章一・不倫 / 井上 章一・まんこ、やりまん、あげまん / 澁谷 知美・おとな・アダルト / 永井 良和・SM / 三橋 順子・女王様 / 三橋 順子・女性 / 井上 章一・性転換 / 三橋 順子・デート / 斎藤 光・売春・ウリ / 永井 良和・くろうと/しろうと、プロ/アマ / 永井 良和・ゲイシャ / 井上 章一・水商売 / 松田 さおり・ストリップ / 永井 良和・生足 / 井上 章一・ヌード / 川井 ゆう・パンツ / 井上 章一・発禁・18禁 / 永井 良和第2部 意外に知らないあの言葉・四十八手 / 三橋 順子・チラリズム / 井上 章一・ちちくる / 井上 章一・ペッティング / 斎藤 光・しとど / 井上 章一・ED / 澁谷 知美・個室 / 永井 良和・トルコ / 光石 亜由美・モロッコ / 三橋 順子・ポン引き / 永井 良和・同伴 / 松田 さおり・すまた / 澁谷 知美・すっぽんぽん / 川井 ゆう・薔薇 / 石田 仁・百合 / 赤枝 香奈子・イエローキャブ / 井上 章一・◯◯夫人 / 松田 さおり・ハマグリ / 井上 章一第3部 誰か知ってる? この言葉・わかめ酒 / 澁谷 知美・花電車 / 井上 章一・数の子天井・みみず千匹 / 三橋 順子・近畿グレートリング / 永井 良和・合ハイ / 斎藤 光・日高パーティー / 斎藤 光・夕ぐれ族 / 光石 亜由美・夜鷹・鷹狩り・狩りこみ / 永井 良和・P屋・Pダンス / 永井 良和・花柳病 / 澁谷 知美・白袴隊 / 古川 誠・ハッテン場 / 石田 仁・タチ/ネコ、攻/受 / 石田 仁・人工女性、文化女性 / 三橋 順子・シーメール(She-male) / 三橋 順子・純綿・純女 / 三橋 順子・ノーズロ / 井上 章一金玉についてのささやかな考察と、あとがき / 井上 章一執筆者紹介索引
著者
伊藤 智義 杉江 崇繁 赤松 孝則 木村 祐哉 川口 梨紗花 角江 崇 下馬場 朋禄
雑誌
第79回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2017, no.1, pp.1-2, 2017-03-16

3次元情報を記録再生できるホログラフィは次世代映像システムを創出する可能性を持っている。しかし、計算コストが膨大なため、実用化のめどは立っていない。本研究室ではハードウェアによる高速化を進めている。8番目の試作となるHORN-8システムの研究プロジェクトでは、ザイリンクス社製Virtex-5を8個搭載した大規模FPGAボードを独自に開発した。使用したFPGAは旧式になりつつあるものの市販品にはない回路規模のボードとなっている。HORN-8ボード単体でPCの100倍、10枚並列化して1000倍程度の高速化が達成できる見込みになってきており、報告を行う。
著者
平島 真一 多田 教浩 三浦 剛 伊藤 彰近 ヒラシマ シンイチ タダ ノリヒロ ミウラ ツヨシ イトウ アキチカ Shin-ichi HIRASHIMA Norihiro TADA Tsuyoshi MIURA Akichika ITOH
雑誌
岐阜薬科大学紀要 = The annual proceedings of Gifu Pharmaceutical University
巻号頁・発行日
vol.60, pp.1-9, 2011-06-30

酸化反応は有機合成における最も重要な柱の一つである。しかしながら、従来の酸化反応は重金属を大量に使用しなければならない、廃棄物が大量に副生するなどの問題点を有しており、いわゆる“グリーンケミストリー”の概念に必ずしもそぐわないものがほとんどであった。一方、最近では安価で原子効率が高い分子状酸素を酸化剤として用いた触媒的酸化反応が報告されている。この方法は適当な触媒を用いた場合に、反応後に副生されるものが理論的に水のみであり、理想の酸化反応として注目を集めている。係る背景において、筆者らは分子状酸素を用いる酸化反応について研究を行い、紫外光照射下(<400 nm)、HBrやBr2のような触媒量の臭素源存在下、芳香環上メチル基やアルコール類から対応するカルボン酸への酸化反応の開発に成功した。また、臭素源として触媒量のMgBr2を用いることにより可視光照射下(>400 nm)でも同様の酸化反応が進行することも見出した。さらに、上記の光酸素酸化反応を連続するエステル化反応へ展開し、芳香環上メチル基から芳香族カルボン酸エステルへの効率的な直接一段階合成法を確立することにも成功した。
著者
池田 敬子 Ikeda Keiko
雑誌
論集
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.1-17, 1980-12
著者
上野 徳美 林 智一
出版者
九州地区国立大学間の連携に係る企画委員会リポジトリ部会
雑誌
研究論文集-教育系・文系の九州地区国立大学間連携論文集- (ISSN:18828728)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, 2010-09

全人的医療実現のためには、人間の心理や行動、対人関係などを科学的・実証的 に探求する学問である心理学の知識や素養が医師・医学研究者には求められる。本論文では医学教育における心理学の役割を①教養教育、人間性教育、②専門基礎教育、③卒後教育、生涯学習という 3 つの観点から整理するとともに、一例として特色ある授業など、本医学部の心理学教育の実践を報告した。また、今後チャレンジすべき課題として、医学生のメンタルヘルス支援や教育研究環境整備などについて論じた。
著者
平井 辰典 大矢隼士 森島 繁生
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.1254-1262, 2013-04-15

本論文では,任意の入力楽曲を基に,既存の音楽動画コンテンツを再利用し,音楽と映像が同期した音楽動画を自動生成するシステムを提案する.本研究では,まずシステムの土台となる音楽と映像の同期手法を主観評価実験により検討した.その結果に基づき,音のエネルギーを表すRMSの変化に,映像のアクセント(明滅や動きなど)を対応させるような音楽動画自動生成システムを実装した.音楽動画の自動生成の手順は以下のとおりである.まずデータベースの構築として既存の音楽動画の各フレームにおける明滅,動きに関する映像特徴量の計算を行う.そして,動画生成として,入力楽曲のRMSを抽出し,その推移に最も近い推移を示す映像特徴量を持つ音楽動画の素片をデータベースから探索し,それらの映像を切り貼りすることで,音楽に最も同期した音楽動画の生成を行う.また,本システムによる生成動画の評価も行った.
著者
杉浦啓介 武曽徹 鶴薫 AlanEsenther DanielNikovski 矢ヶ部弾 上田崇人
雑誌
第75回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2013, no.1, pp.513-514, 2013-03-06

送電線に自前の電線を接続して行う電力盗難(盗電)について、盗電の発生を検知する技術およびそのデモアプリケーションを紹介する。
著者
池谷 和子
出版者
東洋大学現代社会総合研究所
雑誌
現代社会研究 (ISSN:1348740X)
巻号頁・発行日
no.12, pp.83-92, 2014